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第三章 現代編
第38話 ─ ハイウェイ・トゥ・ザ・デンジャーゾーン ─その2…ある男の独白
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前方の車が観念したように急停車。
まぁ車が爆発したら、護衛はともかくボスが無事じゃ済まないからだろう。
潰してきた護衛の車に負けないぐらい厳つい車から黒スーツの三人が降りてきた。
よく見ると、その影に器用に隠れて奴らのボスも。
俺達もエヴァンがオープンカーを急停車させて、三人とも降り立ち相対する。
アイラが投げナイフをあちこちに投擲し、何かを念じると周囲に結界が張られた。
地脈が強いポイントなんだろうな、かなり強力な結界に仕上がっている。
これで向こうの護衛の力は、結構抑えられてるはずだ。
地脈の強いポイントは悪魔憑きの能力も上がるが、こちらの退魔の力も上がる諸刃の剣だ。
我も危険ならば彼も危険。
向こうとしては賭けに出たつもりだったのだろう。
“騎士団”の結界術を知らずに、無邪気に悪魔の力を使っていたなら、確かに俺達の邪魔になる敵だ。遠慮は無用だな。
向こうの護衛のうち二人がこちらへ突っ込んでくる。動きからして人狼かドーピング野郎か。
エヴァンも俺が返却した退魔銃を懐に入れると、退魔能力を施したメリケンサックを両手に突っ込んでいく。
一人は俺がヘッドショットで仕留め、もう一人はエヴァンに懐に入られてボコボコに殴られていた。
あっという間に殴り倒されて動かなくなる護衛。
向こうも、コレを含めての仕事だ。特に何も感じる事はない。
奥に控えていた最後の護衛が、肘を曲げて力を入れると体が膨れ上がり、ミチミチと音を立てて上半身の服が破けさった。
見たところ鬼憑きか?
エヴァンがこちらを向いて親指を立て、ニヤリと笑って歯をキラリと光らせる。
そしてそのまま最後の護衛に、続けて突っ込んでいった。
おい、あの顔のアイツは大抵ロクでもない事を考えてるんだが。
最初は、ヤツは危なげなく護衛の攻撃を掻い潜り、ボディに攻撃を加えていた。
しかし、一瞬こちらをチラッと見ると、護衛が繰り出した大振りの一撃に派手に当たった。
そして不自然にこちらに大きく飛ばされて倒れこむ。
「うわーやーらーれーたー!」
めっちゃ棒読みやんけ!
お前、自分から後ろに飛んでダメージ殺してるだろ! 向こうの護衛まで不思議そうに自分の手を眺めてるわ!
「リーダー、俺はアイツに殴られて踝ツヤツヤ病が発症してしまいました! かくなる上は、リーダーがチャチャッとあいつを倒して、俺とアイラちゃんに良い所見せて下さい!」
「アホかお前は! 殴られてすぐに発症する程の虚弱体質がオープンカーで爆走すんな!」
そう言って俺は、鬼憑きに銃を向けた。疲れるので病名へはツッコんでやらん。
するとエヴァンがワザとらしく苦しみだす。
「ううーっ。リーダーの華麗な接近戦をアイラちゃんに見せないと、持病の踝ツヤツヤ病が悪化してしまうー!」
「え?」
「はぁ、色々と注文の多いヤツだ」
というか、殴られて病気になったんと違うんか!?
いつの間に持病に切り替わってんだよ。
というか俺とアイラをくっつけようとしてるのかよ。何でその気もない俺となんだよ。
あれか? シラノ・ドなんとかを気取りたいのかよ。むしろもう一人のクリスチャンの方だよお前はよ。
はぁ、俺はもう疲れるよ。
YO! YO! とか言って現実逃避したいよ。
そんな風に馬鹿な事を考えながら、俺は疲れた顔で鬼憑きに近づく。
退魔剣を腰から抜いて、無造作に。
エヴァンより一回り小柄な俺を見て、組み易しと見たのか鬼憑きはニヤリと笑う。
そして素早いジャブを繰り出してきた。
なかなかの速さだ。だが、転移前に戦ったアイツ程じゃない。パワーもタフネスもな。
俺は、鬼憑きの護衛のジャブを避けて懐に入る。
同時に、ヤツの手首を剣で斬り上げて切断、振り下ろして肘を切断。
そして剣を振り下ろす勢いそのままに、踏み出していた護衛の膝を斬りつけた。
膝を深く斬りつけられた護衛はガクリと体勢を崩す。相手の首筋が大きく下がった。
そこを目がけて俺はヤツの喉笛を貫く。
刺さったあと、捻って抉ると退魔剣を引き抜いた。
そして剣をひと振り、血を飛ばす。
護衛はヒューヒューと喉から金切り音を出して倒れると、喉を掻き毟ってから事切れた。
俺は引き続き、地面にへたり込んだボスに歩み寄る。
ヤツは真っ青な顔で俺に懇願。スーツの懐に手を入れながら、後ずさる。
「ま、待て。金なら……」
バチリと俺は電撃をボスの手に浴びせる。懐に入れていた手がダラリと下がる。
ヤツが手にしていたのは、黒光りする拳銃。
“流石だな、よくぞ気付いた”
電撃のショックで地面に転がるボス。
俺はため息を一つつくと、倒れたボスの胸に剣を突き立てた。
コイツ悪魔憑いてるかな? 念のために送還かけとくか。
そう思って俺は聖水を取り出すと、魔法陣を描いた。
「カッコいい! さすがリーダー、アイラちゃんのハートも鷲掴みだぜ!」
疲れる。無視だ。
というか、護衛の悪魔憑きの死体もサッサと魔法陣描いて送還しろよ。
俺はいつものようにスマホを取り出し、呪文を再生。
「“邪なる悪魔よ……”」
全てが終わった時、アイラがスマホで誰かと話していた。
話し口調から、多分ベイゼルだな。
「はい……。はい……。ええっまたですか? はい……。はい……。分かりました、伝えておきます」
うわ、嫌な予感。
「リーダー、帰還したらベイゼルさんへの報告は私達に任せて、代理代行の元へ出頭してくれ……だそうです」
支部統括代理代行。シャーロット・ポート。やっぱりね。
YO! YO! とか言って現実逃避したいよ、俺は。
まぁ車が爆発したら、護衛はともかくボスが無事じゃ済まないからだろう。
潰してきた護衛の車に負けないぐらい厳つい車から黒スーツの三人が降りてきた。
よく見ると、その影に器用に隠れて奴らのボスも。
俺達もエヴァンがオープンカーを急停車させて、三人とも降り立ち相対する。
アイラが投げナイフをあちこちに投擲し、何かを念じると周囲に結界が張られた。
地脈が強いポイントなんだろうな、かなり強力な結界に仕上がっている。
これで向こうの護衛の力は、結構抑えられてるはずだ。
地脈の強いポイントは悪魔憑きの能力も上がるが、こちらの退魔の力も上がる諸刃の剣だ。
我も危険ならば彼も危険。
向こうとしては賭けに出たつもりだったのだろう。
“騎士団”の結界術を知らずに、無邪気に悪魔の力を使っていたなら、確かに俺達の邪魔になる敵だ。遠慮は無用だな。
向こうの護衛のうち二人がこちらへ突っ込んでくる。動きからして人狼かドーピング野郎か。
エヴァンも俺が返却した退魔銃を懐に入れると、退魔能力を施したメリケンサックを両手に突っ込んでいく。
一人は俺がヘッドショットで仕留め、もう一人はエヴァンに懐に入られてボコボコに殴られていた。
あっという間に殴り倒されて動かなくなる護衛。
向こうも、コレを含めての仕事だ。特に何も感じる事はない。
奥に控えていた最後の護衛が、肘を曲げて力を入れると体が膨れ上がり、ミチミチと音を立てて上半身の服が破けさった。
見たところ鬼憑きか?
エヴァンがこちらを向いて親指を立て、ニヤリと笑って歯をキラリと光らせる。
そしてそのまま最後の護衛に、続けて突っ込んでいった。
おい、あの顔のアイツは大抵ロクでもない事を考えてるんだが。
最初は、ヤツは危なげなく護衛の攻撃を掻い潜り、ボディに攻撃を加えていた。
しかし、一瞬こちらをチラッと見ると、護衛が繰り出した大振りの一撃に派手に当たった。
そして不自然にこちらに大きく飛ばされて倒れこむ。
「うわーやーらーれーたー!」
めっちゃ棒読みやんけ!
お前、自分から後ろに飛んでダメージ殺してるだろ! 向こうの護衛まで不思議そうに自分の手を眺めてるわ!
「リーダー、俺はアイツに殴られて踝ツヤツヤ病が発症してしまいました! かくなる上は、リーダーがチャチャッとあいつを倒して、俺とアイラちゃんに良い所見せて下さい!」
「アホかお前は! 殴られてすぐに発症する程の虚弱体質がオープンカーで爆走すんな!」
そう言って俺は、鬼憑きに銃を向けた。疲れるので病名へはツッコんでやらん。
するとエヴァンがワザとらしく苦しみだす。
「ううーっ。リーダーの華麗な接近戦をアイラちゃんに見せないと、持病の踝ツヤツヤ病が悪化してしまうー!」
「え?」
「はぁ、色々と注文の多いヤツだ」
というか、殴られて病気になったんと違うんか!?
いつの間に持病に切り替わってんだよ。
というか俺とアイラをくっつけようとしてるのかよ。何でその気もない俺となんだよ。
あれか? シラノ・ドなんとかを気取りたいのかよ。むしろもう一人のクリスチャンの方だよお前はよ。
はぁ、俺はもう疲れるよ。
YO! YO! とか言って現実逃避したいよ。
そんな風に馬鹿な事を考えながら、俺は疲れた顔で鬼憑きに近づく。
退魔剣を腰から抜いて、無造作に。
エヴァンより一回り小柄な俺を見て、組み易しと見たのか鬼憑きはニヤリと笑う。
そして素早いジャブを繰り出してきた。
なかなかの速さだ。だが、転移前に戦ったアイツ程じゃない。パワーもタフネスもな。
俺は、鬼憑きの護衛のジャブを避けて懐に入る。
同時に、ヤツの手首を剣で斬り上げて切断、振り下ろして肘を切断。
そして剣を振り下ろす勢いそのままに、踏み出していた護衛の膝を斬りつけた。
膝を深く斬りつけられた護衛はガクリと体勢を崩す。相手の首筋が大きく下がった。
そこを目がけて俺はヤツの喉笛を貫く。
刺さったあと、捻って抉ると退魔剣を引き抜いた。
そして剣をひと振り、血を飛ばす。
護衛はヒューヒューと喉から金切り音を出して倒れると、喉を掻き毟ってから事切れた。
俺は引き続き、地面にへたり込んだボスに歩み寄る。
ヤツは真っ青な顔で俺に懇願。スーツの懐に手を入れながら、後ずさる。
「ま、待て。金なら……」
バチリと俺は電撃をボスの手に浴びせる。懐に入れていた手がダラリと下がる。
ヤツが手にしていたのは、黒光りする拳銃。
“流石だな、よくぞ気付いた”
電撃のショックで地面に転がるボス。
俺はため息を一つつくと、倒れたボスの胸に剣を突き立てた。
コイツ悪魔憑いてるかな? 念のために送還かけとくか。
そう思って俺は聖水を取り出すと、魔法陣を描いた。
「カッコいい! さすがリーダー、アイラちゃんのハートも鷲掴みだぜ!」
疲れる。無視だ。
というか、護衛の悪魔憑きの死体もサッサと魔法陣描いて送還しろよ。
俺はいつものようにスマホを取り出し、呪文を再生。
「“邪なる悪魔よ……”」
全てが終わった時、アイラがスマホで誰かと話していた。
話し口調から、多分ベイゼルだな。
「はい……。はい……。ええっまたですか? はい……。はい……。分かりました、伝えておきます」
うわ、嫌な予感。
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