ネジレコネクション

刺片多 健

文字の大きさ
102 / 128

帰り道 『 マモルの場合 』

しおりを挟む


勤務が終わり、コンビニでパンを買った俺は家路につく。
前方に、見覚えのある黒塗りの車が止まっている。

チッ!

俺が舌打ちをして足を止めると同時に車のドアが開く。
ガタイのいい男が降りてくる。
ムラサキの右腕のタツノスケだ。

「乗れ」

タツノスケが後部のドアを開く。

バレてる・・・

俺の帰り道に待ち伏せしていたということは全部バレているということだ。
俺が警官という事も。
勤務時間も。
そして当然、住む家も。

「早く乗れ」

タツノスケがアゴで車内を指す。

俺が小さくため息をつき、車の後部座席に座ると隣の女がゆっくりと俺を見る。
ムラサキだ。

「ひさしぶりね」
ムラサキがニヤリとしてタバコを口にくわえる。
運転席に戻ったタツノスケが振り向き「姐さん」と言うと、ムラサキはタバコを口から離す。

「何の用だ?」
俺がムラサキを横目で見ながら聞く。

「警察はどこまで知ってるんだい?」

「何の事だ?」

「あんたとスタンガンの女の事だよ」

「だからどういう意味だ?」

「本当に知らないのかい?」

「俺から警察の情報を聞き出そうとしても無駄だ、ムラサキ。
 俺は喋らない」

「あら、そう・・・
 それじゃ、こっちが勝手に喋るわね」

「・・・・・」

「昨日、南地区が襲撃にあったのよ」

きのう?
襲撃?
何の事だ?
なにも聞いていないぞ・・・

「その襲撃にアタイらは関係していないのよ。
 ところが、南地区はそう思っていない様でね、北地区からの襲撃だって大騒ぎしてるのよ」

「そんな事はあんたらが勝手にやってくれ。
 俺には何の関係も無いことだ」

「ところがねぇ、
 それが大ありなんだよ。あんたと」

「え?」

「南を襲撃したのは、顔面蒼白の男とスタンガンを持った女だ」

「え?」

な、何を言っているんだ?
俺とナジミが?
南を襲撃?

「簡単に言うと、あんたらの偽物が南を襲撃したんだよ。
 こっちは当然、あんたとあの女じゃないのは分かってる。
 だが問題は南だ」

「どういう問題だ?」

「ゴンが南についた」

「え?」

「ゴンが南に泣きついたのさ。北の情報を丸ごと持ってね」

「・・・・・」

「前回の事で分かってると思うけど、こっちの中にもゴンの手先が紛れ込んでいる。
 だから、奴らが本気であんたらを探すと・・・」

「俺たちは、標的ってことか」

「そうなるね」

「・・・で、
 俺にどうしろと?」

「さぁね。
 アタイはただ喋っただけ・・・
 どうするかは、あんたが勝手にすればいい。それだけの事よ」
ムラサキはそう言うとタツノスケに目で合図を送る。

「降りろ」
タツノスケが指先を車の外に向ける。

「ムラサキ・・・
 ひとつ確認させてくれるか?」
車を降りる前に俺がムラサキに尋ねる。

「何?」

「知ってるのか?
 俺の事・・・」

「ええ。知ってるわ。全部」

「・・・そうか」

俺が車を降り、ドアを閉める。

バタン。

黒塗りの車はゆっくりと動き、遠ざかっていく。

一体どうなってるんだ?
俺の知らない所で何が起こってるんだ?
警察は南地区の襲撃の事を本当に知らないのか?

「メロンパンが食事なの?」

突然、後ろから声がした。
俺が振り向くと、笑顔の女が電動バイクに乗っている。

「ク、クレナイ?」
女の殺し屋、紅だ。

「ひさしぶりね、マモル」

「何してるんだ、お前?」

「マモル。あなたに話しがあってね、会いに来たのよ。
 そしたらコンビニでメロンパンを3つも買ってるから驚いちゃった」

「話しって何だ?」

「今、あなたが乗っていた黒い車に関係することよ」

「ん?」

「マモル。今夜、食事しましょ。
 私がおごるわ。
 それじゃ後で連絡するわね」

「連絡って?」

「あなたの電話番号ぐらい分かるわよ。
 それじゃ後でね!」
クレナイは、そう言うと電動バイクで去って行った。

俺、情報がダダ漏れじゃねぇーか!



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

痩せたがりの姫言(ひめごと)

エフ=宝泉薫
青春
ヒロインは痩せ姫。 姫自身、あるいは周囲の人たちが密かな本音をつぶやきます。 だから「姫言」と書いてひめごと。 別サイト(カクヨム)で書いている「隠し部屋のシルフィーたち」もテイストが似ているので、混ぜることにしました。 語り手も、語られる対象も、作品ごとに異なります。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

処理中です...