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僕達に出来る事
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僕達はダンさんの紹介でギルドに来ている。そして何処でどうなったのからいとは依頼書を見に行き「何か」を連れてきたんだ。
「ちょっと!らいと!その頭の上のは何さ?」
僕が不思議な生物は何だろうと考えてると。シャノワールさんがらいとの頭の上に手を差し伸べた。すると不思議な生物はシャノワールさんの手に移動したんだけどね。その手を僕達に向ける。生物は僕達をキョロキョロ首を傾げながら見ていた。その生物は鳥。それも見た目はスズメに見える。でも何故か頭の上に小さな猫耳の様な耳が付いていて眉毛も目の上にある。羽根を手の様に器用に動かして顎に手を当て首を傾げていたんだ。
「えっ?この生き物何?」
「なんか依頼書を見てたらいつの間にか頭が重くなって。調子悪いのかなと思ったんだ。それで戻ってきたら原因はこいつだったらしい…。」
らいとが溜息をつき、やれやれと首を振るとその生物はシャノワールさんの手から飛び上がるとポムと音を立て軽い爆発が起こる。煙が生物を囲み一瞬見えなくなる。
「うわっ!?」
「なにっ!?」
煙がはれるとそこには一人の少女が立っていたんだ。
「えっ!?」
「だ!誰だ!」
するとシャノワールさんが口を開いた。
「この子は獣人…だったのね。」
獣人と呼ばれたその子はキョロキョロ僕達を見てる。見た目は茶色のワンピースを着て頭の上に耳が付いていてその間に赤いリボンをつけている。そして僕達を見ると声を発した。
「ねえ…ここはどこ?」
「えっ?迷子の獣人?」
僕は困惑してるとシャノワールさんが少女に質問する。
「ねえ、あなたは誰で…どこからきたのかな?」
「僕は…スズメの獣人で【すずね】っていうんだ。」
すずねちゃんはそう言うと下を向き俯き話を続けた。
「僕はこの街から西に少し行った森の中の小さな村で産まれ育ったんだ。」
僕達は、すずねちゃんの話を黙って聞くことにした。
「僕の家では代々宿屋をしていて。ずっと雀の獣人の父さんと人間の母さんと暮らしてきた。村の人達とも仲良く暮らしてきたんだ…。」
すると…すずねちゃんの顔が段々青ざめていく。
「そんなある日平和な村に数人の旅人がやってきたんだ。」
すずねちゃんは震えながら話を続けた。
「旅の人達は最初はただ、うちの宿屋に泊まりに来ただけだろうと思っていたら、一晩…二晩と日にちが経つにつれその態度は変わっていって…ある夜…本性を現したんだ。」
すずねちゃんはそこまで話すと目に涙を浮かべツツ…っと涙はこぼれる。
それはあいつらが泊まって三日目の夜の事。僕は目が覚めてトイレに行こうと向かってる途中。旅の人達のリーダーらしき人が泊まっていた部屋の灯りが廊下に漏れていたんだ………。
「あっはっは!しかしこの村は居心地がいいぜ!」
「本当ですね、飯は美味いし酒もうまい!何よりここの嫁が絶品の美人ときた!」
僕が聞いているのも知らずに男達は欲望のままにワイワイ話していたんだ。
「それでな…ここに来たのは【雀の涙】って呼ばれる宝石が雀の獣人の涙から採れると言われてるんだけどな。」
「その雀の涙を奪う為に来たんだ。」
「雀の涙ッスか?確か希少で闇市では言い値で売れるとか。」
「そうだ…情報では雀の獣人はこの村にしか存在しない希少な獣人らしくてな。それに…ついでにここの若い嫁を奪っていこうと思ってな!」
「あっはっは!それじゃこの村を壊滅させるって事ですな。」
「そうだ、雀の涙を奪い美人の女を手に入れ、そしてこの村ごと壊滅させる…。」
「なるほど…そうすれば…雀の涙の希少さは増し値は上がり俺達は好き放題。」
「そして俺様は一生遊んで暮らせ極上の女も手に入る!あはは!あっはっははははは~!」
そんな話を聞いた僕は恐ろしくなって震えていたんだ。立ち去ろうとして後ろを振り返った時、足がもつれその場に転んでしまったんだ。すると男達はこちらに気づき部屋の扉が開いた…。
「なんだ?ここのガキじゃねえか!?」
僕は恐怖で声も出ないし動けずにいた。
「このガキどうします?」
「もちろん…人質だろ…クックック…。」
そして僕は男達に捕まってしまったんだ…。
「僕達が何をしたって言うんだ!!僕が半獣だから?」
「父さんも母さんも凄く優しくて…。」
「村の人達も僕の事を家族みたいに仲良くしてくれてたんだ!」
「それなのに…どうして僕達がこんな目にあわなきゃいけないの!?」
「うわあああああんんん………。」
「すずねちゃん…。」
僕はすずねちゃんの涙に拳を握り身体を震わせる。
「すずねちゃん!」
シャノワールさんはすずねちゃんを抱き寄せ強く抱きしめたんだ。
「大丈夫…大丈夫。このギルドに来たんだから…もう大丈夫よ。」
「うわあああ…!!!!!。」
すずねちゃんは大声を出して泣いた。それはそうだよ…。こんなに幼い子が怖い目にあったんだから…。
「すずねちゃん…。」
「俺達がいる。お前はもう大丈夫だ。」
「うん…ありがとう……。」
すずねちゃんは話をしてくれた。村の人達が傷つけられた事。すずねちゃんの母は美しかった為、山賊のリーダーに目をつけられた事。すずねちゃんと妻を守ろうとした父親は山賊に倒された事。そんな中、命からがらすずねちゃんは村の人達に逃がしてもらえた事。すずねちゃんは頑張って話してくれたんだ。僕達はすずねちゃんの肩に手をそえる。
「らいと!絶対僕達が救ってあげようね!」
「ああ…すずねは俺達が守ってやる!!」
僕達は一歩足を踏み出す。
「君達!これがすずねちゃんの村の地図よ…後は任せたわよ!」
シャノワールさんから地図を受け取る。そして言葉に頷くと僕達はギルドを後にした。
第六話お読みいただきありがとうございました!
みらいとらいと…そしてすずねの未来はどうなる!?
次回をお待ちくださいませ。
「ちょっと!らいと!その頭の上のは何さ?」
僕が不思議な生物は何だろうと考えてると。シャノワールさんがらいとの頭の上に手を差し伸べた。すると不思議な生物はシャノワールさんの手に移動したんだけどね。その手を僕達に向ける。生物は僕達をキョロキョロ首を傾げながら見ていた。その生物は鳥。それも見た目はスズメに見える。でも何故か頭の上に小さな猫耳の様な耳が付いていて眉毛も目の上にある。羽根を手の様に器用に動かして顎に手を当て首を傾げていたんだ。
「えっ?この生き物何?」
「なんか依頼書を見てたらいつの間にか頭が重くなって。調子悪いのかなと思ったんだ。それで戻ってきたら原因はこいつだったらしい…。」
らいとが溜息をつき、やれやれと首を振るとその生物はシャノワールさんの手から飛び上がるとポムと音を立て軽い爆発が起こる。煙が生物を囲み一瞬見えなくなる。
「うわっ!?」
「なにっ!?」
煙がはれるとそこには一人の少女が立っていたんだ。
「えっ!?」
「だ!誰だ!」
するとシャノワールさんが口を開いた。
「この子は獣人…だったのね。」
獣人と呼ばれたその子はキョロキョロ僕達を見てる。見た目は茶色のワンピースを着て頭の上に耳が付いていてその間に赤いリボンをつけている。そして僕達を見ると声を発した。
「ねえ…ここはどこ?」
「えっ?迷子の獣人?」
僕は困惑してるとシャノワールさんが少女に質問する。
「ねえ、あなたは誰で…どこからきたのかな?」
「僕は…スズメの獣人で【すずね】っていうんだ。」
すずねちゃんはそう言うと下を向き俯き話を続けた。
「僕はこの街から西に少し行った森の中の小さな村で産まれ育ったんだ。」
僕達は、すずねちゃんの話を黙って聞くことにした。
「僕の家では代々宿屋をしていて。ずっと雀の獣人の父さんと人間の母さんと暮らしてきた。村の人達とも仲良く暮らしてきたんだ…。」
すると…すずねちゃんの顔が段々青ざめていく。
「そんなある日平和な村に数人の旅人がやってきたんだ。」
すずねちゃんは震えながら話を続けた。
「旅の人達は最初はただ、うちの宿屋に泊まりに来ただけだろうと思っていたら、一晩…二晩と日にちが経つにつれその態度は変わっていって…ある夜…本性を現したんだ。」
すずねちゃんはそこまで話すと目に涙を浮かべツツ…っと涙はこぼれる。
それはあいつらが泊まって三日目の夜の事。僕は目が覚めてトイレに行こうと向かってる途中。旅の人達のリーダーらしき人が泊まっていた部屋の灯りが廊下に漏れていたんだ………。
「あっはっは!しかしこの村は居心地がいいぜ!」
「本当ですね、飯は美味いし酒もうまい!何よりここの嫁が絶品の美人ときた!」
僕が聞いているのも知らずに男達は欲望のままにワイワイ話していたんだ。
「それでな…ここに来たのは【雀の涙】って呼ばれる宝石が雀の獣人の涙から採れると言われてるんだけどな。」
「その雀の涙を奪う為に来たんだ。」
「雀の涙ッスか?確か希少で闇市では言い値で売れるとか。」
「そうだ…情報では雀の獣人はこの村にしか存在しない希少な獣人らしくてな。それに…ついでにここの若い嫁を奪っていこうと思ってな!」
「あっはっは!それじゃこの村を壊滅させるって事ですな。」
「そうだ、雀の涙を奪い美人の女を手に入れ、そしてこの村ごと壊滅させる…。」
「なるほど…そうすれば…雀の涙の希少さは増し値は上がり俺達は好き放題。」
「そして俺様は一生遊んで暮らせ極上の女も手に入る!あはは!あっはっははははは~!」
そんな話を聞いた僕は恐ろしくなって震えていたんだ。立ち去ろうとして後ろを振り返った時、足がもつれその場に転んでしまったんだ。すると男達はこちらに気づき部屋の扉が開いた…。
「なんだ?ここのガキじゃねえか!?」
僕は恐怖で声も出ないし動けずにいた。
「このガキどうします?」
「もちろん…人質だろ…クックック…。」
そして僕は男達に捕まってしまったんだ…。
「僕達が何をしたって言うんだ!!僕が半獣だから?」
「父さんも母さんも凄く優しくて…。」
「村の人達も僕の事を家族みたいに仲良くしてくれてたんだ!」
「それなのに…どうして僕達がこんな目にあわなきゃいけないの!?」
「うわあああああんんん………。」
「すずねちゃん…。」
僕はすずねちゃんの涙に拳を握り身体を震わせる。
「すずねちゃん!」
シャノワールさんはすずねちゃんを抱き寄せ強く抱きしめたんだ。
「大丈夫…大丈夫。このギルドに来たんだから…もう大丈夫よ。」
「うわあああ…!!!!!。」
すずねちゃんは大声を出して泣いた。それはそうだよ…。こんなに幼い子が怖い目にあったんだから…。
「すずねちゃん…。」
「俺達がいる。お前はもう大丈夫だ。」
「うん…ありがとう……。」
すずねちゃんは話をしてくれた。村の人達が傷つけられた事。すずねちゃんの母は美しかった為、山賊のリーダーに目をつけられた事。すずねちゃんと妻を守ろうとした父親は山賊に倒された事。そんな中、命からがらすずねちゃんは村の人達に逃がしてもらえた事。すずねちゃんは頑張って話してくれたんだ。僕達はすずねちゃんの肩に手をそえる。
「らいと!絶対僕達が救ってあげようね!」
「ああ…すずねは俺達が守ってやる!!」
僕達は一歩足を踏み出す。
「君達!これがすずねちゃんの村の地図よ…後は任せたわよ!」
シャノワールさんから地図を受け取る。そして言葉に頷くと僕達はギルドを後にした。
第六話お読みいただきありがとうございました!
みらいとらいと…そしてすずねの未来はどうなる!?
次回をお待ちくださいませ。
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