ダーティーホワイトエルブズ ~魔物退治してた現代転移の苦労人エルフ、“主人公”への復讐を決意する~

きさまる

文字の大きさ
117 / 128
最終章 汚くも真っ当な異世界人ども

第115話 “一進一退”…偽りのダークヒーロー編

しおりを挟む
 遠ざかるトンネルの入り口を注視しながら、兄は、マロニーは己の装備を確認する。
 軽トラックの助手席に、荷造り用のロープが積まれていたのは幸運だった。
 それまで左腕に巻き付けていたモノより太目で取り回しにくいが、贅沢ぜいたくは言っていられない。
 なんとか新たなロープを左腕に巻き付ける。
 トンネルの奥に入るにつれ、常夜灯じょうやとうのオレンジの明かりが照らし始める。

“来るかな?”

 そう疑問を兄に投げかける相棒マロニー
 兄の返答は早かった。

──当然来るだろうな。アイツは頭に血が昇ったら、相手にやり返さないと気が済まないから。

“ガキだな”

──あのチートでガキのままいられて、大人にならずに済んだって事だ。

 兄が、マロニーが飛び乗ったトラックは、二車線ある高速道路の車道の左を走る。
 トラックのコンテナの上で腰を落とし、不測の事態に出来るだけ即応できるように身構える。
 右手に紅乙女を呼び出し、切りかぶ状の左手を床……コンテナの天板に置く。
 それで揺れるコンテナの上にも関わらず、マロニーの身体はピタリと静止した。

──紅乙女、あの黒剣と打ち合っていて大丈夫か?

“大丈夫です、ご主人様。どうも私とあの剣の性質は正反対なようですから、そのせいかもしれません”

 このトンネルは随分と長いようだ。
 いくら夜目の効くエルフだとて見落としがありうる。そう考えて警戒をおこたらないマロニー
 トンネルの入り口に向かって、進行方向とは逆に身体を向けて身構える。
 紅乙女に神気を込めながら神経を尖らせる。
 そして──。

「シッ!!」

 呼気と共にマロニーは切っ先を左へ走らせ気刃を飛ばす。
 そこには、コンテナの右側面に取り付いてよじ登ってきていたミトラの姿。
 その手足には、形をプロテクターに変えて鉤爪かぎづめを生やした魔剣。
 フリーにした右手の手甲で気刃を受けるミトラ。
 それを予想していたかのように、続けて刺突を仕掛けるマロニー
 しかしミトラは壁面につかまった状態から、垂直にジャンプしてその攻撃を避ける。

 空中で宙返りをしながらコンテナの天板に着地。
 ジャンプ中に戻したのか、その右手にはうなる魔剣。
 マロニーは足をみしめ、急反転してミトラへ斬りかかる。

 金属音が響いてミトラの魔剣と紅乙女が噛み合う。
 鍔迫つばぜり合いになる前に、絶妙に身体をかわしてマロニーは右横に飛ぶ。ミトラからは見て左に。
 コンテナのギリギリ端まで下がると、更にへりに沿って跳ねて移動。

 マロニーを追撃しようと向きを変えたミトラは、マロニーの跳ねた先に向かって鋭くジャンプ。
 その時、またも以前と同じてつを踏んだことを理解する。
 何故なぜ今まで、ヤツの左脇のホルスターに気が付かなかったのか。

 そこには片膝をつき、右手にリボルバー拳銃を握るマロニー
 左前腕で右手首を下から支えて固定。
 空中のミトラを狙い撃ちにした。

 ガン! ガン! ガン!

 マロニーの右手に伝わる発射の衝撃。
 トンネル内部だからか、射撃の轟音ごうおんは周囲の騒音にき消されて聞こえない。
 さすがのミトラも空中では躱すことかなわず、銃弾の運動エネルギーを全て受け止めることとなった。
 コンテナの右後ろから落下するミトラ。

 だが、前方右車線から高速バスがやってきて、トラックと並走する。
 バスが減速したのかトラックが速度を上げたのか。
 落下したと思ったミトラが、そのバスの壁面にさっきと同じように貼りついてた。
 手足には再びプロテクター化して、鉤爪を生やした魔剣。
 それを確認したマロニーは、トラックコンテナの上を走り出す。
 その走りは、激しく揺れるコンテナの上なのを全く感じさせない。

 高速バスに向かってジャンプ。
 バスの天板に着地した。ほぼ同時にミトラも天板によじ登りきる。
 今度はミトラの行動がわずかに早い。

 足の鉤爪を天板に食い込ませてマロニーへと突撃。右の拳を振りかぶる。
 マロニーはその右腕をいくぐりながらふところもぐり込み、さらにその右腕を掴むと投げ飛ばす。
 一本背負いの投げで天板にミトラを叩きつける。
 天板がベコリとへこむ。
 それにバスの運転手が驚いたのか、ブレるバスの車線。

 まだ表で降られた雨の残滓ざんしで濡れる天板。
 その上でバランスを保つのは難しい。
 急に車体がブレたのなら尚更なおさらだ。
 マロニーは振り落とされないようにするので精一杯で、追い討ちを掛けられなかった。

 ミトラも身体を起こす。
 だが彼もまた迂闊うかつに動けなかった。
 滑り止めの為に天板に食い込ませた鉤爪が、予想以上に食い込み過ぎて、攻撃がワンテンポ遅れるのだ。
 戦闘に意識が集中してしまい、鉤爪をスパイク状に変えた方が良い、という事に気がつく余裕が無い。

 マロニーが刺突を仕掛ける。
 片手だけで振るう以上、威力のこもった攻撃が出来る形は限られてくる。
 だがやはりマロニーも、雨で滑る天板ではりがききにくいようだ。
 ミトラの手甲に簡単にはじかれる。

 突きを弾いたミトラは、右足で蹴りをマロニーに繰り出す。
 足の鉤爪を食い込ませているので、踏ん張りは充分。
 だが食い込ませた足を外す際に、やはり攻撃の出だしが一瞬遅れる。
 蹴り出した足をマロニーに掴まれて投げられ、叩きつけられる。

 マロニーは素早く身体を移動させ、ミトラの右腕をとらえて関節をめた。
 足でミトラの背中を押さえる。
 右車線を走っているので、バスのすぐ右にトンネルの壁がある。

──このまま壁にミトラの顔をぶつけてり下ろしてやる!

 そうマロニーが考え、足でミトラを押し出そうと力を込めた瞬間、バスは左車線に進路を変えた。
 マロニーは胸中で舌打ち。

──チ、“主人公属性”か!!

 ミトラは闇のオーラの力を借りて筋力を強化。無理矢理マロニーの関節技を解く。
 具体的には、マロニーを身体ごと持ち上げて振り回し、投げ飛ばしたのだ。
 空中で体勢を変えて着地するマロニー
 腰を落とし、切断された左手首の切り口を床に置く。
 その姿勢のまま天板の雨で後ろに少し滑るが、すぐに止まる。


 ミトラは両手の手甲からの鉤爪を限界まで伸ばした。
 そしてそのまま、だらりと無造作むぞうさに身体の両脇に垂らす。
 両脚は肩幅に広げて、右足に体重を乗せる。傍目はためにはリラックスしたように見える立ち姿。
 だが、相対するマロニーには痛いほど判る。それは何時でも襲いかかれる為の脱力の姿勢なのだと。

 一方、マロニーは腰を下げて左手首を天板に置いた、低い姿勢を保つ。
 右手を後ろに回し、紅乙女の刀身を横に伸ばして持ちながら。
 その目の闘志はいささかもおとろえず、ミトラを食い殺さんばかりににらみつけている。

 二人をトンネル内の常夜灯の薄暗いオレンジの光が照りつける。
 照明が弱くなる部分が、リズミカルに幾度いくどとなく通り過ぎる。

 マロニーが紅乙女の切っ先を大きく揺らした。
 それに反応してミトラが動く。
 だがそれがマロニーの狙い。兄のその誘いの動きに食らいついたミトラへ、マロニーは低い姿勢のまま突進。
 ミトラが上げようとした足をすくい上げ、持ち上げた。

 そのまま押し倒そうとしたが、ミトラは咄嗟とっさに天板に片手を突くことが出来たので、そのまま踏ん張る。
 持ち上げられた足を、力任せに再び振り下ろす。
 マロニーは、倒そうとした相手に強い抵抗がかかった瞬間に足から手を放して、ミトラの右横に回り込む。
 左の肩口から体当たりを仕掛ける。そのまま続けて紅乙女を振り下ろす。
 ミトラは身体をひるがえしてマロニーの攻撃を躱した。

 そのままマロニーは紅乙女を振るい続ける。
 ミトラは両手の手甲で弾きながら、時折ときおり鋭い突きを繰り出す。
 それを躱しながら攻撃を続けるマロニー
 幾度となく攻撃を打ち合わせ、また攻撃を躱す二人。


 やがてバスはトンネルを抜けた。


*****


 トンネルを抜けると街明かりだった。
 暗闇の中、星明かりのように地上に広がる光点の群れ。
 天候が穏やかなら、そしてこんな戦闘の最中でなかったなら、なかなかの美しいながめだったろうか。
 しかし台風の陰鬱いんうつな空模様が、キョウトのウジ市内にふたをして、強風と豪雨で閉じ込めている今はそれどころでは無い。


 外気の中へ飛び出したバスを、容赦ようしゃなく雨と風が襲う。
 それはバスの上の、二人のエルフにもへだてなく。
 
 豪雨でマロニーの足が滑った。ミトラへ打ち込まんとしていた踏み込みの足が。
 ミトラもそれを見て反射的に膝を出す。
 倒れかけたマロニーの顔面に、その膝がぶち当たる。
 マロニーの身体が弾かれたように後ろに飛ばされた。
 バスの天板の上をゴロゴロと転がるマロニー

 しばらく身動きしなかったが、やがてゆっくりと身体を起こす。
 やや体幹が振らついているようにも見える。
 その額から血が流れていた。膝は、鼻ではなく額に当たったようだ。

 マロニーは土砂降りの雨の中、周囲を見回すと再び腰をかがめてミトラを睨む。
 低い姿勢で左手首を天板に置き、三点で姿勢を安定させる。
 右手を後ろに回して紅乙女の切っ先を横に伸ばして。
 その姿勢が更に低くなった。
 ミトラも口角を歪めて持ち上げ、ニヤリと笑う。腰を落として拳法の構えをとる。
 そしてマロニーが動いた。


 マロニーは、真横に走り出してバスの上からジャンプすると、高速道路のフェンスを飛び越え、その向こうに姿を消した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

処理中です...