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⒈
しおりを挟む「どうだろう。私と結婚してもらえないだろうか」
兄の親友からそう言われました。
彼は兄の学友だったこともあり、学生時代からの付き合いがある。
両親の死によって兄が当主として領地に戻ってきて以降、時々王都から訪ねてくるようになった。
領都の学校に通っていた私にとって彼は憧れの人だった。
「いまさら、だわ」
そう、いまさらなのだ。
私は正式に婚約が決まる前に精一杯の想いを告白したのだから。
でも「すまない。きみは妹にしか思えない」と見事に玉砕。
私は生前の父が交わした約束により、幼馴染みである公爵家の嫡男との婚約を受けたのだ。
「申し訳ない。あの頃は『親友の妹』としかみていなかった。だが、告白されて意識するようになった」
「だからいまさらとお答えしました。あなたにとって私の告白が『恋のはじまり』だったかも知れません。ですが私には『恋の終わり』だったのです」
何か言いかけて開かれた口は、一言も発することなく閉ざされた。
彼もまた、自分の告白が『恋の終わり』になったことに気付いたのだろう。
「これからも……変わらず来てもいいだろうか」
「お断りします」
私の拒絶に大きなショックを受けたようだ。
……どのツラ下げて、私の前に現れるつもりなのか。
「あなたは私への恋心に気付いてから……何をしたのか。私が、私たちが気付いていないと思っていましたか?」
今度のショックは先ほどとは違うもの。
拒絶されただけでなく、自らがしでかしたことが私に気付かれていた驚きからだ。
「なぜ……」
ポツリと呟かれた言葉が彼の本音だろう。
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