オタクの俺が映画部を作ったら、美少女三人が入部してきました。

大空 宙

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「はあ、映画見たかったな」

 俺は、ベッドから窓の外を眺めて呟いた。こんな日に風邪をひくなんて本当についてない。昨日、迷探偵ジナンの過去作を見て復習までしてきたのに……徹夜したのが裏目に出てしまった。

(でも、竹森さんと二人じゃどのみち集中して映画を見ることは出来なかっただろうな)

 外はもう、日が落ち始めている。時計の針は、午後六時半を指していた。時計の針を眺めながら、俺はのことを考える。

(もう映画は見終わってるよな……俺の代わりに木下を行かせたんだけど、大丈夫だろうか。木下は、俺と同じで性格がひねくれているからな。変に誤解されてなかったら良いが…。まあでも、竹森さんにはちゃんと明日、謝っておこう)

 階段を上ってくる足音が聞こえる。一葉が様子を見に来てくれたのだろう。今は熱も下がり、調子を取り戻してはいるものの、一葉は今日一日、付きっ切りで俺の看病をしてくれていた。

 ほんと、こんなに良い妹がいてくれて、俺は幸せ者だ。

「かずにい~、調子はどう??」

 天使のような笑顔で、一葉が部屋に入ってくる。すると、一葉が丁度部屋に入ったタイミングで家のインターフォンが鳴った。

「ん?誰だろ。ちょっと出てくるね!」

 一葉は急いで玄関の方へ向かってしまった。

(くそ!誰だ!俺の癒しの時間を邪魔する奴は!!)

「かずにい~、お客さんだよ~?」

 下から一葉の声が聞こえた。俺に客?いったい誰だろう。健斗が見舞いにでも来てくれたのだろうか。そう思って下へ降りると、、、

「なんで二人が……」
「急にごめんね和樹君。心配でついつい来ちゃったの!」
「私は別に……竹森さんに連れられてきただけだから……」

 そこには、片や、満面の笑みで立っている美少女と、片や、何故か照れているようにもじもじし、下を向いている美少女がいた。

 二人に聞きたいことは山ほどあったが、一葉が玄関で立ち話もなんだから上がった貰ったら?と言うので、とりあえず俺の部屋に上がってもらうことにした。

「お邪魔しま~す!」

 元気よく挨拶をして家にあがる竹森さんに対し、木下は全く動かず、上がることを躊躇っているようだった。

「どうした?木下も上がれよ」
「ええ……お邪魔します」

 今にも消え入りそうな声で挨拶をし、ゆっくりと前を歩く木下を見ながら、俺はあることを思い出した。

(そういえば俺、女子家に上げるの初めてなんじゃね?やばい……部屋汚くないよな。変な本とか置いてなかったよな?)

 そうこう考えているうちに、竹森さんは既に俺の部屋に侵入していた。

「わーー!ここが和樹君の部屋かーー、なんか緊張するなあーーー!」
「あまりじろじろ見るなよ」

 そう言ったものの、竹森さんは聞く様子はなく、部屋の中を容赦なく探索していた。

 すると、先にトイレに行っていた木下も俺の部屋へと入ってきた。

「意外と綺麗にしてるのね」
「意外とってなんだ。意外とって」
「そのままの意味よ。男の子の部屋はもっと卑猥なものが落ちてたりするのかと思っていたけど、どうやら偏見だったみたいね」

(こいつ、そんなこと思っていやがったのか!)

「お前、その偏見まじで良くないぞ??世の中の男への偏見を、もう一度改めなおして頂きたい……」
「ええ、考えておくわ」
「ねえー!これー、和樹君の昔の写真ー??」
 
 俺と木下の会話を遮るように竹森さんがそう言った。

 竹森さんが持っている写真を見ると、

(しまった!、飾ったままだったか!)

 あの写真はまずい!と思い、俺は竹森さんから写真を取り返すため、竹森さんに近づき手を伸ばした。

「あー!ちょっとストップ!それは見ないでくれ~!」

 しかし竹森さんは一向に返そうとしない。

「やだ~!和樹君の小さい頃気になるもん~!」
「他の見せるから!」
「やだ!これが良いの!」
「…………」

 そんなやり取りを何度も繰り返し、俺と竹森さんのは終わった。

「疲れた……和樹君、頑張り過ぎだよ」
「竹森さんが返してくれないからだよ」
「だって見たかったんだもん」

 ハンカチでうなじの汗を拭く竹森さんに少しドキッとしながら、俺は周りを見渡した。そこであることに気づく。

「あれ?木下は?」

 木下がいない。竹森さんも今気づいたのか、きょろきょろと周りを見渡している。俺は、一葉に何か知らないかと聞いてみた。

「木下?あの髪の長い美人なお姉さんのこと?」

 一葉が首を傾げてそう言う。

「そうそう、そのお姉さん、どこに行ったか知らないか?」
「あー、そのお姉さんなら、お邪魔しましたって言って帰っちゃったよ?」
「なっ!いつの間に!?」

 どうやら木下は、俺たちが知らない間に帰ってしまったらしい。何か急ぎのようでもあったのだろうか。

「かずにい、あのお姉さんに何かしちゃったの?」

 一葉がこんなことを言い出した。

「何もしてないけど、何か問題でもあるのか?」

 俺がそう言うと、一葉は口をムの形にしてよく分からないことを言った。

「かずにいは女心を分かってないなあ。なんじゃないの?」

 そして、「とりあえず、あのお姉さんにもちゃんとお礼言わなきゃだめだよ?」そう言って、一葉は自分の部屋に入っていった。

「楓、帰っちゃったの?」

 身支度を整えた竹森さんが降りてきた。今、楓って言ったか?と少し気にはなったが、気のせいかもしれないと思い、竹森さんに何か聞くというようなことはしなかった。

「じゃあ、私も帰るね!」

 竹森さんが帰ると言ったので、俺は玄関まで付いて行った。

「なんかごめんね。うるさくしちゃって」
「問題ないよ。風邪もほぼ治ってたし」

 少し申し訳なさそうに竹森さんが言うので、俺は問題ないということだけ伝えた。

「そっか!それなら良かった!」
「うん、お見舞いありがとう」
「うん!」

 少し竹森さんの表情が変わり、いつになくまじめな雰囲気を醸し出している。

「あのね……あの写真のことなんだけど……」
「写真?」

 写真って、どの写真のことだろうと思ったが、竹森さんの言葉が最後まで続くことはなかった。

「ううん!やっぱり何でもない!また明日学校でね!バイバイ!」

 そう言って竹森さんは玄関を飛び出して行ってしまった。

 竹森さんは何を言おうとしたんだろう。そんなことを考えながら、俺は先ほどまで竹森さんと取り合いをしていた写真を手に取る。

(俺の隣に写っているこの女の子……いったい誰なんだろう。時々夢に出てくる女の子もこんな感じの雰囲気だったんだよな…………)
















「お邪魔しました」

 そう言って私は玄関を出る。そんなに長居はしてないはずなのに、辺り一面もう真っ暗になっていた。

 数メートルおきに建てられた街灯の光を頼りに、私は歩き始める。いつもより少し冷たく感じる風邪を肌に感じながら、私は先ほど見た写真のことを思い出す。

 その写真を見た後、あの二人のやり取りを見ていた私は何となく居心地が悪くなり、あの部屋を飛び出してしまった。

 今日はとても楽しかったはずなのに、どうしても写真のことが頭から離れない。

「金城君の隣に、どうしてのかしら」

 その言葉は、吸い込まれるかのように暗闇の中へ消えていった。



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