オタクの俺が映画部を作ったら、美少女三人が入部してきました。

大空 宙

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謎の美少女

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―絶対!もう一度会おうね!約束だよ!-

「ああ、また夢か」
  
 いつも同じところで目が覚める。夢に出てくる少女はいったい誰なのだろうか。

 声や容姿は思い出せても、顔が全く思い出せない。

 考えるのがめんどくさくなった俺はベッドから出てカーテンを開いた。
 
 眩しい。今日は雲一つない青空で、何にもさえぎられることのない日光が容赦なく俺を照らしつける。

 俺はこうやって、毎朝日光を浴びて目を覚ますのが日課となっている。



「かずにい~!早くご飯食べないと遅れるよ!今日は入学式なんだから、遅刻はだめだよ!」

 そう呼び掛けてくるのは妹である一葉かずはだ。どうやら少し寝すぎてしまったらしい。俺は急いでリビングへ向かった。

 俺の両親は共働きで、父は仕事で海外を飛び回っているため、年に数回しか家に帰ってくることはない。

 母も仕事が忙しく家にいる時間がかなり短いため、家事は全て俺と一葉が行っている。

 今日はもともと俺が朝ごはんを作る日だったのだが、寝すぎてしまったため一葉が代わりに作ってくれたようだ。リビングへ入ると机の上にはすでに俺の分の朝ごはんが用意されていた。

「おはよ!朝ごはん机の上置いてるから!食べ終わったら食器水につけといて!それじゃ、私もう学校行くから!遅刻しちゃだめだよ!」
 
 こうやって文句ひとつも言わずに兄の尻拭いをしてくれる、こんなにかわいい妹がこの世にいるだろうか。

 微笑ましい気持ちになりながら机に座ると、一葉は元気に行ってきます!と言って玄関を飛び出していった。しかし、すぐにドアが少し開きドアの隙間からひょこっと一葉が顔をのぞかせた。

「かずにい、入学おめでと!」

 そう言い残して一葉は学校へ行った。

 やっぱり一葉は天使だ……いや、これはシスコンというやつではない。断じて。




 ここで少し、俺の紹介をしておこう。

 俺の名前は金城和樹きんじょうかずき。身長は平均的で、顔も多めに見て中の上くらいだ。

 中身は大の映画オタクで友達は一人しかいない。いわゆる陰キャってやつだ。

 そんな俺も、今日から晴れて高校一年生。といっても高校デビューをしようとかそんなことは全く考えてない。これまで通りひっそりと高校三年間を過ごそうと思っている。









 新しい制服を綺麗に着れているか、鏡の前で何度も確認して俺は家を出た。

 学校までの道をきちんと携帯で調べてゆっくり歩いていくと、学校に近づくにつれて同じ制服を着た生徒が多く見られるようになっていた。といっても長年ボッチ人生を歩んできた俺に他人に話しかけるなどという能力があるはずもなく、学校に到着するまでの道中何か起きるということはまったくなかった。
 
 

 学校に着き、入学式の会場である体育館へ向かっている最中、いきなり後ろから声をかけられた。振り返ると、そこにいたのは……………全く知らない、謎の美少女だった。
 
 次の瞬間、俺はその女の子に目を奪われた。

 白い肌にきらきらした大きい目、長いまつ毛に、ショートヘアがよく似合っている彼女はまるでお人形のようだった。

 女の子はその大きな目でこちらを見つめ、少し探るようにこう聞いてきた。

「和樹君、、、だよね?」

 俺の名前を知っている?ということは、どこかで会ったことがあるのか?

 でも、こんな子、一度見たら忘れるわけがない。やっぱり会ったことないよな。記憶にはないのだから彼女に会ったことはないと思う。

 それなら尚更、何で俺のことを知っている?

──約束だよ──

 脳裏に、夢に出てきた女の子が浮かぶ……まさか、な。

「そうだけど、君は?」

 俺の答えを聞くと女の子はやっぱり!と両手を合わせた。やはり彼女は俺のことを知っているらしい。

「私は竹森美海たけもりみう!」

 そう言って彼女は俺を追い越し、振り返った。

「これからよろしくね!!」

 満面の笑みで走り去っていく彼女を見て、俺がこれから彼女と関わることなんてあるのだろうかと思った。

 そして、何故か彼女の後姿から目が離せず、親友の健斗から声を掛けられるまで、俺はその場から動けなかった。












「なあ健斗。もしかしたら俺に一足先の春が来たかもしれない」
「今春が来ている時点でそれはもう遅れているよ」

 体育館の一角で俺とこんな会話をしているのは、俺の唯一の友達であり親友の田木健斗たきけんとだ。健斗はスポーツ万能で頭もいい。おまけにイケメンだ。

 そんな健斗になんで俺みたいなやつが?と思うかもしれない。しかしそれには理由がある。

 その理由とは、そう。中学の入学式で席が隣だったのだ。それだけのことだったが俺と健斗は馬が合った。

 そこから仲良くなり、きっかけはなんであれ、今では親友となっている。

 そんな健斗はこいつ何を言っているんだという目で俺を見ている。その目を無視して俺は会話を続けた。

「俺にもついにモテ期がきたのかもしれない」
「お前がモテだしたらこの世も終わりだな」

 あきれながらもこうやって返してくれる。健斗は優しいやつなのだ。そして健斗は気づいてほしいことに気づいてくれる。

 今回も俺の聞いてほしいアピールに気づいてくれた。

「それで、何かあったのか?」

 健斗の問いに俺はさっき起こった出来事を話した。

「へえー、美女がお前の名前をねえー」

 話を聞いていた健斗は最初、何を言っているんだと半信半疑な感じで聞いていたが、あることに気が付くと、真剣な表情で俺に耳打ちをしてきた。

「その美女ってもしかしてあの子かい?」

 そういう健斗の目線の先には、さっき声をかけてきたあの子がいた。しかし、俺の頭には疑問が浮かんだ。

(健斗は実際に見てないのに、何であの子のことが分かったんだ?)

「なんで分かったんだ?」

 すると健斗は何を言っているんだ?という表情をして顔を少し離し、こちらを向いた。

「いやだって、さっきからずっと熱い視線をお前に送ってたぞ?あれで気づかない方がおかしいって」

 (え、まったく気づかなかったんだけど。俺っておかしいのか?)
 
 健斗の言葉を聞き、言われた方向に視線を向ける。

 すると、こちらを見る彼女と目が合った。彼女は二コリと微笑み、こちらに手を振っていた。

 隣では健斗が「おいおい、まじだったよ」と頭を抱えていたので、俺はどや顔で「まあまあ」と健斗の肩を叩いてやった。








________________________



 彼がやっと私に気づいてくれたので、笑顔で手を振ると彼は少し恥ずかしそうに眼を逸らした。

 照れたらすぐ眼を逸らす……ほんと、から変わってない。

 後ろ姿だけで分かってしまった。少し自信のなさそうな背中、嬉しすぎて背中を見た瞬間に話しかけちゃった。

 でも、仕方ないよね。だってに会えたんだもん。

 心の底から、嬉しそうに微笑む彼女の言葉が聞こえたものは誰もいなかった。

「やっと会えたね。和樹君」
 
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