蛇神さま、どうか私を

ゆに蔵

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昼間から寝間着でうろつくのは憚られたため、適当な着物が無いだろうかと部屋の箪笥を開けたところ、あった。質の良いであろう生地の着物と帯がいくつか重ねられている。棗は、その一組を手に取り着替えると、自室を後にした。



廊下は、少し冷えるが穏やかな陽光が差し込み、外に開けた場所からは遮るものなしに空が見えた。棗は昨日、山の中腹で社に続く鳥居を見つけた。本来なら、空を見上げたときに上方に生える木々の枝が視界に入るはずだ。
この社は、あの鳥居を境に人間の住む世界と少しずれた空間に存在するのだろう。棗は薄い雲を見つめながらそう推測した。



廊下を歩きながら、脇にある部屋を一つずつ覗いていく。
炊事の部屋、酒樽が積まれた部屋、美しい反物が並べられた部屋、ただの空き部屋……などなど、あらゆる部屋を散策した末に、棗は一際重厚な扉がある部屋の前に辿り着く。漆塗りの扉からは中の様子を伺うことはできない。



「この部屋、何だろう……」



何か物々しい雰囲気を感じながらも扉に手を掛けたそのとき、背後から小声で制止される。



「棗様、すみません。その部屋に入ってはなりません。」



扉から手を離し、驚いて振り返ると左月がいた。



「す、すみません……私、勝手に……」


「いえ、他の部屋は一向に構わないのですが。伝え忘れていて申し訳ありません。」


「あの、この部屋は一体?」


「昼の間、我が主が休まれています。本来神に休眠など不要なのですが……神力が枯渇寸前だと言っておられたでしょう。休む時間を設けることで神力を温存しておられるのです。」


「蛇神さまが……」


「ただ、貴女が来られたので、そのようなことが不要になる日も近いでしょう。……もう夜が近い。夕餉に参りましょう。精のつく食材を用意しました。」


「なっ……!」



顔を紅くしながら左月の後をついて歩き、ふと空を見た。陽はもう落ちて、西側の夕焼けは暗い夜空に追いやられる。頭上には白い星がいくつか輝いていた。また夜が来る。



__




「来たか、棗。」


「はい。」



襖を開け、蛇神の元へ歩む。棗の身はまだ硬く、心臓の鼓動も速く大きいが、不思議なことに蛇神と目を合わせることはできた。



「どうした。あんなに目を合わせるのを拒んでいたのに。もう観念したか?」


「……観念というか、なんというか……」


「ふ、まあ良い。こちらに。」



棗は寝台の上に乗り、胡座をかいて座る蛇神の前にぺたりと腰を下ろした。蛇神の手がするりと棗の頰を撫で、そのまま後頭部に回される。
彼女を引き寄せ、互いの唇が触れ合いそうになる距離で蛇神は囁いた。



「棗、口を開けなさい。」



蛇神の低い囁きに棗の腰にぞくりと痺れが走る。恐る恐る口を開けると喰らうように深く口付けられ、逃げようにも後頭部を押さえられているため後ろに下がることができない。混乱の中、あっという間に棗の舌は蛇神の長い舌に絡め取られてしまった。



「んっ!……ふぁ、んぅ…………」



棗の舌を締めるような蛇神の舌の動きに、彼女は甘く呻く。ただ息が苦しくて辛いという感情だけではもうなくなり、されるがままに蛇神に蹂躙される状況にかすかな悦楽を感じ始めていた。
長い口付けから解放された棗は、その場に手を突き荒く呼吸をする。とろんと紅潮した顔で息を整える様に、蛇神は口の端を上げた。



「ふ、昨夜まで生娘だったとは思えぬ顔をする。」



蛇神は棗を膝の上に抱えると、背後から襦袢の帯を解き、乱れた胸元に手を差し込む。襦袢の下で棗の胸を手で覆い、軽く揺すってやると彼女は背を丸め吐息交じりに甘い声を上げる。



「……ぁ、ん…………ふぅ……」



硬く尖った先端を指の腹で押し潰してやると、棗は目をぎゅっと閉じ眉根を寄せ悶える。無意識に蛇神の手を胸元から引き剥がそうとするが、またしても蛇神は片手でそれを押さえ込む。



「あぁ……!……ん、やぁ…………!」


「この手は何だ。本当はもっとこうしてほしいのだろう。」



刺激を与えればその通りに喘ぐ棗にいじらしさを感じた蛇神は、その後もしばらく彼女の胸を指で弄び、彼女が上げる甘い声を愉しんだ。
蛇神が下腹部に指を運んだ頃には、そこはもうすでに愛液が垂れるほどに濡れそぼっていた。蛇神は棗の秘所に指を突き立て、入り口付近で焦らしながら愉快そうに笑う。



「くく……なあ、棗。昨夜もそうだが、其方は閨事ねやごとの資質があるようだ。もうすでに私の指を呑み込んでしまいそうだぞ。」


「そんなの、知りません……!や、やぁ……ん……意地悪、しないでくださ…………ああっ……!」



入り口付近を浅く前後していた蛇神の指が、急に奥深くまで挿し込まれる。一瞬、棗は目を見開き口をはくはくとさせる。



「……ん…………お、驚かせないでください……」


「ああ、すまない。あまりにも濡れていたものだから、指が滑ってしまった。」


「…………っ!」



わざとらしく謝る蛇神を、棗は羞恥と悔しさを滲ませた目できっと見つめる。その眼差しに嗜虐心が刺激され、蛇神は指をゆっくりと抜き挿ししながら棗の耳元で囁く。



「何だその反抗的な目は。こうされるのは、気持ちが良いだろう?」


「やぁ、ん……んぅ…………ひゃ……!」 


「そうだ、其方は確か、ここが好きだったな。」



蛇神はさらに、昨夜探り当てた棗の弱い部分を指でぐりぐりと押し潰す。



「……っ!?だめ、やだぁ!ひぃ、あ………………いや、いやあぁぁ……!!」



棗は恐怖を感じるほどの快感に怯え抵抗しようとしたが、ついに声を上げて果て、蛇神にくたりともたれ掛かった。

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