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ぷるぷる。母は、勇者?
しおりを挟む2回目のレベルアップを遂げた数日後、俺はカーテンに潜り込み、考えに耽っている。
……勇者。それは魔王様を倒す人間。確か、人間の男だと聞いた。
くそっ、最初は偉大なる魔王様に楯突く愚か者めと思っていたものだが、……それが、俺の母かもしれないだと……
そんな馬鹿らしいことあるわけない……!
しかも魔王様を倒すために旅をしている勇者が、こんなところにいる訳がなかろう!
理性的な自分がもっともらしいこと言うが、……それならあの強さはなんなのだ?
遠目に見た勇者と思わしき一行は、全然母と似つかない。……それに、勇者とはひとりとは限らないのだ。以前、魔王様に倒された人間も勇者と呼ばれていた。
……やはり、母は……?
カーテンの隙間から、剣の手入れをしている母を見る。鼻歌を歌いながら、ご機嫌そうにし、磨き終えると上に掲げ満足そうにしていた。
あれでどのくらいのモンスターを倒してきたのだろうか?
…………やっぱり、母が勇者かどうか確かめる必要があるな。魔王様に嘆願するためにも懸念材料はなくしておきたい。
カーテンの中へ戻り、どうしたものかと考える。どうすれば、母の正体がさぐれるのだ?
……そもそも何をもって勇者だと分かる?
ステータスに書いてあると聞いたことがあるが、俺は鑑定を使えない。それ以外の判断材料は…… ……わからん。
う~ん。
あっ!
そういえば、部下が言っておったな。
勇者は、多彩な特技や呪文を使いこなすと聞いた……確か、よく聞くのは、ギガスラッシ〇……ラ〇デイン……だったか。強力な攻撃で数々のモンスターたちが犠牲になったんだと言っていた。
実際に見たことはないが、勇者は使う時に呪文を唱えるはずだ。母が勇者かどうか……それは、使う場面を作り出せばいい……
しかし、一体、どうすれば……?
そうして俺は、父と母にお願いしてダンジョンに来ている。いつも行っていた森ではなく、正真正銘ダンジョン。……ここでも俺が知っているモンスターは出てこない。なんなのだ!ゴーレムとはそのような姿ではないぞ!
もっとレンガみたいなゴーレムを出さんか!あと、虫系のモンスターはそんなフォルムをしておらん!
怒りに任せて、攻撃を繰り返し、気が付けばモンスターは全て地に伏していた。
パチパチパチ!
背後から父と母の拍手をもらい、すごいすごいと喜ばれる。レベル50になった俺は、元々魔王様の配下としての経験があるためこんなの問題はないはずなのだ。
それなのに、……この小さな体。まだ赤ちゃんの域を離れないために、戦闘中の距離感や攻撃の範囲が小さく戸惑うことが多い。
所々擦り傷を負ってしまい、すぐさま父からやくそう効果がある瓶を振りかけられる。
くっ。これでは本末転倒でないか。俺は、母が戦う姿を見たいのに、俺が戦ってどうする!?
なに?……レベルが上がったために力を使いこなすための戦闘?!
っ!
それならば、俺がふたりから離れれば……
そうと決まれば……くくくっ。あーはっはっはっ!俺って、天才!
父と母が少し離れたタイミングを狙い、姿を消すことに成功した。めくらましとしてマヌー〇を使うことで容易に離れることができ、思わず高笑いをしてしまうところだった。
離れた場所からふたりを覗くと、必死に俺のことを探していた。
……父……母。焦ったように物陰とか探すふたりに心が締め付けられる。……あんなに、……汗だくになって……ダンジョンだからモンスターが出現するも一瞬のうちに倒され、塵と変わる。
……ん?
魔王様直属の配下だったころ倒されたモンスターは、ゴールドに形を変えていた。しかし、クロノスとして産まれてからは、モンスターは消えることなくその場に留まり、焼かない限り消えることはなかった。
……モンスターが留まることなくあとカタチなく消え去っていく。ちなみにゴールドも出ない。ダンジョンの中だからか?
母が戦う姿を見たかったのだが、話に聞いていた特技や呪文を見ることなく瞬殺……
全て剣技で倒されていく。……そういえば、母は呪文を使っている姿を見たことがない。つまり、母は、……勇者ではない?
呪文を使えない勇者なんて聞いた事ないから、母は勇者ではない!
そのことがわかり、俺は、
『ママぁ!パパぁ!』
隠れていた物陰から飛び出し、駆け出していた。
「クロノス!」
俺の姿を捉え、力強く抱き締められる。
『ままぁ~~~~~~~~~!』
大好きな母が、勇者の可能性が低いことを知った俺は、安堵感から涙をポロポロ流しながら自ら擦り寄っていく。
「ほ、本当によ、良かった。し、心配したんだぞ……も、もう母の傍から離れるな。……ほんとうに……良かった。クロノス……本当に……」
かなり心配させたらしく、普段泣くことはない母の目尻が涙で濡れていた。
合流してからの俺は、甘えたさんへと変わり、母の肩に乗って首筋に抱きつく。
にっこにこ。
「ふふっ、クロちゃん嬉しそう。」
父が甘えたさんの俺の頬を撫で、微笑む。そんなたわいない触れ合いも嬉しくて、父の指に尻尾を絡ませる。
メタルスライムだというのに、人間の味方になり、モンスターを討伐していく父。最初こそ、理解できなかったが……うん。俺も……人間じゃない……母だからこそ、そばにいるんだ。
大好きな、父と母のそばに!
まだ完全に勇者じゃないと決まったわけじゃない。もし、勇者だとしたら、その時は、俺が説得する。俺にデレデレなふたりなら、絶対に言うことを聞いてくれるはず!
うん!
父と母は、俺の父と母なんだ!勇者なんて、危険なこと、絶対にさせない。
エイエイオーー!
母の方の上、拳を突き上げる俺。
本日のレベルアップ 5
最下層まで父と母が、無双。クロノスは、母の肩でにっこにこ。
時々、アヌ〇サやくちをふさぐを使ったりしながら、アシストをして技の熟練度をあげた。
【クロノス】
魔王様直属の配下。今生の父と母が大好き。ツンツンデレだったけど、ほぼデレのみへと変わる。勇者の可能性は低いと判断するも勇者だった場合、泣き落としで活動させない予定。邪魔する気満々。
【スラ】
メタルスライム。人間の姿にもなれ、外に行く時はほぼ人間。子供たちに甘いが、特にクロノスにデレ甘。兄弟が旅に出ててひとりっ子状態なのが可哀想と思っていたら、こんな感じに。目の中に入れても痛くないほどの可愛がりよう。
【クラウド】
人間。息子に勇者疑惑を持たれるが、もちろん勇者ではない。魔王の存在なんて知らず、自分の夫が魔王なのも知らない。剣技や身体能力向上は使うが呪文や魔法系統はからっきし。2回目のレベルアップの時の出来事が、より一層親バカにさせた。可愛い子に旅をさせろ? 何を馬鹿なことを言っている。そんなことする訳なかろうが!的な感じになるはず。
【勇者】
父親も勇者で、ついぞ帰ってこなかった。母親に連れられ、王様から直々に魔王討伐を命令される。本人も正義感と使命感に満ち溢れ、勇者として旅立つ。レベルがあがると、強力な技や呪文、また回復呪文も使えるようになる万能タイプ。
しかし、彼も某国民的RPGゲームの中(異世界)でしか存在しない。
【悪いことについて】
現状全然悪いことが出来ていない。ほぼ、デレになっているために、父と母についてなかなか。現在どうしたものかと悩み中。が、基本的にダークスライムはいたずら大好きなモンスターのために、無意識で追い詰めるハプニングを起こすはず。
犠牲者は主に母。
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