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第3章
6.寡黙な王と愉快な仲間たち
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「はぁ……なんつって説明したらいいんだよ、これ……」
「も、申し訳ありません、ガイ隊長……あの、俺たちはどうすれば……」
「もう連れてきちまったんだから、どうにかするしかねぇだろ。とりあえず陛下に報告して土下座だな。はぁ、怒るだろうなぁ……」
そう言って何度もため息をつくガイの腕には、まだ気を失ったままのユキが抱かれている。
あれから慌てて縄を解いたものの、腕や足には縛られていた跡がくっきり残っていて、自分が誘拐犯になったようで心苦しいことこの上ない。重い足取りで陛下のいる執務室に向かうが、何事かと怪訝な顔で自分たちを見る城内の者たちの視線が痛い。
苦笑いでやりすごしながら、ようやく執務室の前に着いた。深呼吸してから、恐る恐るドアを叩く。ややあってから、入れ、と低い声が聞こえた。
「し、失礼致します……」
「……どうした、大勢で」
ウツギ国王であるレイは、手元の書類から目を離さずに声をかけた。おそらく、ガイの腕の中にいるユキにはまだ気付いていない。
ガイが何と切り出そうかと逡巡していると、後ろに控えていた衛兵隊員たちが一斉に床に膝をついた。
「もっ、申し訳ありませんでしたあっ!!」
その大声に、さすがのレイも驚いて顔を上げる。そして、ガイの腕の中の物体に気付いて目を見開いた。
「……ユキ」
静かに筆を置くと、立ち上がってガイの目の前まで行き確かめる。その目は、今まで見たことが無いくらい慈愛に満ち溢れていた。
しかしすぐに、いつも通りの鋭い視線でガイを見据える。
「……説明してもらおう」
「は、はい……」
その重圧感に、ガイの背に冷や汗が流れる。
こうなった経緯を説明している間も、衛兵隊員たちは震えながら土下座し続けていた。そしてガイが説明を終えると、レイは小さく嘆息した。
「……ともかく、そこに寝かせてやれ」
「はっ!」
レイが指した先にあるソファに、そっとユキを下ろす。すると、その拍子に小さくユキの眉が動いた。
「う……」
「あっ、気付いたか!?」
「え……? わたし、どうして……」
目を覚ましたユキが、状況を飲み込めずに辺りを見回す。しかし、未だ土下座したままの黒服の衛兵隊員を見るなり、その顔が恐怖に引きつった。
「いっ、いやぁっ!! あ、りっ、リサちゃんは!? ここは……!?」
「おい、落ち着けって!」
「さ、触らないでっ! あなたたち、誰なの!?」
自分を連れ去った男たちを確認して、その時の恐怖が蘇ったのだろう。今にも泣きそうな顔で、落ち着かせようとするガイの腕を振り払う。
その様子を見て、土下座していた隊員たちがあたふたし始める。騒然となった室内を鎮めたのは、レイだった。
「……ユキ」
「ど、どうしてわたしの名前っ……!」
「少し落ち着け。思い出せぬか? 私だ」
静かにユキに近づくと、彼女の目線に合わせてしゃがみ込んだ。レイの目をじっと見つめているうちに、ユキの表情が恐怖から驚きに変わる。
「もしかして……レイ、さん……?」
「そうだ。久しいな」
レイが優しく微笑みながら頷く。
それを見て、ユキもようやく落ち着きを取り戻したようだ。ほっとしたように、胸に手を当てている。
そんな二人のやり取りを見て、今度はガイたち衛兵隊員が腰を抜かしそうになった。
「おい、陛下が笑ったぞ……!?」
「お、俺も初めて見た!」
「あんな顔するんだな、陛下……」
そんなぼやきには触れず、レイはユキの隣に腰を下ろした。ユキはレイを確認して落ち着いたようだったが、未だに状況を飲み込めずにいる。
「あの、レイさんがいらっしゃるということは、ここはウツギ国ですか……?」
「そうだ。まずはそこから説明せねばならぬな」
ガイ、とレイに名を呼ばれて、ガイが姿勢を正した。お前が説明しろ、ということらしい。
普段と違うレイに違和感を覚えつつも、ガイはこうなった経緯をもう一度説明した。
説明を聞いたあと、ユキの顔が再び曇る。
「ゴウマ大臣、が……」
「そのゴウマとかいう男は、あんたがサウス国王に反抗しないよう洗脳されている、とも言ってたんだ。だからウツギに連れてくる際も抵抗するかもしれないが、それには構わず連れてくるべきだと」
「わたし、洗脳なんかされてません! カトライアに帰してください!」
「洗脳されてる奴は、そう言うように仕込まれてるんだよなぁ……」
「そ、そんなこと言われても……!」
ユキが助けを求めるようにレイを見る。
彼女の様子を見る限り、嫌々カトライア王妃の座に就いているようにはとても見えないが、それほどまで洗脳が根深いとも考えられる。
「ユキ。では、なぜそなたはカトライア王妃となった?」
「えっ? それは……」
「サウスから合併を申し込まれ、一度は断ったのだろう。しかし、決闘の末に強制的に合併し、カトライアとなったと聞いたが」
「……それは、本当です」
「それならば、なぜカトライアに戻りたいのだ。女の身であるそなたにまで決闘をさせた、サウス国王の元に」
レイの言葉に、返す言葉が見つからない。彼の言っていることは、真実だ。
ソウは確かに、無理矢理ユキを決闘に引きずり出し、そしてサウスとノースを合併させた。カトライア国内では、その合併により受けた恩恵から大きな混乱は起きなかった。
しかし、ウツギのような他国からしてみれば、ノースがサウスに飲み込まれたと見えてもおかしくない。元ノース国王が、サウスによって洗脳され王妃になったのだというゴウマの嘘を信じてしまっても、それは仕方のないことのように思える。
「……話し難ければ、話さずとも良い。しかし、そなたの父君には恩がある。その恩人の忘れ形見を、このまま危険な場所に帰すことはできぬ」
「そ、そんなっ……! レイさん!」
「では、話せるか? そなたがそんなにもカトライアに帰りたい理由を」
ソウが好きだから。カトライアが好きだから。
この状況で、馬鹿正直にそんなことを言えるわけがない。想像しただけで恥ずかしくなって、思わず顔が赤くなる。
そんなユキを見て、レイが不思議そうな顔をしたそのとき、ユキの服の裾から何かがひらりと舞い落ちた。
「……なんだ」
「えっ? あ、それはっ……!」
足元に落ちたそれをレイが拾うと、ユキが慌てて声を上げた。そして、焦ったようにレイの手からそれを奪い取ろうとする。
しかし、圧倒的に身長差がある。レイが腕を高くあげてしまえば、あとはいくらユキが飛び跳ねたところで奪い取れるわけがなかった。
「これは……サウス国王だな」
ユキが必死に奪い返そうとしたそれは、先ほどリサとノース城で見つけたソウの写真だった。あの時、ニヤニヤしながらその写真を見るリサからそれを取り上げて、恥ずかしさのあまり思わず胸元に仕舞いこんだのを忘れていた。
「ち、違うんです! これには理由がっ……!」
「……常にこれを持ち歩いているのか?」
「そ、そんなことしませんっ! これは、たまたまっ……!」
写真を取ろうと飛び跳ねていたせいか、ユキの服の裾からまた数枚の写真が落ちてきた。部屋中に散らばってしまったそれを、ガイや衛兵隊員たちが手に取る。
真っ赤な顔でそれらを取り返そうと必死なユキを、レイが複雑そうな表情で見つめている。ガイが手にしたのは、幼いユキとソウが手を繋いで写っている写真だ。
「うわ、よく見たらこれもサウス国王ですよ。あんたまさか、サウス国王のこと好き……」
「すっ、好きじゃありませんっ! この写真は、そのっ……!」
「あー、いいっていいって。その反応見たら分かるわ」
にやつきながら、ガイがその写真をユキに返す。それに続いて、写真を拾った衛兵隊員たちもユキに写真を返していった。なんかすみません、と謝ってくる者もいる。
そして最後に、レイが写真を返しながら呟いた。
「……ユキ」
「は、はい……」
「余計な世話だったようだな。我が国の者が手荒な真似をしてすまなかった」
そう言って、レイがユキに頭を下げた。その姿を見て衛兵隊員たちはどよめき、そして一様に皆ユキに対して頭を下げる。
ユキはといえば、未だ赤い顔でただ頷くことしかできなかった。
「も、申し訳ありません、ガイ隊長……あの、俺たちはどうすれば……」
「もう連れてきちまったんだから、どうにかするしかねぇだろ。とりあえず陛下に報告して土下座だな。はぁ、怒るだろうなぁ……」
そう言って何度もため息をつくガイの腕には、まだ気を失ったままのユキが抱かれている。
あれから慌てて縄を解いたものの、腕や足には縛られていた跡がくっきり残っていて、自分が誘拐犯になったようで心苦しいことこの上ない。重い足取りで陛下のいる執務室に向かうが、何事かと怪訝な顔で自分たちを見る城内の者たちの視線が痛い。
苦笑いでやりすごしながら、ようやく執務室の前に着いた。深呼吸してから、恐る恐るドアを叩く。ややあってから、入れ、と低い声が聞こえた。
「し、失礼致します……」
「……どうした、大勢で」
ウツギ国王であるレイは、手元の書類から目を離さずに声をかけた。おそらく、ガイの腕の中にいるユキにはまだ気付いていない。
ガイが何と切り出そうかと逡巡していると、後ろに控えていた衛兵隊員たちが一斉に床に膝をついた。
「もっ、申し訳ありませんでしたあっ!!」
その大声に、さすがのレイも驚いて顔を上げる。そして、ガイの腕の中の物体に気付いて目を見開いた。
「……ユキ」
静かに筆を置くと、立ち上がってガイの目の前まで行き確かめる。その目は、今まで見たことが無いくらい慈愛に満ち溢れていた。
しかしすぐに、いつも通りの鋭い視線でガイを見据える。
「……説明してもらおう」
「は、はい……」
その重圧感に、ガイの背に冷や汗が流れる。
こうなった経緯を説明している間も、衛兵隊員たちは震えながら土下座し続けていた。そしてガイが説明を終えると、レイは小さく嘆息した。
「……ともかく、そこに寝かせてやれ」
「はっ!」
レイが指した先にあるソファに、そっとユキを下ろす。すると、その拍子に小さくユキの眉が動いた。
「う……」
「あっ、気付いたか!?」
「え……? わたし、どうして……」
目を覚ましたユキが、状況を飲み込めずに辺りを見回す。しかし、未だ土下座したままの黒服の衛兵隊員を見るなり、その顔が恐怖に引きつった。
「いっ、いやぁっ!! あ、りっ、リサちゃんは!? ここは……!?」
「おい、落ち着けって!」
「さ、触らないでっ! あなたたち、誰なの!?」
自分を連れ去った男たちを確認して、その時の恐怖が蘇ったのだろう。今にも泣きそうな顔で、落ち着かせようとするガイの腕を振り払う。
その様子を見て、土下座していた隊員たちがあたふたし始める。騒然となった室内を鎮めたのは、レイだった。
「……ユキ」
「ど、どうしてわたしの名前っ……!」
「少し落ち着け。思い出せぬか? 私だ」
静かにユキに近づくと、彼女の目線に合わせてしゃがみ込んだ。レイの目をじっと見つめているうちに、ユキの表情が恐怖から驚きに変わる。
「もしかして……レイ、さん……?」
「そうだ。久しいな」
レイが優しく微笑みながら頷く。
それを見て、ユキもようやく落ち着きを取り戻したようだ。ほっとしたように、胸に手を当てている。
そんな二人のやり取りを見て、今度はガイたち衛兵隊員が腰を抜かしそうになった。
「おい、陛下が笑ったぞ……!?」
「お、俺も初めて見た!」
「あんな顔するんだな、陛下……」
そんなぼやきには触れず、レイはユキの隣に腰を下ろした。ユキはレイを確認して落ち着いたようだったが、未だに状況を飲み込めずにいる。
「あの、レイさんがいらっしゃるということは、ここはウツギ国ですか……?」
「そうだ。まずはそこから説明せねばならぬな」
ガイ、とレイに名を呼ばれて、ガイが姿勢を正した。お前が説明しろ、ということらしい。
普段と違うレイに違和感を覚えつつも、ガイはこうなった経緯をもう一度説明した。
説明を聞いたあと、ユキの顔が再び曇る。
「ゴウマ大臣、が……」
「そのゴウマとかいう男は、あんたがサウス国王に反抗しないよう洗脳されている、とも言ってたんだ。だからウツギに連れてくる際も抵抗するかもしれないが、それには構わず連れてくるべきだと」
「わたし、洗脳なんかされてません! カトライアに帰してください!」
「洗脳されてる奴は、そう言うように仕込まれてるんだよなぁ……」
「そ、そんなこと言われても……!」
ユキが助けを求めるようにレイを見る。
彼女の様子を見る限り、嫌々カトライア王妃の座に就いているようにはとても見えないが、それほどまで洗脳が根深いとも考えられる。
「ユキ。では、なぜそなたはカトライア王妃となった?」
「えっ? それは……」
「サウスから合併を申し込まれ、一度は断ったのだろう。しかし、決闘の末に強制的に合併し、カトライアとなったと聞いたが」
「……それは、本当です」
「それならば、なぜカトライアに戻りたいのだ。女の身であるそなたにまで決闘をさせた、サウス国王の元に」
レイの言葉に、返す言葉が見つからない。彼の言っていることは、真実だ。
ソウは確かに、無理矢理ユキを決闘に引きずり出し、そしてサウスとノースを合併させた。カトライア国内では、その合併により受けた恩恵から大きな混乱は起きなかった。
しかし、ウツギのような他国からしてみれば、ノースがサウスに飲み込まれたと見えてもおかしくない。元ノース国王が、サウスによって洗脳され王妃になったのだというゴウマの嘘を信じてしまっても、それは仕方のないことのように思える。
「……話し難ければ、話さずとも良い。しかし、そなたの父君には恩がある。その恩人の忘れ形見を、このまま危険な場所に帰すことはできぬ」
「そ、そんなっ……! レイさん!」
「では、話せるか? そなたがそんなにもカトライアに帰りたい理由を」
ソウが好きだから。カトライアが好きだから。
この状況で、馬鹿正直にそんなことを言えるわけがない。想像しただけで恥ずかしくなって、思わず顔が赤くなる。
そんなユキを見て、レイが不思議そうな顔をしたそのとき、ユキの服の裾から何かがひらりと舞い落ちた。
「……なんだ」
「えっ? あ、それはっ……!」
足元に落ちたそれをレイが拾うと、ユキが慌てて声を上げた。そして、焦ったようにレイの手からそれを奪い取ろうとする。
しかし、圧倒的に身長差がある。レイが腕を高くあげてしまえば、あとはいくらユキが飛び跳ねたところで奪い取れるわけがなかった。
「これは……サウス国王だな」
ユキが必死に奪い返そうとしたそれは、先ほどリサとノース城で見つけたソウの写真だった。あの時、ニヤニヤしながらその写真を見るリサからそれを取り上げて、恥ずかしさのあまり思わず胸元に仕舞いこんだのを忘れていた。
「ち、違うんです! これには理由がっ……!」
「……常にこれを持ち歩いているのか?」
「そ、そんなことしませんっ! これは、たまたまっ……!」
写真を取ろうと飛び跳ねていたせいか、ユキの服の裾からまた数枚の写真が落ちてきた。部屋中に散らばってしまったそれを、ガイや衛兵隊員たちが手に取る。
真っ赤な顔でそれらを取り返そうと必死なユキを、レイが複雑そうな表情で見つめている。ガイが手にしたのは、幼いユキとソウが手を繋いで写っている写真だ。
「うわ、よく見たらこれもサウス国王ですよ。あんたまさか、サウス国王のこと好き……」
「すっ、好きじゃありませんっ! この写真は、そのっ……!」
「あー、いいっていいって。その反応見たら分かるわ」
にやつきながら、ガイがその写真をユキに返す。それに続いて、写真を拾った衛兵隊員たちもユキに写真を返していった。なんかすみません、と謝ってくる者もいる。
そして最後に、レイが写真を返しながら呟いた。
「……ユキ」
「は、はい……」
「余計な世話だったようだな。我が国の者が手荒な真似をしてすまなかった」
そう言って、レイがユキに頭を下げた。その姿を見て衛兵隊員たちはどよめき、そして一様に皆ユキに対して頭を下げる。
ユキはといえば、未だ赤い顔でただ頷くことしかできなかった。
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