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どの滝ですか?
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電話が鳴り、男が出る
男「はい、もしもし。お天気専門チャンネル『ソラモヨウ』です」
女「あ、もしもし」
男「はい、こちら『ソラモヨウ』ですが」
女「あ、あのー。先ほどそちらのチャンネルを見てまして」
男「あ、はい。ありがとうございます」
女「で、ですね。今日の天気なんですけど、午後から雨が降るとかで…」
男「はい、そうなんですよ」
女「…で、その時キャスターさんが〝滝のような雨〟が降るって言ってたんですけど…」
男「はい。大雨のようですね」
女「どの滝ですか?」
男「えっ?」
女「〝滝のような雨〟の滝って、どの滝ですか?」
男「どの滝?いや、それは…」
女「いえ、ほら滝も色々あるじゃないです」
男「確かに色々ありますけど、どの滝って言われましても…」
女「ナイアガラですか、華厳ですか、イグアスですか、那智ですか」
男「詳しいですね」
女「そんなことはいいんです。どこの滝か知りたいだけなんです」
男「そう言われましても、〝滝のような〟って例えでして、どこって言われましても…」
女「ないんですか、滝」
男「いや滝はありますけど」
女「じゃあどこですか?」
男「いや、だから」
女「私『ソラモヨウ』毎日見てるんです。信頼してるんです。知らないはずなんてない!」
男「わ、分かりました。答えます」
女「ホントですか!」
男「はい」
女「どこですか」
男「それはぁ…」
女「それは?」
男「それはぁ…」
女「それは?」
男「…そ、それはぁ…」
女「それは?」
男「バ…バ…バリューマの滝です!」
女「バリューマの滝?」
男「はい、バリューマの滝です」
女「ってあの、イタリアの?」
男「え、イタリア?」
女「はい、バリューマの滝ってイタリアのですよね」
男「え、は…はい、イタリアのバリューマの滝です」
女「なんだ、そうだったんですね。ありがとうございました!」
男「はい、いえ、どうも」
電話が切れる。
男は受話器を見つめる
男「あんのか、バリューマの滝」
男「はい、もしもし。お天気専門チャンネル『ソラモヨウ』です」
女「あ、もしもし」
男「はい、こちら『ソラモヨウ』ですが」
女「あ、あのー。先ほどそちらのチャンネルを見てまして」
男「あ、はい。ありがとうございます」
女「で、ですね。今日の天気なんですけど、午後から雨が降るとかで…」
男「はい、そうなんですよ」
女「…で、その時キャスターさんが〝滝のような雨〟が降るって言ってたんですけど…」
男「はい。大雨のようですね」
女「どの滝ですか?」
男「えっ?」
女「〝滝のような雨〟の滝って、どの滝ですか?」
男「どの滝?いや、それは…」
女「いえ、ほら滝も色々あるじゃないです」
男「確かに色々ありますけど、どの滝って言われましても…」
女「ナイアガラですか、華厳ですか、イグアスですか、那智ですか」
男「詳しいですね」
女「そんなことはいいんです。どこの滝か知りたいだけなんです」
男「そう言われましても、〝滝のような〟って例えでして、どこって言われましても…」
女「ないんですか、滝」
男「いや滝はありますけど」
女「じゃあどこですか?」
男「いや、だから」
女「私『ソラモヨウ』毎日見てるんです。信頼してるんです。知らないはずなんてない!」
男「わ、分かりました。答えます」
女「ホントですか!」
男「はい」
女「どこですか」
男「それはぁ…」
女「それは?」
男「それはぁ…」
女「それは?」
男「…そ、それはぁ…」
女「それは?」
男「バ…バ…バリューマの滝です!」
女「バリューマの滝?」
男「はい、バリューマの滝です」
女「ってあの、イタリアの?」
男「え、イタリア?」
女「はい、バリューマの滝ってイタリアのですよね」
男「え、は…はい、イタリアのバリューマの滝です」
女「なんだ、そうだったんですね。ありがとうございました!」
男「はい、いえ、どうも」
電話が切れる。
男は受話器を見つめる
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