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ep.38
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体感温度は30度を超えている中、冷たいジュースが欲しいのはわかりきっている。だが、ここで健太についていくわけにはいかない。
貴和子は社会人なのだ。
勝手に職を離れる行為には魅力は感じない。
いや、その前に、健太は危険な男に間違いないのだ。
「やめて下さい。困りますから。私に構わず行って下さい。」
「へぇー、操は立てるんだね。さすが貴和子ちゃん。モテる子は違うね。」
「モテてなんかいません。婚約しているだけです。1人の人と。」
「そう?気づいていないだけ?さっき君を好きだって顔した人に会ったんだけど……あいつも脈なしなんだ……いい気味。」
「あいつ?誰だか知りませんが、とにかく失礼します。」
健太は桂木のことを言っているが、貴和子はまさか桂木と健太が繋がっているとは思わず、ただからかっているだけだろうと振り切った。
健太は桂木が貴和子の婚約者とは思っていなかった。貴和子はどちらかといえば、もっと野暮ったい真面目なタイプの人間を好むと思い込んでいたからだ。
健太と離れ、学校に着いた貴和子は、まさかの事態に絶句した。
「安田ちゃん!大変なのっ!あいつ、さっきここに来てたみたいなのよっ!しかも桂木さんに会いに!」
「あいつ?」
またもや”あいつ”というワードを耳にして、貴和子にしては珍しく勘付いた。
「まさか、あいつって、あの、昨夜の男?」
「そうよ!よくわかったわね!あの健太君よ!」
真子は興奮していた。
女子会に男が参加していただけでも桂木に後ろめたさを感じていたのに、その男が自分のせいで貴和子の”彼氏”のフリをしていたなど、口が裂けても言えない。墓場まで秘密にしようと思っていたのに……
「まさか、それって、昨夜のこと……」
「そうなのっ!あいつ、桂木さんに喋っちゃって、それで桂木さん、頭痛がするとか言って早退しちゃったのよ!」
「頭痛……早退……そこまで……!?」
桂木はあれから憔悴しきりで、頭痛もしてきたらしく、仕事にならないので早退したらしい。しかも、本部長が認めたという。
「あの人、クリエイターで、今度うちの特別体験会で講師を引き受けてくれていたらしいの。でも、大遅刻な上に横柄な態度だったから、契約は無かったことになったらしいのよ。」
「ええぇ!?あの人が?クリエイターだったの?しかも、それって、新しいプロジェクトで……桂木さんの担当って話で……」
貴和子は先ほど会った健太の姿を思い出した。
(私を好きだって顔した人がいたって、間違いなく桂木さんのことだわ……それって、明らかに私の名前が話題に出たってことよね……)
貴和子はハッとした。
そして昨夜、健太にされたキスを思い出した。
(……まさか、キスのこと……話しちゃったとか……いやいや、そこまではさすがに……)
貴和子が呆然としていると、
「ちょっと安田ちゃん、本部長が呼んでる。」
と、声をかけられた。
貴和子は社会人なのだ。
勝手に職を離れる行為には魅力は感じない。
いや、その前に、健太は危険な男に間違いないのだ。
「やめて下さい。困りますから。私に構わず行って下さい。」
「へぇー、操は立てるんだね。さすが貴和子ちゃん。モテる子は違うね。」
「モテてなんかいません。婚約しているだけです。1人の人と。」
「そう?気づいていないだけ?さっき君を好きだって顔した人に会ったんだけど……あいつも脈なしなんだ……いい気味。」
「あいつ?誰だか知りませんが、とにかく失礼します。」
健太は桂木のことを言っているが、貴和子はまさか桂木と健太が繋がっているとは思わず、ただからかっているだけだろうと振り切った。
健太は桂木が貴和子の婚約者とは思っていなかった。貴和子はどちらかといえば、もっと野暮ったい真面目なタイプの人間を好むと思い込んでいたからだ。
健太と離れ、学校に着いた貴和子は、まさかの事態に絶句した。
「安田ちゃん!大変なのっ!あいつ、さっきここに来てたみたいなのよっ!しかも桂木さんに会いに!」
「あいつ?」
またもや”あいつ”というワードを耳にして、貴和子にしては珍しく勘付いた。
「まさか、あいつって、あの、昨夜の男?」
「そうよ!よくわかったわね!あの健太君よ!」
真子は興奮していた。
女子会に男が参加していただけでも桂木に後ろめたさを感じていたのに、その男が自分のせいで貴和子の”彼氏”のフリをしていたなど、口が裂けても言えない。墓場まで秘密にしようと思っていたのに……
「まさか、それって、昨夜のこと……」
「そうなのっ!あいつ、桂木さんに喋っちゃって、それで桂木さん、頭痛がするとか言って早退しちゃったのよ!」
「頭痛……早退……そこまで……!?」
桂木はあれから憔悴しきりで、頭痛もしてきたらしく、仕事にならないので早退したらしい。しかも、本部長が認めたという。
「あの人、クリエイターで、今度うちの特別体験会で講師を引き受けてくれていたらしいの。でも、大遅刻な上に横柄な態度だったから、契約は無かったことになったらしいのよ。」
「ええぇ!?あの人が?クリエイターだったの?しかも、それって、新しいプロジェクトで……桂木さんの担当って話で……」
貴和子は先ほど会った健太の姿を思い出した。
(私を好きだって顔した人がいたって、間違いなく桂木さんのことだわ……それって、明らかに私の名前が話題に出たってことよね……)
貴和子はハッとした。
そして昨夜、健太にされたキスを思い出した。
(……まさか、キスのこと……話しちゃったとか……いやいや、そこまではさすがに……)
貴和子が呆然としていると、
「ちょっと安田ちゃん、本部長が呼んでる。」
と、声をかけられた。
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