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困惑
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目の前に並んで座る2人は、既に出来上がっているようだ。
どうしてこんなことになっているのか?案外知っているのは可菜子のような気がしてならない。
普通は男女が対面で座ると思う。
だけど、半個室&ラブソファの席に、同性同士が座るというのも意識しすぎのような気がする。
可菜子と、可菜子のお相手の菅谷さんは、乾杯後から私達など眼中にない。
なんなら、乾杯だって、私が無理やり声をかけたから実現したのだから。
ただ、そうなると、必然的に高原さんは私にくっついて座るかたちになるわけで……。
「ごめん、僕がいるとは思わなかったよね?」
「う、うん……あの、2人は、友人なの?」
「あ、あぁ、高校の時の同級生で、今、近所に住んでるんだ。久々に飲みに行こうぜって誘われたから来てみたら……。」
「私も。可菜子と久々に飲もうって約束してたら、こんなことになってたってわけ、かな?」
と、ぎこちない会話になってしまう。
正直、話の内容よりも、左半身に感じる熱に心奪われて、はぐらかすようにまた飲むペースが上がってしまっている。
「それにしても……すごい偶然だね。」
本当に。
会おうと思って会っているわけではない。こういう縁って滅多にないから、ついまた意識してしまう。しかも相当にやばいくらい意識しているのがわかる。
「依子ちゃん、ペース、早くない?」
仕方ない。
飲む以外に、緊張を逃す術がわからない。
ーーやっぱり帰ればよかった……。
あの時入り口でもっと地団駄踏めばよかった。可菜子に手を引っ張られて拒めなかったけど。
「……そろそろ帰る?もう、2人きりにしといていいと思うけど。」
確かに。
はっきり言って、友達がイチャイチャしてるのなんて、見たって恥ずかしくなるだけだ。
「……うん。帰ろ。」
そうして、1時間も経たないうちに、私と高原さんは店を出た。
可菜子は「ありがと」と、口パクで言っていた。うまく行けばいい。
可菜子には本当、幸せになってほしい。そしていつか、幸せって何なのか教えてほしいくらいだ。
居酒屋を出ると、外はもう冷たい風が吹いていた。
時の流れは早いもので、少し前まで必要なかったストールをバッグから出し、身に纏った。
「……送るよ。」
高原さんは私の斜め前を歩いていたが、フッと振り返ってそう言った。
「で、でも……。」
「こんな夜道を女の子1人で帰すほど、僕は冷たくはないよ。それに……。」
高原さんの手のひらが私の頬に当たる。
「だいぶお酒、飲んだよね?」
「あ、はい……。」
「でも、強くなったんだね。」
「え?」
「お酒。前だったら今頃持ち帰ってたよ。」
「へ?」
ハニカミながら笑う高原さんに、ドキドキが止まらない。
本当にどうしたことか?
私、こんな感じじゃなかったはず。
どうしてこんなことになっているのか?案外知っているのは可菜子のような気がしてならない。
普通は男女が対面で座ると思う。
だけど、半個室&ラブソファの席に、同性同士が座るというのも意識しすぎのような気がする。
可菜子と、可菜子のお相手の菅谷さんは、乾杯後から私達など眼中にない。
なんなら、乾杯だって、私が無理やり声をかけたから実現したのだから。
ただ、そうなると、必然的に高原さんは私にくっついて座るかたちになるわけで……。
「ごめん、僕がいるとは思わなかったよね?」
「う、うん……あの、2人は、友人なの?」
「あ、あぁ、高校の時の同級生で、今、近所に住んでるんだ。久々に飲みに行こうぜって誘われたから来てみたら……。」
「私も。可菜子と久々に飲もうって約束してたら、こんなことになってたってわけ、かな?」
と、ぎこちない会話になってしまう。
正直、話の内容よりも、左半身に感じる熱に心奪われて、はぐらかすようにまた飲むペースが上がってしまっている。
「それにしても……すごい偶然だね。」
本当に。
会おうと思って会っているわけではない。こういう縁って滅多にないから、ついまた意識してしまう。しかも相当にやばいくらい意識しているのがわかる。
「依子ちゃん、ペース、早くない?」
仕方ない。
飲む以外に、緊張を逃す術がわからない。
ーーやっぱり帰ればよかった……。
あの時入り口でもっと地団駄踏めばよかった。可菜子に手を引っ張られて拒めなかったけど。
「……そろそろ帰る?もう、2人きりにしといていいと思うけど。」
確かに。
はっきり言って、友達がイチャイチャしてるのなんて、見たって恥ずかしくなるだけだ。
「……うん。帰ろ。」
そうして、1時間も経たないうちに、私と高原さんは店を出た。
可菜子は「ありがと」と、口パクで言っていた。うまく行けばいい。
可菜子には本当、幸せになってほしい。そしていつか、幸せって何なのか教えてほしいくらいだ。
居酒屋を出ると、外はもう冷たい風が吹いていた。
時の流れは早いもので、少し前まで必要なかったストールをバッグから出し、身に纏った。
「……送るよ。」
高原さんは私の斜め前を歩いていたが、フッと振り返ってそう言った。
「で、でも……。」
「こんな夜道を女の子1人で帰すほど、僕は冷たくはないよ。それに……。」
高原さんの手のひらが私の頬に当たる。
「だいぶお酒、飲んだよね?」
「あ、はい……。」
「でも、強くなったんだね。」
「え?」
「お酒。前だったら今頃持ち帰ってたよ。」
「へ?」
ハニカミながら笑う高原さんに、ドキドキが止まらない。
本当にどうしたことか?
私、こんな感じじゃなかったはず。
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