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第三章 現代編
第43話 「本気ィトークウィメン☆」その2…えんじょい☆ざ『異世界日本』
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「あ、美味しい。ご飯によく合うわ~」
「ほんまや、上手いこと作ってはる。有り合わせの材料でサッと作ったって言うてるけど、私らではこんなに上手く出来ひんで?」
「ネット見たらいくらでも作り方載ってますよ。これもオイスターソースだけの味付けやから大した事してないし」
「いやいや、私らが作ったらソースかけすぎたり少なすぎたりするんで」
「うん、こんだけ料理上手かったらフェットチーネさん良い奥さんになりそうやね」
「へ? いや私、向こうの世界で結婚してましたけど」
「「な、なんだってー!!」」
思わず、昔流行ったらしい何でも世界滅亡の陰謀に結びつける漫画のキャラクターみたく、叫んだ私達二人。
「こここここの腰とケツで経産婦とは!」
「いや子供はまだ出来てませんでした」
「「……チッ!」」
「なぜ舌打ち」
「気にしちゃダメです。……そっか、それで料理作るの上手いんだ」
「ちなみに旦那の方が私より料理作るの上手でしたよ」
「「お約束ゥ!」」
「その旦那よりも、前の彼女の方が料理作るの上手だったみたいです」
「「その彼女を嫁にください!」」
「死んじゃいました。自殺して」
話した後で、「しまった」という顔をするフェットチーネさん。
「重っ! 急に重っ!」
「旦那さんと何か問題あったんですか?」
「旦那とでは無く……旦那の弟とですね」
急にフェットチーネさんの様子が変わった。
すごく話し辛そう。
「私と出会う前の話です。旦那が大怪我して動けない間に弟が寝取っちゃったらしくて」
ここまで言って間が出来た。
どことも無しに、遠くを見つめるフェットチーネさん。
「それでその弟が……とんでもないDV男で……。他に女が出来たら、もう……」
途切れ途切れに絞り出すように話し出す。
もしかして彼女自身の事を話しているのかもしれないと思ったけど、違うみたいだった。
「私は……私は……。……彼女の最後のその場にいたのに……。何も……何も彼女にしてあげられなかった……」
フェットチーネさんの目から涙が零れはじめた。
「最初は……旦那の存在を知らずに弟のパーティーに参加してて……。でもあんな嫌な雰囲気のパーティーは無かったと思う……」
涙に気付いて、慌ててハンカチを取り出し涙を拭うフェットチーネさん。
ティッシュ一枚もらうわね、と彼女は言ってティッシュを取り鼻をかんだ。
「駄目ね、旦那も居ないのに彼女の事で泣いちゃって。もう旦那も死んじゃったんだから、しっかりしないと」
「死んだ!?」
「その弟の騙し討ちでね。ついでに私も、その騙し討ちでやられて死んだんだけど。そして気がついたらこの世界に居て、クラムさん……倉持さんが話しかけてくれて」
「えへへ、いやあそれほどでも」
「でも最初、無視する気マンマンやったでしょ」
「ぎくっ!」
「でもその弟さん……フェットチーネさんの話を聞いてる限り、どうしようもないクソ男みたいやのに、何で前の彼女さんはそっち行っちゃったんやろ」
「世の中の、クソな男であるほど隣にいる彼女に困ってない不思議と一緒なのかも」
「前の世界での私の姉貴分が言ってましたね。ライバルに囲まれた存在は価値があるように錯覚してしまうって」
「あー、なるほど……納得いくような、いかないような」
「価値があるから女の人が群がってるのか、女の人を群がらせて価値があるように見せかけてるか、の違いを見分けないとって感じ?」
「なかなか深いわね……。あらら、せっかく作ったのに料理が冷めるやんか、先に食べてしまお?」
「「うぇーい」」
口調が元の関西弁に戻ったおかん……いやフェットチーネさんに、なんだか安心した。
そして黙々とフェットチーネおかんの料理を、美味しく食べ切る私達二人。
簡単に作った、とフェットチーネさんが言っていたけど、それを差し引いても真面目にすごく美味しい味付け。
本当に味付けがオイスターソースひとつなのかしら。
「ところで、その旦那さんってどんな方だったんですか?」
食べ終わって、ひと心地ついたときに、ブランちゃんが言った。
「ほんまや、上手いこと作ってはる。有り合わせの材料でサッと作ったって言うてるけど、私らではこんなに上手く出来ひんで?」
「ネット見たらいくらでも作り方載ってますよ。これもオイスターソースだけの味付けやから大した事してないし」
「いやいや、私らが作ったらソースかけすぎたり少なすぎたりするんで」
「うん、こんだけ料理上手かったらフェットチーネさん良い奥さんになりそうやね」
「へ? いや私、向こうの世界で結婚してましたけど」
「「な、なんだってー!!」」
思わず、昔流行ったらしい何でも世界滅亡の陰謀に結びつける漫画のキャラクターみたく、叫んだ私達二人。
「こここここの腰とケツで経産婦とは!」
「いや子供はまだ出来てませんでした」
「「……チッ!」」
「なぜ舌打ち」
「気にしちゃダメです。……そっか、それで料理作るの上手いんだ」
「ちなみに旦那の方が私より料理作るの上手でしたよ」
「「お約束ゥ!」」
「その旦那よりも、前の彼女の方が料理作るの上手だったみたいです」
「「その彼女を嫁にください!」」
「死んじゃいました。自殺して」
話した後で、「しまった」という顔をするフェットチーネさん。
「重っ! 急に重っ!」
「旦那さんと何か問題あったんですか?」
「旦那とでは無く……旦那の弟とですね」
急にフェットチーネさんの様子が変わった。
すごく話し辛そう。
「私と出会う前の話です。旦那が大怪我して動けない間に弟が寝取っちゃったらしくて」
ここまで言って間が出来た。
どことも無しに、遠くを見つめるフェットチーネさん。
「それでその弟が……とんでもないDV男で……。他に女が出来たら、もう……」
途切れ途切れに絞り出すように話し出す。
もしかして彼女自身の事を話しているのかもしれないと思ったけど、違うみたいだった。
「私は……私は……。……彼女の最後のその場にいたのに……。何も……何も彼女にしてあげられなかった……」
フェットチーネさんの目から涙が零れはじめた。
「最初は……旦那の存在を知らずに弟のパーティーに参加してて……。でもあんな嫌な雰囲気のパーティーは無かったと思う……」
涙に気付いて、慌ててハンカチを取り出し涙を拭うフェットチーネさん。
ティッシュ一枚もらうわね、と彼女は言ってティッシュを取り鼻をかんだ。
「駄目ね、旦那も居ないのに彼女の事で泣いちゃって。もう旦那も死んじゃったんだから、しっかりしないと」
「死んだ!?」
「その弟の騙し討ちでね。ついでに私も、その騙し討ちでやられて死んだんだけど。そして気がついたらこの世界に居て、クラムさん……倉持さんが話しかけてくれて」
「えへへ、いやあそれほどでも」
「でも最初、無視する気マンマンやったでしょ」
「ぎくっ!」
「でもその弟さん……フェットチーネさんの話を聞いてる限り、どうしようもないクソ男みたいやのに、何で前の彼女さんはそっち行っちゃったんやろ」
「世の中の、クソな男であるほど隣にいる彼女に困ってない不思議と一緒なのかも」
「前の世界での私の姉貴分が言ってましたね。ライバルに囲まれた存在は価値があるように錯覚してしまうって」
「あー、なるほど……納得いくような、いかないような」
「価値があるから女の人が群がってるのか、女の人を群がらせて価値があるように見せかけてるか、の違いを見分けないとって感じ?」
「なかなか深いわね……。あらら、せっかく作ったのに料理が冷めるやんか、先に食べてしまお?」
「「うぇーい」」
口調が元の関西弁に戻ったおかん……いやフェットチーネさんに、なんだか安心した。
そして黙々とフェットチーネおかんの料理を、美味しく食べ切る私達二人。
簡単に作った、とフェットチーネさんが言っていたけど、それを差し引いても真面目にすごく美味しい味付け。
本当に味付けがオイスターソースひとつなのかしら。
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食べ終わって、ひと心地ついたときに、ブランちゃんが言った。
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