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第6話※ 斥候のフロル
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フロルの青い瞳が、マゼンタ色の光を帯びている。
その瞬間、俺は全てを理解した。
フロルが好きだ。フロルが欲しい。茶色い巻き毛の、愛らしい少年。だけど彼こそが、俺の魂の片割れ。
「脱ぎなよ、コンラート」
そうだ。脱がなきゃ。やっとフロルと二人きり、服なんて無粋だ。彼と俺とを隔てるものなんて、何一つ要らない。ああ、愛しいフロルが俺を見ている。もっと見てくれ。この身体は、全部フロルのものだ。
「ふふ、コンラート。君、本当にツルツルなんだね」
フロルも自分の衣服に手を掛けながら、俺をベッドに誘う。恥ずかしい。恥ずかしいけど、フロルの瞳から目を逸らせない。
「いやぁ、一度ドワーフともヤってみたかったんだよねぇ。でもほら、ドワーフ女子ってみんな身持ちが固いじゃない?だけどディルクが君とヤったって言うもんだからさぁ」
そう言いながら、彼は最後の下履きを脱ぎ捨てる。一見幼児のようなのに、敏捷な小人族の肉体は美しく引き締まっている。そして、彼のそこは決して幼くない、人間族の成人と比べて遜色のないものだった。
「舐めて」
鼻先に突き出された、黒光りするフロル。さっきシャワーを浴びたばかりなのに、しっかりとオスの匂いがする。フェラなんて初めてだ。だけど、愛しい男のそれを目の前にして、どうして我慢出来るだろうか。そっと手に取り、ゆる勃ちのものに、恐る恐る舌を這わせる。ぺろり、ぺろりと裏筋を舐め上げ、鈴口をくすぐってから、ぬるりと迎え入れる。やったことないけど、こんな風にされたいという妄想は何万回もやった。歯を立てないように、唇で輪っかを作って、吸い上げて。
しかし、想像と実際にやってみるのとでは、全然違う。実物はデカい。半分も咥えてないのに、雄肉が口の中をみっちりと満たす。しかもどんどん太く硬くなっていく。始めたばかりなのに、もう顎が外れそうだ。俺は、口に入り切らない残り半分を右手でやわく扱き、左手で玉をふにふにと愛でながら、懸命に奉仕する。
「あっは。意外と上手いじゃない?」
「んむっ…!」
髪をグッと掴まれ、押し込まれる。嘔吐きながら喉まで迎え入れようとするが、喉の手前で支えて上手く行かない。涙に濡れた目でフロルを見上げれば、クピードーのような無垢な少年が、酷く残忍な表情で俺を見下ろしている。被虐の愉悦でゾクゾクする。
「いいね。じゃあ、続き頑張って」
ベッドに押し倒された俺の口に、改めてフロルのペニスが押し込まれる。今度はシックスナインの形だ。俺のものが、温かく湿った感触に包まれたかと思うと、同時に後孔に、何かでぬめらせた指が侵入して来る。
「んふっ、コンラートの童貞ちんぽ、可愛いね。うわ、本当に狭い。ドワーフってやっぱ、造りからして小っちゃいんだ」
俺の口の中は、フロルでいっぱいだ。硬く勃起したそれが、ぐいぐいと喉の奥を突こうとするたびに、フロルに強引に支配される歓びが、背筋を駆け上がる。凶暴で力強い、オスのシンボル。これが今から、俺のナカに入って来るんだ…。
「だいぶん拡がって来たね。そろそろかな。どう、俺のちんぽ美味しい?」
フロルが楽しそうな声色で、俺の口からペニスを引き抜く。赤黒くて血管がくっきり浮き出たそれは、俺の唾液でてらてらと存在感を放っている。ああ、それが欲しい。それに愛されたい。容赦なくブチ込まれたい。俺の物欲しそうな顔を覗き込みながら、フロルがそれを尻穴に当てがう。
「いっぱい食べさせてあげるよ。ほらッ」
にちゅっ、と先端が割り入って来て、それからぐぬぬ…と中に押し進められる。天使のような外見に似つかわしくない、ガチガチの大人ちんぽ。ナカでしっかり形が分かるくらい。
「すごい…あ…すご…ッ♡」
痺れるような快感が、後孔から脳天へ、そして大きくM字に開かれた脚からつま先へ伝わって行く。フロルを受け入れ、愛される歓びで、身体中が震えている。
「あはっ、キッツ…コンラート、マジすごいね」
根元まで挿入したフロルが、満足げにため息をつく。愛らしい顔立ちに、すっかりオスの表情を浮かべたフロルに、俺はまた恋に落ちている。何でこれまで、運命に気付かなかったのだろう。俺が工房で奉公を始めてから3年。その間、何度か顔を合わせていたはずなのに。
「あっ…あんっ…あんっ…」
ゆるゆるとした動きに合わせて、俺の口からは甘ったるい喘ぎ声が漏れる。好きで出してんじゃない、勝手に———これまで、AVなんか全部演技じゃないかと思ってたけど、本当にこんな声が出るんだ。ふと、野郎のアヘ声なんて気持ち悪いんじゃないかと思い至り、慌てて口を手で押さえたんだけど、その瞬間フロルがそこをぐんとデカくしてガツッと突き上げたので、「はんっ♡」と余計にいやらしい声が出た。
「可愛いね、コンラート。本気で感じちゃってんの?」
フロルが汗で貼り付いた俺の前髪を指で払いのける。艶っぽい仕草がオス臭くて、たまらなくいい。その間も、休むことなくぬちゃぬちゃと突かれて、俺の中のイイところを全部ゴリゴリと擦られてる。一方俺のは、ひっきりなしに射精して、腹がベトベトだ。ああ、俺、抱かれてる。ずっとずっと甘イキして、フロルの腕の中で溺れている。
「フロル…フロルぅ…」
切なさで胸が締め付けられて、涙が止まらない。好きだ。好きだ。
「ん、どした?」
俺は、濡れた頬を撫でるフロルの手に、指を絡める。
「キスして…」
唇は無言で降りて来た。俺たちは夢中で舌を絡め合った。フロルの律動が早くなり、快楽が脳を支配して、二人の境界線が曖昧になる。そうだ、身体なんて二つも要らないんだ。上も下もぴったりと重なって、俺たちはひとつに溶け合う。
「ああ、ヤバい、持たないな。コンラート、出すよ」
「うんっ、イってっ、ナカ、出してっ」
ああ、硬い。フロルがどんどん硬くなって、俺を激しく追い詰める。欲しい。もっと欲しい。もっと強く抱いて、俺をめちゃくちゃに壊して。
「あ”っや”っ、イっぐ…!!!」
フロルが達するまで、俺の方が持たなかった。ひときわ大きなアクメに飲まれ、全身でフロルにしがみつく。
「あっ、このッ…」
フロルはそんな俺を押さえつけ、ガンガンと肉杭を叩きつけると、ようやく射精した。
「い”やッ!!あ、あ、あ…」
絶頂を更に押し上げられ、熱いザーメンを注がれ。何度も何度もアクメしながら、俺はフロルの愛に蕩けた。
ちゅくっ、れろっ。
「ん…ふ…」
名残を惜しみながら、しばらく柔らかいキスを交わす。こんな気持ちのいいキス、初めてだ。こないだは、訳も分からないまま、全てディルクに奪われてしまった。あれはあれでものすごい快楽だったけど、好きな男と結ばれる多幸感には遠く及ばない。
やがて、フロルがにゅるりと身体から押し出された。ずっと繋がっていたかったのに、いやらしい排出感に腰がくねる。
その瞬間、俺の視界は一気にクリアになった。
「いやぁ、出たね!」
———は?
「それにしても、コンラートって結構甘い感じなんだ。ちょっと意外」
フロルはひょいと身を起こすと、さっさと浄化を掛け、慣れた手つきでシャツを身に付ける。
———えっ?
「えっ?」
俺はがばりと身を起こす。何これ。どんなドッキリ。
「ははっ、やだなぁ。君だって興味あったんでしょ?」
俺はいろんな体液に塗れたまま、呆然とフロルを見上げた。
そうだ。あれは魅了だ。小人族の固有スキル。素早く器用だが、矮小な身体しか持たない彼らが、どうして種として生き延びて来られたか。それは魅了があるからだ。いかに美しく儚い外見を持っていても、魔物に襲われればひとたまりもない。生存競争の末に生まれた究極の愛玩種、それが彼らだ。
同じく魅了のスキルを持つ淫魔と同一視されることがあるが、淫魔と違って精気を奪うわけではない。彼らが魅了を使うのは、魔物などから身を守る時だけ。だから、小人族の魅了は、警戒に及ばない。
と、一般的には言われている。
「や、そんなつもりは…」
「もう。あんだけ楽しんどいて、今更じゃないかぁ」
すっかり着衣を身に付けたフロルは、ベッドサイドにひょいと腰掛け、満面の笑みで馴れ馴れしく肩を抱いてくる。俺は手近にあったシーツを胸まで引き上げ、半口を開けたまま虚空を見つめていた。
その後、女性陣と交代で、俺たちは就寝した。現実を上手く受け止められないままシュラフに包まった俺は、しかし気怠い身体を横たえると、あっという間に意識を手放した。
翌日、翌々日の採掘は、話にならなかった。いや、アンデッドは粛々と倒し、ヘルゲのおやっさんと粛々と鉱石を回収し、目標量はしっかりと採集し、帰路に就いた訳だが。
「だからぁ、あのヤリ部屋でヤっちゃったんでしょお~?」
魔術師のヘルトルーデがグイグイ来る。やめれ。てかあそこ、ヤリ部屋やったんか。
「いいじゃねぇかよ、気持ち良ければよぉ。パーっとヤってスカッとな!」
反対側から、狼娘のイーディス。俺は手綱を持ちながら、御者席でひたすら沈黙だ。
「もう、二人とも。そういう話は明るい時間からするものではありませんよ」
神官お姉さんのハリエットが後ろから俺をフォローしようとするが、真っ赤になって言われると、余計居た堪れない。それじゃあもう、ヤったのを全肯定されてるのと同じだ。なお、おやっさんは酒瓶を抱えてイビキをかいている。
ここに来た当初、「ハーレムっちゃあハーレムだが、男扱いされていないとなれば、羨ましくもあり、羨ましくもなし」なんて思ってた時期が、俺にもありました。実態は、正真正銘ハーレムだったわけだが。そして、
「まあまあ、これでコンラートはもう、僕たちの仲間だから。ね、コンラート」
俺もハーレムに加えられようとしているわけだが。
魅了怖ぇ。魅了怖ぇよ。俺あん時、「この世にこんなに好きになれる人なんかいない」とか、「俺はフロルに出会う為に生まれて来た」とか、ありがちなラブソングみたいなこと、本気で思ってたもん。よくRPGで、魅了や混乱を使って敵を同士討ちにして遊んでたけど、「精神異常食らって味方ボコるとかちょれー」とか思っててごめんなさい。マジごめんなさい。あん時フロルに命令されたら、毛ほども躊躇わずに味方殴ってたわ。
「…謹んでご遠慮します」
俺はただ一言そう言うと、ひたすら前方を注視していた。安全運転大事。そして帰ったら、真っ先に精神異常無効のアイテムを開発しよう。絶対にだ。
「君を気に入ったのは本当だよ」
帰りの野営で、フロルがひそりとつぶやいた。さすが斥候、気配殺して来んなよ。ビビったわ。
「君、ヤバいのに目を付けられてるでしょ。いよいよ危なくなったら、僕が逃してあげるから」
それだけ言うと、彼は何事もなかったかのように、自分のシュラフに潜り込んだ。確かに、ヤバいと言えばヤバいけど…ディルクは今のところ、アールトとバルドゥルが抑えててくれてるしな。それより、ヤバさで言えば、フロルだって十分ヤバい。
自分の意思なんか関係なく、暴力的な快楽で強制的にイかされまくるディルクのセックスもヤバかったけど、魅了でメロメロにされてひたすら溶かされるフロルのセックスも、ガチでヤバかった。特にキスハメ、あれはダメだ。だいしゅきホールドまでやっちまったじゃないか。一応俺も男だし、女の子との脱童貞の夢は捨てた訳じゃないから、ホイホイと誘いに乗るのはプライドが許さないんだけど———正直言って、奴らとのセックスを思い出すと、尻穴が疼き出すまである。
くそっ。このまま不能になって、ケツでしかイけなくなったらどうしてくれる。
俺は今世こそ、絶対に童貞を捨ててやるんだ。癒し系のボインボインなお姉さんと、キャッキャウフフするんだ。俺の戦いは、これからだ!
その瞬間、俺は全てを理解した。
フロルが好きだ。フロルが欲しい。茶色い巻き毛の、愛らしい少年。だけど彼こそが、俺の魂の片割れ。
「脱ぎなよ、コンラート」
そうだ。脱がなきゃ。やっとフロルと二人きり、服なんて無粋だ。彼と俺とを隔てるものなんて、何一つ要らない。ああ、愛しいフロルが俺を見ている。もっと見てくれ。この身体は、全部フロルのものだ。
「ふふ、コンラート。君、本当にツルツルなんだね」
フロルも自分の衣服に手を掛けながら、俺をベッドに誘う。恥ずかしい。恥ずかしいけど、フロルの瞳から目を逸らせない。
「いやぁ、一度ドワーフともヤってみたかったんだよねぇ。でもほら、ドワーフ女子ってみんな身持ちが固いじゃない?だけどディルクが君とヤったって言うもんだからさぁ」
そう言いながら、彼は最後の下履きを脱ぎ捨てる。一見幼児のようなのに、敏捷な小人族の肉体は美しく引き締まっている。そして、彼のそこは決して幼くない、人間族の成人と比べて遜色のないものだった。
「舐めて」
鼻先に突き出された、黒光りするフロル。さっきシャワーを浴びたばかりなのに、しっかりとオスの匂いがする。フェラなんて初めてだ。だけど、愛しい男のそれを目の前にして、どうして我慢出来るだろうか。そっと手に取り、ゆる勃ちのものに、恐る恐る舌を這わせる。ぺろり、ぺろりと裏筋を舐め上げ、鈴口をくすぐってから、ぬるりと迎え入れる。やったことないけど、こんな風にされたいという妄想は何万回もやった。歯を立てないように、唇で輪っかを作って、吸い上げて。
しかし、想像と実際にやってみるのとでは、全然違う。実物はデカい。半分も咥えてないのに、雄肉が口の中をみっちりと満たす。しかもどんどん太く硬くなっていく。始めたばかりなのに、もう顎が外れそうだ。俺は、口に入り切らない残り半分を右手でやわく扱き、左手で玉をふにふにと愛でながら、懸命に奉仕する。
「あっは。意外と上手いじゃない?」
「んむっ…!」
髪をグッと掴まれ、押し込まれる。嘔吐きながら喉まで迎え入れようとするが、喉の手前で支えて上手く行かない。涙に濡れた目でフロルを見上げれば、クピードーのような無垢な少年が、酷く残忍な表情で俺を見下ろしている。被虐の愉悦でゾクゾクする。
「いいね。じゃあ、続き頑張って」
ベッドに押し倒された俺の口に、改めてフロルのペニスが押し込まれる。今度はシックスナインの形だ。俺のものが、温かく湿った感触に包まれたかと思うと、同時に後孔に、何かでぬめらせた指が侵入して来る。
「んふっ、コンラートの童貞ちんぽ、可愛いね。うわ、本当に狭い。ドワーフってやっぱ、造りからして小っちゃいんだ」
俺の口の中は、フロルでいっぱいだ。硬く勃起したそれが、ぐいぐいと喉の奥を突こうとするたびに、フロルに強引に支配される歓びが、背筋を駆け上がる。凶暴で力強い、オスのシンボル。これが今から、俺のナカに入って来るんだ…。
「だいぶん拡がって来たね。そろそろかな。どう、俺のちんぽ美味しい?」
フロルが楽しそうな声色で、俺の口からペニスを引き抜く。赤黒くて血管がくっきり浮き出たそれは、俺の唾液でてらてらと存在感を放っている。ああ、それが欲しい。それに愛されたい。容赦なくブチ込まれたい。俺の物欲しそうな顔を覗き込みながら、フロルがそれを尻穴に当てがう。
「いっぱい食べさせてあげるよ。ほらッ」
にちゅっ、と先端が割り入って来て、それからぐぬぬ…と中に押し進められる。天使のような外見に似つかわしくない、ガチガチの大人ちんぽ。ナカでしっかり形が分かるくらい。
「すごい…あ…すご…ッ♡」
痺れるような快感が、後孔から脳天へ、そして大きくM字に開かれた脚からつま先へ伝わって行く。フロルを受け入れ、愛される歓びで、身体中が震えている。
「あはっ、キッツ…コンラート、マジすごいね」
根元まで挿入したフロルが、満足げにため息をつく。愛らしい顔立ちに、すっかりオスの表情を浮かべたフロルに、俺はまた恋に落ちている。何でこれまで、運命に気付かなかったのだろう。俺が工房で奉公を始めてから3年。その間、何度か顔を合わせていたはずなのに。
「あっ…あんっ…あんっ…」
ゆるゆるとした動きに合わせて、俺の口からは甘ったるい喘ぎ声が漏れる。好きで出してんじゃない、勝手に———これまで、AVなんか全部演技じゃないかと思ってたけど、本当にこんな声が出るんだ。ふと、野郎のアヘ声なんて気持ち悪いんじゃないかと思い至り、慌てて口を手で押さえたんだけど、その瞬間フロルがそこをぐんとデカくしてガツッと突き上げたので、「はんっ♡」と余計にいやらしい声が出た。
「可愛いね、コンラート。本気で感じちゃってんの?」
フロルが汗で貼り付いた俺の前髪を指で払いのける。艶っぽい仕草がオス臭くて、たまらなくいい。その間も、休むことなくぬちゃぬちゃと突かれて、俺の中のイイところを全部ゴリゴリと擦られてる。一方俺のは、ひっきりなしに射精して、腹がベトベトだ。ああ、俺、抱かれてる。ずっとずっと甘イキして、フロルの腕の中で溺れている。
「フロル…フロルぅ…」
切なさで胸が締め付けられて、涙が止まらない。好きだ。好きだ。
「ん、どした?」
俺は、濡れた頬を撫でるフロルの手に、指を絡める。
「キスして…」
唇は無言で降りて来た。俺たちは夢中で舌を絡め合った。フロルの律動が早くなり、快楽が脳を支配して、二人の境界線が曖昧になる。そうだ、身体なんて二つも要らないんだ。上も下もぴったりと重なって、俺たちはひとつに溶け合う。
「ああ、ヤバい、持たないな。コンラート、出すよ」
「うんっ、イってっ、ナカ、出してっ」
ああ、硬い。フロルがどんどん硬くなって、俺を激しく追い詰める。欲しい。もっと欲しい。もっと強く抱いて、俺をめちゃくちゃに壊して。
「あ”っや”っ、イっぐ…!!!」
フロルが達するまで、俺の方が持たなかった。ひときわ大きなアクメに飲まれ、全身でフロルにしがみつく。
「あっ、このッ…」
フロルはそんな俺を押さえつけ、ガンガンと肉杭を叩きつけると、ようやく射精した。
「い”やッ!!あ、あ、あ…」
絶頂を更に押し上げられ、熱いザーメンを注がれ。何度も何度もアクメしながら、俺はフロルの愛に蕩けた。
ちゅくっ、れろっ。
「ん…ふ…」
名残を惜しみながら、しばらく柔らかいキスを交わす。こんな気持ちのいいキス、初めてだ。こないだは、訳も分からないまま、全てディルクに奪われてしまった。あれはあれでものすごい快楽だったけど、好きな男と結ばれる多幸感には遠く及ばない。
やがて、フロルがにゅるりと身体から押し出された。ずっと繋がっていたかったのに、いやらしい排出感に腰がくねる。
その瞬間、俺の視界は一気にクリアになった。
「いやぁ、出たね!」
———は?
「それにしても、コンラートって結構甘い感じなんだ。ちょっと意外」
フロルはひょいと身を起こすと、さっさと浄化を掛け、慣れた手つきでシャツを身に付ける。
———えっ?
「えっ?」
俺はがばりと身を起こす。何これ。どんなドッキリ。
「ははっ、やだなぁ。君だって興味あったんでしょ?」
俺はいろんな体液に塗れたまま、呆然とフロルを見上げた。
そうだ。あれは魅了だ。小人族の固有スキル。素早く器用だが、矮小な身体しか持たない彼らが、どうして種として生き延びて来られたか。それは魅了があるからだ。いかに美しく儚い外見を持っていても、魔物に襲われればひとたまりもない。生存競争の末に生まれた究極の愛玩種、それが彼らだ。
同じく魅了のスキルを持つ淫魔と同一視されることがあるが、淫魔と違って精気を奪うわけではない。彼らが魅了を使うのは、魔物などから身を守る時だけ。だから、小人族の魅了は、警戒に及ばない。
と、一般的には言われている。
「や、そんなつもりは…」
「もう。あんだけ楽しんどいて、今更じゃないかぁ」
すっかり着衣を身に付けたフロルは、ベッドサイドにひょいと腰掛け、満面の笑みで馴れ馴れしく肩を抱いてくる。俺は手近にあったシーツを胸まで引き上げ、半口を開けたまま虚空を見つめていた。
その後、女性陣と交代で、俺たちは就寝した。現実を上手く受け止められないままシュラフに包まった俺は、しかし気怠い身体を横たえると、あっという間に意識を手放した。
翌日、翌々日の採掘は、話にならなかった。いや、アンデッドは粛々と倒し、ヘルゲのおやっさんと粛々と鉱石を回収し、目標量はしっかりと採集し、帰路に就いた訳だが。
「だからぁ、あのヤリ部屋でヤっちゃったんでしょお~?」
魔術師のヘルトルーデがグイグイ来る。やめれ。てかあそこ、ヤリ部屋やったんか。
「いいじゃねぇかよ、気持ち良ければよぉ。パーっとヤってスカッとな!」
反対側から、狼娘のイーディス。俺は手綱を持ちながら、御者席でひたすら沈黙だ。
「もう、二人とも。そういう話は明るい時間からするものではありませんよ」
神官お姉さんのハリエットが後ろから俺をフォローしようとするが、真っ赤になって言われると、余計居た堪れない。それじゃあもう、ヤったのを全肯定されてるのと同じだ。なお、おやっさんは酒瓶を抱えてイビキをかいている。
ここに来た当初、「ハーレムっちゃあハーレムだが、男扱いされていないとなれば、羨ましくもあり、羨ましくもなし」なんて思ってた時期が、俺にもありました。実態は、正真正銘ハーレムだったわけだが。そして、
「まあまあ、これでコンラートはもう、僕たちの仲間だから。ね、コンラート」
俺もハーレムに加えられようとしているわけだが。
魅了怖ぇ。魅了怖ぇよ。俺あん時、「この世にこんなに好きになれる人なんかいない」とか、「俺はフロルに出会う為に生まれて来た」とか、ありがちなラブソングみたいなこと、本気で思ってたもん。よくRPGで、魅了や混乱を使って敵を同士討ちにして遊んでたけど、「精神異常食らって味方ボコるとかちょれー」とか思っててごめんなさい。マジごめんなさい。あん時フロルに命令されたら、毛ほども躊躇わずに味方殴ってたわ。
「…謹んでご遠慮します」
俺はただ一言そう言うと、ひたすら前方を注視していた。安全運転大事。そして帰ったら、真っ先に精神異常無効のアイテムを開発しよう。絶対にだ。
「君を気に入ったのは本当だよ」
帰りの野営で、フロルがひそりとつぶやいた。さすが斥候、気配殺して来んなよ。ビビったわ。
「君、ヤバいのに目を付けられてるでしょ。いよいよ危なくなったら、僕が逃してあげるから」
それだけ言うと、彼は何事もなかったかのように、自分のシュラフに潜り込んだ。確かに、ヤバいと言えばヤバいけど…ディルクは今のところ、アールトとバルドゥルが抑えててくれてるしな。それより、ヤバさで言えば、フロルだって十分ヤバい。
自分の意思なんか関係なく、暴力的な快楽で強制的にイかされまくるディルクのセックスもヤバかったけど、魅了でメロメロにされてひたすら溶かされるフロルのセックスも、ガチでヤバかった。特にキスハメ、あれはダメだ。だいしゅきホールドまでやっちまったじゃないか。一応俺も男だし、女の子との脱童貞の夢は捨てた訳じゃないから、ホイホイと誘いに乗るのはプライドが許さないんだけど———正直言って、奴らとのセックスを思い出すと、尻穴が疼き出すまである。
くそっ。このまま不能になって、ケツでしかイけなくなったらどうしてくれる。
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