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 無事ギルドで薬草を換金出来た俺は王都の端っこにある一番安い宿屋に来ていた。

 ミーネのサポートを受けながら無事チェックインをした俺は、宿の1階にある食堂で見た目はカレーうどんなのに味はナポリタンに近い不思議な麺料理を食べた後、部屋でミーネと相談していた。

「なあミーネ」

「なに? マスター」

「俺、まだ一回も戦闘してないよな?」

「そうね、私が魔物の反応があったら全部迂回してたからね」

「そんなんでいいのか?」

「いいのよ別に。スキルはレベルが低い方が覚えやすいんだから、レベル1ならレアなスキルも修得できるから、強くなるのに一番効率がいいわ」

「でもなあ……」

 普通こういうシチュエーションだと、最初に貰ったスキルで無双したり、可愛いヒロインを颯爽と助けたりするんじゃなかろうか。

「無双なんてダメよ、マスター。ここは王都よ? あなたをこの世界に呼び寄せておいて放り出した王様の庭なのよ。目立ったらすぐ捕まって利用されるに決まってるでしょ」

 な、なるほど。王都が大きくてイメージ湧かなかったけどまだあいつらの近くにいるんだもんな。

「だからマスターにはこの王都にいる間は戦闘なし、レベル1で最強のドリルに必要なスキルを習得してもらいます!」

 どうやら俺はまだまだ戦闘はしてはいけないらしい。ミーネは頼りになるからついつい身を任せてしまうんだよなー。

「分かったよ。で、最強のドリルに必要なスキルって?」

「これよ」

 そういってミーネは空中から紙を出して俺に渡した。その紙には5個のスキルが書かれていた。

「5個でいいのか?」

「うん。ていうかマスターはそれ以上はスキルを修得出来ないわ」

「え?!」

「マスターが創造主様に貰ったスキル《螺旋の理》は特殊なスキルなのか、マスターがそれ以上のスキルを持つキャパが殆ど無いのよ」

「それって大丈夫?!」

「だから私の情報にあるスキルの中で最強のドリルの為のスキルを厳選したから明日からこれらのスキルを修得するわよ! もちろん戦闘も無双もまだなし!」

 どうやら俺は地味街道を突き進むらしい。





カナタは知るよしも無かった。スキル修得容量が少ない最大の理由は目の前のミーネの存在昇華に殆どの容量を持っていかれたからということを。それがなければスキルをほぼ無限に修得できただろうこと、さらに、ミーネが修得させようとしているスキルはこの世界で伝説や幻とされているスキルだということを。




 修得予定スキル
《魔導の極み》……ランクSSS。全魔法適性+全魔法耐性レベル11+高速魔力回復+魔力感知レベル11+魔力操作レベル11の効果

《闘神武闘》……ランクSSS。肉体強化レベル11+全武術適性+高速体力回復++縮地+空歩の効果

《超直感》……ランクSS。

《神眼》……ランクSS。

《全状態異常無効化》……ランクS。
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