ぷるぷる。俺は、悪いスライムだ!

そば太郎

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ぷるぷる。遊ぼう!

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俺は今、ひとりだ。

……レベルがあがったからか、庭までなら自由に出ても大丈夫になった。俺の家はすんごく大きいんだぞ!

部屋数だけでもたくさんあって、庭も庭園がふたつもあるらしい。

今俺は、遊び場になっている庭園に来ている。遊具がいっぱいあって、ブランコやジャングルジム、砂場とかあるんだ。

ひとりじゃ危ないからって砂場で遊んでてねって、小さなスコップや乗り物?の形をしたおもちゃや人形を渡された。

…………俺は、子供じゃない!
俺は、魔王様直属の配下なのだぞ!レベル99に見合った莫大な魔力、そして頭脳で人間たちから恐れられた存在なのだ!

…………人形を持ち上げて、遠くに投げるも目の前にボスンと落ちた。

お、俺は……魔王軍……四天王になる……男なのにぃ……



沈む心を落ち着かせるために、スコップを手に持った。


…………はっ?!
そうして、我に返る。気がついたら、砂場は魔王城が築かれていた。

こ、これを勇者に見られると、や、ヤバい!侵入経路がバレてしまう!

なんとかしようとすると、ジャリ……と音がした。……だ、誰か、……い、いる。
この気配…………

「ほお、スゴいなクロノス。……立派なお城だ。これ、ひとりで作ったのか?」

お、終わった……
やはり母だった。

メタルスライムの父ならば、泣き落として黙っててくれそうだけど、勇者かもしれない母には、み、見られたくなかった……

ど、どうしよう……?!
本当に勇者でこの城の侵入経路を見つけ、魔王城に侵入してしまったら……!

大好きな母。

尊敬する魔王様。

…………前までの俺なら考えることもなかった。

だが、……俺は知ってしまった。家族の温もりを……愛されるという心地良さを……

何も言わない俺に訝しげにすると、しゃがみこみ視線を合わせてくる。

「ど、どうしたんだ? な、なんで泣いているんだ?」
何を言っているんだ?
母の大きな手が頬に滑り、目の前に差し出される。その手は、水で濡れていた……

どうやら、俺は無意識に泣いていたらしい。

涙をゴシゴシと手で拭うと、母が慌ててハンカチで拭いてくれた。

抱っこされ、なんで泣いてたか聞かれるが、本当のことを言えるはずもない。

勇者かもしれない母には、……特に。

ギュッと母の胸に顔を埋める。ふわりと包まれる柔らかな感触。母の温もり……大好きな母の匂い。

大きな手で背中を撫でられ、
「ひとりにさせて、ゴメンな。寂しかったか?」
見当違いなことを言われるが、今ばかりは勘違いに身を任せ、小さく頷いた。

……母。

母に抱きしめられていると、安心する。

しばらくそうしていると、急に抱き寄せていた俺を持ち上げ、
「クロノス!遊ぶぞ!」
太陽の下、金髪をキラキラと輝かせながら、母は眩しい笑顔でそう言った。

……へ?


「ははははははっ、楽しいかクロノス?」
ビュンビュン風を切りながら、体が振られる。自分で飛ぶ感覚ではなく、流れるように変わる景色。

母の体に抱きつきながら、俺はブランコに乗っていた。最初はゆっくりとした動きが、徐々に早くなり今では高速になっている。どんなことをすれば、ブランコでこの速度を出せるのか知的モンスターである俺ですら難しい。

ブランコの次は、ジャングルジム。俺は飛ぶことが出来るから意味なんてないのに……

なぬ?!
飛ぶの禁止だと?!俺は、ダークスライムだぞ!羽があるのに、なぜ、飛ばない?!

……ん?
その方が絶対に楽しいからだと?

…………ふん。母が、そういうのなら……こ、今回だけだぞ?

よじよじ
い、意外と難しいな……
よじよじ

手を伸ばして……ふんぬっ!腕だけで引き寄せるのは、じゅ、重力が……
うんしょ、うんしょ……

母の声援を受けながら、頑張って登っていく。ま、まだか……?
思ったより高いジャングルジムに苦戦しつつ、ようやく頂上につくことができた。

「よく、やったな。クロノス!」
ふん、こんなの出来て当たり前だ!俺は、魔王様直属の配……いや、……俺は母の、……む、息子だから……な。

母の膝の上でみた景色は、いつもの景色よりずっとずっとキレイにみえた。



ふ、ふん。今度は、何をするのだ?

次の遊びが何か、期待しながら母の顔を見上げる。

わくわくする気持ちが抑えきれない。

「ふっふっふっ、……今度は、探検だ!」
そういう母の顔は、ちょっと悪そうだった。

探検とは何をするのだろう? 家の中? 確かに……この家はとても大きい。いつも利用する部屋しか俺は知らない。でも、母は生まれ育った家なのだろう?

今更……探検なんて意味があるのか?

なに?
父が空間を歪めて部屋を増築している?

何かに付けて探ろうとするのを、止めてくるから怪しんでいるらしい。異次元……まさか、父が空間を弄れるとは思わなかった。魔王様は、空間を飛ぶことは出来ても作り出すことは出来なかったぞ……

聞いたことがないその力……気になる!

俺は、母と一緒に探検することにした!

玄関から中に入り、2階へと登る。この家は、3階建てで母屋と離れがあって、今回探索するのは離れのほうだ。

2階から行くことが出来るそう。初めて入る離れ。掃除は、かかさず行っているのか、キレイなものだ。つか、誰が掃除しているんだ?

こんなに広い空間、父と母だけでは困難だ。え? 母も知らないの?!

……はは。ジト目になると、あははって笑っている。本当に母は、大雑把だと思う。まさに脳筋というべきか。父の怪しい行動とか全然気が付かなくて、いいようにされているのはまさにその性格からだろう。

さて離れに来たし、中に入ろうとすると、何かに阻まれる感覚がした。柔らかな壁。その先には廊下が続いているというのに……これは……父の力?

「ははっ、分かりやすいこった。でもな……こんなもの……フンッ!」 
いつの間にか握っていた剣で一閃すると、透明な壁がぐにぐにと形を変え、渦巻きになって消滅した。

パチパチパチ!
『母、すごい!……!』
普段は、優しい母だけど、戦闘になるとキリッとなってかっこよくなる姿に興奮する!だって、だって……!魔王様直属の配下だったとき、剣を持つモンスターもいたけど、母のような剣技もなかったし、なによりも速さが全然違う!

アイツは、振り回すばかりだったからな。

父の空間を消滅させ、なぜか誇らしそうにしている母。

離れの廊下を歩きながら、
「……ここは、客間として使っていてな。あまり俺も入ったことがなかったが……結構、綺麗だな。掃除していたのだろう。

今は、スラが使っているみたいだな。さてと、……何を企んでいる?」
そう話す母の顔はどこか楽しそうだ。

一際、父の力が込められている部屋があった。

それは母もわかったようでノブを回す指に力が入る。予想に反して、ガチャと音がなり、扉が開く。

最初に母が入り、次に俺が入る。昼間だというのになぜか暗闇で、カチッとした音とともに光が灯され、視界が広がった。

壁一面に並べられている棚。ひとつひとつ小さな箱が入っており、何か陳列されているようだった。

なになに……

『ピンクローター』
『アナルプラグ』
『凸凹ディルド』
『ニップルリング』

…………?
使用用途が分からないものばかりが並んでいて、首を傾げるばかりだ。全然、分からない……

手に取って観察してみるが、知的モンスターを代表する俺が分からないとか、本当になんなのだ?

玉が連結されており、徐々に大きなものになっているこの道具は……?

『アナルビーズ』

アナル……つまり、排泄口のこと、か?
……?

よく分からない。このビーズが、排泄口にどう繋がる? じっと凝視していると、突然母から奪い取られてしまった。

母にしては乱暴なやり方。そのことにびっくりして見上げると、なんとも形容しがたい表情をしていた。

顔を真っ赤にして怒っているかと思ったが、目尻が赤い……?

それに、口をわなわな震わせ、何かを言おうとしては、口を閉じ、また何かを言おうとしてついぞ、断念していた。

まさか、このよく分からない道具を母は知っているのか? 初めて入ったであろうこの部屋にある父の大切な道具。

なぜ、大切か分かるかだって?

そりゃ、分かるだろ。人の出入りを制限し、またキレイに整頓し、ホコリひとつないのだ。定期的に手入れをしている痕跡が残っているのだ。

しかし、本当にいっぱいあるものだ。壁一面に道具が並べられており、関心するばかりだ。

うんうんと頷いていると、突然母に抱き上げられ、部屋から連れ出されてしまった。

なぜゆえに?

初めて見る道具に知的好奇心が刺激され、じっくりとその性能を確かめようと思ったのに……

母、俺は先程の部屋に戻りたいぞ。ペシペシ腕を叩き、部屋を指差すがあれはダメだとかまだ早いとか言われ、離れから連れ出されてしまった……!

ペシペシ抗議をしたが、顔を真っ赤にした母はダメだの一点張りだった。

ぷくぅ!




午後、何も知らない父は、ゴゴゴと怒りをしよった母につれられ、しばらく姿を見せなかった。悲鳴が聞こえた気がしたけど、気のせい……と、思うことにする。

……なぬ?!

勇者が怖いだと?!
ち、違うぞ!まだ母が勇者と決まったわけじゃないし、そもそも母は、勇者なんかじゃない!

……父と母が消えた方向を1回みて、誰もいないことを確認。


ちょっとちこう寄れ。

そうだ。
内緒だがな……

母は、怒ったら怖いんだぞ。
悪いことをしたら、大変なんだ。

俺は、ダークスライム。いたずら大好きモンスター。その性質は変えられない……

ど、どうしよう……本能と母のお仕置……ぶるぶる。

俺は、魔王様直属の配下!

母の怒りが怖くて、魔王様の配下をやっておれるかぁああああああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!

「ぎゃいやぁあああ~~~~!ゆ、許してぇええええ!く、クラウドだって、悦んでたじゃん?!うぎゃあああああ~~~~~!いんやぁあああああ━━━━━━━━━━━━!!」



【クロノス】
魔王様直属の配下だったが、徐々に父と母の息子としての認識が強くなる。だけど、ダークスライムとしての本能はいたずら大好き。本能には逆らえない。この度、未知なる道具を知ってしまい、知的好奇心を刺激される。が、母によりまだ早いと遠ざけられた。

父の悲鳴にビビる。

【スラ】
ちょっと外出中に、宝物を出納していた部屋に入られ、見つけられてしまった。結構頑丈な結界を貼っていたのに、突破され、強固な結界を作り出すことを誓う。ちなみに、あのアダルトグッズの数々は泣き落としで処分は免れた……その代償は、大きかった。しくしくしくしく……

シークレットルームはまだある。それを見つけられなくて本当に良かった!

【クラウド】
息子と親子として健全に遊んでいた。次の遊びは何かと言われ、脳裏に浮かぶあの障壁。以前は突破できなかったが、息子にいい所を見せたくて頑張った結果無事に破る。結構あの一閃は、ヤバい。その結果、息子にあんな卑猥な道具を見させてしまい、動揺。しかも、自分が使われたものばかりのグッズで、赤面。あんなところに隠し持っていたとは……!ぷりぷり。

【スラの秘密空間】
①アダルトグッズの保管
②クラウドのあられもない姿のイラストの数々
(腐女子のギルド嬢が描いたイラスト)






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