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第18話
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寝ておけと言われて、素直に寝るような子じゃありません。
夫の足音が消えてすぐ、私は浴室に入りシャワーを浴びた。
「うーん、気持ちいいー!」
3日ぶりとなるシャワーは天国のようだ。フラワーベースのシャンプーの香りがまた心地よい。
体の隅々まで洗って、体が冷えないようにもう一度熱いシャワーを浴びた。
その時、自分の胸を見て、夫に触られたことを思い出す。
「そういえばあいつっ!謝罪もしていない!許せんっ。」
お世辞にもいいスタイルとは言えないが、胸だけは人よりある。
普段目立たないように、胸を小さく見せる下着を身につけてはいるが、あのスケスケのネグリジェ姿を見た夫はわかっている。そこに先ほど、眠っていたとはいえ触れられたのだ。しかも敏感な部分を。
シャワーから出たら呼び出して、一言文句でも言ってやろう。
私のパジャマ類がクローゼットになかったのは、あの初夜予定の夜だけだった。次の夜からは10着ものパジャマや肌着類、部屋着が常備され、お腹が冷える心配もない。
先ほど着替えたばかりだが、ショーツだけは新しいものを身につけて、ドライヤーで髪を乾かし、肌を整えると、生き返ったように清々しくなった。
あんなに高い熱を、大人になってから出したことはない。せいぜい微熱程度だ。
自分が思っているよりも、体は精神的疲労によるダメージを受けているのだろう。
《コンコン》
「若奥様、本日のご予定を報告に参りました。」
毛利さんだ。
本日のご予定?病み上がりだが、やはり講義はあるということか。
「本日は、グループ会社であるAプロダクトをご夫婦で視察予定でございましたが、若奥様の体調不良により、坊っちゃまお一人でのご視察となりました。
若奥様におかれましては、本日もお休みいただき、明日から講義を再開させていただきたく」
「えっ?AプロダクトってあのAプロダクト?私がいた会社ですよね?」
「左様でございます。何日か前に若奥様にぜひ来ていただきたいと要請があり、組ませていただいたのですが、こればかりは仕方ありません。お身体に触ると、今後に響きます故。」
「まあ、特に会いたい人がいるわけじゃないですけど、少し懐かしくもあって……行きたいです!私、ダメですか?」
別に会社に未練があったわけじゃないが、ここ何週間か、浮世離れした生活を送ってきた私にとって、昔の自分の居場所はとても魅力的に思えた。
「そうですね……いかが致しましょう……」
毛利さんが顎に手を当て悩んでいたら、
「いいんじゃないの?
詩豆ちゃんお熱下がったんですってね!よかったわぁ。本当よかった!」
と、姑が入ってきた。
「お義母様、先日はありがとうございます。ご迷惑をおかけして、申し訳ありません。」
熱が出てすぐ、姑がお見舞いに来てくれたことを覚えている。
若奥様ではなく、『詩豆ちゃん』と呼ばれ、どれほど安心したことか。
「いいのよ、詩豆ちゃん!急にガラッと環境が変わったんだもの。辛くなって当然よ。せっかくの機会だし、行けそうなら行ってみたらいいわ。たまには気分転換も大事だもの。」
「ありがとうございます。とっても嬉しいです。行ってきます。」
「若奥様、ですが坊っちゃまが……」
姑が許可をしてくれたにも関わらず、渋い顔をしている毛利さん。
そうか、あいつが私と行くのを嫌がっているのね。
「まあまあ、毛利、慶大には私から行っておくから気にするでない。さあ、そうと決まれば、お洋服を選ばなければね。」
姑はそう言って、私のクローゼットに入っていった。
いや、待って待って!
私をコーディネートするのは毛利さんの仕事ですからっ。
お義母様は、口出し無用でお願いします!
夫の足音が消えてすぐ、私は浴室に入りシャワーを浴びた。
「うーん、気持ちいいー!」
3日ぶりとなるシャワーは天国のようだ。フラワーベースのシャンプーの香りがまた心地よい。
体の隅々まで洗って、体が冷えないようにもう一度熱いシャワーを浴びた。
その時、自分の胸を見て、夫に触られたことを思い出す。
「そういえばあいつっ!謝罪もしていない!許せんっ。」
お世辞にもいいスタイルとは言えないが、胸だけは人よりある。
普段目立たないように、胸を小さく見せる下着を身につけてはいるが、あのスケスケのネグリジェ姿を見た夫はわかっている。そこに先ほど、眠っていたとはいえ触れられたのだ。しかも敏感な部分を。
シャワーから出たら呼び出して、一言文句でも言ってやろう。
私のパジャマ類がクローゼットになかったのは、あの初夜予定の夜だけだった。次の夜からは10着ものパジャマや肌着類、部屋着が常備され、お腹が冷える心配もない。
先ほど着替えたばかりだが、ショーツだけは新しいものを身につけて、ドライヤーで髪を乾かし、肌を整えると、生き返ったように清々しくなった。
あんなに高い熱を、大人になってから出したことはない。せいぜい微熱程度だ。
自分が思っているよりも、体は精神的疲労によるダメージを受けているのだろう。
《コンコン》
「若奥様、本日のご予定を報告に参りました。」
毛利さんだ。
本日のご予定?病み上がりだが、やはり講義はあるということか。
「本日は、グループ会社であるAプロダクトをご夫婦で視察予定でございましたが、若奥様の体調不良により、坊っちゃまお一人でのご視察となりました。
若奥様におかれましては、本日もお休みいただき、明日から講義を再開させていただきたく」
「えっ?AプロダクトってあのAプロダクト?私がいた会社ですよね?」
「左様でございます。何日か前に若奥様にぜひ来ていただきたいと要請があり、組ませていただいたのですが、こればかりは仕方ありません。お身体に触ると、今後に響きます故。」
「まあ、特に会いたい人がいるわけじゃないですけど、少し懐かしくもあって……行きたいです!私、ダメですか?」
別に会社に未練があったわけじゃないが、ここ何週間か、浮世離れした生活を送ってきた私にとって、昔の自分の居場所はとても魅力的に思えた。
「そうですね……いかが致しましょう……」
毛利さんが顎に手を当て悩んでいたら、
「いいんじゃないの?
詩豆ちゃんお熱下がったんですってね!よかったわぁ。本当よかった!」
と、姑が入ってきた。
「お義母様、先日はありがとうございます。ご迷惑をおかけして、申し訳ありません。」
熱が出てすぐ、姑がお見舞いに来てくれたことを覚えている。
若奥様ではなく、『詩豆ちゃん』と呼ばれ、どれほど安心したことか。
「いいのよ、詩豆ちゃん!急にガラッと環境が変わったんだもの。辛くなって当然よ。せっかくの機会だし、行けそうなら行ってみたらいいわ。たまには気分転換も大事だもの。」
「ありがとうございます。とっても嬉しいです。行ってきます。」
「若奥様、ですが坊っちゃまが……」
姑が許可をしてくれたにも関わらず、渋い顔をしている毛利さん。
そうか、あいつが私と行くのを嫌がっているのね。
「まあまあ、毛利、慶大には私から行っておくから気にするでない。さあ、そうと決まれば、お洋服を選ばなければね。」
姑はそう言って、私のクローゼットに入っていった。
いや、待って待って!
私をコーディネートするのは毛利さんの仕事ですからっ。
お義母様は、口出し無用でお願いします!
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