愛のゆくえ【完結】

春の小径

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後日談&補足(3)

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・公爵夫妻(夫58、夫人56)
夫は無類の女好き。
公爵家のメイドとはいえ行儀見習いの貴族の令嬢に手を出し孕ませた。
婚約者もいたから慰謝料は二倍。
ほかに子供はいなかったため、生まれた子供を買っちゃった。
その慰謝料で首が回らず、人の良い《私》の両親にお金を借りて立て直した。
しかし、その借金は返済する目処が立たず。
「死んだら返済する必要がなくなるわよね」との理由から、二人を屋敷に招いた道中で盗賊に襲われたように殺させた。
さらに息子たちが結婚してから《私》の兄を殺せば侯爵家を乗っ取れると思っていた。
残念ながら、もしそうなったとしても親戚が当主となるだけだったと…………今も知らないだろう。
なぜ自分たちの悪事がばれたのかわかっていないが、夫人が淑女の嗜みとしてつけていた日記という名の犯罪記録があったから。
それはのちに罪の立証に大変役立った。
…………あまりにも愚かだ。
ちなみに尋問に『涙の雫』の実験台として額に一滴つけられては悶え苦しんだ。
その副作用か、神経が図太いからか、心臓に毛が生えているからなのかはわからないが、どちらも地下牢で生き続ける。

「ねえ、いつになったら出してくれるのよー!」
「……そういえば、一緒に入った奴らはどこいった?」

(何十年も前に死んだだろーが!)
(あとから入った俺らより長生きしそうだな)
(百歳は超えているだろ)
(……あの元気はどこからくるんだ?)




・王子(25)
《私》の兄を親友だと思い込んでいた残念な人。
兄妹二人きりの侯爵家に先触れもなくやってきては何日も宿泊する礼儀知らず。
《私》に告白されたときは『妹のように思っている』と答えたが、異性としてみるようになってはじめて逃した魚は大きかったことに気付いて策略を謀った。
王子らしく婚約者がいたが、事故死や病死で誰ひとりとして長続きせず。
四人目の婚約者が亡くなった時点で婚約者になれる令嬢はいなくなった。
市井の噂では王子の不興をかって殺されたと言われていたが事実である。
手を下す者を雇うために国庫のお金に手をだした。
(前金を受け取った実行犯やそのグループは、成功報酬を受け取ると同時に国をでた。のではなく、口封じに殺されている)

国庫から不正にお金を引き出していたことで男爵に疑われた。
冤罪で一家を牢に入れたものの、男爵の娘を使って邪魔な婚約者を陥れようとした。
婚約破棄騒動を聞いて、精神的に弱っているであろう《私》を手に入れる算段をつけた。
書類の内容を吟味せずにサインと押印をして書類を片付けていった。
出て行くときに、開いたままの窓から入った風で机の上の書類がとんでしまったことに気付かなかった。
さらに、脅しに使って引き出しに入れていた男爵一家の処刑命令書が引き出しの隙間から落ちていたことに気付かなかった。
その結果、散らかった書類を集めた文官が落ちていた命令書も一緒に持っていったことで悲劇が起こった。

フラれた上に罪が暴かれ、毎日処刑台の上で拷問を受け続けても死ねず。
ある日、それが兄妹が作った薬で回復していることを知る。
さらに婚約破棄した二人がヨリを戻して結婚したことや、子供も産まれて幸せに暮らしていることを知ると、自身を『悲劇の主人公』のように思うようになった。

「私の想い人は誰ひとり私を選んでくれない。なぜだ! なぜ私を選んでくれないのか。私の何が悪かったというのだ。私は誰よりも上だ。知恵も人気も権力も。……王子だったからか? 王子という立場が、すべてを上回る私があの幼馴染みより劣るというのか! だったら王子を辞めれば良かったというのか……」

(間違いなく、その自意識過剰な点だよ)



・涙の雫
偶然から生み出された回復薬。
傷口は塞がるが痛みと傷あとは残る。
なぜか、元公爵夫妻と元王子には副作用がでている。
老いず、死なずで夫妻はなかなか元気。
元王子の拷問も毎日続いている。

噂では男爵一家の涙と言われているが、副作用を考えるとそれも真実ではないかと言われている。
なお、きっかけとなった《私》と彼女の兄と夫は、シワひとつなく老いずに天寿をまっとうした。



(了)
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