54 / 77
第3章
7.愛しい声
しおりを挟む
「あー、くそっ! おい、ソウ! そんなまどろっこしいことしてねぇで、直接ウツギに行ったらいいじゃねぇかよ!」
「けど、それでハズレやったら時間の無駄もええとこやろ」
「だったら、俺だけでも行ってくる! だからこの縄解けよ!」
「あかんて。一応あの国とは戦争してるし、トーヤくんなんか行ったらややこしいてしゃあないわ」
「なんだと!?」
ソウの執務室には電話が引かれ、ソウはそれを片手に各方面に電話をかけている。
トーヤはソウの予想通り、ユキが誘拐されたと聞くやいなや詳細も聞かずに走り出そうとしたところをリサに引っぱたかれ、今はこうしてソウの執務室で拘束されている。
それをしたのはソウではなくリサだ。そのリサは、ソウに言いつけられた仕事を終えると糸が切れたように倒れてしまった。今は、医務室で横になっているはずである。
「あー、カイルも知らんか……イツキさえ電話出てくれたら一発で分かるんやけど」
ガチャンと電話を置いて、ソウが頭を抱える。
ウツギ国王とは先の戦争の際に話したことがある程度で、ほとんど交流がない。思えば、あの戦争もゴウマの独断で始まり、留学から帰ってきたソウが急いでウツギに和解を申し出て終わったのだ。
その際の印象では、ウツギ国王は感情こそ読めないものの話が通じる人間であった。そのため、電話で直接ウツギ国王にユキの行方を尋ねるつもりでいたのだが。
「連絡先分からへんとか、アホすぎるやろ……」
ユキが連れ去られたことで、自覚は無かったが自分もかなり動揺していたらしい。
様々な国と交流のあるイツキに電話してみたが、あいにく外出中とのことで頼みの綱が切れてしまったのだ。
こうなれば、トーヤを制したばかりではあるが直接ウツギ国に赴くしかない。そう思って立ち上がった瞬間、電話のベルが鳴った。
「あーもう、忙しいときに! はい、どちらさん?」
『あっ、ソウ!』
「え? ユキ、ちゃん……?」
乱雑に出た電話の先から聞こえたのは、今最も聞きたかった声だった。
「ユキちゃん、無事なん!? 今どこにおるん? ていうか、なんで電話っ……!」
『うん、無事よ。あの、リサちゃんは?』
「え? あ、ああ、リサちゃんは無事やで。今ちょっと疲れたみたいで寝てるけど」
『そっか、よかった……あのね、わたし今ウツギ国にいて』
「やっぱり……! ユキちゃん、隠れて電話かけてきたんやな? 待っとき、今すぐ助けに行く」
『えっ? 隠れて……?』
「下手に動かんと、じっとしとくんやで。絶対助けたるから」
『え? あ、えっとねソウ、実は……』
そこで言葉が途切れる。まさか敵に見つかったのかと慌ててユキの名前を何度も呼ぶと、電話の先から別の声が聞こえた。
『随分と必死だな、サウス国王』
「……誰や。ユキちゃんはっ……!」
『ウツギ国王、レイだ。王妃ならば無事だ。そう急くな』
「あんたか……! どの口が言うてんねん。何が目的か知らんけど、ユキちゃんに手ぇ出したら……!」
『……此度は、私の部下が誤解してそなたの大事な王妃を連れてきてしまった。その件については深く反省している。直接会って詫びがしたい、明日そちらに王妃を送っていく』
「……はっ?」
『聞こえなかったか? 王妃を帰す、と言ったのだ』
予想もしていなかった言葉に、思考が追い付かない。
思い返すと、電話に出たユキの声はとても恐怖に怯えているようには思えなかった。まるで、外出先からの何気ない電話のようだった気がする。
「……あかん。ユキちゃんがおらんと、まともに物も考えられへん……」
『そのようだな。私より王妃の口から聞いた方が良いだろう。ユキ、説明してやれ』
「ちょっと待って、なんでそない呼び捨てでっ……!」
『あ、ソウ? あのね、説明すると長いんだけど、レイさんは悪くないの。元はと言えばゴウマ大臣が……』
「レイさん!? ユキちゃん、なんでそない親しげなん!?」
『え? ああ、レイさんとは昔お会いしたことがあって、それで……』
「……もうええ。明日なんて悠長なこと言うてられへんわ、今すぐボクが迎えに行く」
返事も聞かず、叩きつけるように受話器を置いた。
何事かと、拘束されたままのトーヤが怪訝な顔でこちらを見る。
「……ユキちゃん、無事みたいやわ。ウツギにおるらしい」
「はあ!? どういうことだよ!?」
「ボクにもよう分からんけど……」
すると、もう一度電話のベルが鳴った。渋々それに出ると、怒ったようなユキの声がする。
『ちょっと、ソウ! 途中で切らないでよ! それに今日はもう遅いし、レイさんが泊まっていってもいいって言ってくださってるから、明日帰るね』
「泊まって……!? あかんに決まってるやん! ユキちゃん犯されるで!!」
『ちょっ……な、なんてこと言うのよ! レイさんがそんなことするわけないでしょ!』
「ああもう、やいやい言うてへんと早よ帰っておいで! 今すぐ!」
『だからっ……! もう! あのね、ソウ? 実は、レイさんと父様って昔仲が良かったらしいの。だから今日は、父様とのお話を聞かせてもらおうと思って』
「そんなん、ユキちゃんをおびき寄せるための罠や」
『わたしのこと虫みたいに言わないでくれる!? じゃなくて、こんな機会滅多にないし、明日は朝一で帰るから。ね、お願い』
「……ずるいわ、ユキちゃん」
電話越しとはいえ、こうやってユキにお願いされてしまうと弱い。当の本人は、自分の「お願い」がどれだけソウにとって強力な武器になるのか分かっていないから厄介だ。
諦めて、はあ、とわざとらしいほど大きくため息をついた。
「……分かった。ほな、もういっぺんウツギ国王に代わって」
ややあって、なんだ、と感情の読めない声が聞こえた。
「謝罪は、明日きっちりしてもらうわ。ユキちゃんがどうしても言うから一晩預けるけど、丁重に扱ってな」
『無論だ。それにしても……』
「何?」
『随分、溺愛している様子だな。例の決闘でユキを傷つけたのではなかったのか』
「……それ言われると痛いんやけど」
『否定しないのか』
「ほんまのことやしな。けど、今は幸せにしてる自信あんで」
『……そのようだな。では、また明日』
それだけ言うと、電話は切れた。相変わらず、何を考えているのか分からない。自分もよく人からそう言われるが、なんだかこちらの考えを見透かされているようで、恐ろしいような恥ずかしいような、複雑な気分になった。
とにかく、ユキは明日帰ってくる。心配しているであろう城の皆に報せに行こうと、席を立った。
「けど、それでハズレやったら時間の無駄もええとこやろ」
「だったら、俺だけでも行ってくる! だからこの縄解けよ!」
「あかんて。一応あの国とは戦争してるし、トーヤくんなんか行ったらややこしいてしゃあないわ」
「なんだと!?」
ソウの執務室には電話が引かれ、ソウはそれを片手に各方面に電話をかけている。
トーヤはソウの予想通り、ユキが誘拐されたと聞くやいなや詳細も聞かずに走り出そうとしたところをリサに引っぱたかれ、今はこうしてソウの執務室で拘束されている。
それをしたのはソウではなくリサだ。そのリサは、ソウに言いつけられた仕事を終えると糸が切れたように倒れてしまった。今は、医務室で横になっているはずである。
「あー、カイルも知らんか……イツキさえ電話出てくれたら一発で分かるんやけど」
ガチャンと電話を置いて、ソウが頭を抱える。
ウツギ国王とは先の戦争の際に話したことがある程度で、ほとんど交流がない。思えば、あの戦争もゴウマの独断で始まり、留学から帰ってきたソウが急いでウツギに和解を申し出て終わったのだ。
その際の印象では、ウツギ国王は感情こそ読めないものの話が通じる人間であった。そのため、電話で直接ウツギ国王にユキの行方を尋ねるつもりでいたのだが。
「連絡先分からへんとか、アホすぎるやろ……」
ユキが連れ去られたことで、自覚は無かったが自分もかなり動揺していたらしい。
様々な国と交流のあるイツキに電話してみたが、あいにく外出中とのことで頼みの綱が切れてしまったのだ。
こうなれば、トーヤを制したばかりではあるが直接ウツギ国に赴くしかない。そう思って立ち上がった瞬間、電話のベルが鳴った。
「あーもう、忙しいときに! はい、どちらさん?」
『あっ、ソウ!』
「え? ユキ、ちゃん……?」
乱雑に出た電話の先から聞こえたのは、今最も聞きたかった声だった。
「ユキちゃん、無事なん!? 今どこにおるん? ていうか、なんで電話っ……!」
『うん、無事よ。あの、リサちゃんは?』
「え? あ、ああ、リサちゃんは無事やで。今ちょっと疲れたみたいで寝てるけど」
『そっか、よかった……あのね、わたし今ウツギ国にいて』
「やっぱり……! ユキちゃん、隠れて電話かけてきたんやな? 待っとき、今すぐ助けに行く」
『えっ? 隠れて……?』
「下手に動かんと、じっとしとくんやで。絶対助けたるから」
『え? あ、えっとねソウ、実は……』
そこで言葉が途切れる。まさか敵に見つかったのかと慌ててユキの名前を何度も呼ぶと、電話の先から別の声が聞こえた。
『随分と必死だな、サウス国王』
「……誰や。ユキちゃんはっ……!」
『ウツギ国王、レイだ。王妃ならば無事だ。そう急くな』
「あんたか……! どの口が言うてんねん。何が目的か知らんけど、ユキちゃんに手ぇ出したら……!」
『……此度は、私の部下が誤解してそなたの大事な王妃を連れてきてしまった。その件については深く反省している。直接会って詫びがしたい、明日そちらに王妃を送っていく』
「……はっ?」
『聞こえなかったか? 王妃を帰す、と言ったのだ』
予想もしていなかった言葉に、思考が追い付かない。
思い返すと、電話に出たユキの声はとても恐怖に怯えているようには思えなかった。まるで、外出先からの何気ない電話のようだった気がする。
「……あかん。ユキちゃんがおらんと、まともに物も考えられへん……」
『そのようだな。私より王妃の口から聞いた方が良いだろう。ユキ、説明してやれ』
「ちょっと待って、なんでそない呼び捨てでっ……!」
『あ、ソウ? あのね、説明すると長いんだけど、レイさんは悪くないの。元はと言えばゴウマ大臣が……』
「レイさん!? ユキちゃん、なんでそない親しげなん!?」
『え? ああ、レイさんとは昔お会いしたことがあって、それで……』
「……もうええ。明日なんて悠長なこと言うてられへんわ、今すぐボクが迎えに行く」
返事も聞かず、叩きつけるように受話器を置いた。
何事かと、拘束されたままのトーヤが怪訝な顔でこちらを見る。
「……ユキちゃん、無事みたいやわ。ウツギにおるらしい」
「はあ!? どういうことだよ!?」
「ボクにもよう分からんけど……」
すると、もう一度電話のベルが鳴った。渋々それに出ると、怒ったようなユキの声がする。
『ちょっと、ソウ! 途中で切らないでよ! それに今日はもう遅いし、レイさんが泊まっていってもいいって言ってくださってるから、明日帰るね』
「泊まって……!? あかんに決まってるやん! ユキちゃん犯されるで!!」
『ちょっ……な、なんてこと言うのよ! レイさんがそんなことするわけないでしょ!』
「ああもう、やいやい言うてへんと早よ帰っておいで! 今すぐ!」
『だからっ……! もう! あのね、ソウ? 実は、レイさんと父様って昔仲が良かったらしいの。だから今日は、父様とのお話を聞かせてもらおうと思って』
「そんなん、ユキちゃんをおびき寄せるための罠や」
『わたしのこと虫みたいに言わないでくれる!? じゃなくて、こんな機会滅多にないし、明日は朝一で帰るから。ね、お願い』
「……ずるいわ、ユキちゃん」
電話越しとはいえ、こうやってユキにお願いされてしまうと弱い。当の本人は、自分の「お願い」がどれだけソウにとって強力な武器になるのか分かっていないから厄介だ。
諦めて、はあ、とわざとらしいほど大きくため息をついた。
「……分かった。ほな、もういっぺんウツギ国王に代わって」
ややあって、なんだ、と感情の読めない声が聞こえた。
「謝罪は、明日きっちりしてもらうわ。ユキちゃんがどうしても言うから一晩預けるけど、丁重に扱ってな」
『無論だ。それにしても……』
「何?」
『随分、溺愛している様子だな。例の決闘でユキを傷つけたのではなかったのか』
「……それ言われると痛いんやけど」
『否定しないのか』
「ほんまのことやしな。けど、今は幸せにしてる自信あんで」
『……そのようだな。では、また明日』
それだけ言うと、電話は切れた。相変わらず、何を考えているのか分からない。自分もよく人からそう言われるが、なんだかこちらの考えを見透かされているようで、恐ろしいような恥ずかしいような、複雑な気分になった。
とにかく、ユキは明日帰ってくる。心配しているであろう城の皆に報せに行こうと、席を立った。
0
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
下賜されまして ~戦場の餓鬼と呼ばれた軍人との甘い日々~
イシュタル
恋愛
王宮から突然嫁がされた18歳の少女・ソフィアは、冷たい風の吹く屋敷へと降り立つ。迎えたのは、無愛想で人嫌いな騎士爵グラッド・エルグレイム。金貨の袋を渡され「好きにしろ」と言われた彼女は、侍女も使用人もいない屋敷で孤独な生活を始める。
王宮での優雅な日々とは一転、自分の髪を切り、服を整え、料理を学びながら、ソフィアは少しずつ「夫人」としての自立を模索していく。だが、辻馬車での盗難事件や料理の失敗、そして過労による倒れ込みなど、試練は次々と彼女を襲う。
そんな中、無口なグラッドの態度にも少しずつ変化が現れ始める。謝罪とも言えない金貨の袋、静かな気遣い、そして彼女の倒れた姿に見せた焦り。距離のあった二人の間に、わずかな波紋が広がっていく。
これは、王宮の寵姫から孤独な夫人へと変わる少女が、自らの手で居場所を築いていく物語。冷たい屋敷に灯る、静かな希望の光。
⚠️本作はAIとの共同製作です。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる