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光道真術学院【マラナカン】編
十六
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「えー、授業を始めます。俺が教える一週間は小難しい話はないからお互い気楽にいこうぜ」
ロニーの気の抜けた挨拶は、生徒達にしてみると、あからさまにやる気のないように見えたが、昨日の今日という事もあり文句が出て来ることはなかった。
……勿論、口にしないだけで数人の生徒はその態度でもって、不安と苛立ちを隠してはいないようではあるが。
当の本人は気にする事もなく淡々と授業を進める。
「今日は初歩の初歩、この国に住んでれば当然の事ばっかりだからマジで寝たきゃ寝ててもいいよ。一応、黒板も使うけど別に写す必要もないし、まぁ、何となく座っていてよ」
口にした事は本心だが、意外と言葉にすると真剣に怠惰な感じだなぁと矛盾したことを思うロニーであった。
事前に預かった資料の中から、手のひらサイズの箱を一つ取り出す、それを黒板の端にある窪みに嵌る。
カチャッと音がするまで差し込んだ後に右の親指を押し付ける、すると差し込んだ箱が発光し黒板に文字が一行ずつ浮かび上がってくるのであった。
『↓黒板に浮かび上がった内容↓』
《アクイース王国》
・オアシス大陸全土を統治する
・建国の祖ジョルカ家により建国以来統治されている
・三年前に先代の王が急死、現在は若きジョルカ・パッロという女王が戴冠
《光道真術学院・マラナカンと、その存在意義》
・対救災害特化型戦闘部隊【一桁騎士団・ナンバーズ】及び国土防衛・国土治安維持部隊【王国騎士団・アウトナンバーズ】の特殊育成学校として創設
・光道真術の才能があるものを大陸全土より集め育てる
・入学時の年齢制限は二〇歳であるが、現実的には才能が発現する一五歳前後である場合が多い
・一桁騎士団・王国騎士団の団員九割はマラナカンの卒業生で占められている
《一桁騎士団・ナンバーズとは》
・総隊長・副総隊長の下に壱番隊から仇番隊と呼ばれる部隊があり、一部隊五名で構成される救災害特化戦闘部隊
・一桁騎士団適正精査【クオリティジャッジ】によりその実力が認められた団員のみで構成される
・様々な恩恵を常時受ける事が出来るが救災害に発生時には率先した対応を求められる
《国土防衛・国土治安維持部隊・王国騎士団【アウトナンバーズ】とは》
・アクイース王国の国防・治安維持を主とした光道真術部隊
・マラナカン卒業時に飛び抜け過ぎた才能を持つ一部の者や入隊辞退、文官を希望するものを除き、基本的にはアウトナンバーズに配属される
・一年に一度行われる入隊試験によりマラナカン卒業生でなくても騎士団【キングダムア―ミー】に入隊は可能
《騎士団【キングダム・アーミー】とは》
・一桁騎士団・王国騎士団の総称
《救災害とは》
・現存する最古の文献にも記されている、この大陸で起こる突発的怪奇現象の総称
・決まった姿を持つという事はないが、例外なく異形と呼べる姿形であり、人類に多大な被害をもたらしてきた
・便宜上の分類としてS・A・B・Cとランクが分かれており上位の救済害ほど討伐任務は困難を極める
・目安としての対応基準は以下の通りである
【C級救災害】・・・王国騎士団【アウトナンバーズ】個人で対応可能
【B級救災害】・・・王国騎士団【アウトナンバーズ】複数名または一桁騎士団【ナンバーズ】個人で対応可能
【A級救災害】・・・一桁騎士団【ナンバーズ】、一部隊で対応可能
【S級救災害】・・・一桁騎士団【ナンバーズ】、複数部隊以上で対応
【特S級救災害】・・・事実上対応不可能とされている救済害。古代の文献にその旨の記載があるが直近の百年程度の歴史では確認されてはいない
「ひとまず俺が教える座学は、この辺の、本当に基本的な事だけだから」
次いで、本日の講義内容を口にするも【王国の成り立ち】という、講師も生徒も「(これ、やる必要あるのか?)」という内容であった。
強制的に立場を握られている以上、やらなければいけないとは言え、知らぬ生徒も皆無な事だけに、ロニーも途中から面倒くさくなる。
必然話はわき道にそれ、都の隠れた名店という話に流れていき、意外にもオモシロ為になる話に、生徒たちは引き込まれる――それもそのはず、仕事柄……というよりもロニーの働く【リリー旬菜工房】は知る人ぞ知るという名声を得ている商店なので、都で評判のいい大衆的な飲食店の大部分が、お得意様であった。
一部のグルメ通に言わせると、上手い飯屋を探す最も効率のいい方法は【リリー旬菜工房】のベジボックスがある所に行けばいいと、まことしやかに噂されているのである。これもひとえに言うなれば、大将であるミューレンの凄さでもあるではあるが、これはまた別の機会に。
「……だけど信じちゃダメだぜ、この噂。この野菜配達用の箱【ベジボックス】がこれ見よがしに店舗の外に置かれている店舗はたいてい外れ。一時期その噂が広がりすぎてベジボックスがこっちのあずかり知らぬところで取引されてんだよ。まぁ、通と呼ばれる奴らにはすでに知られていることだけどね……」
などと現場の人間だから知りえる情報は、意外にも生徒たちからの評判が上々であった。
本日の授業に関しては講師、生徒と互いに気持ちよく終えることができたのだ。
ロニーの気の抜けた挨拶は、生徒達にしてみると、あからさまにやる気のないように見えたが、昨日の今日という事もあり文句が出て来ることはなかった。
……勿論、口にしないだけで数人の生徒はその態度でもって、不安と苛立ちを隠してはいないようではあるが。
当の本人は気にする事もなく淡々と授業を進める。
「今日は初歩の初歩、この国に住んでれば当然の事ばっかりだからマジで寝たきゃ寝ててもいいよ。一応、黒板も使うけど別に写す必要もないし、まぁ、何となく座っていてよ」
口にした事は本心だが、意外と言葉にすると真剣に怠惰な感じだなぁと矛盾したことを思うロニーであった。
事前に預かった資料の中から、手のひらサイズの箱を一つ取り出す、それを黒板の端にある窪みに嵌る。
カチャッと音がするまで差し込んだ後に右の親指を押し付ける、すると差し込んだ箱が発光し黒板に文字が一行ずつ浮かび上がってくるのであった。
『↓黒板に浮かび上がった内容↓』
《アクイース王国》
・オアシス大陸全土を統治する
・建国の祖ジョルカ家により建国以来統治されている
・三年前に先代の王が急死、現在は若きジョルカ・パッロという女王が戴冠
《光道真術学院・マラナカンと、その存在意義》
・対救災害特化型戦闘部隊【一桁騎士団・ナンバーズ】及び国土防衛・国土治安維持部隊【王国騎士団・アウトナンバーズ】の特殊育成学校として創設
・光道真術の才能があるものを大陸全土より集め育てる
・入学時の年齢制限は二〇歳であるが、現実的には才能が発現する一五歳前後である場合が多い
・一桁騎士団・王国騎士団の団員九割はマラナカンの卒業生で占められている
《一桁騎士団・ナンバーズとは》
・総隊長・副総隊長の下に壱番隊から仇番隊と呼ばれる部隊があり、一部隊五名で構成される救災害特化戦闘部隊
・一桁騎士団適正精査【クオリティジャッジ】によりその実力が認められた団員のみで構成される
・様々な恩恵を常時受ける事が出来るが救災害に発生時には率先した対応を求められる
《国土防衛・国土治安維持部隊・王国騎士団【アウトナンバーズ】とは》
・アクイース王国の国防・治安維持を主とした光道真術部隊
・マラナカン卒業時に飛び抜け過ぎた才能を持つ一部の者や入隊辞退、文官を希望するものを除き、基本的にはアウトナンバーズに配属される
・一年に一度行われる入隊試験によりマラナカン卒業生でなくても騎士団【キングダムア―ミー】に入隊は可能
《騎士団【キングダム・アーミー】とは》
・一桁騎士団・王国騎士団の総称
《救災害とは》
・現存する最古の文献にも記されている、この大陸で起こる突発的怪奇現象の総称
・決まった姿を持つという事はないが、例外なく異形と呼べる姿形であり、人類に多大な被害をもたらしてきた
・便宜上の分類としてS・A・B・Cとランクが分かれており上位の救済害ほど討伐任務は困難を極める
・目安としての対応基準は以下の通りである
【C級救災害】・・・王国騎士団【アウトナンバーズ】個人で対応可能
【B級救災害】・・・王国騎士団【アウトナンバーズ】複数名または一桁騎士団【ナンバーズ】個人で対応可能
【A級救災害】・・・一桁騎士団【ナンバーズ】、一部隊で対応可能
【S級救災害】・・・一桁騎士団【ナンバーズ】、複数部隊以上で対応
【特S級救災害】・・・事実上対応不可能とされている救済害。古代の文献にその旨の記載があるが直近の百年程度の歴史では確認されてはいない
「ひとまず俺が教える座学は、この辺の、本当に基本的な事だけだから」
次いで、本日の講義内容を口にするも【王国の成り立ち】という、講師も生徒も「(これ、やる必要あるのか?)」という内容であった。
強制的に立場を握られている以上、やらなければいけないとは言え、知らぬ生徒も皆無な事だけに、ロニーも途中から面倒くさくなる。
必然話はわき道にそれ、都の隠れた名店という話に流れていき、意外にもオモシロ為になる話に、生徒たちは引き込まれる――それもそのはず、仕事柄……というよりもロニーの働く【リリー旬菜工房】は知る人ぞ知るという名声を得ている商店なので、都で評判のいい大衆的な飲食店の大部分が、お得意様であった。
一部のグルメ通に言わせると、上手い飯屋を探す最も効率のいい方法は【リリー旬菜工房】のベジボックスがある所に行けばいいと、まことしやかに噂されているのである。これもひとえに言うなれば、大将であるミューレンの凄さでもあるではあるが、これはまた別の機会に。
「……だけど信じちゃダメだぜ、この噂。この野菜配達用の箱【ベジボックス】がこれ見よがしに店舗の外に置かれている店舗はたいてい外れ。一時期その噂が広がりすぎてベジボックスがこっちのあずかり知らぬところで取引されてんだよ。まぁ、通と呼ばれる奴らにはすでに知られていることだけどね……」
などと現場の人間だから知りえる情報は、意外にも生徒たちからの評判が上々であった。
本日の授業に関しては講師、生徒と互いに気持ちよく終えることができたのだ。
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