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46.おとなとこども⑦
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つぷりと、熱い先端が入り込むのが分かった。
その熱と圧迫感を確かに感じて、明希は咄嗟にシーツを握りしめて身構えた。しかし、訪れるはずの快感が一向にやってこないことに気付いて、恐る恐る立岡の方を振り返る。
「……明希ちゃん、ほしい?」
「なっ……!?」
「もっと挿れてほしかったら、言って? 明希ちゃんがおねだりしてくれるまで、俺は挿れないから」
また立岡がにたりと笑う。
その意地悪な笑みに不覚にも陰部が疼いて、自分でも分かるほど入口がきゅうと締まった。自身の先端だけを挿入した立岡が、それに気付いてさらに笑みを深める。
「別に、下品な言葉言わせたいわけじゃないんだ。明希ちゃんの言葉で、俺がほしいって言ってくれたらいいから」
「わ、わたしの、言葉……」
「うん。ほら、早くしないと余計辛いと思うよ? 明希ちゃんのここ、切なそうにひくひくしてる」
「そ、そういうこと言わないでっ!」
真っ赤な顔で叫ぶと、立岡はそんな明希を見て目を細めた。すべてを受け入れてくれるようなその優しい目つきに、明希はぐっと息を詰める。
下品な言葉を言わせたいわけではないのだと、彼は言った。それなら、今のこの気持ちを素直に伝えたらいいのだろうか。
心の中でしばし逡巡してから、明希はそっと口を開いた。
「……わたし、純くんがすき」
「っ……、うん」
「あの、だから……っ、その、えっと」
声が小さすぎて聞き取りにくかったのか、立岡は再び明希の体をころんとひっくり返した。本当はバックで突きたかったんだけど、という彼のぼやきは聞こえなかったことにする。
正面から彼と向き合う体勢になると、明希の体は余計に強張った。でも、明希のおねだりを今か今かと待ちわびている立岡の表情を前にしたら、自然と正直な言葉があふれでた。
「純くんが、ほしい……、わたしに、純くんの……ください」
たどたどしく言い終わるやいなや、ぶちゅっという淫靡な音とともに熱り立った楔が明希の蜜穴を貫いた。
突如訪れた快感に明希は声すら出せず、目の前にあった立岡の体にひしとしがみついた。そしてそのまま律動が始まって、だんだんと思考が覚束なくなっていく。
「ひっ、ああっ! あっ、ああっ、純くん、純くんっ」
「はぁっ、もうっ……! 明希ちゃん、今の、もういっかい……っ」
「あ、えっ……? んっ、い、いまの?」
「うんっ……、いまの、『ください』って、もう一回言って」
肌と肌がぶつかる音を聞きながら、明希はただこくりと頷いた。何が彼の琴線に触れたのかは分からないけれど、あまりにも必死な顔で乞うものだから、明希は心に浮かんだ言葉をそのまま口にする。
「はぁっ、あ、ください……っ、純くんがほしいの、あっ、もっと、いっぱいっ……」
「う、ん……っ」
「あっ、あああっ! やぁ、あっ、それすき、奥ぐりぐりするのすきっ、もっと、もっとくださいっ」
普段の行為では恥ずかしさから喘ぎ声自体なんとか我慢しているのに、今日はちっとも抑えることができない。
もっと言って、という立岡の言葉に促されるように、明希は何度も彼にねだった。
「あ、はぁっ……、きもちい、純くんの、きもちいい……っ、くださ、くださいっ、もっといっぱい……っ、あ、ひあああっ!」
「はあ、もう……っ、明希ちゃん、それはずるいっ……! いっぱい突いてあげたいのにっ、そんなおねだりされたらっ、俺、すぐ出ちゃいそう……っ」
「ぅあ、あっ! はぁっ、ん、ください……、純くんの、ほしい……っ」
「ふ、っあ……っ! ごめ、明希ちゃんっ、もう、でるっ……!」
膣内に入ったままの立岡のものが、どくんと脈打った。それと同時に最奥を穿たれ、明希も声なく絶頂に達する。
愛しい人と繋がった快感と、心も体も満たされた幸福感に酔いしれながら、明希は汗ばんだ立岡の背にそっと腕を回す。そのまま強く抱きしめると、息を乱した彼もまた明希の体を抱きしめ返した。
「明希ちゃん、ごめん……俺、早くて……」
「え……あ、謝らないで? 私も、そのー……なんか、我を忘れちゃってたっていうか」
「うん……今日の明希ちゃん、いつにも増してえっちだった」
「はっ……!? だ、だってっ、純くんがいつもと違うんだもん!」
「ふふ、そうだったね。でも……嬉しかった」
はにかみながらそう言うと、立岡は赤く色づいた明希の唇にそっとキスをした。
つい今しがたまで激しく愛し合っていたとは思えないほどそのキスは優しくて、明希はうっとりと目を細める。今が一番幸せかも、なんて柄にもないことを思った。
「ねえ、明希ちゃん」
「ん……なあに?」
「もう一回しよ?」
穏やかな空気が漂っていたところに、立岡が突然爆弾を落とした。
あからさまに顔を引きつらせる明希とは対照的に、彼は「何か問題でも?」とでも言いたげに首を傾げている。
「あ、あの……今日はもう、ちょっとしんどい、かな」
「えっ……」
明希がやんわりと断ると、それまで楽しそうだった立岡の表情が一転悲しげに曇った。
先ほどまで散々いたぶられたとはいえ、可愛らしい顔をしている彼に捨てられた子犬のような目をされると、自分が悪いことをしているような気になってしまう。
うるうるとした瞳を向けてくる彼に根負けして、明希は人差し指を立てた。
「……じゃ、じゃあ、あと一回だけね?」
「やだ。……少なくとも、あと二回はしたい」
「そっ、それは無理! 体力的にむりっ!」
必死の形相で断る明希に対して、立岡は不満げな様子を隠そうともせず唇を尖らせている。そんな顔をされても無理なものは無理、と明希が突っぱねると、彼は渋々といった様子で頷いた。
「……じゃあ、今夜はあと一回にする。でも、明日の朝もう一回しようね」
「えっ」
「しようね?」
「は……はい」
有無を言わさぬ圧力に明希が思わず頷くと、立岡はようやく笑顔を見せる。そして早速明希の体を組み敷きながら、「大好きだよ」と甘く囁いた。
七つも年下の彼に絆されていることをしっかり自覚しながら、明希は苦笑いをこぼしつつ彼への愛を精一杯伝えることにした。
その熱と圧迫感を確かに感じて、明希は咄嗟にシーツを握りしめて身構えた。しかし、訪れるはずの快感が一向にやってこないことに気付いて、恐る恐る立岡の方を振り返る。
「……明希ちゃん、ほしい?」
「なっ……!?」
「もっと挿れてほしかったら、言って? 明希ちゃんがおねだりしてくれるまで、俺は挿れないから」
また立岡がにたりと笑う。
その意地悪な笑みに不覚にも陰部が疼いて、自分でも分かるほど入口がきゅうと締まった。自身の先端だけを挿入した立岡が、それに気付いてさらに笑みを深める。
「別に、下品な言葉言わせたいわけじゃないんだ。明希ちゃんの言葉で、俺がほしいって言ってくれたらいいから」
「わ、わたしの、言葉……」
「うん。ほら、早くしないと余計辛いと思うよ? 明希ちゃんのここ、切なそうにひくひくしてる」
「そ、そういうこと言わないでっ!」
真っ赤な顔で叫ぶと、立岡はそんな明希を見て目を細めた。すべてを受け入れてくれるようなその優しい目つきに、明希はぐっと息を詰める。
下品な言葉を言わせたいわけではないのだと、彼は言った。それなら、今のこの気持ちを素直に伝えたらいいのだろうか。
心の中でしばし逡巡してから、明希はそっと口を開いた。
「……わたし、純くんがすき」
「っ……、うん」
「あの、だから……っ、その、えっと」
声が小さすぎて聞き取りにくかったのか、立岡は再び明希の体をころんとひっくり返した。本当はバックで突きたかったんだけど、という彼のぼやきは聞こえなかったことにする。
正面から彼と向き合う体勢になると、明希の体は余計に強張った。でも、明希のおねだりを今か今かと待ちわびている立岡の表情を前にしたら、自然と正直な言葉があふれでた。
「純くんが、ほしい……、わたしに、純くんの……ください」
たどたどしく言い終わるやいなや、ぶちゅっという淫靡な音とともに熱り立った楔が明希の蜜穴を貫いた。
突如訪れた快感に明希は声すら出せず、目の前にあった立岡の体にひしとしがみついた。そしてそのまま律動が始まって、だんだんと思考が覚束なくなっていく。
「ひっ、ああっ! あっ、ああっ、純くん、純くんっ」
「はぁっ、もうっ……! 明希ちゃん、今の、もういっかい……っ」
「あ、えっ……? んっ、い、いまの?」
「うんっ……、いまの、『ください』って、もう一回言って」
肌と肌がぶつかる音を聞きながら、明希はただこくりと頷いた。何が彼の琴線に触れたのかは分からないけれど、あまりにも必死な顔で乞うものだから、明希は心に浮かんだ言葉をそのまま口にする。
「はぁっ、あ、ください……っ、純くんがほしいの、あっ、もっと、いっぱいっ……」
「う、ん……っ」
「あっ、あああっ! やぁ、あっ、それすき、奥ぐりぐりするのすきっ、もっと、もっとくださいっ」
普段の行為では恥ずかしさから喘ぎ声自体なんとか我慢しているのに、今日はちっとも抑えることができない。
もっと言って、という立岡の言葉に促されるように、明希は何度も彼にねだった。
「あ、はぁっ……、きもちい、純くんの、きもちいい……っ、くださ、くださいっ、もっといっぱい……っ、あ、ひあああっ!」
「はあ、もう……っ、明希ちゃん、それはずるいっ……! いっぱい突いてあげたいのにっ、そんなおねだりされたらっ、俺、すぐ出ちゃいそう……っ」
「ぅあ、あっ! はぁっ、ん、ください……、純くんの、ほしい……っ」
「ふ、っあ……っ! ごめ、明希ちゃんっ、もう、でるっ……!」
膣内に入ったままの立岡のものが、どくんと脈打った。それと同時に最奥を穿たれ、明希も声なく絶頂に達する。
愛しい人と繋がった快感と、心も体も満たされた幸福感に酔いしれながら、明希は汗ばんだ立岡の背にそっと腕を回す。そのまま強く抱きしめると、息を乱した彼もまた明希の体を抱きしめ返した。
「明希ちゃん、ごめん……俺、早くて……」
「え……あ、謝らないで? 私も、そのー……なんか、我を忘れちゃってたっていうか」
「うん……今日の明希ちゃん、いつにも増してえっちだった」
「はっ……!? だ、だってっ、純くんがいつもと違うんだもん!」
「ふふ、そうだったね。でも……嬉しかった」
はにかみながらそう言うと、立岡は赤く色づいた明希の唇にそっとキスをした。
つい今しがたまで激しく愛し合っていたとは思えないほどそのキスは優しくて、明希はうっとりと目を細める。今が一番幸せかも、なんて柄にもないことを思った。
「ねえ、明希ちゃん」
「ん……なあに?」
「もう一回しよ?」
穏やかな空気が漂っていたところに、立岡が突然爆弾を落とした。
あからさまに顔を引きつらせる明希とは対照的に、彼は「何か問題でも?」とでも言いたげに首を傾げている。
「あ、あの……今日はもう、ちょっとしんどい、かな」
「えっ……」
明希がやんわりと断ると、それまで楽しそうだった立岡の表情が一転悲しげに曇った。
先ほどまで散々いたぶられたとはいえ、可愛らしい顔をしている彼に捨てられた子犬のような目をされると、自分が悪いことをしているような気になってしまう。
うるうるとした瞳を向けてくる彼に根負けして、明希は人差し指を立てた。
「……じゃ、じゃあ、あと一回だけね?」
「やだ。……少なくとも、あと二回はしたい」
「そっ、それは無理! 体力的にむりっ!」
必死の形相で断る明希に対して、立岡は不満げな様子を隠そうともせず唇を尖らせている。そんな顔をされても無理なものは無理、と明希が突っぱねると、彼は渋々といった様子で頷いた。
「……じゃあ、今夜はあと一回にする。でも、明日の朝もう一回しようね」
「えっ」
「しようね?」
「は……はい」
有無を言わさぬ圧力に明希が思わず頷くと、立岡はようやく笑顔を見せる。そして早速明希の体を組み敷きながら、「大好きだよ」と甘く囁いた。
七つも年下の彼に絆されていることをしっかり自覚しながら、明希は苦笑いをこぼしつつ彼への愛を精一杯伝えることにした。
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