プリンセス・サーバンツ

みずほたる

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姫様、静かなスローライフを望んだらベリーハードだった件

姫様、国の腐敗理由に怒る

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アンダンテ城の入り口にて。

「東にある死の森の支配者ミナエ姫様と、その従者オカリナ様ですね。どうぞ中にお入りください。国王がお待ちです」

門番が私たちの顔を見るなり道を通してくれたが、私は彼の前で立ち止まった。

「まるで妾たちが来るのを知っておったみたいじゃな」

「はい。占い師様の予言です」

また面倒くさいのがいるのかと思いながらも入城した。

王のいる大広間に招かれると、玉座に自分だけ肥やしていそうな太った王様。側近にいるのは先ほど言っていた占い師だろうか。フードをかぶっていて性別がわからない。

あとは王様を守る兵士たちだが、オカリナによる一のダメージでも死にそうなくらい弱っているように見える。

「アンダンテ国王よ。はじめましてじゃな。妾がミナエじゃ」

「よくぞ参られた古の悪魔姫デビルプリンセスよ。降伏の使者としては余裕たっぷりに見えるな。お前がくるのは占い師の予言でわかっていた」

「降伏の使者じゃと?」

「我が圧倒的な軍の前に降伏の使者として来たんだろう? しかし一ヶ月半近く粘ったんだ。大したもんだぞ」

するとオカリナが不思議そうな顔をして、

「この暗愚は何を言ってるんですか?」

と、コッソリ話しかけてきた。

「わからん。粘るの何も翌日にはこやつの言う圧倒的な軍が全員寝返ったことを知らんっぽいのじゃ」

私はオカリナだけに聞こえるよう返答し、咳払いをして王様に言った。

「アンダンテ国王よ。そなたが向けた圧倒的な軍は全員こちらに寝返り、汗水垂らして充実した毎日を暮らしておるわ」

「我が軍が寝返っただと!! 忠義に厚いものばかりを集めた精鋭だぞ!」

「忠義に厚い? なんか森の入り口で毒キノコを食った奴が半数近くいたぞ」

「ぐぬぬ」

「しかし今日ここに来た目的は別にあるのじゃ。その後そいつらを生活をさせていたら、お主の政治がクソすぎて国民が飢えて妾の元に移住し、このまま村で生活したいと申し出ている者が結果的に五十万人おる。さすがに森だけでは土地が足りぬから、責任をとって住めるだけの土地をお主の国からよこすのじゃ」

「姫様。十万人では?」

またオカリナが小声で言ってくる。

「そんなにかわらん。ちょっと割増しただけじゃ」

「一万人から十万人と聞いた時、泡を吹いて椅子から倒れそうになってたじゃないですか」

「あの時は十倍の数を聞いたからな。しかし今、妾は五倍の数を言ったのじゃ」

「さすが姫様。ふっかける数もお優しい」

何故かそう聞いてフッと微笑む私。そして、

「どうする? 土地をよこすか国民を飢死にさせるかの選択をしたくない二択を選択するわけじゃが。そもそも何故こんなことになるまで腐敗した政治をしたのかが知りたい。見た感じ大臣すらいなさそうじゃが。まさかとは思うが、その占い師にうつつを抜かしたわけではあるまい」

答えるのに頭を悩ませる国王。

しかし私はずっと黙っている占い師を睨みつけていた。

これが転生前に読んだ漫画やアニメだと、占い師が実はスタイル抜群の色気ムンムンのお姉さんで正体はサキュバスとかで国を乗っ取るために裏で暗躍していたという顛末が王道なのだ。

「さあフードを脱ぐが良い。貴様の正体なんかわかっとるわ!」

私は犯人はお前だと言わんばかりに指をさす。 

「カカカカ。私の正体を見破るとは!」

低い声だが嬉しそうに喋り出す占い師はフードを脱ぐと、ふんどし一枚の日焼けしたオッサンが現れた。

「待て。貴様は王を誘惑しているナイスバディの美女ではないのか?」

私はさらに「とりあえずフードをもう一回着ろ」と言ってしまった。

オカリナが驚いた顔をして

「かつて四天王に匹敵すると言われていた雷のボルトでございます。まさかこんなところにいたとは」

四天王という言葉を聞いてこの姿に納得してしまったが悲しくなった。

しかしそんな私を無視してボルトは、

「大元帥よ。これを見てください。長年の月日をかけて完成した電気椅子でございます。長時間座っても弱電流が腰痛問題を解決することができます」

両手で国王が座っている玉座を紹介しては、

「この椅子はさらに運動不足を解決してくれるのだ!」

国王まで絶賛している。

私は額に手を当てて、

「それはすごいとは思うが、電気代月にいくらじゃ?」

「何とお財布に優しい国家予算一年分です!」

「高すぎじゃ! そりゃ政治が腐敗するわ!」

「しかしこの椅子を無くしては生きていけん!」

こんな自己都合の理由で国が腐敗していたとは。

こいつがまともな政治をしていたら、森は攻め込まれず、人口爆発もせず、衣食住の問題もなく、のどかに暮らせてたというのに!!

絶望の波動が大広間に一気に広がる。

「このたわけが!!」

「ひぃっ!」

椅子から落ちる国王。どうやら波動に屈して気絶したようだ。

「貴様も王ならまず民のことを考えぬか! あとボルトよ。なんか自画自賛しとるが、そんな電気椅子クソじゃ! そんなもん作るなら炊飯ジャーを発明せぬか! あと電気はどこから作り出しておる?」

「地下で労働者十万人が自転車を漕ぎ発電させております」

「そうすると自転車代、人件費と食料が必要なのでは? その割に費用対効果がすこぶる悪い」

するとボルトは目を輝かせて、

「おまえ、小娘なのに詳しいな! 助手にしてやらんこともないぞ」

「ボルトよ。我らが姫様に無礼だぞ」

「なにっ! まさか我らが魔族の頂点古の悪魔姫デビルプリンセス様だというのか!?」

「さっきそこの気絶している国王が言ってたじゃないか!」

「すまん。新開発のことばかり考えてて聞いてなかった!」

そうボルトは肩を落とすと、私は言った。

「ボルトよ。どうせ発明したいのであれば炊飯ジャーを作れ。米を炊く機械じゃ。あと電気は太陽光発電で賄え。それなら初期開発や、設備代、メンテナンス代で済む。人件費や食料はいらぬ」

「太陽光で発電だと! そんな発想なかった! しかし何故だ。今の私は作れそうな気がする」

「それは姫様による祝福の贈り物ギフトだ。私もアクアもサムスも真の力を手に入れた」

「この雷のボルト。どうか姫様に仕えることをお許しください。そして姫様の知識を私にお与えください」

私の前に膝をつけようとすると、

「正装にするのを忘れてました」  

「いや、そこままの格好で良い」

あとは、この愚か者国王をどうするかなのだが。
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