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放課後
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放課後を告げる鐘が鳴り、クラスの皆は帰り支度や部活の準備をして、散り散りに教室を出て行った。
ほのかも帰り支度をしていると、誰かに肩を軽く叩かれた。
「冬真がアイス奢ってくれるって言うから一緒に途中まで帰らない?」
そう言ったのは陽太だった。
「おい、誰が奢ると言った」
「ええー、冬真が一番遅かったじゃんか」
「勝負するとは言ってないだろ」
「いいからいいから、月島さんも行こう」
嫌がる冬真の肩を捕まえて、陽太は無理矢理教室を出た。
ほのかは戸惑いながらも二人の後を追いかけた。
ほのかが誰かと一緒に帰るのはとても久しぶりだった。
学校の近所に駄菓子屋があり、冬真は結局三人分のアイスキャンデーを買う事になった。
「やった、俺ソーダ味」
「ここソーダ味しかないだろ」
冬真はそう陽太にツッコミを入れながら陽太とほのかにアイスを配った。
三人は駄菓子屋から移動し、近くの海岸沿いにある海辺へ続く階段に腰掛けた。
眼前はコバルト色の海が太陽の光を反射し、キラキラと輝いていた。
時折吹く風は潮の香りを含ませて髪を撫でていく。
今まで学校帰りに寄り道や買い食い等した事のないほのかは全てが新鮮で、とてもワクワクしていた。
口に入れたアイスは冷たくて、ありふれた味な筈なのにいつもより美味しく感じた。
全員アイスを食べ終わると陽太はメモを取り出し何かを書き始めた。
【今日一日、学校はどうだった?】
陽太から渡されたメモにはそう書かれていた。
わざわざメモにしたのは横並びに座っていて唇の形が分かりにくくなる為の配慮だと分かった。
【色々不安だったけど、二人のおかげで楽しかった】
ほのかはスケッチブックにそう書いて見せた。
【そっか、良かった! 月島さんは学校で何かしたい事ある? 部活とか】
「そうか、部活か、月島さんなら運動部でも良い成績が残せるかもな」
冬真はそう呟いた。
「うんうん、まあ、何やりたいかは月島さん次第だけど。うちの文化部も面白いの色々あるし」
ほのかは今までは部活に入っていなかったので考えてもいなかった質問に頭を悩ませた。
新しい事を覚えるにしても、誰かに教わるのは耳が聞こえない分、大変な事なのをほのかは理解していた。
【部活はまだ考えてないけど、二人は何かやってるの?】
【俺は帰宅部! 試合の時だけ色んな運動部の助っ人やってる】
陽太は運動神経が良い為色んな運動部に勧誘を受けたが、全ての誘いを断っていた。
ほのかはあれだけ足が早いのに勿体ないなと少し思った。
ほのかが冬真の方を見ると冬真はメモを差し出した。
【俺も帰宅部だな。その方が勉強に集中出来るし】
真面目そうな冬真らしい考えだとほのかは思った。
【そうなんだ、部活はいいのがあれば入ってみたいかも】
ほのかは自分に向いている部活があるのかよく分からなかったが無難な言葉を書いた。
【よし、じゃあ今度一緒に部活見学するか!】
陽太は楽しそうに見学を提案した。
【ありがとう】
【他には? やりたい事とか】
冬真が差し出したメモにほのかはドキリとした。
ほのかには確かに学校でやりたい事があった。
でもそれを自分が言うにはおこがましいのではないかとほのかは思っていた。
【はずかしいからひみつ】
【えー、気になるじゃん 誰にも言わないから教えてよ】
ほのかは上手く逃げたつもりだったが陽太は無邪気に詰め寄ってきた。
「おい、無理に聞かなくてもいいんじゃないか?」
「お前だって気になるだろ?」
「まあ、そうだが・・・・・・」
二人が話している間にほのかはスケッチブックに小さく一つの文字を書き出した。
【と】
「うん? と・・・・・・?」
陽太と冬真はほのかのスケッチブックに注目した。
そしてほのかはゆっくりと文字を書き足していく。
その字は弱々しく、段々と小さくなっていく。
【ともだちがほしい】
ほのかは顔を真っ赤にさせて出来る事なら見ないで欲しいと思いながらもスケッチブックを二人に見せた。
「友達・・・・・・はははっ、なんだ、そんな事か!」
ほのかは陽太が何を言っているのかよく分からなかったが、笑われている事だけは分かり、やはり言わなければ良かったと後悔した。
「おい、そんなに笑うなよ」
冬真は顔を赤くさせたまま今にも泣きそうなになっているほのかを不憫に思った。
「あー、悪い悪い、月島さんって可愛い事言うよなって思ってさ」
【じゃあ俺たちが友だち作り協力するよ! いっしょに友だち100人作ろう!】
陽太はそう書いてほのかにメモを見せた。
「な、冬真もいいだろ? 協力するよな?」
「お前はまた勝手に・・・・・・」
【力になれるか分からないが困った時は言うといい】
冬真は陽太に文句を言いながらも、ほのかにそう書いたメモを渡した。
ほのかは本当に百人も友達が出来るのか自信は無かったが、二人の好意が嬉しかった。
【ありがとう】
ただでさえ、聴力を失って周りに馴染めそうにないと思っていたが、今は二人がとても頼もしく思えた。
そして、いつか二人とも友達になれたらとほのかはそう思った。
ほのかも帰り支度をしていると、誰かに肩を軽く叩かれた。
「冬真がアイス奢ってくれるって言うから一緒に途中まで帰らない?」
そう言ったのは陽太だった。
「おい、誰が奢ると言った」
「ええー、冬真が一番遅かったじゃんか」
「勝負するとは言ってないだろ」
「いいからいいから、月島さんも行こう」
嫌がる冬真の肩を捕まえて、陽太は無理矢理教室を出た。
ほのかは戸惑いながらも二人の後を追いかけた。
ほのかが誰かと一緒に帰るのはとても久しぶりだった。
学校の近所に駄菓子屋があり、冬真は結局三人分のアイスキャンデーを買う事になった。
「やった、俺ソーダ味」
「ここソーダ味しかないだろ」
冬真はそう陽太にツッコミを入れながら陽太とほのかにアイスを配った。
三人は駄菓子屋から移動し、近くの海岸沿いにある海辺へ続く階段に腰掛けた。
眼前はコバルト色の海が太陽の光を反射し、キラキラと輝いていた。
時折吹く風は潮の香りを含ませて髪を撫でていく。
今まで学校帰りに寄り道や買い食い等した事のないほのかは全てが新鮮で、とてもワクワクしていた。
口に入れたアイスは冷たくて、ありふれた味な筈なのにいつもより美味しく感じた。
全員アイスを食べ終わると陽太はメモを取り出し何かを書き始めた。
【今日一日、学校はどうだった?】
陽太から渡されたメモにはそう書かれていた。
わざわざメモにしたのは横並びに座っていて唇の形が分かりにくくなる為の配慮だと分かった。
【色々不安だったけど、二人のおかげで楽しかった】
ほのかはスケッチブックにそう書いて見せた。
【そっか、良かった! 月島さんは学校で何かしたい事ある? 部活とか】
「そうか、部活か、月島さんなら運動部でも良い成績が残せるかもな」
冬真はそう呟いた。
「うんうん、まあ、何やりたいかは月島さん次第だけど。うちの文化部も面白いの色々あるし」
ほのかは今までは部活に入っていなかったので考えてもいなかった質問に頭を悩ませた。
新しい事を覚えるにしても、誰かに教わるのは耳が聞こえない分、大変な事なのをほのかは理解していた。
【部活はまだ考えてないけど、二人は何かやってるの?】
【俺は帰宅部! 試合の時だけ色んな運動部の助っ人やってる】
陽太は運動神経が良い為色んな運動部に勧誘を受けたが、全ての誘いを断っていた。
ほのかはあれだけ足が早いのに勿体ないなと少し思った。
ほのかが冬真の方を見ると冬真はメモを差し出した。
【俺も帰宅部だな。その方が勉強に集中出来るし】
真面目そうな冬真らしい考えだとほのかは思った。
【そうなんだ、部活はいいのがあれば入ってみたいかも】
ほのかは自分に向いている部活があるのかよく分からなかったが無難な言葉を書いた。
【よし、じゃあ今度一緒に部活見学するか!】
陽太は楽しそうに見学を提案した。
【ありがとう】
【他には? やりたい事とか】
冬真が差し出したメモにほのかはドキリとした。
ほのかには確かに学校でやりたい事があった。
でもそれを自分が言うにはおこがましいのではないかとほのかは思っていた。
【はずかしいからひみつ】
【えー、気になるじゃん 誰にも言わないから教えてよ】
ほのかは上手く逃げたつもりだったが陽太は無邪気に詰め寄ってきた。
「おい、無理に聞かなくてもいいんじゃないか?」
「お前だって気になるだろ?」
「まあ、そうだが・・・・・・」
二人が話している間にほのかはスケッチブックに小さく一つの文字を書き出した。
【と】
「うん? と・・・・・・?」
陽太と冬真はほのかのスケッチブックに注目した。
そしてほのかはゆっくりと文字を書き足していく。
その字は弱々しく、段々と小さくなっていく。
【ともだちがほしい】
ほのかは顔を真っ赤にさせて出来る事なら見ないで欲しいと思いながらもスケッチブックを二人に見せた。
「友達・・・・・・はははっ、なんだ、そんな事か!」
ほのかは陽太が何を言っているのかよく分からなかったが、笑われている事だけは分かり、やはり言わなければ良かったと後悔した。
「おい、そんなに笑うなよ」
冬真は顔を赤くさせたまま今にも泣きそうなになっているほのかを不憫に思った。
「あー、悪い悪い、月島さんって可愛い事言うよなって思ってさ」
【じゃあ俺たちが友だち作り協力するよ! いっしょに友だち100人作ろう!】
陽太はそう書いてほのかにメモを見せた。
「な、冬真もいいだろ? 協力するよな?」
「お前はまた勝手に・・・・・・」
【力になれるか分からないが困った時は言うといい】
冬真は陽太に文句を言いながらも、ほのかにそう書いたメモを渡した。
ほのかは本当に百人も友達が出来るのか自信は無かったが、二人の好意が嬉しかった。
【ありがとう】
ただでさえ、聴力を失って周りに馴染めそうにないと思っていたが、今は二人がとても頼もしく思えた。
そして、いつか二人とも友達になれたらとほのかはそう思った。
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