1 / 4
転生は七回まで
しおりを挟む「あーあ、また死刑。運が良ければ終身刑かあ。毎回、どこかで間違えるのよねえ。でも、また転生するわよね。今度はどの恋愛ゲームかしら。楽しみだわ」
「転生……? あなた何を言ってるの?」
そう言った私を嘲笑うように語る。
檻の中の彼女は今までも恋愛ゲームの世界に転生してきたそうだ。
「転生……つまり生まれ変わったってこと?」
「ええ、そうよ。なあーんだ、あなた転生者じゃなくて賢いだけか」
「あなた、今まで何回転生したの?」
「え? そうねえ、日本で死んでから……これで六回目かしら?」
「あなた、その日本が初めての転生だと思ってるの?」
私の言葉に「え?」と驚いた表情を見せる。
「知ってるの? 転生は七回までって」
「…………え? じゃあ、私は」
「転生はこれで最後よ」
「いや、ウソでしょ。だってあなた恋愛ゲームの転生者じゃないじゃない!」
「ええ、でも図書館にそんな本があるわ。『記憶を持って生まれ変わった人を転生者というなら、記憶を持たずに生まれた人たちはモブもしくはNPCと呼ばれる者だろう。そして転生者は七回しか転生できない』。神と聖者との会話を記した本よ。それが事実なら、あなたの転生は七回目、ここが最後だったのよ」
「あ……あ、ああああああああああああああああああああ!!!!」
頭を抱えてもすでに収監されて判決待ち。
人生をやり直すことは叶わない。
「さようなら。最後の転生ヒロイン役を無駄にした転生者さん」
そう言い残して檻から離れる。
慌てて檻にしがみついて必死に私へ手を伸ばす。
「お願い! 助けて!」
「無理よ。だってあなた今までも死刑になってきたのでしょう? そんな改心もしていない人を出すわけないわ」
「心を入れ替える! だから……‼︎」
必死に叫ぶ彼女の手が届かない場所まで近寄り、笑いを含んだ声で囁いた。
「七回転生しても反省していないのに出すわけないじゃない」
呆然と見上げる彼女にもう一度教える。
「七回も自分の行為を反省しない害悪を外に出すより、片付けた方がいいのよ。それにこの世界は大陸ごとに恋愛ゲームの舞台が揃っているの。今まであなたはヒロイン役だったわ。次から悪役令嬢役だけど、ヒロイン役だった記憶はないわ。次に持ち越せるのはゲームの内容だけよ。でもそれはヒロイン一回目も同じだったでしょう? その上で悪役令嬢らしく生きるか、断罪回避するか。今まであなたが追い詰めてきた悪役令嬢たちの末路を思い返しなさい。ああ、ヒロインがゲーム開始を拒否して自分で道を開けばそのゲームは始まらないわ。その場合でも、あなた自身が生き方を間違えれば処刑か国外追放。ヒロイン役の時点でこの世界から卒業できなければあなたはこの世界から抜け出せない。最初にそう教えなかった?」
目を見開いて私を見上げる。
ああ、覚えているのね。
36
あなたにおすすめの小説
出戻り娘と乗っ取り娘
瑞多美音
恋愛
望まれて嫁いだはずが……
「お前は誰だっ!とっとと出て行け!」
追い返され、家にUターンすると見知らぬ娘が自分になっていました。どうやら、魔法か何かを使いわたくしはすべてを乗っ取られたようです。
キモおじさんの正体は…
クラッベ
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生し、ヒロインとなったナディア。
彼女はゲーム通りにいかない悪役令嬢のビビアンに濡れ衣を着せ、断罪イベントの発生を成功させる。
その後の悪役令嬢の末路は、ゲーム通りでは気持ち悪いおっさんに売られていくのを知っているナディアは、ざまぁみろと心の中で嘲笑っていた。
だけどこの時、この幸せが終わりを迎えることになるとは、ナディアは思っても見なかったのだ。
魅了アイテムを使ったヒロインの末路
クラッベ
恋愛
乙女ゲームの世界に主人公として転生したのはいいものの、何故か問題を起こさない悪役令嬢にヤキモキする日々を送っているヒロイン。
何をやっても振り向いてくれない攻略対象達に、ついにヒロインは課金アイテムである「魅惑のコロン」に手を出して…
私の生前がだいぶ不幸でカミサマにそれを話したら、何故かそれが役に立ったらしい
あとさん♪
ファンタジー
その瞬間を、何故かよく覚えている。
誰かに押されて、誰?と思って振り向いた。私の背を押したのはクラスメイトだった。私の背を押したままの、手を突き出した恰好で嘲笑っていた。
それが私の最後の記憶。
※わかっている、これはご都合主義!
※設定はゆるんゆるん
※実在しない
※全五話
やり直しの王太子、全力で逃げる
雨野千潤
恋愛
婚約者が男爵令嬢を酷く苛めたという理由で婚約破棄宣言の途中だった。
僕は、気が付けば十歳に戻っていた。
婚約前に全力で逃げるアルフレッドと全力で追いかけるグレン嬢。
果たしてその結末は…
老け顔ですが?何かあります?
宵森みなと
恋愛
可愛くなりたくて、似合わないフリフリの服も着てみた。
でも、鏡に映った自分を見て、そっと諦めた。
――私はきっと、“普通”じゃいられない。
5歳で10歳に見られ、結婚話は破談続き。
周囲からの心ない言葉に傷つきながらも、少女サラサは“自分の見た目に合う年齢で学園に入学する”という前代未聞の決意をする。
努力と覚悟の末、飛び級で入学したサラサが出会ったのは、年上の優しいクラスメートたちと、ちょっと不器用で真っ直ぐな“初めての気持ち”。
年齢差も、噂も、偏見も――ぜんぶ乗り越えて、この恋はきっと、本物になる。
これは、“老け顔”と笑われた少女が、ほんとうの恋と自分自身を見つけるまでの物語。
【流血】とある冒険者ギルドの会議がカオスだった件【沙汰】
一樹
ファンタジー
とある冒険者ギルド。
その建物内にある一室、【会議室】にてとある話し合いが行われた。
それは、とある人物を役立たずだからと追放したい者達と、当該人物達との話し合いの場だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる