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第四章
父さんと同じ商人を目指して、母さんみたいに心から愛する人と結婚するの
しおりを挟む何故かご褒美になっているシルバー系の魔物たちの解体。
そのおかげか、予約どおりに買い取りを終えてから解体屋へ行ったら歓迎された。
先日の予約変更で魔物を追加してもらった。
その数の多さに八棟ある倉庫のうち三棟を使うそうだ。
でられる職人を総動員させても五日はかかる予定だ。
複数の倉庫を使う場合、第一倉庫に預ける魔物を出す。
そこから各倉庫に魔物を分配するらしい。
解体してもらう魔物を第一倉庫に出したところ、数人に気絶されてしまった。
聖獣の名を戴いた『レッドバロン』という魔物がはいっていたからだ。
赤毛の獅子で『赤い災厄』とまでいわれる魔物。
目撃者はいるものの討伐は数少ない。
それが三体、見た目は親犬仔犬のように大きさが違うが親子ではない。
集団暴走の原因となったのが大きな一体で、残り二体が従来の大きさらしい。
私はみたことがないから分からないけど、今日立ち会ってくれたレティシアの話ではそうらしい。
ちなみにレッドバロンの数少ない討伐者の中にレティシアの名前も当然入っている。
「私が討伐したのは通常の大きさよ」
本人はそういうが、男性冒険者のパーティ……それも複数が合同で戦った記録にソロで倒した冒険者はレティシアのみ。
それも歴代の討伐者の中に女性はレティシアしかいなかった。
「お転婆もここまできたら極まれり」
出動後にレティシアとアグルア叔父様で食事をしたとき、アグルア叔父様はそういった。
「リーシャはレティシアを目指すなよ」
「アグルア兄様を目指すのもダメよ」
「私は『竜騎になる』という自分の道を突き進んだだけだ」
「私だって『冒険者になりたい』という夢を叶えただけです!」
「私は父さんと同じ商人を目指して、母さんみたいに心から愛する人と結婚するの」
私が自分の目指す道を告げたら、レティシアに優しく抱きしめられた。
アグルア叔父様は「リーシャにはいい目標が身近にいたな」と目を細めた。
よく分からないけど、私は父さんを目標にしても大丈夫らしい。
どんなに間引きしていても集団暴走は起きる。
私への出動依頼はレティシアの許可が必要になる。
子供である私に惨劇は見せられないという配慮からだ。
そんな私に、レティシアを通して冒険者ギルドからの依頼が年末年始に五件あった。
気候変化によって、一部の地域では冷夏暖冬となったここ二年。
それが『私が家族を喪った時期』と重なる。
それを知っているのはサフェール国の国王である伯父や、マルス叔父ことドゥヴェール帝国の宰相マルセル・ラインセルナ公爵。
もちろん、彼らから各国の国王や大公に連絡が届いているだろう。
知っていれば対処はできる。
たとえそれが人智を超えた存在の采配だとしても。
私が竜騎で向かったときにはすでに村が二ヶ所被害を受けたあとだった。
冒険者ギルドからの依頼で魔物討伐に参加するときは竜騎で向かう。
その費用は冒険者ギルドもち。
空中で小箱を開いても竜は吸い込まれないし、冒険者たちが倒した魔物は吸い込まないし、商人や冒険者の馬車も取り込まない。
あくまでも野生の魔物と素材だけを根こそぎ吸い込む。
竜騎が現れれば冒険者たちは私が到着したことがわかる。
竜の存在が魔物の行動を抑止するためだ。
私が竜騎で向かうのも急ぎという理由もあるが、暴走する魔物の抑制も含まれている。
このときも被害を止めてくれて、三つ目の村まで迫っていた魔物は動きを止めた。
「魔物たちは見えない手で押さえつけられたようだった」
冒険者たちはそう証言している。
圧倒的な力の差に、強い物に従う魔物の習性では抗えなかったようだ。
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