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姫様、静かなスローライフを望んだらベリーハードだった件
姫様、村がいきなり帝国なってることに泣きそうになる
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「妾がこの森一帯を治めるミナエじゃ」
しばらくして、投降兵を広場に集め私は急遽作られたステージに立って挨拶をした。
「俺の子供より若いんだが」
「本当に魔族なのか? そうは見えないが」
「油断するな。今まで甘い生活をしてきた分、搾取するつもりかもしれんぞ」
「そ、そうだ。俺たちを肥やして食べるかもしれん」
好き勝手言い始める兵士たち。
「どう思おうが構わんが、お主たちのリストが完成した。これにより希望者は家族を迎え入れることが可能じゃ。プリンセス・サーバンツにて依頼をしたら三日くらいで連れてこれよう。もちろん代金はいただくが後払いでかまわん。分割支払いもできるようにしておくぞ」
「家族を呼べるなんて。夢のようだ。ぜひお願いしたい!」
歓声が上がるなか、一人の男が前に出て言ってきた。
「しかし、敵対した俺たちに何でそこまでしてくれるんだ?」
人口が増えたら経済が回るから、さらに生活が豊かになるし、私一人が怠けても大丈夫だからに決まってるじゃない。
そう思っていたのだが、流石にそんなことは言えないのでどう切り替えようかと悩んでいたらオカリナが前に出て、
「姫様は世界征服を最終目的としている。よって貴様ら人間に甘い蜜を吸わせ、馬車馬のように働かせることにより帝国の基盤を作る礎にするに決まっているだろう」
「え? 帝国って何?」
突然思ってもいないことを言い出したのでびっくりした。
「魔族の帝国だと! ふざけるな!」
「ならば国に帰ってもいい。しかし、戻ったところで貴様の生活はどうだ? 人間の領主に搾取されるだけじゃないのか? そんな悲惨な生活を貴様や家族は望んでいるのか?」
「ぐぬぬ!!」
「よいか愚民ども。貴様らを導くのは姫様だ。姫様を信じ、ついて行けば間違いないと思え」
「絶滅危惧種まで落ちぶれた魔族が起こす帝国に協力なんかしたくないが、もはや以前の生活には戻れぬ!」
「そうか。あの頃の悲惨な生活に戻れなくするように牢屋に閉じ込めるのでなく、甘い蜜を吸わせた生活をさせてきたのか。さすが魔族。やり方が汚いが、もうあの頃に戻りたくない!」
「俺は息子を学校とやらに通わせたい。いつか開催されるであろうオリンピックという世界大会に出場させたい!」
誰だよ。私の適当な言葉を広めたの。
「姫様、我らが一同。忠誠を誓わせてください!」
兵士の歓声がさらに上がる。気をよくしたオカリナが、
「姫様の偉大さにようやく気付いたようだな。愚民どもよ。今の言葉を忘れず忠義に励むが良い」
「ハハーッ!」
「さあ姫様。家族を呼び寄せたら国取りをし、世界に帝国の名を広めましょう!」
「ちょ、ちょっと待つのじゃ。帝国って何じゃ。そもそも村の名前すら決まってないのじゃが」
「村の名前は村でよろしいのでは?」
「いいわけないじゃろうが。ヴィオラに言って公募をし、正式に決めるが良い」
「村はそれでいいですが、帝国名は是非この悪魔大元帥オカリナに決めさせて欲しいです!」
「不安しかないが名前は何じゃ?」
「姫様の日頃の立ち振る舞いから毒舌貧乏帝国がよろしいかと」
「キラキラネームも裸足で逃げ出すネーミングセンスは却下じゃ」
「そんな! 一ヶ月考えたのに!」
「大魔族第三帝国とかどうかのう?」
「ダサくないですか? なんかオッサンやオバサンが好きそうというか。なんか時代背景が古いというか」
「とりあえず建国なんかまだ先の話じゃ。今はこの村の民となった者たちの家族を連れてくることに専念せい」
そんな会話をしていると、先頭に立っていた兵士が聞いてきた。
「姫様。家族ではありませんが、恋人を招くのはダメですか?」
「俺も友人をこの村に呼びたい。ガキの頃から遊んできたやつなんです!」
家族だけでも食糧生産がギリギリだとチヒロが言っていたが、友人なども含めてしまったらどうなってしまうのだろうか悩んでいたら、
「愚民の友も姫様に忠誠を尽くすならかまわん。名前と居場所をプリンセス・サーバンツで受け付けるとよかろう」
勝手に言いやがったオカリナ。
あとでチヒロに謝っておかなければならなさそうだ。
謝って済めば良いのだが。
演説の後、宮殿にヴィオラとチヒロを呼び寄せて、経緯を話したら、
「やっとリストを完成してぐっすり寝れると思ったのに、友人とか他人のリストまで作るとか吐きそうなんですけど」
「こっちも、これ以上畑を広げるならさらなる開拓をしなくちゃいけないんだけど、土地がないのよ」
ヴィオラとチヒロが予想通りゲンナリしていた。
「まあ臨時の事務員増やすしかないのう。あと開拓地じゃが」
「土地はどうする? 森の中はもう限界よ」
チヒロが困った顔をすると、
「森の外を開拓するしかないんじゃろうが、そうそんなことをしたら、また奴ら攻めて来そうじゃなあ」
「攻めてきても今回みたいに四天王の見た目だけで退散させたらどう?」
「毎回同じことをするわけにもいかんじゃろう。次はきっと裸のオッサンに見慣れた奴らが攻めてくるじゃろうよ。下手したら相手も全裸で剣や盾だけを装備してくるわ」
「嫌だなあ。そんな人たちの襲撃」
三日後。
この先どうするかを玉座で悩んでいると、
「姫様。リストを確認していたら気づいたことあるんですけど」
と、慌ててヴィオラがやって来た。
「なんじゃ?」
「移住者希望リストに領主の娘の名前がありました」
「は? もはやそれ、亡命じゃぞ?」
「あと、姫様。投稿兵を含めてどれくらい移住希望者が来るとよんでましたか?」
「一万人くらいかと予想しておったが?」
「十万人です」
「どこからそんなに沸いたのじゃ!」
「隣の国中からです。領内だけではなく国そのものが腐っていたんでしょうね。当然、食料どころか住宅も足りませんから迎え入れることは不可能です」
「迎え入れるのを拒否したら?」
「迎え入れるとオカリナさんが言ってしまった以上、暴動が起きる可能性がございますし、姫様の信用が揺らいでしまいます」
「なら方法は一つしかない?」
「多分。国から領地の割譲を迫りに行くと言ったらオカリナさんが尻尾を振って喜びますよ」
「あやつに尻尾なんかあったかのう?」
私は地図を広げて、森の外の領地だけではなく国の領土を手に入れることに心底面倒くさいと深いため息をつくのであった。
しばらくして、投降兵を広場に集め私は急遽作られたステージに立って挨拶をした。
「俺の子供より若いんだが」
「本当に魔族なのか? そうは見えないが」
「油断するな。今まで甘い生活をしてきた分、搾取するつもりかもしれんぞ」
「そ、そうだ。俺たちを肥やして食べるかもしれん」
好き勝手言い始める兵士たち。
「どう思おうが構わんが、お主たちのリストが完成した。これにより希望者は家族を迎え入れることが可能じゃ。プリンセス・サーバンツにて依頼をしたら三日くらいで連れてこれよう。もちろん代金はいただくが後払いでかまわん。分割支払いもできるようにしておくぞ」
「家族を呼べるなんて。夢のようだ。ぜひお願いしたい!」
歓声が上がるなか、一人の男が前に出て言ってきた。
「しかし、敵対した俺たちに何でそこまでしてくれるんだ?」
人口が増えたら経済が回るから、さらに生活が豊かになるし、私一人が怠けても大丈夫だからに決まってるじゃない。
そう思っていたのだが、流石にそんなことは言えないのでどう切り替えようかと悩んでいたらオカリナが前に出て、
「姫様は世界征服を最終目的としている。よって貴様ら人間に甘い蜜を吸わせ、馬車馬のように働かせることにより帝国の基盤を作る礎にするに決まっているだろう」
「え? 帝国って何?」
突然思ってもいないことを言い出したのでびっくりした。
「魔族の帝国だと! ふざけるな!」
「ならば国に帰ってもいい。しかし、戻ったところで貴様の生活はどうだ? 人間の領主に搾取されるだけじゃないのか? そんな悲惨な生活を貴様や家族は望んでいるのか?」
「ぐぬぬ!!」
「よいか愚民ども。貴様らを導くのは姫様だ。姫様を信じ、ついて行けば間違いないと思え」
「絶滅危惧種まで落ちぶれた魔族が起こす帝国に協力なんかしたくないが、もはや以前の生活には戻れぬ!」
「そうか。あの頃の悲惨な生活に戻れなくするように牢屋に閉じ込めるのでなく、甘い蜜を吸わせた生活をさせてきたのか。さすが魔族。やり方が汚いが、もうあの頃に戻りたくない!」
「俺は息子を学校とやらに通わせたい。いつか開催されるであろうオリンピックという世界大会に出場させたい!」
誰だよ。私の適当な言葉を広めたの。
「姫様、我らが一同。忠誠を誓わせてください!」
兵士の歓声がさらに上がる。気をよくしたオカリナが、
「姫様の偉大さにようやく気付いたようだな。愚民どもよ。今の言葉を忘れず忠義に励むが良い」
「ハハーッ!」
「さあ姫様。家族を呼び寄せたら国取りをし、世界に帝国の名を広めましょう!」
「ちょ、ちょっと待つのじゃ。帝国って何じゃ。そもそも村の名前すら決まってないのじゃが」
「村の名前は村でよろしいのでは?」
「いいわけないじゃろうが。ヴィオラに言って公募をし、正式に決めるが良い」
「村はそれでいいですが、帝国名は是非この悪魔大元帥オカリナに決めさせて欲しいです!」
「不安しかないが名前は何じゃ?」
「姫様の日頃の立ち振る舞いから毒舌貧乏帝国がよろしいかと」
「キラキラネームも裸足で逃げ出すネーミングセンスは却下じゃ」
「そんな! 一ヶ月考えたのに!」
「大魔族第三帝国とかどうかのう?」
「ダサくないですか? なんかオッサンやオバサンが好きそうというか。なんか時代背景が古いというか」
「とりあえず建国なんかまだ先の話じゃ。今はこの村の民となった者たちの家族を連れてくることに専念せい」
そんな会話をしていると、先頭に立っていた兵士が聞いてきた。
「姫様。家族ではありませんが、恋人を招くのはダメですか?」
「俺も友人をこの村に呼びたい。ガキの頃から遊んできたやつなんです!」
家族だけでも食糧生産がギリギリだとチヒロが言っていたが、友人なども含めてしまったらどうなってしまうのだろうか悩んでいたら、
「愚民の友も姫様に忠誠を尽くすならかまわん。名前と居場所をプリンセス・サーバンツで受け付けるとよかろう」
勝手に言いやがったオカリナ。
あとでチヒロに謝っておかなければならなさそうだ。
謝って済めば良いのだが。
演説の後、宮殿にヴィオラとチヒロを呼び寄せて、経緯を話したら、
「やっとリストを完成してぐっすり寝れると思ったのに、友人とか他人のリストまで作るとか吐きそうなんですけど」
「こっちも、これ以上畑を広げるならさらなる開拓をしなくちゃいけないんだけど、土地がないのよ」
ヴィオラとチヒロが予想通りゲンナリしていた。
「まあ臨時の事務員増やすしかないのう。あと開拓地じゃが」
「土地はどうする? 森の中はもう限界よ」
チヒロが困った顔をすると、
「森の外を開拓するしかないんじゃろうが、そうそんなことをしたら、また奴ら攻めて来そうじゃなあ」
「攻めてきても今回みたいに四天王の見た目だけで退散させたらどう?」
「毎回同じことをするわけにもいかんじゃろう。次はきっと裸のオッサンに見慣れた奴らが攻めてくるじゃろうよ。下手したら相手も全裸で剣や盾だけを装備してくるわ」
「嫌だなあ。そんな人たちの襲撃」
三日後。
この先どうするかを玉座で悩んでいると、
「姫様。リストを確認していたら気づいたことあるんですけど」
と、慌ててヴィオラがやって来た。
「なんじゃ?」
「移住者希望リストに領主の娘の名前がありました」
「は? もはやそれ、亡命じゃぞ?」
「あと、姫様。投稿兵を含めてどれくらい移住希望者が来るとよんでましたか?」
「一万人くらいかと予想しておったが?」
「十万人です」
「どこからそんなに沸いたのじゃ!」
「隣の国中からです。領内だけではなく国そのものが腐っていたんでしょうね。当然、食料どころか住宅も足りませんから迎え入れることは不可能です」
「迎え入れるのを拒否したら?」
「迎え入れるとオカリナさんが言ってしまった以上、暴動が起きる可能性がございますし、姫様の信用が揺らいでしまいます」
「なら方法は一つしかない?」
「多分。国から領地の割譲を迫りに行くと言ったらオカリナさんが尻尾を振って喜びますよ」
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