私と離婚してください。

koyumi

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浮気だと思ってない

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2人連続騙された形での浮気であると、
いや、これは『浮気とは言わない、事故だ』と言い張る諭とは、全く話にならなかった。

男はそんなもんだと父親が言えば、今度は実家が大騒動になる。
ちゃぶ台ならぬ、まな板がひっくり返り、母親達の家事ボイコットが始まる。
というわけで、私は実家にも帰れず、諭とひとつ屋根の下で寝るしかない。

夜の営みを避けるのは当然だが、諭は私の寝込みを襲う。
気づいた時にはすでに本番5秒前。
一体どうしてこんなに深い眠りにつくんだろうかと自己嫌悪に陥る。

昔から睡眠だけはきっかりとる性の私。
死んだように寝るから、夏休みのラジオ体操もほとんど行ったことがない。
6時50分に起床するリズムを崩せない。
崩した日は、もう夕方を過ぎるとスタミナ切れで、夜は7時過ぎには就寝してしまう。
そんな体質で生きてきて、さすがに10時間睡眠は減ったが、未だに眠りは深い。

ビジネスホテルに行くほどお金はないし、大学の課題もあるから自宅を離れるのは面倒だ。

しかし、2度あることは3度ある。

諭はまた浮気した。

今度は言い逃れできない。
いや、浮気じゃないとは言わせない。
私はカフェでのアルバイト中、ガラスウインドウ越しに諭が女の腰に手を回し、歩いているところを見たのだ。

そしてその夜は、帰ってこなかった。

朝方忍び足で帰宅して、何もなかったようにベッドの端に横たえる気配。
うっすら匂う、タバコと濃い化粧品の匂い。
背中で感知し、心を失った。

その日のうちに離婚届を貰いに行き、サインしたものをテーブルに置き、家を出た。
ほんとは諭が出るべきだけど、諭を感じる部屋にいることは牢獄にいるようなもんだ。
ネットカフェをウロウロして、たちまち1日は過ごせた。

だが、ずっとそこにいるのは嫌だし、離婚届の行方も知りたいしで、やはり一度実家に戻った。

「依子!ちょうど良かったわっ。あのね、九州のおじいちゃんが倒れちゃって、今から私たち行ってくるから留守番していてくれるっ?
1週間は帰らないつもりだから、何かと物騒だし、お願いね!」

両親は私と入れ違いで九州の母方の祖父のもとへ行ってしまった。
3度目の浮気と離婚の話ができずに、私はため息をついたが、たちまち寝床は確保できた。
祖父の状態も気になるが、離婚の状態も気になる。
大学の帰りに役所で確認するが、『離婚届』の受理はされておらず、その代わり、実家のポストには、粉々に破られた『離婚届』がご丁寧に茶封筒に入り、私宛に送付されていた。
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