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第1話 もしかして…入れ替わりってやつですか!?
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いつも通りの時間に起きて、顔を洗う。
今日から俺は高校二年生だ。
目覚めたのは、なんだか見覚えのない部屋な気もするけど、きっと気のせいだ。
目を擦りながら、洗面台に向かう。
…あれ?洗面台どこだっけ?
何故か、髪が少し邪魔に感じた。
しばらく辺りをうろうろして、ようやく洗面台を見つけた。
冷たい水が顔にかかって、頭にかかった靄を晴らしていく。
それと同時に、視界がクリアになった。
ふと顔を上げて鏡を見つめると、見慣れない顔があった。
整った目鼻立ちに、白い肌、サラサラのダークブラウンの長い髪は、その顔がいわゆる「美少女」と呼ばれるものであることを示すには十分すぎる。
そしてそれは、俺が密かに好意を寄せるクラスメイトの七瀬ことはの顔でもあった。
ーー夢だな
考えるまでもなく結論に至った。
でも、これは限りなくクオリティが高い。
どうせなら、夢から覚めるまでこの世界を満喫しようではないか!
家から出ると、見慣れない景色が広がっていた。
俺は、ポケットからスマートフォンを取り出し、地図のアプリを開く。
そして、学校までのナビゲーションを開始した。
午前10時、やっと学校に着いた。
夢なのに人生ハードモードとかおかしいでしょ普通…
そんなことを考えていると、一人の女子が話しかけてきた。
確か、七瀬と仲が良かった花咲瑠璃だったか。
「ことは、今日遅かったね。なにかあった?」
実は七瀬ことはじゃありませーんなんて、夢でも言えるわけない。
どう答えようかを模索していると、花咲が話題を変えてきた。
「そういえば、前言ってた好きな人って誰なの?」
そう問いかけてくる彼女の目は、期待に満ち溢れている。
ーーあいつ…好きな人いたのか?
今受けた衝撃の大きさ、これは夢なんかじゃない!
そもそも、この世界は俺の想像力の範疇を超えている。
しかし、それ以上に七瀬に好きな人がいると言う事実が、これが現実であると言うことを俺に自覚させた。
チャイムが鳴り、授業が始まった。
しかし、何故か授業に集中できない。
気を抜くと、クラスメイトの男子、一宮ハルのことを目で追ってしまうからだ。
何故そうしてしまうのかはわからない。
それはどこか、本能のようなものである気がした。
そのまま授業を終え、休み時間になった。
教科書類を片付けていると、不意に、一宮と目が合った。
しかし、無意識のうちに目をそらしていた。
しかし、何故か彼のことが気になってまた目線を上げようとする。
しかし、気恥ずかしさかもう一度彼を見ることはできなかった。
「ことーはっ!」
背後からの急な重力を感じ、俺は倒れそうになる。
後ろを見ると、花咲が俺に抱きついてきていた。
女子のボディータッチえげつねえ。
しかし俺、焦ってはいけない。
落ち着いて対応すればいい。
俺は七瀬ことは、俺は七瀬ことは、俺は七瀬ことは…
「ことは、なんか顔赤くない?大丈夫?」
その言葉を聞いて、俺の中にとある疑念が生じた。
とりあえず今はこの状況をどうにかせねば。
俺は、頭の中に七瀬ことはを召喚し、できるだけ喋り方を似せてみる。
「大丈夫だよぉ。それより瑠璃は、体調どお?」
しまった!
なんか変な喋り方になったし、特に気分が悪そうな素振りもないのに体調聞くとか会話初心者か俺は!
っは!
何故か花咲が無言になってしまった。
なんか俯いてるし、怖いんですけど。
「ねえ」
花咲が顔を上げる。
「ヒャいっ」
ビビって変な声が出てしまった。
花咲が満面の笑みで口を開く。
「今日のことは、なんかキモいね」
それからまた授業を受けて、やってきた昼休み。
ことはになりきるのもやっと慣れてきた。
そういえば、花咲への対応ですっかり忘れていたが、俺を探さないと!
俺の席を見ると、俺がいた。
特別目立つわけではないが、ある程度友達がいる。
それが俺、夕凪翔だ。
しかし…
今日の俺の席には、何故か多くの男子が群がっていた。
その中心にいるのは、おそらく中身が七瀬ことはであろう俺だ。
多くの男子に囲まれた彼女だが、怖気付く事なく笑顔で接している。
しかし、俺の知っている夕凪翔ではない。
そこにいるのは、とても愛想がよく、思わず話しかけたくなるような人物だ。
「これが、俺に足りなかった物…」
多くの男子がいる中へ行くのは少し面倒だが、俺は七瀬と話さなければならない。
覚悟を決めて、彼女のもとへ向かい始めたその時だった。
「ことはぁ~お弁当食べよ~」
背後からの大声を、俺は無視することができなかった。
あまりにも大きな声だったので、俺の正面にいた七瀬含む男子たちもそっちの方向を見る。
その時、俺の姿をした七瀬と目が合った。
そして、彼女に声を掛けなければという衝動に駆られた。
「あの…」
しかし、俺から発せられたのは、そんなか細い声だった。
「ことは、聞こえてる?もしもーし」
俺の声は、花咲にかき消されてしまう。
しかし、その声に重ねるように、俺の声を纏った七瀬が発した言葉が教室に響いた。
「七瀬さん、一緒にお昼、たべない?」
七瀬の神プレイ炸裂!
しかし、それに対抗するように花咲が食ってかかる。
「ことは、私とお昼食べよう」
しかし、彼女の作ってくれたチャンスを無駄にするわけにはいかない!
「瑠璃、今日は、夕凪くんと食べてもいい?」
花咲が目を細める。
…絶対疑ってる
「ほ、ほら夕凪君とは委員会同じだからさ、ちょっと話し合いたいことがあって…」
「…ふーん」
そういって去っていった彼女を見て、俺はほっと胸を撫で下ろした。
そして、そんな俺に
「それじゃあ、いこっか」
と話しかけてきた七瀬に連れられ、俺たちは屋上に向かった。
今日から俺は高校二年生だ。
目覚めたのは、なんだか見覚えのない部屋な気もするけど、きっと気のせいだ。
目を擦りながら、洗面台に向かう。
…あれ?洗面台どこだっけ?
何故か、髪が少し邪魔に感じた。
しばらく辺りをうろうろして、ようやく洗面台を見つけた。
冷たい水が顔にかかって、頭にかかった靄を晴らしていく。
それと同時に、視界がクリアになった。
ふと顔を上げて鏡を見つめると、見慣れない顔があった。
整った目鼻立ちに、白い肌、サラサラのダークブラウンの長い髪は、その顔がいわゆる「美少女」と呼ばれるものであることを示すには十分すぎる。
そしてそれは、俺が密かに好意を寄せるクラスメイトの七瀬ことはの顔でもあった。
ーー夢だな
考えるまでもなく結論に至った。
でも、これは限りなくクオリティが高い。
どうせなら、夢から覚めるまでこの世界を満喫しようではないか!
家から出ると、見慣れない景色が広がっていた。
俺は、ポケットからスマートフォンを取り出し、地図のアプリを開く。
そして、学校までのナビゲーションを開始した。
午前10時、やっと学校に着いた。
夢なのに人生ハードモードとかおかしいでしょ普通…
そんなことを考えていると、一人の女子が話しかけてきた。
確か、七瀬と仲が良かった花咲瑠璃だったか。
「ことは、今日遅かったね。なにかあった?」
実は七瀬ことはじゃありませーんなんて、夢でも言えるわけない。
どう答えようかを模索していると、花咲が話題を変えてきた。
「そういえば、前言ってた好きな人って誰なの?」
そう問いかけてくる彼女の目は、期待に満ち溢れている。
ーーあいつ…好きな人いたのか?
今受けた衝撃の大きさ、これは夢なんかじゃない!
そもそも、この世界は俺の想像力の範疇を超えている。
しかし、それ以上に七瀬に好きな人がいると言う事実が、これが現実であると言うことを俺に自覚させた。
チャイムが鳴り、授業が始まった。
しかし、何故か授業に集中できない。
気を抜くと、クラスメイトの男子、一宮ハルのことを目で追ってしまうからだ。
何故そうしてしまうのかはわからない。
それはどこか、本能のようなものである気がした。
そのまま授業を終え、休み時間になった。
教科書類を片付けていると、不意に、一宮と目が合った。
しかし、無意識のうちに目をそらしていた。
しかし、何故か彼のことが気になってまた目線を上げようとする。
しかし、気恥ずかしさかもう一度彼を見ることはできなかった。
「ことーはっ!」
背後からの急な重力を感じ、俺は倒れそうになる。
後ろを見ると、花咲が俺に抱きついてきていた。
女子のボディータッチえげつねえ。
しかし俺、焦ってはいけない。
落ち着いて対応すればいい。
俺は七瀬ことは、俺は七瀬ことは、俺は七瀬ことは…
「ことは、なんか顔赤くない?大丈夫?」
その言葉を聞いて、俺の中にとある疑念が生じた。
とりあえず今はこの状況をどうにかせねば。
俺は、頭の中に七瀬ことはを召喚し、できるだけ喋り方を似せてみる。
「大丈夫だよぉ。それより瑠璃は、体調どお?」
しまった!
なんか変な喋り方になったし、特に気分が悪そうな素振りもないのに体調聞くとか会話初心者か俺は!
っは!
何故か花咲が無言になってしまった。
なんか俯いてるし、怖いんですけど。
「ねえ」
花咲が顔を上げる。
「ヒャいっ」
ビビって変な声が出てしまった。
花咲が満面の笑みで口を開く。
「今日のことは、なんかキモいね」
それからまた授業を受けて、やってきた昼休み。
ことはになりきるのもやっと慣れてきた。
そういえば、花咲への対応ですっかり忘れていたが、俺を探さないと!
俺の席を見ると、俺がいた。
特別目立つわけではないが、ある程度友達がいる。
それが俺、夕凪翔だ。
しかし…
今日の俺の席には、何故か多くの男子が群がっていた。
その中心にいるのは、おそらく中身が七瀬ことはであろう俺だ。
多くの男子に囲まれた彼女だが、怖気付く事なく笑顔で接している。
しかし、俺の知っている夕凪翔ではない。
そこにいるのは、とても愛想がよく、思わず話しかけたくなるような人物だ。
「これが、俺に足りなかった物…」
多くの男子がいる中へ行くのは少し面倒だが、俺は七瀬と話さなければならない。
覚悟を決めて、彼女のもとへ向かい始めたその時だった。
「ことはぁ~お弁当食べよ~」
背後からの大声を、俺は無視することができなかった。
あまりにも大きな声だったので、俺の正面にいた七瀬含む男子たちもそっちの方向を見る。
その時、俺の姿をした七瀬と目が合った。
そして、彼女に声を掛けなければという衝動に駆られた。
「あの…」
しかし、俺から発せられたのは、そんなか細い声だった。
「ことは、聞こえてる?もしもーし」
俺の声は、花咲にかき消されてしまう。
しかし、その声に重ねるように、俺の声を纏った七瀬が発した言葉が教室に響いた。
「七瀬さん、一緒にお昼、たべない?」
七瀬の神プレイ炸裂!
しかし、それに対抗するように花咲が食ってかかる。
「ことは、私とお昼食べよう」
しかし、彼女の作ってくれたチャンスを無駄にするわけにはいかない!
「瑠璃、今日は、夕凪くんと食べてもいい?」
花咲が目を細める。
…絶対疑ってる
「ほ、ほら夕凪君とは委員会同じだからさ、ちょっと話し合いたいことがあって…」
「…ふーん」
そういって去っていった彼女を見て、俺はほっと胸を撫で下ろした。
そして、そんな俺に
「それじゃあ、いこっか」
と話しかけてきた七瀬に連れられ、俺たちは屋上に向かった。
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