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こんなに苦しくないのかな
Ⅱ
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「みんなの文学部」。昨日の夕方、初めてここに三話ほど投稿した。すぐさましおりを挟んでくれたのはーーひかりさんだった。
「凛さん、みんなの文学部デビューおめでとうございます。これから切磋琢磨、お互い頑張りましょう」
和泉凛。私のもう一つの名前。
由来は一目瞭然。ニックネームに、和泉君の苗字を借りただけ。
大丈夫、私今宮がいなくても、書けるから。それで驚かせてやるんだ。いつの間に、賞獲ったのって。やれば出来るんだから。
ーーそう、意気込んだものの。
蝉が鳴いてる。テレビのニュースは連日のように猛暑日だと騒いでいた。
もうすぐで、夏休みが始まる。
小説を公開してから、早3か月。毎日地道に更新し続け、何とか完結。総ページ102。コメント1、しおり10。何これ? 泣きそう。あれ? もしかして私の作品、表示されてない? そう思ってパソコンで検索したら、すぐ見つかった。
ヤバい。ヤバい。ヤバい。
いくら何でも、読まれなさすぎでは。自分がこんなに才能ナシだと思わなかった。いやいや、国語の偏差値42だった私の処女作だ。自分が思っているよりも、ひどいのかもしれない。
ひかりさんの作者ページをのぞくと、連載中の作品には50のしおり。私の倍以上。
何がダメなんだろ? きちんと読み直した。起承転結も作った。あらすじも凝った。登場人物の設定も凝った、と思う。じゃあタイトル?
多分、全部ダメ。
そもそもこの物語がダメなんだ。響かないんだ。今宮に頼りたい、けど。今宮から、連絡が来たことがない。クラスが離れてるから、すれ違うこともない。
……今宮、元気かな。何してるんだろ。きっと休み時間も一心不乱に机に向かって、みんなをドン引きさせてるんだろうな。
あの天才小説家と仲良く話していたことが、遠い昔のように思える。すごい経験したな、私。
もうすぐで、二人で行った文芸マーケットから一年。
私、全然成長してない。
もう少しで、WORLDの全国ツアーが始まる。今回は一人。
うっかりいつものくせで、一公演だけ二枚で申し込んでしまった。サナを誘ったら「行く!」と間髪入れずに返事が返ってきた。このまま戻ってきてくれないだろうか。
「凛ちゃん、お疲れ様! 最近どお? もー、受験勉強大変で大変で汗。小説もスランプ気味で、最悪だ。こんなことなら、受験生になる前に凛ちゃんに会っとけばよかった泣」
文芸用のSNSは、ひかりさんとWORLD公式アカウント、文芸マーケットしかフォローしていない。魂が抜けかけた私に、光が降ってきた。
帰り道の信号待ち。慌ただしく画面を滑る親指。
「ひかりさん、お久しぶりです! 私もなかなか作品が伸びなくて悩んでおります涙。私、勉強出来ない人間なので毎日毎日泣きそうになっています。実は私も同じこと思ってました……。お互い同い年だし趣味も同じですし、絶対楽しいですよね」
「ほんと!? 嬉しいなあ。ねー、敬語じゃなくて良いよ笑」
「いや、ひかり様は私の先生なので。敬語でいきます」
それからひかりさんとは、SNSではなくメッセージアプリを使って連絡を取るようになった。
本名渡辺ひかる。志望大学は同じではないものの、同じ受験生。小説のことから学校のことまで盛り上がり、一度しか会ったことがないのに、私の中でひかるさんの存在はどんどん大きくなっていった。
そしてお互い受験が終わったら、二人で遊ぶことを約束した。
ひかりさんの通う高校は、私立の女子高。話し方や雰囲気で察していたけれど、ガチの進学校だった。人は偏差値が20違うと会話がかみ合わない、なんて言うけれど、はたして大丈夫なのだろうか。
「凛さん、みんなの文学部デビューおめでとうございます。これから切磋琢磨、お互い頑張りましょう」
和泉凛。私のもう一つの名前。
由来は一目瞭然。ニックネームに、和泉君の苗字を借りただけ。
大丈夫、私今宮がいなくても、書けるから。それで驚かせてやるんだ。いつの間に、賞獲ったのって。やれば出来るんだから。
ーーそう、意気込んだものの。
蝉が鳴いてる。テレビのニュースは連日のように猛暑日だと騒いでいた。
もうすぐで、夏休みが始まる。
小説を公開してから、早3か月。毎日地道に更新し続け、何とか完結。総ページ102。コメント1、しおり10。何これ? 泣きそう。あれ? もしかして私の作品、表示されてない? そう思ってパソコンで検索したら、すぐ見つかった。
ヤバい。ヤバい。ヤバい。
いくら何でも、読まれなさすぎでは。自分がこんなに才能ナシだと思わなかった。いやいや、国語の偏差値42だった私の処女作だ。自分が思っているよりも、ひどいのかもしれない。
ひかりさんの作者ページをのぞくと、連載中の作品には50のしおり。私の倍以上。
何がダメなんだろ? きちんと読み直した。起承転結も作った。あらすじも凝った。登場人物の設定も凝った、と思う。じゃあタイトル?
多分、全部ダメ。
そもそもこの物語がダメなんだ。響かないんだ。今宮に頼りたい、けど。今宮から、連絡が来たことがない。クラスが離れてるから、すれ違うこともない。
……今宮、元気かな。何してるんだろ。きっと休み時間も一心不乱に机に向かって、みんなをドン引きさせてるんだろうな。
あの天才小説家と仲良く話していたことが、遠い昔のように思える。すごい経験したな、私。
もうすぐで、二人で行った文芸マーケットから一年。
私、全然成長してない。
もう少しで、WORLDの全国ツアーが始まる。今回は一人。
うっかりいつものくせで、一公演だけ二枚で申し込んでしまった。サナを誘ったら「行く!」と間髪入れずに返事が返ってきた。このまま戻ってきてくれないだろうか。
「凛ちゃん、お疲れ様! 最近どお? もー、受験勉強大変で大変で汗。小説もスランプ気味で、最悪だ。こんなことなら、受験生になる前に凛ちゃんに会っとけばよかった泣」
文芸用のSNSは、ひかりさんとWORLD公式アカウント、文芸マーケットしかフォローしていない。魂が抜けかけた私に、光が降ってきた。
帰り道の信号待ち。慌ただしく画面を滑る親指。
「ひかりさん、お久しぶりです! 私もなかなか作品が伸びなくて悩んでおります涙。私、勉強出来ない人間なので毎日毎日泣きそうになっています。実は私も同じこと思ってました……。お互い同い年だし趣味も同じですし、絶対楽しいですよね」
「ほんと!? 嬉しいなあ。ねー、敬語じゃなくて良いよ笑」
「いや、ひかり様は私の先生なので。敬語でいきます」
それからひかりさんとは、SNSではなくメッセージアプリを使って連絡を取るようになった。
本名渡辺ひかる。志望大学は同じではないものの、同じ受験生。小説のことから学校のことまで盛り上がり、一度しか会ったことがないのに、私の中でひかるさんの存在はどんどん大きくなっていった。
そしてお互い受験が終わったら、二人で遊ぶことを約束した。
ひかりさんの通う高校は、私立の女子高。話し方や雰囲気で察していたけれど、ガチの進学校だった。人は偏差値が20違うと会話がかみ合わない、なんて言うけれど、はたして大丈夫なのだろうか。
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