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四の湯
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「あ……あきな、ちゃん。その……き、キス、今のが初めて、ってことですか」
「え、あ……は、はい……あ、あははっ、お、おかしいですよね! この歳になって、こんな見た目してるのにキスすらしたことない処女とか!」
「しょっ……! お、おかしくなんてないです! ……で、でも」
そこで言葉を切って、要は躊躇するように一瞬視線を泳がせてから、秋奈の目をまっすぐ見据える。最初は頼りなさそうに見えた瞳が、今は鋭く秋奈を突き刺していた。
「……秋奈ちゃん、もう一度聞きます。まだ、誰にも触れさせてないその体を、仕事を取るためだけに差し出すつもりなんですか」
要の質問に、秋奈は困惑して眉根を寄せた。そのつもりでいることは確かだが、「はい」とはっきり答えるのは何となく憚られる。しかし、要にその場しのぎの嘘をつくことも、当たり障りのない言葉を返すことも躊躇われて、秋奈はただ黙って頷いた。
それを見た要はさらに表情を険しくしたかと思うと、秋奈の手を痛いくらい強く握った。
「ひっ!? か、要さん?」
「……憎い、です。自分を大切にしてくれない秋奈ちゃんも、そんな秋奈ちゃんに汚い手で触れようとしている、知らない誰かも……っ、腸が煮えくり返りそうなほど、憎いっ……!」
低く唸るような声でそう言ったかと思うと、要はぎりっと唇を噛んだ。よほど悔しいのだろう、秋奈に触れる手はわなわなと震えている。
要さん、と秋奈がその名を呼ぼうとした瞬間、どさりと音を立てて視界が揺れた。
「わっ!? え……か、要、さん?」
秋奈の目に映るのは、苦しげな表情で自分を見つめる男の顔と、古びた天井の木目だけ。あまりにも突然すぎる事態に、畳に押し倒されたのだと理解するのに時間がかかった。
「……秋奈ちゃん。私はこれから、あなたを抱く」
「だく…………抱く!? えっ、なんで!? どうして!?」
「秋奈ちゃんが、秋奈ちゃんを大切にしてくれないから……っ、だから、秋奈ちゃんを大切にできるのは私だけだっていうことを、証明してみせます。さあ、脱いで」
さっきまでの純情そうな振る舞いはどこへやら、要は男らしく強引に秋奈の着ていた羽織を脱がせ、そのままぽいっと辺りに放り投げた。そして秋奈が驚きのあまり動けずにいるのをいいことに、浴衣の袷にそっと手を差し込み、柔らかな膨らみを撫で回す。
「ひゃっ……! や、ちょ、ちょっと待ってくださいっ! わ、訳が分からないんですが!?」
「分かりませんか? いま私は、秋奈ちゃんのおっぱいを揉んでます」
「いや、それは分かります! そうじゃなくて、なんで揉んでるんですか!?」
「理由ならさっき言いました。私は、絶対に秋奈ちゃんを傷つけない。汚い手を使って秋奈ちゃんの純潔を奪おうとしている人間から、秋奈ちゃんを守りたいんです」
「いや、だから、それがどうしておっぱい揉むことに繋がるの!?」
支離滅裂なことを言う要だが、その表情は真剣そのものだ。「秋奈ちゃんを汚い手から守りたい」と本気で思ってくれていることは分かるし、その気持ちはありがたいのだが、「だから秋奈ちゃんを抱く」という考えはさっぱり理解できない。しかし、こうして秋奈が戸惑っている間にも要の行為はどんどんエスカレートしていく一方だ。
「はあっ……まさか、触れることができるなんて、夢にも思わなかった。秋奈ちゃんの、この控えめなおっぱいに」
「ひかえめっ……!? こ、これでも、デビューしたときよりは大きくなったんですっ!」
「はい、知ってます。秋奈ちゃんの努力の賜物ですね」
何の嫌味もなくそう言われて、秋奈の頬がぽっと赤くなった。それどころじゃない、と冷静であれば言い返しているはずだが、この状況に困惑しきりの秋奈は要の優しい手つきに翻弄されてしまう。
「柔らかい……ふわふわだ……秋奈ちゃん、この国宝級のおっぱいを、どこぞのエロオヤジに触らせるつもりだったんですか?」
「こ、国宝級、って……! だっ、だって、写真集がかかってるんです……っ」
「……汚い大人に処女を捧げてまで、写真集を出したいんですね。その熱意は立派だと思いますが……でも、秋奈ちゃんはもっと自分の価値を認識した方がいい」
「え……? あ、あんっ!」
突然襲ってきたぴりぴりとした刺激に、秋奈は思わず背を仰け反らせた。同時に鼻にかかった甘い声が零れてしまって、慌てて口を塞いだけれどもう遅い。視線の先には、嬉しそうに頬を緩ませながら秋奈の乳首を摘んでいる要がいた。
「かわ、いい……っ、やっぱり、秋奈ちゃんは世界一可愛いです。少し乳首に触れただけなのに、そんな可愛い声が出るなんて」
「ひっ……! そ、そんな、可愛くない……っ、あ、やあっ、あぁんっ!」
熱っぽく「可愛い」と何度も囁かれて、秋奈の羞恥心はさらに煽られる。そのうえ、主張し始めた胸の尖りを指の腹で優しく擦られたり、かと思えば少し強めに抓られたりするものだから、まともな抵抗もできずにただ素直に喘いでしまう。
「はあっ、はあ……っ、ああ、だめだ。我慢できない。秋奈ちゃん、ちょっと気持ち悪いものを見せてしまうかもしれないから、目をつぶっていてくれませんか」
「っ、え……?」
しつこく乳首を愛撫していた手を離すと、要は秋奈の体を抱き起こした。そして、今度は後ろから抱きかかえるような体勢に変えたかと思うと、片手で秋奈の目を塞ぐ。
「なっ、なになになに!? 要さんっ!?」
「見ない方が、いいと思って……はぁ、ごめんなさい、秋奈ちゃん……!」
熱っぽい声音で謝ったかと思うと、胸にぬるりとした生温いものが這うような感触がした。思わずひっと息を詰めると、さっき要に弄ばれたことで硬く尖った乳首に強い刺激が与えられる。
「ひぃいいっ!? あっ、やだ、なにっ……、ん、んんぅっ!」
「はぁっ、はあ、秋奈ちゃん、秋奈ちゃんっ……! なんて、甘いんだ……っ」
「あ、あまいっ……!? やっ、ま、まさかっ」
嫌な予感がして、秋奈は両目を塞ぐ要の手を力ずくで押しのけた。そして自身の胸元に目をやると、そこは予想通りぴちゃぴちゃと音を立てて舐められていた。
──先ほど風呂場で見たのと同じ、長すぎる要の舌によって。
「ひっ、いやあっ! 怖い怖い怖い! ま、まって要さんっ!」
「だ、だから見ない方がいいって言ったのに……っ」
「そんなこと言われても! や、やだっ、そんなとこ、垢なんて無いですっ……!」
「べ、別に垢舐めようとしてるわけじゃなくてっ……秋奈ちゃんを、気持ちよくしたいんです」
要の声はすぐ耳元から聞こえるのに、その長い舌によって胸は責められたままだ。そのうえ彼の吐息が耳朶を掠めるだけでびくんと身体が反応してしまうから、それに気付いた要は嬉しそうに囁いた。
「あ、秋奈ちゃん、耳も感じますか? おっぱい触るのと、どっちが気持ちいいですか?」
「い、やぁっ……! そんなこと、聞かないでくださ……っ」
「でも、聞かないと分からないんです。……私も、その、初めてなもので」
少し恥ずかしそうな要の台詞に、秋奈は心の内で盛大に突っ込んだ。
──童貞のくせに、こんな強硬手段使うんかい!
「はぁっ、だめぇっ……! も、なめないでっ……」
それなのに、秋奈の口から突いて出るのは甘ったるい喘ぎ声でしかない。かわいい、かわいいとひっきりなしに耳元で囁かれ、おまけにぴんと尖った乳首を細長い舌で捏ねられたり、舌先でつつかれたりしているうちに、だんだんと抵抗する気も起きなくなってきた。
「あぁ、ふぁっ……きもち、い……っ」
「えっ……き、気持ちいい? 秋奈ちゃんっ、気持ちいい!? 気持ちいいんですか!?」
「う、うるさ……! はぁっ、きもちいからっ、そんな大声出さないでくださいっ……!」
ぽろっと口に出してしまった「気持ちいい」という秋奈の一言に、要は大袈裟に反応した。耳元で叫ばれるものだからつい叱りつけるようなことを言ってしまった秋奈だが、要は気にするそぶりもなく、むしろ余計に喜んで「はいっ!」と大きな声で返事をする。
「そうだっ、片方ばっかり舐めてたら駄目ですね! でも舌は一本しかないので、こっちは指でもいいですか?」
「は、え……っ? ん、いい……」
「ああ、秋奈ちゃん、目がとろんってしてますよ? ふふふっ、そんなに気持ちいいですか?」
「ん、だからっ、きもちいいってばっ……!」
敬語を使うことも忘れてそう返すと、要はいっそう嬉しそうににんまりと笑った。そして、舌で舐められていない方の乳首を指先できゅっと摘んだ。
「んんぅっ! あ、やぁっ……! も、なんで気持ちいいのっ……!?」
「はあ、嬉しい……っ、秋奈ちゃん、初めてなのに感度がいいんですね。胸だけでこんなに感じるなら……こっちは、どうなっちゃうんでしょう」
期待感に満ちたその言葉の意味を秋奈が理解するより前に、ずっと胸を弄っていた要の舌がつつっと下腹をくすぐった。その感触に身を捩ると、動いたことで秋奈の着ていた浴衣の裾が捲れ、薄桃色の下着が露わになる。
「……ぴ、ぴんく」
「え……? あっ! や、やだっ、見ないでっ!」
「あっ、ごめんなさいっ!」
今まで散々裸の胸を弄っていたくせに、要は慌てて顔を逸らした。しかし、べろんと伸びっぱなしの舌は相変わらず秋奈の下腹部に這わせたままだ。
「……か、要さん。その、舌、仕舞ってくれません?」
「えっ……や、やっぱり気持ち悪いですか?」
「気持ち悪いというか……怖いというか、不気味というか……と、とにかく、もう満足したでしょ? さすがにもう」
終わりにしましょう、という秋奈の言葉は、再び要に押し倒されたことで空に消えた。視界に映るのは、興奮した眼差しで己を見つめる男の姿と、天井の木目だけ。さっきと変わらない光景のはずなのに、明らかに違う箇所に気付いた秋奈は驚愕した。
「かっ……要さん!? あ、あそこが……っ! こ、股間がっ、大変なことになってますっ!!」
「え、あ……は、はい……あ、あははっ、お、おかしいですよね! この歳になって、こんな見た目してるのにキスすらしたことない処女とか!」
「しょっ……! お、おかしくなんてないです! ……で、でも」
そこで言葉を切って、要は躊躇するように一瞬視線を泳がせてから、秋奈の目をまっすぐ見据える。最初は頼りなさそうに見えた瞳が、今は鋭く秋奈を突き刺していた。
「……秋奈ちゃん、もう一度聞きます。まだ、誰にも触れさせてないその体を、仕事を取るためだけに差し出すつもりなんですか」
要の質問に、秋奈は困惑して眉根を寄せた。そのつもりでいることは確かだが、「はい」とはっきり答えるのは何となく憚られる。しかし、要にその場しのぎの嘘をつくことも、当たり障りのない言葉を返すことも躊躇われて、秋奈はただ黙って頷いた。
それを見た要はさらに表情を険しくしたかと思うと、秋奈の手を痛いくらい強く握った。
「ひっ!? か、要さん?」
「……憎い、です。自分を大切にしてくれない秋奈ちゃんも、そんな秋奈ちゃんに汚い手で触れようとしている、知らない誰かも……っ、腸が煮えくり返りそうなほど、憎いっ……!」
低く唸るような声でそう言ったかと思うと、要はぎりっと唇を噛んだ。よほど悔しいのだろう、秋奈に触れる手はわなわなと震えている。
要さん、と秋奈がその名を呼ぼうとした瞬間、どさりと音を立てて視界が揺れた。
「わっ!? え……か、要、さん?」
秋奈の目に映るのは、苦しげな表情で自分を見つめる男の顔と、古びた天井の木目だけ。あまりにも突然すぎる事態に、畳に押し倒されたのだと理解するのに時間がかかった。
「……秋奈ちゃん。私はこれから、あなたを抱く」
「だく…………抱く!? えっ、なんで!? どうして!?」
「秋奈ちゃんが、秋奈ちゃんを大切にしてくれないから……っ、だから、秋奈ちゃんを大切にできるのは私だけだっていうことを、証明してみせます。さあ、脱いで」
さっきまでの純情そうな振る舞いはどこへやら、要は男らしく強引に秋奈の着ていた羽織を脱がせ、そのままぽいっと辺りに放り投げた。そして秋奈が驚きのあまり動けずにいるのをいいことに、浴衣の袷にそっと手を差し込み、柔らかな膨らみを撫で回す。
「ひゃっ……! や、ちょ、ちょっと待ってくださいっ! わ、訳が分からないんですが!?」
「分かりませんか? いま私は、秋奈ちゃんのおっぱいを揉んでます」
「いや、それは分かります! そうじゃなくて、なんで揉んでるんですか!?」
「理由ならさっき言いました。私は、絶対に秋奈ちゃんを傷つけない。汚い手を使って秋奈ちゃんの純潔を奪おうとしている人間から、秋奈ちゃんを守りたいんです」
「いや、だから、それがどうしておっぱい揉むことに繋がるの!?」
支離滅裂なことを言う要だが、その表情は真剣そのものだ。「秋奈ちゃんを汚い手から守りたい」と本気で思ってくれていることは分かるし、その気持ちはありがたいのだが、「だから秋奈ちゃんを抱く」という考えはさっぱり理解できない。しかし、こうして秋奈が戸惑っている間にも要の行為はどんどんエスカレートしていく一方だ。
「はあっ……まさか、触れることができるなんて、夢にも思わなかった。秋奈ちゃんの、この控えめなおっぱいに」
「ひかえめっ……!? こ、これでも、デビューしたときよりは大きくなったんですっ!」
「はい、知ってます。秋奈ちゃんの努力の賜物ですね」
何の嫌味もなくそう言われて、秋奈の頬がぽっと赤くなった。それどころじゃない、と冷静であれば言い返しているはずだが、この状況に困惑しきりの秋奈は要の優しい手つきに翻弄されてしまう。
「柔らかい……ふわふわだ……秋奈ちゃん、この国宝級のおっぱいを、どこぞのエロオヤジに触らせるつもりだったんですか?」
「こ、国宝級、って……! だっ、だって、写真集がかかってるんです……っ」
「……汚い大人に処女を捧げてまで、写真集を出したいんですね。その熱意は立派だと思いますが……でも、秋奈ちゃんはもっと自分の価値を認識した方がいい」
「え……? あ、あんっ!」
突然襲ってきたぴりぴりとした刺激に、秋奈は思わず背を仰け反らせた。同時に鼻にかかった甘い声が零れてしまって、慌てて口を塞いだけれどもう遅い。視線の先には、嬉しそうに頬を緩ませながら秋奈の乳首を摘んでいる要がいた。
「かわ、いい……っ、やっぱり、秋奈ちゃんは世界一可愛いです。少し乳首に触れただけなのに、そんな可愛い声が出るなんて」
「ひっ……! そ、そんな、可愛くない……っ、あ、やあっ、あぁんっ!」
熱っぽく「可愛い」と何度も囁かれて、秋奈の羞恥心はさらに煽られる。そのうえ、主張し始めた胸の尖りを指の腹で優しく擦られたり、かと思えば少し強めに抓られたりするものだから、まともな抵抗もできずにただ素直に喘いでしまう。
「はあっ、はあ……っ、ああ、だめだ。我慢できない。秋奈ちゃん、ちょっと気持ち悪いものを見せてしまうかもしれないから、目をつぶっていてくれませんか」
「っ、え……?」
しつこく乳首を愛撫していた手を離すと、要は秋奈の体を抱き起こした。そして、今度は後ろから抱きかかえるような体勢に変えたかと思うと、片手で秋奈の目を塞ぐ。
「なっ、なになになに!? 要さんっ!?」
「見ない方が、いいと思って……はぁ、ごめんなさい、秋奈ちゃん……!」
熱っぽい声音で謝ったかと思うと、胸にぬるりとした生温いものが這うような感触がした。思わずひっと息を詰めると、さっき要に弄ばれたことで硬く尖った乳首に強い刺激が与えられる。
「ひぃいいっ!? あっ、やだ、なにっ……、ん、んんぅっ!」
「はぁっ、はあ、秋奈ちゃん、秋奈ちゃんっ……! なんて、甘いんだ……っ」
「あ、あまいっ……!? やっ、ま、まさかっ」
嫌な予感がして、秋奈は両目を塞ぐ要の手を力ずくで押しのけた。そして自身の胸元に目をやると、そこは予想通りぴちゃぴちゃと音を立てて舐められていた。
──先ほど風呂場で見たのと同じ、長すぎる要の舌によって。
「ひっ、いやあっ! 怖い怖い怖い! ま、まって要さんっ!」
「だ、だから見ない方がいいって言ったのに……っ」
「そんなこと言われても! や、やだっ、そんなとこ、垢なんて無いですっ……!」
「べ、別に垢舐めようとしてるわけじゃなくてっ……秋奈ちゃんを、気持ちよくしたいんです」
要の声はすぐ耳元から聞こえるのに、その長い舌によって胸は責められたままだ。そのうえ彼の吐息が耳朶を掠めるだけでびくんと身体が反応してしまうから、それに気付いた要は嬉しそうに囁いた。
「あ、秋奈ちゃん、耳も感じますか? おっぱい触るのと、どっちが気持ちいいですか?」
「い、やぁっ……! そんなこと、聞かないでくださ……っ」
「でも、聞かないと分からないんです。……私も、その、初めてなもので」
少し恥ずかしそうな要の台詞に、秋奈は心の内で盛大に突っ込んだ。
──童貞のくせに、こんな強硬手段使うんかい!
「はぁっ、だめぇっ……! も、なめないでっ……」
それなのに、秋奈の口から突いて出るのは甘ったるい喘ぎ声でしかない。かわいい、かわいいとひっきりなしに耳元で囁かれ、おまけにぴんと尖った乳首を細長い舌で捏ねられたり、舌先でつつかれたりしているうちに、だんだんと抵抗する気も起きなくなってきた。
「あぁ、ふぁっ……きもち、い……っ」
「えっ……き、気持ちいい? 秋奈ちゃんっ、気持ちいい!? 気持ちいいんですか!?」
「う、うるさ……! はぁっ、きもちいからっ、そんな大声出さないでくださいっ……!」
ぽろっと口に出してしまった「気持ちいい」という秋奈の一言に、要は大袈裟に反応した。耳元で叫ばれるものだからつい叱りつけるようなことを言ってしまった秋奈だが、要は気にするそぶりもなく、むしろ余計に喜んで「はいっ!」と大きな声で返事をする。
「そうだっ、片方ばっかり舐めてたら駄目ですね! でも舌は一本しかないので、こっちは指でもいいですか?」
「は、え……っ? ん、いい……」
「ああ、秋奈ちゃん、目がとろんってしてますよ? ふふふっ、そんなに気持ちいいですか?」
「ん、だからっ、きもちいいってばっ……!」
敬語を使うことも忘れてそう返すと、要はいっそう嬉しそうににんまりと笑った。そして、舌で舐められていない方の乳首を指先できゅっと摘んだ。
「んんぅっ! あ、やぁっ……! も、なんで気持ちいいのっ……!?」
「はあ、嬉しい……っ、秋奈ちゃん、初めてなのに感度がいいんですね。胸だけでこんなに感じるなら……こっちは、どうなっちゃうんでしょう」
期待感に満ちたその言葉の意味を秋奈が理解するより前に、ずっと胸を弄っていた要の舌がつつっと下腹をくすぐった。その感触に身を捩ると、動いたことで秋奈の着ていた浴衣の裾が捲れ、薄桃色の下着が露わになる。
「……ぴ、ぴんく」
「え……? あっ! や、やだっ、見ないでっ!」
「あっ、ごめんなさいっ!」
今まで散々裸の胸を弄っていたくせに、要は慌てて顔を逸らした。しかし、べろんと伸びっぱなしの舌は相変わらず秋奈の下腹部に這わせたままだ。
「……か、要さん。その、舌、仕舞ってくれません?」
「えっ……や、やっぱり気持ち悪いですか?」
「気持ち悪いというか……怖いというか、不気味というか……と、とにかく、もう満足したでしょ? さすがにもう」
終わりにしましょう、という秋奈の言葉は、再び要に押し倒されたことで空に消えた。視界に映るのは、興奮した眼差しで己を見つめる男の姿と、天井の木目だけ。さっきと変わらない光景のはずなのに、明らかに違う箇所に気付いた秋奈は驚愕した。
「かっ……要さん!? あ、あそこが……っ! こ、股間がっ、大変なことになってますっ!!」
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