私はあなたの前から消えますので、お似合いのお二人で幸せにどうぞ。

ゆのま𖠚˖°

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前編

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私には婚約者がいる。
お互いの両親が仲が良いからって、ちょうど子どもが男女だからって、勝手に決められた。

たしかに、婚約者で幼馴染のカルロとは仲が良い。小さい頃からよく遊んでいるから、一緒にいるのは楽しい。私の考えるより体を動かす行動にも付き合ってくれるし、ダメなことは止めてくれる。勉強が苦手な私にいつも丁寧に教えてくれる。
悪い所を探そうとしても、カルロにはないといってもいいぐらいだ。強いて言うなら考えすぎる所?って感じだ。

カルロに私が婚約者でいいのか聞いたことがある。

「ルーリアがいいなら僕もかまわない」

自分の意見より私の意見を尊重するってこと?私にはよくわからないが、嫌ではないらしい。
と思っていたのは今日までだ。

私は今図書館にいる。勉強は嫌いだが、家庭教師からの宿題のために来ていた。

滅多に図書館なんて来ないからカルロがいるなんて思いもしなかった。いや、勉強好きのカルロだもの、いつもいるのかもしれない。
だって、隣にいる女の子と楽しそうに会話しているから。

あの雰囲気は今日初めて会いましたなんてもんじゃない。それもあんな楽しそうな笑顔見たことない。

たしかに、私は難しい話はついていけない。それに比べて一緒にいる女の子は賢そう。きっと、私とできない話で盛り上がっているんだろう。

声をかけようかと思ったけど、あんなにも楽しそうに会話をしているのを邪魔したくない。
馬鹿な私でもそれくらいはわかる。
その日はそのまま家に帰ってしまい、宿題ができなかった。

次の日図書館に行くと、カルロと話をしていた女の子とぶつかったしまった。

「大丈夫ですか!?ごめんなさい!前を見ていなくて…お怪我はありませんか?」

「あ…私の方こそごめんなさい」

近くで見ると賢そうで、守ってあげたくなるような可憐さがある女の子だ。
私とは正反対…
そんな所も惹かれるポイントだったのだろうか…

「あ、その本…何か宿題でも出されたのですか?」

「なぜわかるの!?」

「ふふっ、私も前に同じ宿題を出されたことがあります」

その後、カルロと仲が良い女の子、ロレッタさんに宿題を教えてもらった。これがまた、優しく丁寧に教えてくれるのよ。まるでカルロみたいに。本当にお似合いの2人だとつくづく思う。
どのくらいお似合いかって?この2人の夫婦生活ってきっと喧嘩なんてない日々を過ごして、子どももしっかりした子に成長しそうだななんて考えられるぐらい。

私と出会う前にこの子と出会えてたら、こんなガサツで考えるより行動して失敗だかりする私と婚約しなかっただろうな。

あ…カルロは後悔してるかも?

優しいカルロだもん。親から言われたから文句は言えない。私が婚約者を嫌がらないなら我慢しようって考えているのかも。

だからか…だから私がいいならカルロは婚約者のままでいいっていったのかも。

私が譲らなきゃ、このお似合いの2人は結ばれないのね。
2人とも優しいから、私に遠慮してるんだわ。

念のために…念のためにもう一度カルロに聞いてみよう。私が婚約者でいいのかを。

早速家に帰ってから、カルロに遊びに来れないか手紙を書いた。

次の日すぐに返事は届いたが、用事があるらしく当分の間は会えないとのことだった。

まさかと思い、図書館にこっそり行ってみると、いつもの席で楽しそうに会話をしているあの2人の姿が見えた。
用事とはこの子と会うことだったんだ。私よりも大切に思ってる証拠だね。

帰ろうと思って振り返ると、大きな体にぶつかってしまった。

「いたたたっ、ごめんなさい…」

「す、すまない!婚約者を見るのに夢中で前にあなたがいることに気付かなかった」

「婚約者?」

「あぁ、あの席に座ってる女の子だ。俺とは違う男と楽しそうに話しているのを見てたら、周りが見えなくなっていた…」

えっ!?あの席の女の子って…

「あ、あの…その女の子ってロレッタさん?実はロレッタさんの隣で楽しそうに話している男の人は私の婚約者なの…」

「!?」

図書館では話がしにくいことから喫茶店へと場所を移して、私はロレッタさんの婚約者、アルクさんとお茶を飲んでいた。

「まさか、あの男の婚約者の方と会うことになるとは思いませんでした」

「私もです…あの、あの2人はいつからあんな感じかわかりますか?」

「俺もよくわからないだ。知り合いからロレッタが図書館で男と楽しそうに話をしていると聞いて様子を見に行ったのが今日なもんで…」

「なるほど…」

「はぁー、俺じゃロレッタの婚約者は不釣り合いなんだろうな…」

「それは私もです。私と一緒にいてもあんな笑顔見せてくれません」

「それ、俺も思った!あんなに楽しそうなロレッタの笑顔見たことないんだ。いつも心配そうだったり、不安そうな顔ばかり…」 


「「はぁ…」」



「「!?」」

「ふふっ」

「はははっ」

私たちは似ていた。性格も婚約者からの対応も。

それから何度かアルクさんと会う機会があり、その度に相談に乗ったり、乗ってもらったりしていた。

「俺、旅に出ようと思うんだ」

「え!?急に?なんで?」

「俺は伯爵家の三男で、跡取りなんてもんには関係ないし、こんな俺にロレッタを幸せにできる資格なんてないと思ったらここにいる意味がわからなくなって…」

「それめっちゃわかる…私なんていない方があの2人は幸せになれるんじゃないかって考えてて」

「「…」」

「一緒に行くか?」

「いいの?旅なんて楽しみしかない!色々考えすぎて頭疲れちゃってたから、何にも考えずに過ごしたい!」

「そうだよな!考えるのなんて疲れるだけで、何にも解決しないもんな!」

「そうそう!体動かしてる方が楽しいもん!」

「よし!決まりだな!」

「うん!」

あの2人を幸せにするためにも、私たちが幸せになるためにも旅に出よう!

手紙を置いて、こんな婚約者はカルロには相応しくないってね!











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