65 / 128
第三章 現代編
第64話 ─ 私待つわ ─…ある男の独白
しおりを挟む
「ありがとう、世話になった」
「ふむ、素直に頑張ったなと称賛しておこう。才能的には中の上か上の下といったところだが、食らいつく意思と努力は一級品だ」
「全然素直じゃないな、兄者。率直にこの妖精族の根性が気に入ったと言えば良いのに」
「い、いやしかしそれは、アレだ。何というか……むう」
弟のモリィに突っ込まれて慌てる兄。
そんな反応してると、見てるこっちも居心地悪いって。
「あ~……。うん、こっちも何か気恥ずかしいから無理しなくて良いぜ?」
ビッグママが呆れ半分に言う。
「おやおや似た者同士ってヤツかい。殴り合って仲良くなるって、男は単純でいいねえ」
「アンタなら、私の世界に来てもサムライとしてやっていけそうね。きっと妖刀ムラマサも、アンタなら上手く扱えるんじゃないかしら」
と、タリスも言う。
「ムラマサ? 刀の名前か?」
「そうよ」
それで思い出した。退魔の刀を入手しに来たんだった。訓練ですっかり忘れていたぜ。
「そうだ、肝心な事を忘れていた。退魔の能力を持った刀を入手しに来たんだ、俺は」
「その事か。そうだな、これから鍛造するから一ヶ月後といったところか」
「何だと? じゃあここに沢山ある刀は何なんだよ?」
「数打ち、試し打ちといった粗悪品だ。美術品としてなら、そこそこの価値が付くだろうがな」
「数打ち……えーと、業物ってのが高級品なんだっけ?」
「高級……まぁ斬れ味等の刀の性能が高いという意味では高級か。うむ、業物はあるにはあるが、退魔の能力は持ってはおらん。……それに」
と兄以蔵が、部屋の入り口から顔をぴょこりと覗かせている存在へ目をやる。
そいつが反射的に顔を引っ込めようとするのを止めるように、声を掛けた。
「これ。恥ずかしがっていないで、こちらへ来るのだ。これからお前がお世話になる方なのだから、もっと顔を合わせておけ」
「……は? どういうことだ?」
こちらへ近づく、顔を覗かせていた存在。
年の頃はタリスと同じく十代後半から二十代前半ぐらいか? もう少し若いか。
赤い着物を着た、赤毛でショートカットの美しい少女がこちらへやって来た。少しモジモジしながら。彼女の頭には狼の耳。
しかし……。
「誰だコイツ? ここにもう一人居たなんて気がつかなかったな」
モリィ以蔵が少し得意げに言う。
「いや、確かに最初は居なかった。コイツはお前が切り落とした、我等の後ろ足だ」
「???」
いきなり何を言い出すんだコイツ。
しかし、盛大に疑問符を浮かべまくった俺の表情を、その顔が見たかったというふうに笑って、モリィ以蔵は続けて言った。
「我等は本来、決まった形を持たない。そして兄者と俺が、本来はひとつの存在であるように、また逆にある程度はその存在を分ける事が出来る」
兄以蔵がその後を引き継いで話す。
「いきなり我等の身体を、気の斬撃で切り飛ばしたお主に敬意を表してな。弟と二人で相談して、この切り飛ばされた身体の力を退魔刀に宿そうという事になった」
「宿す以上は人格を持たさなければならない。兄者の……我等の打つ退魔の刀はそういう作りなのだ」
だが俺は目の前の、少女の面影を残す女性を指差して言った。
「で、何で女になってるんだ?」
「我等は決まった形を持つ訳ではない。男の姿も女の姿も狼の姿も仮初のもの」
そう言って、兄以蔵が黒髪の妖艶な女性の姿に変わった。
うっ、男の時より大人びた顔つきになりやがったよ。ちょっと雰囲気がフェットに似ていやがる。
兄以蔵は姉以蔵に変わった!!
俺はそんな自分の思考がツボにハマり吹き出しそうになったので、必死に堪える。
そんな俺を見て、ビッグママが呆れたように頭を振りながら話す。
「私もだいぶお前さんが掴めてきたよ。いまロクでもない、下らない事を考えてただろう?」
「う……む……ぷっ、くくくっ」
「はぁ。アンタたち、また人斬り盛以蔵になってこの男を斬るかい?」
「我等が妹が、その男を気に入っている。止めておこう」
「ぶふっ、そ、その人斬り盛以蔵ってのは……くくくっ、な、何だ?」
「明治維新の時に人斬り以蔵って人がいましたの。私達もその時に何人か、刀の試し斬りも兼ねて斬ってます。あとはごく稀にビッグママさんの組織に手を貸したことも」
少女が説明してくれた。
ようやく笑いがおさまってきた俺は、そのセリフに答えた。
「なるほど。ある意味そこまで刀の為に情熱を傾けているって訳だ」
「それに、日本刀なんて物をステイツに密輸するんだし、その準備に結局は時間がかかるから丁度いいじゃないか」
とは、ビッグママの言。
「え?」
「おや、退魔刀を手に入れたらそのまま持って帰れると思っていたのかい? んなもん税関で速攻没収だよ」
「ええええ!? 銃じゃないんだぜ!?」
「もしかしてお前さん、海外に出たのは初めてかい? 日本刀は刃物だ。立派な武器だよ、世間知らずだね」
「海外に日本刀を持ち出すなら美術品の形でだが、日本の政府……文化庁の登録証明書が要る。ビッグママの組織は地下組織だ。あとは意味は分かるな?」
と、平然と話すモリィ以蔵。
「うおおおお!? のををおおおおお!!」
思わずガックリと地面に四つ這いになって呻く俺。今までの苦労のご褒美が、急に遠く遠く引き離された感覚。
憐みの混じった、愚か者を見る周囲の視線が突き刺さる。
だが落ち込んだ俺には気にならない。
あの赤毛の、盛以蔵たちの妹分が俺のそばでしゃがみ込み、「よしよし」と言いながら俺の頭を優しくポンポンと撫でてくれた。
シクシク。
*****
「……で、最後に妹に名前をつけてやって欲しいのだ。刀の主となるオマエ自身に」
と、退魔刀を直接持って帰れないショックから立ち直った俺に、姉以蔵から兄以蔵に戻った奴が話す。
「これは退魔の刀の銘にもなる。そのつもりで考えてくれ」
「つまり彼女は、刀に棲む精霊のような存在になるという事か」
少女は頭を下げながら言う。
「はい、その通りです。よろしくお願い申し上げます」
そういえば俺の元の世界でも、名刀ブリオッシュとか呪いの神剣フォカッチャとかがあったな。
俺は赤い着物を纏った少女を見つめた。
少女は顔を赤らめて俯く。
「ふむ、名付けというのは感覚がよく分からんが、こういうのはどうだ。
『秋と冬が混じる刹那に紅に染まる……』」
ばちこーん!!
後ろからビッグママに思い切り叩かれた。
何でだよ!?
「女の子の名前だよ! もっと真面目に考えないと可哀そうだろ!!」
「真面目に考えてるだろ! 『秋と冬が混じる刹那に紅に染まる森の木の枝たちの如き麗しき乙女』を古神聖エルフ語で表現するのが、なぜ駄目なんだ!!」
「本気で言ってるのかい?」
「当たり前だ! 一個の人格を持った存在に付ける名前だ、即興だとしても大事に考えないと駄目だろう!」
「お前さんの本名を知った時からまさかとは思ってたけど、お前さんの世界の感性は独特なんだねえ……」
兄以蔵が少し呆れた調子で話す。
「真剣に考えてくれたのは伝わったが、少し長すぎるな」
「そうか、うーん。要は、紅葉のような赤い女の子って事を表現したい訳だからな……。じゃあ紅の乙女で『紅乙女』ってのは?」
「おや今度は急にマトモな名前じゃないか」
少女も頬を赤く染めたまま、嬉しそうに笑って頷いて言った。
「素敵な名前をありがとうございます。嬉しいです」
そして俺に向かって手を差し出して、握手を求めてきた。だが、俺は首を横に振って断り、彼女に答えた。
「いや、君の名前が決まり、それを俺が知っている今、身体が触れると契約が発生する。刀が出来る前に契約して、君が刀に入れなくなったら困るからな」
「そうですか。そう……そうですよね。分かりました、貴方様に忠誠を捧げるその日までお待ち申し上げております」
目に涙を浮かべてそう語る姿は、さながら夫の帰りを待ちわびる貞淑な妻のよう。
テレビで放映される過去のドラマや、古典的な娯楽小説などで時々こういう仕草に触れた事はあった。だが実際にやられると、この仕草は結構な破壊力だ。
例えこれが演技にすぎないとしても。
「お……おう、またすぐに会えるさ。それまで良い子にしててくれ」
女性相手にこんだけドキドキしたのは、フェットにプロポーズしようとした時以来かもしれない。
タリス? そんな露出狂でエヴァンに惚れた(これ重要)女忍者のことなど知らんな。
「我等はかつて、神と呼ばれて人々に崇められていた事もある。これほどの我等の神気を分けて込めるのは草薙か鬼切ぐらいだ。きっと真夜中の吸血鬼の真祖でも、浄化出来る能力を持つだろう」
そう兄以蔵は不敵に笑った。
*****
「リーダー! 良かった、無事に帰って来れたんだな!」
結局、あれから下山の手間など色々と細々とした事で時間が取られて、“騎士団”に戻れたのは二週間近く後になってからだった。
心なしか再会したエヴァンが、少しやつれたように見える。
そのエヴァンが、泣きそうな顔で俺に訴えてきた。
「リーダー、“騎士団”の様子がおかしいんだ。皆も何だかよそよそしいし」
そしてエヴァンは、続けて聞き捨てならない事も言った。
「それに、こっちに帰ってきてからこちら、一度もアイラちゃんと会えないんだ。避けられてる気もする。どうなってんだよ!?」
「ふむ、素直に頑張ったなと称賛しておこう。才能的には中の上か上の下といったところだが、食らいつく意思と努力は一級品だ」
「全然素直じゃないな、兄者。率直にこの妖精族の根性が気に入ったと言えば良いのに」
「い、いやしかしそれは、アレだ。何というか……むう」
弟のモリィに突っ込まれて慌てる兄。
そんな反応してると、見てるこっちも居心地悪いって。
「あ~……。うん、こっちも何か気恥ずかしいから無理しなくて良いぜ?」
ビッグママが呆れ半分に言う。
「おやおや似た者同士ってヤツかい。殴り合って仲良くなるって、男は単純でいいねえ」
「アンタなら、私の世界に来てもサムライとしてやっていけそうね。きっと妖刀ムラマサも、アンタなら上手く扱えるんじゃないかしら」
と、タリスも言う。
「ムラマサ? 刀の名前か?」
「そうよ」
それで思い出した。退魔の刀を入手しに来たんだった。訓練ですっかり忘れていたぜ。
「そうだ、肝心な事を忘れていた。退魔の能力を持った刀を入手しに来たんだ、俺は」
「その事か。そうだな、これから鍛造するから一ヶ月後といったところか」
「何だと? じゃあここに沢山ある刀は何なんだよ?」
「数打ち、試し打ちといった粗悪品だ。美術品としてなら、そこそこの価値が付くだろうがな」
「数打ち……えーと、業物ってのが高級品なんだっけ?」
「高級……まぁ斬れ味等の刀の性能が高いという意味では高級か。うむ、業物はあるにはあるが、退魔の能力は持ってはおらん。……それに」
と兄以蔵が、部屋の入り口から顔をぴょこりと覗かせている存在へ目をやる。
そいつが反射的に顔を引っ込めようとするのを止めるように、声を掛けた。
「これ。恥ずかしがっていないで、こちらへ来るのだ。これからお前がお世話になる方なのだから、もっと顔を合わせておけ」
「……は? どういうことだ?」
こちらへ近づく、顔を覗かせていた存在。
年の頃はタリスと同じく十代後半から二十代前半ぐらいか? もう少し若いか。
赤い着物を着た、赤毛でショートカットの美しい少女がこちらへやって来た。少しモジモジしながら。彼女の頭には狼の耳。
しかし……。
「誰だコイツ? ここにもう一人居たなんて気がつかなかったな」
モリィ以蔵が少し得意げに言う。
「いや、確かに最初は居なかった。コイツはお前が切り落とした、我等の後ろ足だ」
「???」
いきなり何を言い出すんだコイツ。
しかし、盛大に疑問符を浮かべまくった俺の表情を、その顔が見たかったというふうに笑って、モリィ以蔵は続けて言った。
「我等は本来、決まった形を持たない。そして兄者と俺が、本来はひとつの存在であるように、また逆にある程度はその存在を分ける事が出来る」
兄以蔵がその後を引き継いで話す。
「いきなり我等の身体を、気の斬撃で切り飛ばしたお主に敬意を表してな。弟と二人で相談して、この切り飛ばされた身体の力を退魔刀に宿そうという事になった」
「宿す以上は人格を持たさなければならない。兄者の……我等の打つ退魔の刀はそういう作りなのだ」
だが俺は目の前の、少女の面影を残す女性を指差して言った。
「で、何で女になってるんだ?」
「我等は決まった形を持つ訳ではない。男の姿も女の姿も狼の姿も仮初のもの」
そう言って、兄以蔵が黒髪の妖艶な女性の姿に変わった。
うっ、男の時より大人びた顔つきになりやがったよ。ちょっと雰囲気がフェットに似ていやがる。
兄以蔵は姉以蔵に変わった!!
俺はそんな自分の思考がツボにハマり吹き出しそうになったので、必死に堪える。
そんな俺を見て、ビッグママが呆れたように頭を振りながら話す。
「私もだいぶお前さんが掴めてきたよ。いまロクでもない、下らない事を考えてただろう?」
「う……む……ぷっ、くくくっ」
「はぁ。アンタたち、また人斬り盛以蔵になってこの男を斬るかい?」
「我等が妹が、その男を気に入っている。止めておこう」
「ぶふっ、そ、その人斬り盛以蔵ってのは……くくくっ、な、何だ?」
「明治維新の時に人斬り以蔵って人がいましたの。私達もその時に何人か、刀の試し斬りも兼ねて斬ってます。あとはごく稀にビッグママさんの組織に手を貸したことも」
少女が説明してくれた。
ようやく笑いがおさまってきた俺は、そのセリフに答えた。
「なるほど。ある意味そこまで刀の為に情熱を傾けているって訳だ」
「それに、日本刀なんて物をステイツに密輸するんだし、その準備に結局は時間がかかるから丁度いいじゃないか」
とは、ビッグママの言。
「え?」
「おや、退魔刀を手に入れたらそのまま持って帰れると思っていたのかい? んなもん税関で速攻没収だよ」
「ええええ!? 銃じゃないんだぜ!?」
「もしかしてお前さん、海外に出たのは初めてかい? 日本刀は刃物だ。立派な武器だよ、世間知らずだね」
「海外に日本刀を持ち出すなら美術品の形でだが、日本の政府……文化庁の登録証明書が要る。ビッグママの組織は地下組織だ。あとは意味は分かるな?」
と、平然と話すモリィ以蔵。
「うおおおお!? のををおおおおお!!」
思わずガックリと地面に四つ這いになって呻く俺。今までの苦労のご褒美が、急に遠く遠く引き離された感覚。
憐みの混じった、愚か者を見る周囲の視線が突き刺さる。
だが落ち込んだ俺には気にならない。
あの赤毛の、盛以蔵たちの妹分が俺のそばでしゃがみ込み、「よしよし」と言いながら俺の頭を優しくポンポンと撫でてくれた。
シクシク。
*****
「……で、最後に妹に名前をつけてやって欲しいのだ。刀の主となるオマエ自身に」
と、退魔刀を直接持って帰れないショックから立ち直った俺に、姉以蔵から兄以蔵に戻った奴が話す。
「これは退魔の刀の銘にもなる。そのつもりで考えてくれ」
「つまり彼女は、刀に棲む精霊のような存在になるという事か」
少女は頭を下げながら言う。
「はい、その通りです。よろしくお願い申し上げます」
そういえば俺の元の世界でも、名刀ブリオッシュとか呪いの神剣フォカッチャとかがあったな。
俺は赤い着物を纏った少女を見つめた。
少女は顔を赤らめて俯く。
「ふむ、名付けというのは感覚がよく分からんが、こういうのはどうだ。
『秋と冬が混じる刹那に紅に染まる……』」
ばちこーん!!
後ろからビッグママに思い切り叩かれた。
何でだよ!?
「女の子の名前だよ! もっと真面目に考えないと可哀そうだろ!!」
「真面目に考えてるだろ! 『秋と冬が混じる刹那に紅に染まる森の木の枝たちの如き麗しき乙女』を古神聖エルフ語で表現するのが、なぜ駄目なんだ!!」
「本気で言ってるのかい?」
「当たり前だ! 一個の人格を持った存在に付ける名前だ、即興だとしても大事に考えないと駄目だろう!」
「お前さんの本名を知った時からまさかとは思ってたけど、お前さんの世界の感性は独特なんだねえ……」
兄以蔵が少し呆れた調子で話す。
「真剣に考えてくれたのは伝わったが、少し長すぎるな」
「そうか、うーん。要は、紅葉のような赤い女の子って事を表現したい訳だからな……。じゃあ紅の乙女で『紅乙女』ってのは?」
「おや今度は急にマトモな名前じゃないか」
少女も頬を赤く染めたまま、嬉しそうに笑って頷いて言った。
「素敵な名前をありがとうございます。嬉しいです」
そして俺に向かって手を差し出して、握手を求めてきた。だが、俺は首を横に振って断り、彼女に答えた。
「いや、君の名前が決まり、それを俺が知っている今、身体が触れると契約が発生する。刀が出来る前に契約して、君が刀に入れなくなったら困るからな」
「そうですか。そう……そうですよね。分かりました、貴方様に忠誠を捧げるその日までお待ち申し上げております」
目に涙を浮かべてそう語る姿は、さながら夫の帰りを待ちわびる貞淑な妻のよう。
テレビで放映される過去のドラマや、古典的な娯楽小説などで時々こういう仕草に触れた事はあった。だが実際にやられると、この仕草は結構な破壊力だ。
例えこれが演技にすぎないとしても。
「お……おう、またすぐに会えるさ。それまで良い子にしててくれ」
女性相手にこんだけドキドキしたのは、フェットにプロポーズしようとした時以来かもしれない。
タリス? そんな露出狂でエヴァンに惚れた(これ重要)女忍者のことなど知らんな。
「我等はかつて、神と呼ばれて人々に崇められていた事もある。これほどの我等の神気を分けて込めるのは草薙か鬼切ぐらいだ。きっと真夜中の吸血鬼の真祖でも、浄化出来る能力を持つだろう」
そう兄以蔵は不敵に笑った。
*****
「リーダー! 良かった、無事に帰って来れたんだな!」
結局、あれから下山の手間など色々と細々とした事で時間が取られて、“騎士団”に戻れたのは二週間近く後になってからだった。
心なしか再会したエヴァンが、少しやつれたように見える。
そのエヴァンが、泣きそうな顔で俺に訴えてきた。
「リーダー、“騎士団”の様子がおかしいんだ。皆も何だかよそよそしいし」
そしてエヴァンは、続けて聞き捨てならない事も言った。
「それに、こっちに帰ってきてからこちら、一度もアイラちゃんと会えないんだ。避けられてる気もする。どうなってんだよ!?」
0
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜
KeyBow
ファンタジー
この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。
人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。
運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。
ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる