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再会
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私に一通り話し終えた諭は、手が空いたマスターに話しかけられ、他愛もない会話を始めた。
私はその間にカフェオレを飲み干し、明日は早いからと嘘をついて帰宅した。
諭はまだ私にいてほしいような顔をしたけれど、乾いた笑顔をして手を振ってくれた。
部屋に着き、ようやく息ができた気がした。
もう、諭は随分遠い場所にいるんだなと思った。離婚離婚と騒いでいたことが、現実あったんだろうかと疑念を抱いてしまうほど、別世界の人間に見えた。
ただ、死なないでほしい。
それだけは願った。
別れた旦那に願い事なんて……と思うけれど、あの顔を見て、状況を知れば、誰もが思うだろう。修也くんのために、生きていろと。
私が子供に対してしてあげれることは、それを願うことしかないから。
また1週間、淡々と過ごした。
無気力ってわけじゃない。
仕事は頑張って、昇格できた。
お給料が来月から1万円アップする。
毎月キツキツだから、とても有り難い。早くもっと家賃の安いところに引っ越したいと思うが、このマンションに慣れてきて、引っ越すくらいなら転職して更なる給料アップを目指そうかとも思う。
全く笑える。
高原さんの所有マンションだった頃は、1日でも早く出ようと思っていたのに、北見さんが所有者に変わると、どうやったら給料が上がるかとか、節約の仕方とかを気にかけている。
ある日、私は可菜子に誘われ、また飲み会に参加した。
本当は可菜子と2人で久々に会う約束をしていたのだが、たまたま可菜子が今狙っている男性に誘われ、あっちも2人だから依子が付いてきてくれたら助かる、と言われ、渋々来たかたちだ。
どうやら相手の男性も可菜子に気があるようだが、所謂草食系男子で、1人じゃ誘えないから友人を巻き込んだらしい。どっぷり肉食系女子の可菜子は、彼に合わせて「私も友人と一緒なら……」と柄にもなく控えめに返事をしたらしい。
仕事帰りに待ち合わせをして、可菜子と2人でぐだぐた喋りながら居酒屋に向かった。
おしゃれな半個室の創作居酒屋で、一度行ってみたかったお店だ。
「この借りは必ず返してよね。」
「とかなんとか言っちゃってぇ、案外そっちがうまくいったりして……。」
「話、すり替えないでよね。私はあくまで脇役。なんなら黒子扱いで結構ですから。」
「やだ、機嫌悪くならないでよっ。あ……ほら、ちょうどあっちも着いたみたいよ。」
店の入り口に、スーツを着た男性が2人いる。
どうやら、あのどちらかが可菜子のお目当てらしい。
2人に近づき、可菜子が声をかけようとした時、私は一歩引いた。
「ん?……依子、何やってんの?」
急に下がった私を、可菜子が名前で呼んでしまった。
そしてやはり、その人は私に気づいた。
(あぁ……!)
と、片手で顔を覆ったが既に遅く、彼が私の目の前に来たことが、指の隙間から見える靴でわかった。
「依子ちゃん……!」
その声に、ドキッとして、私は一瞬で顔を赤らめてしまった。顔だけじゃない、耳も多分赤い。
私はその間にカフェオレを飲み干し、明日は早いからと嘘をついて帰宅した。
諭はまだ私にいてほしいような顔をしたけれど、乾いた笑顔をして手を振ってくれた。
部屋に着き、ようやく息ができた気がした。
もう、諭は随分遠い場所にいるんだなと思った。離婚離婚と騒いでいたことが、現実あったんだろうかと疑念を抱いてしまうほど、別世界の人間に見えた。
ただ、死なないでほしい。
それだけは願った。
別れた旦那に願い事なんて……と思うけれど、あの顔を見て、状況を知れば、誰もが思うだろう。修也くんのために、生きていろと。
私が子供に対してしてあげれることは、それを願うことしかないから。
また1週間、淡々と過ごした。
無気力ってわけじゃない。
仕事は頑張って、昇格できた。
お給料が来月から1万円アップする。
毎月キツキツだから、とても有り難い。早くもっと家賃の安いところに引っ越したいと思うが、このマンションに慣れてきて、引っ越すくらいなら転職して更なる給料アップを目指そうかとも思う。
全く笑える。
高原さんの所有マンションだった頃は、1日でも早く出ようと思っていたのに、北見さんが所有者に変わると、どうやったら給料が上がるかとか、節約の仕方とかを気にかけている。
ある日、私は可菜子に誘われ、また飲み会に参加した。
本当は可菜子と2人で久々に会う約束をしていたのだが、たまたま可菜子が今狙っている男性に誘われ、あっちも2人だから依子が付いてきてくれたら助かる、と言われ、渋々来たかたちだ。
どうやら相手の男性も可菜子に気があるようだが、所謂草食系男子で、1人じゃ誘えないから友人を巻き込んだらしい。どっぷり肉食系女子の可菜子は、彼に合わせて「私も友人と一緒なら……」と柄にもなく控えめに返事をしたらしい。
仕事帰りに待ち合わせをして、可菜子と2人でぐだぐた喋りながら居酒屋に向かった。
おしゃれな半個室の創作居酒屋で、一度行ってみたかったお店だ。
「この借りは必ず返してよね。」
「とかなんとか言っちゃってぇ、案外そっちがうまくいったりして……。」
「話、すり替えないでよね。私はあくまで脇役。なんなら黒子扱いで結構ですから。」
「やだ、機嫌悪くならないでよっ。あ……ほら、ちょうどあっちも着いたみたいよ。」
店の入り口に、スーツを着た男性が2人いる。
どうやら、あのどちらかが可菜子のお目当てらしい。
2人に近づき、可菜子が声をかけようとした時、私は一歩引いた。
「ん?……依子、何やってんの?」
急に下がった私を、可菜子が名前で呼んでしまった。
そしてやはり、その人は私に気づいた。
(あぁ……!)
と、片手で顔を覆ったが既に遅く、彼が私の目の前に来たことが、指の隙間から見える靴でわかった。
「依子ちゃん……!」
その声に、ドキッとして、私は一瞬で顔を赤らめてしまった。顔だけじゃない、耳も多分赤い。
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