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シークエンス 020
しおりを挟むど、ど、どうすんの?これ?
どうすんのよ?
「も・・もし、これが・・」
マンビさんが下を向いてつぶやく。
お?
何だ?マンビさん何か思いついたのか?
「これが、何です?」
俺がマンビさんを覗き込むように聞く。
「これが・・映画のソウを再現してるのなら・・」
「してるのなら・・?」
何だよ?
もったいぶってねぇで、早く言えよ。
「ここには、もう1人います」
え?
えぇえーーえ!!?
も、もう1人って!?
「ど、どこに!?ですか!?」
俺がキョロキョロする。
「この、303号室のどこかにです」
えぇぇ!?
マジで!?
「ど、どうします?」
「どうするって・・、ヘンタさん。探しましょう」
「探す・・・わかりました。それじゃ手分けして、」
「ダメですッ!」
「え!?」
な!何!?そんな大声出して!
ビックリするやろ!
「ヘンタさん!ホラーやスリラーは単独行動しちゃダメなんです!」
「な、なんでですか?」
「そういう決まりがあるんですよ!
単独行動したら殺されるっていう決まりがッ!!」
「そ、そうなんですか?」
「そうです!
1人1人、順番に殺されなくちゃ見せ場が減るでしょ?」
はぁ?
「見せ場?」
「そうです!いっぺんに大勢死んじゃうと、映画の上映時間が持たないんですよ!
あのジャンルは低予算なので少人数で製作してるんですよ!
だから1人1人、小出しにするんですよ!
そんな事も知らないんですかッ!!」
「あ、はい・・すみません・・・」
知るかよ!
そんな事どうでもいいよ!
「あ、じゃぁ、とりあえず、風呂場から見ますか?一緒に」
一番怪しいと思われる風呂場の方を俺が指差す。
「そ、そうですね・・一緒に行動しましょう」
俺とマンビさんは廊下に出て、風呂場の前へと移動する。
風呂場のドアは閉まっている。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・ど、どうぞ」
俺が右手で風呂場のドアを差す。
「え!?ぼ、僕が開けるの!?」
マンビさんが驚く。
「はい、先輩ですから」
「あのね、君!
こういうのは最初に入った人が死ぬんですよ!僕、絶対イヤですからッ!!」
マンビさんが必死で抵抗する。
アホか!
死ぬわけないやろ!
でも、
「こういうのは、年上の人がやるべきです」
俺も抵抗する。
だって、怖いやろ?人がいるって分かっててドア開けるとか。
お化け屋敷でもイヤやろ?
「あ!アレだ!君!僕が襲われてる間に、先に逃げ出そうとしてるでしょ!!?」
え!?
「そ、そんな事ないですよ」
「図星でしょ!?」
「ち、違いますよ!」
いや、図星だ。
「いいから早く開けて下さいよ!
誰か出て来ても、こんなに近くなんだから2人とも一緒に襲われますよ!」
「そ、そう、ですね・・・」
マンビさんが、なぜか納得する。
恐怖でおかしくなっているのだろうか。
「さっ・・どうぞ」
俺が合図を送る。
「開けますよ・・・」
マンビさんがドアノブをつかむ。
「あ!ちょっと待って下さいッ!!」
「うひゃあ!!なに!?」
俺がマンビさんを制すると悲鳴をあげる。
「先に電気を点けておきましょう」
カチッ!
俺が廊下にある浴室照明のスイッチを押す。
「・・どうぞ」
俺が合図を送る。
「あ、開けますよ・・・」
再び、マンビさんがドアノブをつかみ、そっとドアを開ける。
ゆっくりと、脱衣室が見えてくる。
洗面台と洗濯機が置かれている。
だれも、いない・・・
「いませんね・・」
俺がつぶやく。
が、問題は浴室だ。
俺とマンビさんは脱衣室にゆっくりと入る。
浴室のスライドドアは閉まっている。
「じゃぁ次は、君が開ける番ね」
マンビさんが俺を指差す。
え?
ま、しょうがないか・・
「わかりました・・・」
浴室のスライドドアは、すりガラス風のアクリル板で浴室に人が居れば分かるものだ。
今この状態では人はいない。
それが分かっているので俺は浴室のスライドドアをゆっくりと開ける。
やっぱり、誰もいない。
が!
浴槽には・・フタがしてある・・・
そう!フタがしてあるのだ!!
人がいるとしたらココだ!!
この中だ!!
フタは三枚に分かれているタイプだ。
「ど、どうぞ・・」
俺は右手でフタを指す。
「えぇええ!!ぼ、僕ッ!?」
「順番ですから。どうぞ」
俺は右手でフタを指す。
「こ!これ!絶対出てくる奴です!僕!イヤです!!」
マンビさんが拒否する。
「でも、順番ですから!フタ開けて下さい!」
俺がマンビさんの後ろに回り込む。
「ちょちょ!君!何してんの!?」
「いや、何か出てきたらイヤでしょ?」
「何言ってんの君!?僕!絶対開けないから!!」
マンビさんが、頑なに拒否する。
「でも、誰かいるから探すって言ったのマンビさんですよね!?」
「そ、そうだけど・・・でも・・・」
「それに、何で襲われる前提で話してるんですか?
友好的な人かもしれませんよ?」
「何言ってんの君!
友好的な人が浴槽に潜むはずないでしょ!」
「あぁ、まあ、そうですね・・」
「君!アレだ!
さっきから僕がどうかなればいいと思ってるんだ!きっと!!
そうでしょ!?」
「思ってませんよ」
いや思っている。
「とにかく僕!開けませんからねッ!」
マンビさんが不機嫌になる。
「わかりましたよ。それじゃ、動かないで下さいね」
俺は、二人羽織の要領でマンビさんを抱え込むように両手を伸ばし風呂のフタをつかむ。
「ちょ!ちょ!ちょ!君!」
あわてるマンビさん。
「いきますよ!開けますよ!」
「ちょちょちょ!まッ!!」
ガバッ!!
俺は風呂のフタを勢いよく開ける。
・・・・・。
恐る恐る覗き込む2人。
だ、だれも・・・
「いませんね・・・」
つぶやくマンビさん。
が!
浴槽の底に、白い封筒がある。
そう!封筒があるのだ!
これ!なんかのヒントなのだ!
俺とマンビさんが同時に浴槽の底にある封筒に手を伸ばす。
そう!この封筒は、何が何でも先に取らなければならないのだ!
なぜなら、この303号室から先に出なければ俺は警察に捕まってしまうからだ!
それにマンビさんが先に取ると、きっとまたビリビリに破いてしまうからだ!
そうなると、また破片のパズルからのスタートとなる。
それだけは避けなければならない!
だが今の俺は、二人羽織状態!
マンビさんの後ろにいるのだ!
この体制は圧倒的に不利なのだ!
しかし俺は手を伸ばす!
絶対に封筒を取らなければならないからだ!
よし!
あと少し!
あと少しで俺の手に!
あ・・・
ダメ・・・
ダメだ・・・
現実はそう甘くはない。
無情にも封筒はマンビさんの手に握られてしまった・・・
ああ・・・
俺は・・・
これで、とうとう窃盗犯として捕まってしまうのだ・・・
ふと見ると、
封筒をつかむマンビさんの横顔がニヤリと笑った気がした・・・
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