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宇宙人と共同生活
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朝六時に起きなくたって、本当は学校に余裕で間に合う。けど、髪の毛の爆発を悪戦苦闘、どうにか収まりがいいようにしようとするには、時間はいくらあっても足りない。
「うう……」
北斗兄も昴も、お父さんもお母さんもまっすぐな髪の毛で、寝ぐせすらつかないサラサラだというのに、どうして私だけ。
お母さんのおばあちゃん? が外国の人だから、そこからのかくせーいでん? とかいうやつらしいけど、よくわからなかった。
家族の中でひとりだけ、そばかすが浮いて茶色いくるくるパーマの私は、「外国の女の子みたいね」と、有名なミュージカルに出てくる女の子の名前を出されることもある。
それはまだ全然マシな方で、颯太を筆頭にやんちゃで意地悪な男子集団は、私のこと「お前だけ絶対血がつながってないだろ」とからかってくる。
そのたびに自分でも友達も締めているんだけど、今のところ効果はない。
鏡の前でストレートアイロン(去年の誕生日に買ってもらった)とスタイリング剤を持って、ああでもないこうでもないしていると、背後を通りかかる、キラキラの金髪。
「……おはよう、オウジ」
そう。プリンス・オウジ(仮名)くんは、なんと我が天ノ川家に居候することになったのでした。
この辺は話すと長くなるんだけど、最初は天文台の所長さんの家に行く予定だった、らしいんだよね。
彼自身も納得して、少ない荷物は全部その人のおうちに運んであったらしいんだけど、なぜか小学校に行ってから、「いやだ」と。お世話係に自ら任命した私を指して、「君の家に行く」と。
うちの都合はまるっと無視してついてこようとするもんだから、一度は天文台に戻った父、それから所長さんまで、学校に呼び出された。
ともかく、オウジは悪い方の王子様らしく、わがままだった。
「さすがに天ノ川くんのところは、七星ちゃんっていう君と同じくらいの女の子がいる家だからねぇ」
と、所長さん(おじいさん寄りのおじさんで、お子さんはもう大きくなって、おうちは奥さんとふたりきり)がやんわりと苦言を呈しても、頑として譲らない。
最終的には昴が、「宇宙人と一緒に住めんの!? マジ!? やったぁ!!」と大喜びし、中学校から駆けつけた北斗兄も、「お、俺も一緒に住みたい」と懇願したため、二対一で負けた。
こういうとき、異性の兄弟しかいないのは不公平だと思う。お姉ちゃんがいたら、私の味方をしてくれたはず。
だって、初対面の名前も知らない女の子の髪にいきなり触ってきたんだよ?
憎たらしい髪の毛だからって、いらないわけじゃない。その日は何度も何度も、髪を洗った。
結局、お父さんも天文台職員だからってことで、オーケーが出てしまった。一応、私の部屋に鍵を取りつけたり客間を準備したりで、二、三日は所長さんのところに行ってもらった。渋々だったけど。
不本意ながら共同生活が始まって一週間経つけれど、いまだに金髪は見慣れない。
それに。
「おはよう、ナナセ。今日もいつもどおりのくるくるだな。決してまっすぐにはならないぞ」
なんて、私のコンプレックスをひどく抉ってくる。
サラサラブロンドヘアがどんだけえらいってんだ!
と、颯太相手ならばこぶしを握って威嚇することもできるが、相手は異星人。下手に対抗して、怒り狂ったら何をどう使って攻撃してくるか、わからない。現在の地球人には明らかにオーバーテクノロジーな技術力があるみたいだし。
あの首輪からビームが出ても、別に驚きはしない。
私は無言で、オウジの言葉をスルーする。というか、かまっていられない。はやく髪の毛を整えないと、もうすぐ。
「七星ー! はやく朝ご飯食べてちょうだい!」
「はーい! 今行くー!」
タイムリミットだった。私は渋々アイロンを置いて、鏡で前髪だけちょちょいといじる。あんまり変わらないとでも思っているような目をしたオウジが、鏡の中に映っていた。
居候、しかももちろん、お金は持っていないオウジは、もっと謙虚にというか、居心地悪そうにしていてもいいんじゃないかと思うのだけど、彼はマイペースそのものである。
「おかわり」
とにかくまぁ、よく食べる。中学二年生の北斗兄よりも食べるものだから、お母さんが慌ててお米をもう一度炊き始める、なんてこともあった。オウジの食欲は非常に旺盛で、見ていると、こっちまでお腹が空く。私だけじゃなくて、食が細いお兄ちゃんの箸も、いつもより進んでいる気がする。
歓迎の意味で、うちに来た初日にすき焼きをやったらはまっちゃって、「何食べたい?」と聞かれると、「すき焼き」としか返ってこなくなったのは、困りものだった。
「ごちそうさま」
オウジが二杯の丼飯をお上品に食べ終わったので、じっと私はその後の行動を見守る。
ご飯のあとは、自分の使った食器を流しに下げるのが天ノ川家のルールで、それはもちろん、居候のオウジにも適用される。それは初日に伝えていたし、彼も素直にうなづいた。
育ちのよさそうな王子様だけど、意外と一般家庭の出身なのかもしれない。「そんなことできるか!」と言わなかったことに、安心した。
翻訳機やら子ども専用の宇宙船やらがある一般家庭ってなんだろうとは思ったけどね! あ、でも自転車みたいな感覚なのかな? それなら一人一台あっても、おかしくはないか。
両手でお皿を持つオウジの手は、とても危なっかしかった。思わずお母さんが、「オウジくんは大丈夫よ?」と口出しするほど。けれどオウジも頑固なものだから、
「世話になっているのだから、このくらいはする」
と言う。
そして今日も、どんがらがっしゃーん! と、シンクに落とした。初日は使った食器を全部割ってしまったが、以降、お皿もお茶碗もコップも、割れない素材のものに買い換えてオウジ専用にしたため、落としても大丈夫。
肩を落としたオウジに、私は声をかける。
「ちょっと、大丈夫?」
美形ゆえにおとなびた彼が、弟と同じくらいに見えて、ほんの少しだけ優しくなる。小さく首を縦に振ったオウジに、情け容赦ないのはその弟、昴だ。
「オウジって、ドジだよなあ。自分ちでも手伝いとかしたことないの?」
手厳しいことを言う弟を、お母さんが「こらっ、昴!」とたしなめるが、「ごちそうさまーっ」と食器を流しに引っ込めて、そのまま登校の支度に取りかかるのだった。
「まったく……ごめんなさいね、うちの子が」
「いや。スバルの言うことももっともだ」
とにかくオウジは、お手伝い全般、なにもできなかった。
食器を洗えば割る、洗濯は白かったシャツをピンクに染め上げる、掃除はほこりが取り切れていない、などなど。いったい自分の家ではなにをしていたの? と呆れていた私にした、彼の言い訳が以下。
「S77では、お手伝いアンドロイドが全部やってくれたんだ。家事手伝いだけじゃないぞ、勉強だって教えてくれるんだ」
とか。
どうやらS77の子どもたちは、ずいぶん甘やかされているらしい。うちじゃやらないとお母さんが怒るというより、溜息をついて悲しそうな顔をする。我が家の太陽みたいな存在だから、落ち込んでいるのを見るといたたまれなくなって、お風呂掃除もはかどるというものだ。
「ふーん。なんでこっちに連れてこなかったの」
「ちょっと具合が悪くて、調整が必要だったんだ。お目付役も兼ねているからこそ、宇宙船で遠くまで出かけられたんだけどね」
S77でも、さすがに子どもをひとりで遠い宇宙に放り出すことはしない。
あれ、でも待って。
「お世話の目をかいくぐって出てきたって……もしかして、無断!?」
しまった、という顔をしたオウジは否定も肯定もせず、そそくさと出て行く。
「ちょっと! オウジ! ああもう! お父さーん!!」
てっきり両親も宇宙に飛び出したことを知っているんだと思っていたのに、無断で出てきたとなれば、より一層心配しているだろう。
子どもがたったひとり、誰にも告げずに広い宇宙に飛び出す。
それは小旅行、冒険というよりも。
「家出?」
ぽつんとこぼした単語は、意味深に落ちていく。
あんなにきれいな、誰からも愛されるだろう顔をしているのに、家出をする事情が、オウジにはあるのだろうか。
「うう……」
北斗兄も昴も、お父さんもお母さんもまっすぐな髪の毛で、寝ぐせすらつかないサラサラだというのに、どうして私だけ。
お母さんのおばあちゃん? が外国の人だから、そこからのかくせーいでん? とかいうやつらしいけど、よくわからなかった。
家族の中でひとりだけ、そばかすが浮いて茶色いくるくるパーマの私は、「外国の女の子みたいね」と、有名なミュージカルに出てくる女の子の名前を出されることもある。
それはまだ全然マシな方で、颯太を筆頭にやんちゃで意地悪な男子集団は、私のこと「お前だけ絶対血がつながってないだろ」とからかってくる。
そのたびに自分でも友達も締めているんだけど、今のところ効果はない。
鏡の前でストレートアイロン(去年の誕生日に買ってもらった)とスタイリング剤を持って、ああでもないこうでもないしていると、背後を通りかかる、キラキラの金髪。
「……おはよう、オウジ」
そう。プリンス・オウジ(仮名)くんは、なんと我が天ノ川家に居候することになったのでした。
この辺は話すと長くなるんだけど、最初は天文台の所長さんの家に行く予定だった、らしいんだよね。
彼自身も納得して、少ない荷物は全部その人のおうちに運んであったらしいんだけど、なぜか小学校に行ってから、「いやだ」と。お世話係に自ら任命した私を指して、「君の家に行く」と。
うちの都合はまるっと無視してついてこようとするもんだから、一度は天文台に戻った父、それから所長さんまで、学校に呼び出された。
ともかく、オウジは悪い方の王子様らしく、わがままだった。
「さすがに天ノ川くんのところは、七星ちゃんっていう君と同じくらいの女の子がいる家だからねぇ」
と、所長さん(おじいさん寄りのおじさんで、お子さんはもう大きくなって、おうちは奥さんとふたりきり)がやんわりと苦言を呈しても、頑として譲らない。
最終的には昴が、「宇宙人と一緒に住めんの!? マジ!? やったぁ!!」と大喜びし、中学校から駆けつけた北斗兄も、「お、俺も一緒に住みたい」と懇願したため、二対一で負けた。
こういうとき、異性の兄弟しかいないのは不公平だと思う。お姉ちゃんがいたら、私の味方をしてくれたはず。
だって、初対面の名前も知らない女の子の髪にいきなり触ってきたんだよ?
憎たらしい髪の毛だからって、いらないわけじゃない。その日は何度も何度も、髪を洗った。
結局、お父さんも天文台職員だからってことで、オーケーが出てしまった。一応、私の部屋に鍵を取りつけたり客間を準備したりで、二、三日は所長さんのところに行ってもらった。渋々だったけど。
不本意ながら共同生活が始まって一週間経つけれど、いまだに金髪は見慣れない。
それに。
「おはよう、ナナセ。今日もいつもどおりのくるくるだな。決してまっすぐにはならないぞ」
なんて、私のコンプレックスをひどく抉ってくる。
サラサラブロンドヘアがどんだけえらいってんだ!
と、颯太相手ならばこぶしを握って威嚇することもできるが、相手は異星人。下手に対抗して、怒り狂ったら何をどう使って攻撃してくるか、わからない。現在の地球人には明らかにオーバーテクノロジーな技術力があるみたいだし。
あの首輪からビームが出ても、別に驚きはしない。
私は無言で、オウジの言葉をスルーする。というか、かまっていられない。はやく髪の毛を整えないと、もうすぐ。
「七星ー! はやく朝ご飯食べてちょうだい!」
「はーい! 今行くー!」
タイムリミットだった。私は渋々アイロンを置いて、鏡で前髪だけちょちょいといじる。あんまり変わらないとでも思っているような目をしたオウジが、鏡の中に映っていた。
居候、しかももちろん、お金は持っていないオウジは、もっと謙虚にというか、居心地悪そうにしていてもいいんじゃないかと思うのだけど、彼はマイペースそのものである。
「おかわり」
とにかくまぁ、よく食べる。中学二年生の北斗兄よりも食べるものだから、お母さんが慌ててお米をもう一度炊き始める、なんてこともあった。オウジの食欲は非常に旺盛で、見ていると、こっちまでお腹が空く。私だけじゃなくて、食が細いお兄ちゃんの箸も、いつもより進んでいる気がする。
歓迎の意味で、うちに来た初日にすき焼きをやったらはまっちゃって、「何食べたい?」と聞かれると、「すき焼き」としか返ってこなくなったのは、困りものだった。
「ごちそうさま」
オウジが二杯の丼飯をお上品に食べ終わったので、じっと私はその後の行動を見守る。
ご飯のあとは、自分の使った食器を流しに下げるのが天ノ川家のルールで、それはもちろん、居候のオウジにも適用される。それは初日に伝えていたし、彼も素直にうなづいた。
育ちのよさそうな王子様だけど、意外と一般家庭の出身なのかもしれない。「そんなことできるか!」と言わなかったことに、安心した。
翻訳機やら子ども専用の宇宙船やらがある一般家庭ってなんだろうとは思ったけどね! あ、でも自転車みたいな感覚なのかな? それなら一人一台あっても、おかしくはないか。
両手でお皿を持つオウジの手は、とても危なっかしかった。思わずお母さんが、「オウジくんは大丈夫よ?」と口出しするほど。けれどオウジも頑固なものだから、
「世話になっているのだから、このくらいはする」
と言う。
そして今日も、どんがらがっしゃーん! と、シンクに落とした。初日は使った食器を全部割ってしまったが、以降、お皿もお茶碗もコップも、割れない素材のものに買い換えてオウジ専用にしたため、落としても大丈夫。
肩を落としたオウジに、私は声をかける。
「ちょっと、大丈夫?」
美形ゆえにおとなびた彼が、弟と同じくらいに見えて、ほんの少しだけ優しくなる。小さく首を縦に振ったオウジに、情け容赦ないのはその弟、昴だ。
「オウジって、ドジだよなあ。自分ちでも手伝いとかしたことないの?」
手厳しいことを言う弟を、お母さんが「こらっ、昴!」とたしなめるが、「ごちそうさまーっ」と食器を流しに引っ込めて、そのまま登校の支度に取りかかるのだった。
「まったく……ごめんなさいね、うちの子が」
「いや。スバルの言うことももっともだ」
とにかくオウジは、お手伝い全般、なにもできなかった。
食器を洗えば割る、洗濯は白かったシャツをピンクに染め上げる、掃除はほこりが取り切れていない、などなど。いったい自分の家ではなにをしていたの? と呆れていた私にした、彼の言い訳が以下。
「S77では、お手伝いアンドロイドが全部やってくれたんだ。家事手伝いだけじゃないぞ、勉強だって教えてくれるんだ」
とか。
どうやらS77の子どもたちは、ずいぶん甘やかされているらしい。うちじゃやらないとお母さんが怒るというより、溜息をついて悲しそうな顔をする。我が家の太陽みたいな存在だから、落ち込んでいるのを見るといたたまれなくなって、お風呂掃除もはかどるというものだ。
「ふーん。なんでこっちに連れてこなかったの」
「ちょっと具合が悪くて、調整が必要だったんだ。お目付役も兼ねているからこそ、宇宙船で遠くまで出かけられたんだけどね」
S77でも、さすがに子どもをひとりで遠い宇宙に放り出すことはしない。
あれ、でも待って。
「お世話の目をかいくぐって出てきたって……もしかして、無断!?」
しまった、という顔をしたオウジは否定も肯定もせず、そそくさと出て行く。
「ちょっと! オウジ! ああもう! お父さーん!!」
てっきり両親も宇宙に飛び出したことを知っているんだと思っていたのに、無断で出てきたとなれば、より一層心配しているだろう。
子どもがたったひとり、誰にも告げずに広い宇宙に飛び出す。
それは小旅行、冒険というよりも。
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