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ぷるぷる。何が、どうなった?!
しおりを挟むポンッ
そんな軽快な音とともに、俺は投げ出されていた。
わわわ?!
突然の浮遊感に慌てるが、すぐに柔らかな何かに包まれる。
それは、人の手だった。
それを認識した途端、恐怖が全身を襲う。だって、俺はモンスターなのだから━━━━━
バタバタッ
人間の腕の中で精一杯暴れる。仮にも俺は、魔王軍に従事する立派なモンスターなのだ。人間は、敵!
「わっ?、わっ、わっ?!」
人間は暴れる俺に驚いた。その一瞬の隙をついて、ピョンッと飛び跳ね人間の腕の中から脱出することができた。地面に着地したかと思えば、ひょいっと今度は違う腕に掴まれる。
ま、まさか仲間がいたのか?!ひ、卑怯者!慌ててバタバタ暴れるが、今度の人間の腕は大きく易々と抜け出せない……
な、なんてことだ!
魔王軍四天王を目指す俺がこんな所で終わってなるものか!
「こらこら、元気なのはいいことだがまずは、ミルクを飲もうな。」
そんな言葉が降ってきて、俺は頭の中に?が浮かぶ。俺はモンスターだぞ?捕まったら最後、殺される運命だ。それなのになぜ悠長に言葉を発しているのだろうか?
俺をいつでも殺せるということなのか?
心の底から怒りが湧き出てくる。俺は偉大なる魔王様直属の配下のモンスターだぞ!……しかし、何故だ。いつも感じる力が感じられない。核に感じるのはほんの少しの魔力の塊。優秀な俺はそれに見合った魔力を有していたはずだ。それが感じられないとはおかしい。
何かが起こっている。まずはこの場から逃げ出さないと……ん?俺のスライムボディにツンツンと当たるものは何だ?
さっきから何度も何度も押し当てられており、攻撃ではないようだが……今の俺は、何故か視界が鮮明ではない。そのためこれが何か判別がつかない。何かしらの状態異常を起こしているようだ。
くそっ体も思うように動けない。卑怯な人間どもめ。俺に何をした?!
それにしてもなんだ、これは?!
むぐっ??体に押し当てられたものが今度は口に押し込まれてしまった!口いっぱいに大きなものが押し込まれる。お、俺を窒息させるつもりか?!
ふん!そんな攻撃が通じると思うか? スライムは鼻がないんだぞ。ひ弱な人間とは違うんだ!しかし、人間は諦めることなく俺の口に押し込んでくる。
くそっ
「ん? どうした、飲まないのか? ほら、ご飯だぞ。いっぱい飲んで、おっきくなれ。」
ん? ごはん? 何を言っているんだこの人間は?
押し込んでくるそれを押し返すべく、舌先でグイグイと押し返す。しかし舌の力が弱いのか上手く押し返せない。くそっ、ホントこれはなんなのだ?
口いっぱいに押し込まれるそれは、ほどよい弾力で、なんとなく甘い気がする。必死に押し返しているがこの人間は、本当にしつこい。殺すなら一思いに殺せと思うが、人間にはその気がないようだ。くそっ、舐め腐ってるな!馬鹿にしおって!
魔王様直属の配下の力を思い知るがよい。こんなもの、噛み切ってやる。
あむっ!
…………くっ。キ〇ーパンサーのようなモンスターなら一撃だったと思うが、俺はスライムだ。鋭い牙がなく、この口の中のものを噛み切ることが出来なかった。それを認めたくなくて口を動かす。
あむあむっ
「…………っ」
ん? 何か聞こえたような……? 気のせいか?
あむあむっ!グイグイッ
「……んっ、…………っ!」
噛むだけではなく、舌も使ってみると何か先端から出てきた。なんだ……これは? 甘い……?
そういえば、先程「ごはん」といったか? もしかして、この人間は俺に飯を食べさせようとしている?
人間が、モンスターの俺に?
依然クリアにならない視界の中では情報が少ない。一旦動きを止めて考え込む。俺は、脳筋なモンスターとは違うんだ。いいだろう……お前の企みにのってやる。
俺は、魔王様直属の配下の男だ。覚悟を決めた。必ず、お前たちを倒し、魔王様の元へ馳せ参じよう!
よし。
…………ちゅう。
どぷっ
「?!!」
口いっぱいに広がる甘み。
うまぁあああ~~~~~~~~~い!これまで味わったことがない甘味に衝撃を受ける。
魔王様直属の配下。いずれ四天王になるモンスターは、人間から与えられるご飯に夢中になった。
ちゅうちゅうちゅうちゅう……!
「わっ、良かったぁ。なかなか飲まなかったから心配したけど、母乳よく飲んでるね。……あれ? クラウドどうしたの? 顔真っ赤だよ。」
「い、いや……!な、なんでもない////」
ちゅうちゅうちゅう!!!!
ウマァアアアア~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!
俺は、夢中になった。
【魔王様直属の忠実なる配下】
種族 ダークスライム
レベル 99
備考
魔王様の直属の配下。スライムながらその才能は素晴らしく、種族的な能力により敵を混乱させたり、陥れることに長けている。
現在はというと、
種族 ベビィダークスライム
レベル 1
備考
某国民的RPGの世界から転生してきたモンスター。当然この世界に魔王様はいない。しかも、その事に彼は気がついていない。
【ダークスライムの生態】
闇に堕ちた悪魔のスライム。コウモリのような羽と尻尾がある。いたずらが得意で、マヌ〇サ(幻惑)やメダパ○(混乱)を使う。
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