オタクの俺が映画部を作ったら、美少女三人が入部してきました。

大空 宙

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加藤亜衣の意図

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 俺たちは今、畳の上にちょこんと置いてあるちゃぶ台を囲んで座っている。前から使わしてもらっていたこの部屋は、正式に映画部の部室となった。

 囲んで座っているといっても、皆で何かをしているわけではない。

「ねえねえ和樹君~!あのね!昨日テレビで見た……」

 何故かぐいぐい来る竹森さんに俺は戸惑ったり、神田さんは読書、健斗と木下は勉強などといった各々の時間を過ごしている。

 今日が映画部の全員がそろう最初の日なのだが、ここに来てすぐに竹森さんに絡まれてしまっていた為、話し出すタイミングを完全に見失っていた。すると、他の三人はすぐに自分の世界に入ってしまい、今に至るというわけだ。

 しかし、ほかの三人が完全に自分の世界に入っていたのかと言われれば、そうではないと言える。仲良さげに話している和樹と美海を、チラチラと横目で見る希と楓。そして、希と楓のことを面白そうに眺める健斗。このように、それぞれが、それぞれを意識しあう時間が少しの間続いていたが、その時間が長く続くことはなかった。

ガラガラガラ

 部室の扉が開いた。自然と全員の視線が扉の方へ集まる。そこにいたのは、映画部の顧問である加藤先生だった。

「おうおう、やってるか~?お前ら!」

 そう言って中に入る先生を見て、俺は疑問に思う。

(先生はここへ何をしに来たんだ?)

 そう、先生には顧問になってもらったわけだが、それはあくまで名目上だけのことであって、実際の映画部の活動には一切関わるつもりはないと思っていたのだ。だから、初日から先生が部室を訪れてくるのは意外だった。

「何しに来たんですか?」

 木下はその美しい顔を思いきり歪めてそう言った。なんか、木下は加藤先生が来ることを本当に嫌がっているように見える。

(まさか、俺が言おうとしてたことを木下が言ってくれるとは!)

「いやー、私も初日から顔を出すのはどうかと思ったんだけど、何たって部長が金城だからな。いつまで経っても話し出すことが出来ず、何も進まないんじゃないかと思って、わざわざ私が助けに来てやったということだ」

 その言葉に木下は納得したようだ。なるほどと言って頷いている。

(先生失礼すぎるだろ!いや、当たってるけど!!確かにどうしようって困ってたけど……ていうか、木下の奴、納得してるんじゃねえーーーーー!!)

 叫びたい気持ちを抑えた俺を褒めてほしい。しかし、実際こうやって先生が来てくれたのはありがたかった。今日は、映画部としてどのような活動をしていくか話し合う為、皆に集まってもらったのだ。俺としても、どのような活動をしたら良いか悩んでいたので、そんな中、先生から助け舟を出してもらえるのは願ってもないことだった。

 先生は一枚の紙を出し、机の上に置いた。その紙には、「映画部、今年の目標」と書かれている。その紙を見て、俺以外の全員が驚きの声を上げる。

「えっ!この部活って活動するんですか!?」

 元々大きい目をさらに大きく開く竹森さん。

「映画を見るだけの部活だと思ってた」

 夢のようなことを言う神田さん。

「なっ!活動すんのかよ!おまっ、先言えよ!和樹!」

 そう言って、俺の肩を叩く健斗。

「加藤先生。やってくれましたね」

 そして何故かやられたという表情をしている木下。

(まじか、全員そんなこと思ってたのかよ)

 どうやら全員、映画部という名前で作っただけで、実際に活動することはないと思っていたらしい。まさか、活動することにこんなに驚かれるとは思ってもなかった。

 そんな俺たちを見て、こいつらまじか。という表情をした先生はそのまま話を続けた。

「部活動となったからには、何か活動をしてもらわなくてはならない。そこでだ。とりあえず今年の目標を決めておこうと思う。今年一年この目標に向かってみて、来年と再来年の目標は自分たちで決めたらいい。とりあえず、今年の目標は、」

 先生は紙に何かを書き始めた。スラスラと滑らかにペンが動く。そして、そこの書かれていたのは、、、

「文化祭の出し物として短編映画を出す?」

 俺がそう言うと、先生はこくりと頷いた。

「そうだ。君たちには、文化祭までに短編映画を製作してもらう。もちろん、ジャンルは君たちに任せるよ。撮影のためにどこかに行きたいというのであれば、できる限りは協力する。どうだ?ワクワクしてこないか?」

 短編映画を製作する。俺も撮る側になれる。先生の言葉を聞いた俺は、言いようのないワクワクを感じ、心を躍らせた。健斗と竹森さんは、なんか楽しそう!と乗り気になり、神田さんはまあいいかという表情をしている。

 そして木下は……ものすごい形相でまた先生を睨んでいた。

 こうして、映画部の今年の目標が決まった。これからのことを詳しく話すのはまた次の部活でということになり、今日はもう解散となったのだが、帰り際に先生が、そういえばと胸ポケットから二つの紙を取り出した。

「これ、近所の福引で当たったんだけど、いらないからやるよ」

 先生がくれた紙は、今大人気の映画。「迷探偵ジナン」の観戦チケットだった。

 俺たち五人はチケットを囲み座っている。どうやら、全員チケットが欲しいようだ。神田さんと木下が欲しがるのは意外だった。こういうのには全く興味がないと思っていたからだ。

 しかしチケットは二つしかない。試行錯誤の結果、公平にくじで決めることになった。

 くじを引く際、三人の美少女の目が俺を強くとらえていたことに気が付いていたのは、この場では健斗だけだった。


 

 

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