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いい人材が見つかったよねえ
しおりを挟む「恋愛ゲームに溺れた桃色脳の魂が多いから、制作者だった私たちに神はこの世界を神にして管理する権限を与えたのよ。ここまでくる悪役令嬢はほとんどいないわ。だから私たちの分身が代わりをするの。でも、あなたならここまできそうだわ。そうしたらあなたには『悪役令嬢専門の女優』になってもらいましょう」
「それはいいですね」
突然、この場にふさわしくない声が聞こえる。
なぜふさわしくないのかというと……
「い、きて……」
「いいや、第三王子のキャラクターは君が殺した。いま国葬準備の真っ只中さ」
第三王子が生きていれば自分は助かると思っているようだ。
そうは問屋が卸しません。
「珍しく第三王子が殺されたわね」
「おかげで第八大陸の受け入れ準備を急ピッチで進めようとしたけどな。悪役令嬢の両親があまりにも善人すぎてさ、気の毒だから第十四大陸に変更したよ」
「あら、あそこはヤンデラさんの創作世界で『どのルートを選んでもヒロインは必ずハッピーエンド。悪役令嬢の未来はすべて処刑。選べるのは処刑方法』って終末恋愛ゲームでしょう?」
「死に慣れているソイツには幸せなんじゃねえ? ここに相応しい悪役令嬢がいないから放置していたけどさ。……いい人材が見つかったよねえ」
彼女が『好きすぎて離れていくのを止めたくて殺してしまった愛しい第三王子』と同じ顔の神が、その笑顔で残酷な台詞を吐き捨てる。
「俺、その大陸では『牛裂きの刑』を選んでほしいな。ヒロイン役なのに悪女を地で行く君にピッタリだろ?」
「……え?」
「楽しみにしてるよ。ここまでの大陸の処刑は斬首刑と絞首刑しか用意していないからね。これからは全力で回避しないと、自分だけじゃなく家族も一族郎党全員までも処刑されるよ。中には奪ったはずの王子ですら一緒に処刑されるから。……それもある意味究極の愛の形だよね。狂愛ともいうけど」
ガチャガチャという金属音が遠くから響く。
鎧の音だ。
「な、なにが」
物騒な音に檻の中で死期を感じ取ったのだろう。
震える声が小さく漏れる。
「え? 知らなかったの?」
「知らないんじゃない?」
私たちの会話に縋るような目で見上げる姿から、彼の言葉が正しいとわかった。
「あのね。第三王子、つまり王族を殺して現場で捕まったあなたは裁判なしで処刑なの」
「そうそう。だから国葬の前、っていうか第三王子の棺の前で君は処刑。御下の共有仲間も全員一緒。判決は『誰をどんな方法で処刑するか』を決めるだけだよ。ああ、安心してね。君は廃籍後だったから、実家は罪を問われないよ。また別の人がヒロインになるから、家が没落したらストーリーが変わっちゃうもんね。でも次は早くて百年後、かなあ」
「爵位を返上させればよかったんじゃない?」
「ああ、そうすれば親世代と子世代で変えられるな。じゃあさ、補助大陸作ってくれん? 全く同じ舞台が複数あれば、桃色脳たちを放り込みやすくなるだろ?」
「でも動かすのは一ヶ所だけにしてね」
「ああ、回り舞台にするから」
私たちの今後の予定を聞いていて、青ざめて震えている処刑までカウントダウンが始まった終末ヒロイン。
まあ『そんなところで神の会議を始めるな!』と仲間たちに言われそうだが、処刑まであと僅かな上、洗濯機型の魂洗浄機でヒロインルートの記憶を消されて悪役令嬢ルートに投げ込まれる魂だから気にしない。
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