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第三章 現代編
第63話 「冒険者の彼女は凶暴です」…えんじょい☆ざ『異世界日本』
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第54話の続きになります
*****
「あいだだだだだだ!! ギブギブギブ! ギブアップ!!」
「もう、この程度で終わってたら練習にならないでしょ? もうちょい頑張れ」
「おぎゃあああああ!!」
「ほら、声が大きい」
「おひょほほおおお!!」
私が住んでる部屋に、いわゆるヤンチャしてます系のニーチャンが四人転がっている。
うち二人はテーピングや包帯でグルグル巻きだ。
ケガした彼等は、最初は女の私が手当てすることに少し好色な表情を浮かべていた。
だけどそれもフェットチーネさんの、「軽傷のヤツは治療の実験台にしてエエですよ」の言葉と同時に、私が彼等に飛び掛かるまでだった。
「いやぁ丁度良かった。鍼灸とマッサージの専門学校で習った、整体の練習をしたかった所やったんですわ~」
ぐりっ。ぎゃあああああああ!
「やっぱ一回二回では覚えられへんですからね~」
ごきっ。ぐええええええええ!
「ところで、結局この人達はいったい何なんですか?」
ぐいいっ。ぎゃあ股が裂ける!
「さあ? 街中で突然私を口説いてきたと思たら、人気の無い所に連れ込もうとしたし、ちょっとシバき回したっただけですけど?」
そう私の問いに答えるフェットチーネさん。その手は、床に座らせた蒼い顔をしたニーチャンの肩を、ガッチリとホールドしている。
私の治療の「実験台」となった仲間を見て、ニーチャンは恐れ慄く。
「え? フェットチーネさん魔法師やったよね?」
と、肘を別のニーチャンの腰にぐりぐりと押さえつけながら、私は聞いた。
フェットチーネさんは事も無げに答える。
「せやで? ……ああ、私は護身術に格闘技も習ってたし、対人はソコソコいけんねん」
「いや、男四人をノしてる段階でソコソコってレベルちゃいますよ。格闘技習てる男でも四人相手やと厳しいんちゃいます?」
ニーチャン全員が必死にコクコクと頭を縦に振って、私の言葉を肯定している。
「そーゆーモンなん? 私は木刀持った旦那相手に、二回か三回に一回しか勝てませんでしたけど」
「いやいや、長物を持った相手に素手でそんだけ勝てたら充分凄いですって。フェットチーネさん格闘家としてデビューしたら、イケるんちゃいますか? 何ちゃら延命流とか名乗って」
ぐりぐりぃっ。
ビクリという感覚が走って、私の肘の下のニーチャンが黙ってしまった。訝しげに見ると、痛みの余りに声が出せず、口をパクパクさせて悶絶していた。
それを見た他の三人のニーチャンが震え上がる。
「格闘技なのに相手を延命してどないするんですか。それに私、この世界の事をまだあんまし知らへんしな~。」
そして四人のニーチャンズを見渡して、ニッコリ笑ってフェットチーネさんは続けた。
「誰が殺して大丈夫なヤツなんか、まだ把握出来てへんうちは、そういうのは……な」
「「「「ひぎいいいいいい!」」」」
もう保健所に捕まった捨て犬のように、可哀想なぐらい震えるニーチャンズ。
いや、もうそろそろ許してあげようよフェットチーネさん。私も残り三人を治療実験の餌食にしてから解放するつもりやし。
ああ、こいつら解放した後で部屋を片付けないと、外出から帰ってきたブランちゃんが怒るやろうなぁ。
私はこいつ等を治療しながら、そんな事をボンヤリと考えていた。
フェットチーネさんも、怯えたニーチャンズの様子を見て、逃亡のおそれ無しと見て流しに行き、コップに水を汲み始める。
まさにその時だった。
「なんやお前ら、女相手にやられたんか。情けない連中やな。ん? お前は……」
そう言いながら、流しのすぐ横にある部屋の入り口に立つ、白いスーツをきた髭面のヤクザさん。あ、この人は──。
私がそう思ったのと、フェットチーネさんが反応したのは同時だった。
フェットチーネさんは、手に持つコップの中の水を、白いスーツの男の人に浴びせかける。
白いスーツのヤクザの人は、思わず反射的にその浴びせかけられた水を、腕を上げてガードした。
そこを目がけてフェットチーネさんが思い切り蹴りを入れる。うわ、私が傍目から見ても、軸足で地面をガッチリ掴んで、その踏ん張りを全部蹴りに伝え切ってるわ。
私が言うのも何だけど、とても女性が繰り出した蹴りの威力とは思えない。
それが証拠に男の人が壁に叩きつけられて、衝撃で一瞬フリーズしちゃったもの。
しかもフェットチーネさんの攻撃はそれで終わらなかった。
相手に蹴り込んだ足を相手の身体に引っ掛け、それを支点にフェットチーネさんは自身の身体を引き上げ空中に浮かせる。
そしてそこから空中で回し蹴り!
フェットチーネさんの蹴りが、男の人の側頭部に綺麗にぶち当たる。
白スーツのヤクザさんは思い切り床に叩きつけられた。
ヤクザの男の人は、何とか腕を自分の頭とフェットチーネさんの蹴りとの間に入れていたようだった。
フェットチーネさんは、すかさず倒れたヤクザの男の人の頭に、更に追撃を入れようとする。
振りかぶっていた右手を、男の人の頭に振り下ろす。彼女の右手に青白い炎が燃え上がっていた。──え? あれって……。
しかしそれを気にする余裕など私には無かった。
それこそ反射的に私はフェットチーネさんに叫んで、必死に制止の声をかける。四人のニーチャンズもほぼ同時に叫んでいた。
「ストップ! ストップ! ストーーップッッ!! それ以上バローロさんを攻撃しちゃダメーーーーっ!!」
「「「「バローロの兄貴!?」」」」
フェットチーネさんの右手は、バローロさんの頭の上ギリギリで止まっていた。
*****
「全く。クラム、お前の部屋やからと若い衆を外に置いてきといて良かったわ。若い衆に今のを見られとったら、この姉ちゃんにどんな形であれ、ケジメ付けささなあかんとこやったで」
そういえば、翻訳魔法が効いていない環境でバローロさんの喋りを聞くのは初めてだったかもしれない。
「くそ、こいつら半グレ共のケツ持ちやってへんかったら、こんな風には……」
異世界から来た髭面のエルフでヤクザやってて、ドスの効いた関西弁で威圧してるって考えると、ある意味凄い光景。
かく言う私も異世界のエルフやけどな。いややわあ。
「こんな事やったら、いつものフルプレートアーマー着といた方が良かったな。ったく、『現代社会に溶け込むにはスーツやないと』って言葉を聞くん違うかったわ」
「いや、その助言してくれた人の方が絶対正しいです、バローロさん」
と、思わず私がツッコミ。
そしてバローロさんは四人のニーチャンズに向かって言った。
「おめーら、バローロって表では言うなっつったやろうが! 表じゃ若頭か頭って呼べや!!」
言われてニーチャンズは口を揃えて「すんません、バロー……頭」と返事をする。
そしてバローロさんは苦々しげな表情をして、フェットチーネさんにこぼした。
「くそ、女にココまでやられたんは、タリスの他にはお前だけや、人間のねーちゃん」
そのバローロさんの言葉に、フェットチーネさんは怪訝な顔をする。
訝しげな表情のまま、フェットチーネさんはバローロさんに聞き返した。
「人間……? まるで貴方自身が人間と違うみたいな言い方しはるんですね」
あっ……。
「何を言うとんのやお前。ワシもクラムも、ここに一緒に住んでるブランも皆エルフやないか」
そう言われてフェットチーネさんは、「えっ!?」と素っ頓狂な声をあげる。
そしてバローロさんと私の耳の辺りを注視して、再び「ええッ!?」と声をあげた。
バローロさんが私をジト目で睨む。
ヤメテ、私ヲソンナ目デ見ナイデ!
「クラム……お前、この女に耳隠しの魔法のこと言うてへんかったんか?」
「ごごごごごごごめんなさいっ!!」
「ちっ……まあええわ。異世界からの客やいうても、部外者にホイホイ言うモンちゃうしな。お前らの知り合いで、ママに報告してるんや無かったら黙ってるところや」
ふう、助かっ……ヒィィ、バローロさんがまだコッチ見てる!!
で、目を私から外したバローロさんは、フェットチーネさんへ目を向けた。
「んで……肝心のアンタの名前は何や」
そんなバローロさんの問いかけに、フェットチーネさんは警戒しながら答える。
「今は笛藤……と名乗っています」
あ、フェットチーネさん本当の名前は一旦伏せるつもりなのね。
しかし、フェットチーネさんの偽名を聞いてバローロさんが少し眉をひそめた。
「笛藤? フエトウ、か。んん? なんか聞き覚えがある気がすんな」
そう言ってしばらくウンウンと唸っていたバローロさんだったが、やがてすぐに肩を竦めた。
「ま、ええわ。思い出せんっちゅう事は気のせいやっちゅう事やろ。ほら行くぞお前ら」
そうして立ったニーチャンズだけど、口々に「あれ、痛くない?」とか「身体が軽くなった!?」とか言っている。よっしゃあ。
「ほう、実力はちゃんと付いとるようやな、クラム……いや、倉持」
そう言ってバローロさんはニーチャンズを連れて出て行った。
*****
「そんでえっと、フェットチー……笛藤さん、後ろの方々は一体なんでしょうか?」
「さあ? あのあと突然『姐さんと呼ばせてください!』って私の所へ押し掛けて来たんやけど」
「ちっす! あの時はお世話になりました倉持の姐さん!」
「ちっす! 若頭に頼んで姐さんの付き人にしてもらいました!」
「ちっす! 誠心誠意、姐さんの手足となって働きます!」
「ちっす! 姐さんのオッパイいつか触りたいです!」
最後の一人にフェットチーネさんの鉄拳が見舞われた後、残り三人が袋叩きにする。
そして四人のニーチャンズが口を揃えて。
「「「「これからよろしくッス!」」」」
そして、そんな四人を複雑そうな顔で眺めるフェットチーネさん。
私、しーらないっと。
*****
「あいだだだだだだ!! ギブギブギブ! ギブアップ!!」
「もう、この程度で終わってたら練習にならないでしょ? もうちょい頑張れ」
「おぎゃあああああ!!」
「ほら、声が大きい」
「おひょほほおおお!!」
私が住んでる部屋に、いわゆるヤンチャしてます系のニーチャンが四人転がっている。
うち二人はテーピングや包帯でグルグル巻きだ。
ケガした彼等は、最初は女の私が手当てすることに少し好色な表情を浮かべていた。
だけどそれもフェットチーネさんの、「軽傷のヤツは治療の実験台にしてエエですよ」の言葉と同時に、私が彼等に飛び掛かるまでだった。
「いやぁ丁度良かった。鍼灸とマッサージの専門学校で習った、整体の練習をしたかった所やったんですわ~」
ぐりっ。ぎゃあああああああ!
「やっぱ一回二回では覚えられへんですからね~」
ごきっ。ぐええええええええ!
「ところで、結局この人達はいったい何なんですか?」
ぐいいっ。ぎゃあ股が裂ける!
「さあ? 街中で突然私を口説いてきたと思たら、人気の無い所に連れ込もうとしたし、ちょっとシバき回したっただけですけど?」
そう私の問いに答えるフェットチーネさん。その手は、床に座らせた蒼い顔をしたニーチャンの肩を、ガッチリとホールドしている。
私の治療の「実験台」となった仲間を見て、ニーチャンは恐れ慄く。
「え? フェットチーネさん魔法師やったよね?」
と、肘を別のニーチャンの腰にぐりぐりと押さえつけながら、私は聞いた。
フェットチーネさんは事も無げに答える。
「せやで? ……ああ、私は護身術に格闘技も習ってたし、対人はソコソコいけんねん」
「いや、男四人をノしてる段階でソコソコってレベルちゃいますよ。格闘技習てる男でも四人相手やと厳しいんちゃいます?」
ニーチャン全員が必死にコクコクと頭を縦に振って、私の言葉を肯定している。
「そーゆーモンなん? 私は木刀持った旦那相手に、二回か三回に一回しか勝てませんでしたけど」
「いやいや、長物を持った相手に素手でそんだけ勝てたら充分凄いですって。フェットチーネさん格闘家としてデビューしたら、イケるんちゃいますか? 何ちゃら延命流とか名乗って」
ぐりぐりぃっ。
ビクリという感覚が走って、私の肘の下のニーチャンが黙ってしまった。訝しげに見ると、痛みの余りに声が出せず、口をパクパクさせて悶絶していた。
それを見た他の三人のニーチャンが震え上がる。
「格闘技なのに相手を延命してどないするんですか。それに私、この世界の事をまだあんまし知らへんしな~。」
そして四人のニーチャンズを見渡して、ニッコリ笑ってフェットチーネさんは続けた。
「誰が殺して大丈夫なヤツなんか、まだ把握出来てへんうちは、そういうのは……な」
「「「「ひぎいいいいいい!」」」」
もう保健所に捕まった捨て犬のように、可哀想なぐらい震えるニーチャンズ。
いや、もうそろそろ許してあげようよフェットチーネさん。私も残り三人を治療実験の餌食にしてから解放するつもりやし。
ああ、こいつら解放した後で部屋を片付けないと、外出から帰ってきたブランちゃんが怒るやろうなぁ。
私はこいつ等を治療しながら、そんな事をボンヤリと考えていた。
フェットチーネさんも、怯えたニーチャンズの様子を見て、逃亡のおそれ無しと見て流しに行き、コップに水を汲み始める。
まさにその時だった。
「なんやお前ら、女相手にやられたんか。情けない連中やな。ん? お前は……」
そう言いながら、流しのすぐ横にある部屋の入り口に立つ、白いスーツをきた髭面のヤクザさん。あ、この人は──。
私がそう思ったのと、フェットチーネさんが反応したのは同時だった。
フェットチーネさんは、手に持つコップの中の水を、白いスーツの男の人に浴びせかける。
白いスーツのヤクザの人は、思わず反射的にその浴びせかけられた水を、腕を上げてガードした。
そこを目がけてフェットチーネさんが思い切り蹴りを入れる。うわ、私が傍目から見ても、軸足で地面をガッチリ掴んで、その踏ん張りを全部蹴りに伝え切ってるわ。
私が言うのも何だけど、とても女性が繰り出した蹴りの威力とは思えない。
それが証拠に男の人が壁に叩きつけられて、衝撃で一瞬フリーズしちゃったもの。
しかもフェットチーネさんの攻撃はそれで終わらなかった。
相手に蹴り込んだ足を相手の身体に引っ掛け、それを支点にフェットチーネさんは自身の身体を引き上げ空中に浮かせる。
そしてそこから空中で回し蹴り!
フェットチーネさんの蹴りが、男の人の側頭部に綺麗にぶち当たる。
白スーツのヤクザさんは思い切り床に叩きつけられた。
ヤクザの男の人は、何とか腕を自分の頭とフェットチーネさんの蹴りとの間に入れていたようだった。
フェットチーネさんは、すかさず倒れたヤクザの男の人の頭に、更に追撃を入れようとする。
振りかぶっていた右手を、男の人の頭に振り下ろす。彼女の右手に青白い炎が燃え上がっていた。──え? あれって……。
しかしそれを気にする余裕など私には無かった。
それこそ反射的に私はフェットチーネさんに叫んで、必死に制止の声をかける。四人のニーチャンズもほぼ同時に叫んでいた。
「ストップ! ストップ! ストーーップッッ!! それ以上バローロさんを攻撃しちゃダメーーーーっ!!」
「「「「バローロの兄貴!?」」」」
フェットチーネさんの右手は、バローロさんの頭の上ギリギリで止まっていた。
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「全く。クラム、お前の部屋やからと若い衆を外に置いてきといて良かったわ。若い衆に今のを見られとったら、この姉ちゃんにどんな形であれ、ケジメ付けささなあかんとこやったで」
そういえば、翻訳魔法が効いていない環境でバローロさんの喋りを聞くのは初めてだったかもしれない。
「くそ、こいつら半グレ共のケツ持ちやってへんかったら、こんな風には……」
異世界から来た髭面のエルフでヤクザやってて、ドスの効いた関西弁で威圧してるって考えると、ある意味凄い光景。
かく言う私も異世界のエルフやけどな。いややわあ。
「こんな事やったら、いつものフルプレートアーマー着といた方が良かったな。ったく、『現代社会に溶け込むにはスーツやないと』って言葉を聞くん違うかったわ」
「いや、その助言してくれた人の方が絶対正しいです、バローロさん」
と、思わず私がツッコミ。
そしてバローロさんは四人のニーチャンズに向かって言った。
「おめーら、バローロって表では言うなっつったやろうが! 表じゃ若頭か頭って呼べや!!」
言われてニーチャンズは口を揃えて「すんません、バロー……頭」と返事をする。
そしてバローロさんは苦々しげな表情をして、フェットチーネさんにこぼした。
「くそ、女にココまでやられたんは、タリスの他にはお前だけや、人間のねーちゃん」
そのバローロさんの言葉に、フェットチーネさんは怪訝な顔をする。
訝しげな表情のまま、フェットチーネさんはバローロさんに聞き返した。
「人間……? まるで貴方自身が人間と違うみたいな言い方しはるんですね」
あっ……。
「何を言うとんのやお前。ワシもクラムも、ここに一緒に住んでるブランも皆エルフやないか」
そう言われてフェットチーネさんは、「えっ!?」と素っ頓狂な声をあげる。
そしてバローロさんと私の耳の辺りを注視して、再び「ええッ!?」と声をあげた。
バローロさんが私をジト目で睨む。
ヤメテ、私ヲソンナ目デ見ナイデ!
「クラム……お前、この女に耳隠しの魔法のこと言うてへんかったんか?」
「ごごごごごごごめんなさいっ!!」
「ちっ……まあええわ。異世界からの客やいうても、部外者にホイホイ言うモンちゃうしな。お前らの知り合いで、ママに報告してるんや無かったら黙ってるところや」
ふう、助かっ……ヒィィ、バローロさんがまだコッチ見てる!!
で、目を私から外したバローロさんは、フェットチーネさんへ目を向けた。
「んで……肝心のアンタの名前は何や」
そんなバローロさんの問いかけに、フェットチーネさんは警戒しながら答える。
「今は笛藤……と名乗っています」
あ、フェットチーネさん本当の名前は一旦伏せるつもりなのね。
しかし、フェットチーネさんの偽名を聞いてバローロさんが少し眉をひそめた。
「笛藤? フエトウ、か。んん? なんか聞き覚えがある気がすんな」
そう言ってしばらくウンウンと唸っていたバローロさんだったが、やがてすぐに肩を竦めた。
「ま、ええわ。思い出せんっちゅう事は気のせいやっちゅう事やろ。ほら行くぞお前ら」
そうして立ったニーチャンズだけど、口々に「あれ、痛くない?」とか「身体が軽くなった!?」とか言っている。よっしゃあ。
「ほう、実力はちゃんと付いとるようやな、クラム……いや、倉持」
そう言ってバローロさんはニーチャンズを連れて出て行った。
*****
「そんでえっと、フェットチー……笛藤さん、後ろの方々は一体なんでしょうか?」
「さあ? あのあと突然『姐さんと呼ばせてください!』って私の所へ押し掛けて来たんやけど」
「ちっす! あの時はお世話になりました倉持の姐さん!」
「ちっす! 若頭に頼んで姐さんの付き人にしてもらいました!」
「ちっす! 誠心誠意、姐さんの手足となって働きます!」
「ちっす! 姐さんのオッパイいつか触りたいです!」
最後の一人にフェットチーネさんの鉄拳が見舞われた後、残り三人が袋叩きにする。
そして四人のニーチャンズが口を揃えて。
「「「「これからよろしくッス!」」」」
そして、そんな四人を複雑そうな顔で眺めるフェットチーネさん。
私、しーらないっと。
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