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帰り道 『 マモルの場合 』
しおりを挟む勤務が終わり、コンビニでパンを買った俺は家路につく。
前方に、見覚えのある黒塗りの車が止まっている。
チッ!
俺が舌打ちをして足を止めると同時に車のドアが開く。
ガタイのいい男が降りてくる。
ムラサキの右腕のタツノスケだ。
「乗れ」
タツノスケが後部のドアを開く。
バレてる・・・
俺の帰り道に待ち伏せしていたということは全部バレているということだ。
俺が警官という事も。
勤務時間も。
そして当然、住む家も。
「早く乗れ」
タツノスケがアゴで車内を指す。
俺が小さくため息をつき、車の後部座席に座ると隣の女がゆっくりと俺を見る。
ムラサキだ。
「ひさしぶりね」
ムラサキがニヤリとしてタバコを口にくわえる。
運転席に戻ったタツノスケが振り向き「姐さん」と言うと、ムラサキはタバコを口から離す。
「何の用だ?」
俺がムラサキを横目で見ながら聞く。
「警察はどこまで知ってるんだい?」
「何の事だ?」
「あんたとスタンガンの女の事だよ」
「だからどういう意味だ?」
「本当に知らないのかい?」
「俺から警察の情報を聞き出そうとしても無駄だ、ムラサキ。
俺は喋らない」
「あら、そう・・・
それじゃ、こっちが勝手に喋るわね」
「・・・・・」
「昨日、南地区が襲撃にあったのよ」
きのう?
襲撃?
何の事だ?
なにも聞いていないぞ・・・
「その襲撃にアタイらは関係していないのよ。
ところが、南地区はそう思っていない様でね、北地区からの襲撃だって大騒ぎしてるのよ」
「そんな事はあんたらが勝手にやってくれ。
俺には何の関係も無いことだ」
「ところがねぇ、
それが大ありなんだよ。あんたと」
「え?」
「南を襲撃したのは、顔面蒼白の男とスタンガンを持った女だ」
「え?」
な、何を言っているんだ?
俺とナジミが?
南を襲撃?
「簡単に言うと、あんたらの偽物が南を襲撃したんだよ。
こっちは当然、あんたとあの女じゃないのは分かってる。
だが問題は南だ」
「どういう問題だ?」
「ゴンが南についた」
「え?」
「ゴンが南に泣きついたのさ。北の情報を丸ごと持ってね」
「・・・・・」
「前回の事で分かってると思うけど、こっちの中にもゴンの手先が紛れ込んでいる。
だから、奴らが本気であんたらを探すと・・・」
「俺たちは、標的ってことか」
「そうなるね」
「・・・で、
俺にどうしろと?」
「さぁね。
アタイはただ喋っただけ・・・
どうするかは、あんたが勝手にすればいい。それだけの事よ」
ムラサキはそう言うとタツノスケに目で合図を送る。
「降りろ」
タツノスケが指先を車の外に向ける。
「ムラサキ・・・
ひとつ確認させてくれるか?」
車を降りる前に俺がムラサキに尋ねる。
「何?」
「知ってるのか?
俺の事・・・」
「ええ。知ってるわ。全部」
「・・・そうか」
俺が車を降り、ドアを閉める。
バタン。
黒塗りの車はゆっくりと動き、遠ざかっていく。
一体どうなってるんだ?
俺の知らない所で何が起こってるんだ?
警察は南地区の襲撃の事を本当に知らないのか?
「メロンパンが食事なの?」
突然、後ろから声がした。
俺が振り向くと、笑顔の女が電動バイクに乗っている。
「ク、クレナイ?」
女の殺し屋、紅だ。
「ひさしぶりね、マモル」
「何してるんだ、お前?」
「マモル。あなたに話しがあってね、会いに来たのよ。
そしたらコンビニでメロンパンを3つも買ってるから驚いちゃった」
「話しって何だ?」
「今、あなたが乗っていた黒い車に関係することよ」
「ん?」
「マモル。今夜、食事しましょ。
私がおごるわ。
それじゃ後で連絡するわね」
「連絡って?」
「あなたの電話番号ぐらい分かるわよ。
それじゃ後でね!」
クレナイは、そう言うと電動バイクで去って行った。
俺、情報がダダ漏れじゃねぇーか!
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