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しおりを挟む「なぜ? それはタイミングがよすぎたからです」
正式に婚約による契約が締結された。
婚約期間は半年、最後のひと月は婚家で同居。
私が婚約破棄されたのはその同居の準備を始める直前。
「婚約者が真実の愛を教えた相手と出会ったのが不自然すぎたこと。改めて思い返しても、運命の出会いなどと言えない。それを問いただしたら泣きながら自白したわ。『父が王子殿下の不興を買い、一家は公開処刑をされることになった。地下牢に入れられて泣いていた私たちに件の王子がゲームを持ちかけてきた。『婚約者のいる公爵子息を誘惑して結婚しろ。それができたらお前らの処刑を取り消そう』。それに従うしか助かる道はなかった』ってね」
私の言葉に目の前の男は目を大きく見開き、驚愕の表情を見せた。
それが肯定なのか口にしなくても理解できた。
「それでも彼女の愛情は変わらなかった、と告白されたわ。私も婚約破棄に同意することにしたの。私たちの婚約は幼なじみの延長線上、私たちの婚約破棄のために無関係の一家が咎なき罪を被せられた。理由はわからないが王子に目をつけられ、彼の望みは私たちの婚約破棄。たとえ今回を乗り越えたとしても、彼女と家族が公開処刑され、新たな被害者が生み出される。私たちは領が隣同士の幼馴染み。表向きの関係が破綻しても、幼馴染みの関係は変わらないわ」
顔色を赤や青にコロコロと変える彼は、私たちに気付かれないと思っていたのだろうか。
家族の生命を盾に脅しているから、口を割らないと思っていたのだろうか。
それこそ人を人とも思っていない証拠だ。
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