プリンセス・サーバンツ

みずほたる

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姫様、静かなスローライフを望んだらベリーハードだった件

姫様、スライムの歴史を聞かされそうになる

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「で、このスライムどうする?」

私は頭を悩ませていると、

「ピキーッ!」

スライムが私に懐いてきているように見える。

「スライムってこうやって見るとかわいいもんね」

私は思わず身体をなでる。

「さすが姫様。魔物を手懐けるとは」

隣でオカリナが感激している。

「妾も懐かれたい!」

リィナがなでようとすると、気に入らないのかスライムがリィナに体当たりをした。

「うっ、毒に冒され、手足が痺れ、呪われた感じがするのじゃ」

具合が悪そうに座るリィナ。

「やはり女神のくせに耐性ガバガバだな」

「でも三つの状態異常で済んだじゃない」

少し安心した私だが、

「さすがに即死はないみたいですし、無能なので沈黙効果はないのでしょう。混乱効果は、まぁ元が混乱してるような人なんでってことですかね?」

「女神に向かって無能とは失礼な。グピーッ」

その場で寝てしまったリィナ。

「睡眠効果が出たようです。見て下さい。鼻提灯がゆっくりです」

鈍足効果までしっかり表現されているとは。

「とりあえずリィナもどうする? しばらく起きそうにもないけど」

「正直、スライム以下の存在ですからね。宿につれていく義理もありませんし、ここに捨てておきましょう。これで当初のベッド足りない問題は解決しましたね」

そう言われて、今回の騒動が始まったことを思い出した。

「とりあえず明日も来るから、この辺にいてね。ついでにリィナに危害が及ばないように見守っていてくれる?」

「ピキーッ!」

言葉や表情はわからないが理解してくれたと思うことにした。

私は宿に戻る途中、あのスライムが話せるようになったら、とんでもない護衛ができるのではないかと考えていたのだが、

「姫様。確かに状態異常スキルはすごいですが所詮はスライムです。ちょっとした冒険者なら攻撃されるまえに倒してしまうでしょう。それくらいスライムは弱いです」

私の考えを読んだのか、オカリナが先に結論を言ってきた。

「それに、人間たちが作った冒険者ギルドで討伐依頼書が出たらすぐに見つけられ、殺されるのがオチです。人前には出さない方がよいでしょう」

「オカリナ。随分優しいこと言うのね? 気持ち悪いんだけど! 変なキノコつまみ食いした?」

「してません! 同じ魔族ならば当然の感情です!」

解決策を考えながら宿に着き、食事をとり、ぐっすりとベッドで寝た。

翌日の昼。買い物を済ませた後、森にある湖に再び来るとリィナが葉っぱに包まれて寝ていた。

「姫様。女神がまだ寝てますが毒は消えてしまってます」

オカリナが残念そうに言うと、

「消えてしまってるって」

「どうやら女神を包んでいる葉っぱ。毒消し草のようです」

葉を一枚手に取って舌打ちをするオカリナ。

「ピキーッ」

昨日のスライムが跳ねながらやって来た。

「おい。この葉はお前の仕業か?」

「ピキーッ!」

「何を言ってるかわからん」

「ピキーッ」

私に向かって跳ね出した。何かを訴えているように見える。

「まぁ、言語はおいておいて。この石とこのスライムを融合させてほしいんだけど」

私は先程宝石商でタダ同然で手に入れた宝石のかけらを手に出した。

「それはかまいませんが。形態置換ファントムスイッチ

オカリナの手から魔力が放たれると、スライムが輝きだした。

「姫様。スライムがメタリックスライムに進化しました。防御力は世界最高レベル。他に炎、冷気など全耐性がついております」

「それってすごいの?」

「すごいというか、倒す手段が見当たりません」

オカリナが少し困った顔をしている。

「ま、それなら討伐依頼書が出ても倒されないから安心ね」

「姫様。昨日の私の言葉を忘れていなかったのですね! なんて慈悲深い御心!」

一転して目が潤んでいる。

「私が勝手に形態変化させちゃったし責任取らないとなって思っていただけよ」

私はそっぽを向いて言うと、

「姫様。スライムが進化したことにより会話が可能です」

「そうなの?」

「はい。世界152ヶ国語話せます」

「話せすぎぃ!」

「ただ、ペペロン弁は苦手みたいです」

「聞いたことない言語言われても」

私はスライムの第一声を楽しみにしていると、

「姫様。ワシを進化させてくれてあんがとな!」

まさかの田舎ジジイ口調だった。

いや、ピキーッとか言ってたんだよ? 幼女キャラだと思うじゃん?

「姫様に言われた通り、この女神に危害がでないよう見守ってたわ。ま、死なれても困るから毒は消しといたけどな!」

「うん。お気遣いありがとうね!」

なんだ? 一気にこのスライムに冷めちゃったんだけど。オッサンだからなのか?

見た目は相変わらずプルプルしているのだが、なんかヒゲが生えているように見えてきた。

「で、姫様。これからワシは何をしたらいい? ダメージは与えられんが、状態異常はなんでもいけるぜ!」

「おい。進化したとはいえ、貴様はスライムだ。姫様に対する口の聞き方を考えろ」

オカリナがヌッと鎌をスライムにつきつけた。

「おいおい。勘弁してくれよ。悪気はないんだからさ!」

「姫様。こいつ可愛くありません」

わかってる。言うな。

「おい。おまえの名前はなんだ? ないならこちらで決めるが」

「ワシの名か? アレクサンドリア=ダンバイン三世だ」

誰だよそれ!

私は言おうとしたが、

「なるほど。アレクサンドリア系だったか」

納得しているオカリナ。

魔族の常識わからん!

「スライムの一族にアレクサンドリア王ってのがおりましてね」

いや、ここで興味がなくなったスライムの歴史を語られても。

「姫様。ワシは姫様に恩を返したい。何かできることはないか?」

突然そんなことを言われても。

私は次から次へと出てくる悩みに頭を悩ませていると、リィナが目を覚ました。

「なんじゃ、そのジジイくさいスライムは」

「ジジイとは失礼な」

「スライムよ。妾は今夜こそ宿でベッドで寝たい。妾のために働いて稼いでくれ」

「なんでオメェのために働かなきゃいけねぇんだ!」

二人のやり取りを聞いて私は閃いた。

「魔族による冒険者ギルド、姫様のしもべプリンセス・サーバンツを作ろうか」

私の言葉に三人はキョトンとした顔をしたのであった。

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