きみこえ

帝亜有花

文字の大きさ
46 / 117

お仕置きかご褒美か

しおりを挟む
    それから時は流れ、ついに試験の日がやってきた。
    ほのかはこの日の為に、猛勉強をした。
    これだけ勉強をしたのは入試の時以来かもしれないとほのかは思った。
    耳が聞こえない分、ノートの書き取りでは不足な部分があったが、冬真からノートを見せて貰ったり、冬真からの地獄のテスト対策プリントをひたすらやったりして、やれるだけの事はやったつもりだった。

「いよいよ今日から試験だな。月島さん、頑張って」

    朝、冬真にそう言われ、プレッシャーは感じつつも、ここまで協力してくれたからには結果を出したいとほのかは意気込みながら大きく頷いた。

「俺もなんだかんだで勉強一緒にやったからいつもよりは点数取れるかもなー」

    陽太はテスト前だというのに、少しも緊張していない気楽な様子で言った。

「お前は半分位サボっただろう」

「う、俺は赤点にならなければいいし」

    二人がそんな会話をしているとチャイムが鳴り、ついに中間テストが始まった。



    中間テストの期間が終わりその一週間後、次々とテストは返却された。
    教室ではテストが返ってくる度に皆の悲鳴や歓声で溢れていた。
    そんな声もほのかには聞こえず、ただただ返ってきたテストの点数に驚いていた。
    数学、国語、英語に化学、歴史等、どれもがいつもさまよっている平均点付近を大きく上回り、七十点台後半から点数の良いものは九十点以上取れている教科もあった。
    ほのかはその今まで見た事のない点数の数々に喜んだ。

「月島さん、いい点取れた?」

    そう聞いてきたのは今回の恩人である冬真だった。

【氷室君のおかげでいつもよりすごくいい点だった。ありがとう!】

「あ、俺も殆ど平均点取れたよ。流石は冬真様々だな」

    陽太はニコニコとほのかと冬真にテストの点数を見せびらかした。

「その点数で良く人に見せられるな。恥ずかしいから俺から教わったって言うのはやめてくれ」

    冬真はそう吐き捨て、冷たい視線を陽太に浴びせた。
    冬真の後ろにブリザードが見えそうな毒舌は今日も平常運転だった。

「えーー、ひでぇ! 俺だって頑張ったのに!」

    改めてほのかは冬真が勉強を教えてくれた事に感謝した。
    冬真から教えてくれたテストに良く出るポイントはかなりの確率でテストに出ていた。
    もしかしたら、将来は教師とか、塾の講師とかが向いているのかもしれないと思った。
    冬真ならジャージを着て、竹刀を振り回しながら生徒のめくるめく青春を見守り、全員某有名大学に合格させまくりに違いないと想像した。

「よーし、帰りのホームルーム始めるぞ」

    担任が教室に入って来たのを見て、生徒は皆各々の席に着いた。

「先日の中間テスト、全科目の集計が終わったから順番に取りに来るように!」

「えーー!」

「要らない、要らない、見たくない!」

    クラスにはそんなブーイングが飛び交った。
    生徒は出席番号順で呼ばれていき、成績表を受け取った生徒はそこに書かれた数字に一喜一憂していた。

「次、月島ー」

「あ、月島さん、名前呼ばれたよ」

    ほのかは陽太にそう言われ緊張した面持ちで担任から成績表を受け取った。
    席に戻り、薄っぺらい二センチ幅の紙切れを暫し見詰めた。
    目指すは二十番以内・・・・・・。
    ここに順位の結果をがあると思うと、ほのかはなかなか開く気になれなかったが、なけなしの勇気を振り絞ってその紙を開いた。
    そこに書かれたていたのは『学年順位 二十一位』の文字だった。
    ほのかは、その順位に喜んだが、あと少しだったのにという悔しさが込み上げた。


  ーーー  ーーー  ーーー  ーーー ーーー

※以下選択肢で二パターンの展開に分かれます。
好みの方を読むも良し、両方読むも良しです。
好感度的な数値等はございませんので気楽に楽しんで貰えればと思います。


選択肢1

    ここまで出来るだけの事はやったし、見た事もない成績も取れた。
    ほのかは仕方がない、次頑張ろうと思う事にし、今回は諦める事にした。



選択肢2

    このまま諦めたくない・・・・・・。
    いつもならそんな風に考えた事もなかったが、今回はらしくもなくそう思った。



選択肢1を選んだ方→甘々なお仕置き
選択肢2を選んだ方→ほろ苦なご褒美 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!

竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」 俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。 彼女の名前は下野ルカ。 幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。 俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。 だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている! 堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

課長と私のほのぼの婚

藤谷 郁
恋愛
冬美が結婚したのは十も離れた年上男性。 舘林陽一35歳。 仕事はできるが、ちょっと変わった人と噂される彼は他部署の課長さん。 ひょんなことから交際が始まり、5か月後の秋、気がつけば夫婦になっていた。 ※他サイトにも投稿。 ※一部写真は写真ACさまよりお借りしています。

処理中です...