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姫様、神々を従え世界を敵に回す
姫様、あまおうで外交します
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スターフィールド国の冬が終わり、日常が戻ってきた。
「姫様。苺が採れたけど食べる?」
千尋がカゴいっぱいの苺を持ってやってきた。
喜んで一粒口にすると、
「え? めっちゃ美味しいじゃない」
「そりゃそうよ。私のいた福岡名物あまおうを願って栽培したんだから」
願ったらそれが栽培できる千尋のチート能力はありがたいものだ。
それにしても福岡かあ。行ったことなかったな。
そう思いつつも、
「これ、コンダクタ皇国の皇女に贈りたいんだけどいい?」
彼女は間違いなく元日本人だ。この苺を食べたら喜んでくれるだろう。
まるで近所へのお裾分け感覚の私だったが、
「それは構わないけど、コンダクタ皇国って遠いんでしょ? 日持ちするかなぁ? 苺が傷んじゃうかも」
千尋は心配をする。
「それもあるけど、誰を使者にするかだなあ。やっぱり聖香に行ってもらうのが一番かね?」
「そうだね。というか他に適任者はいないしね」
話がまとまりかけると、
「その話、聞き捨てならんな」
何故か玄関にありそうな王将と書かれた巨大な将棋駒を持ちながらリィナがやってきた。
「その使者、妾が行こうではないか」
「そんなこと言って道中、苺をつまみ食いするつもりでしょ?」
「見たこともないものをつまみ食いする気にはならんな。実は他国に行きたい理由はきちんとある。土産屋リィナの宣伝をしたいのじゃ」
「で、その無駄にでかいオブジェを売り込みに行きたいと? 悪いけど売れないと思うよ?」
「教えてくれ。せっかくオープンしたのに売れた試しがないのじゃ。客が来て商品を手に取っても鼻で笑って帰っていくのじゃ。何だったら売れるのじゃ?」
「トランペット村の名産品とか。今、村じゃ毒キノコが人気だからあやかったら?」
「土産屋で毒キノコを取り扱ったら客よりも保健所が押しかけてくるではないか」
「あんたどこから保健所って言葉覚えたのよ」
「ユリエルたち医療班が最近食の安全にうるさくてのう」
「ユリエルたちって、薬師のバスクなんか今でも宮殿の庭に勝手に入ってきて雑草食べてるわよ?」
「あやつは多分、草が主食なんじゃろうな」
「まあ、しばらくは千尋に協力してもらうのが一番よ。試食ついでに苺食べてみなよ」
私はカゴごと渡すと、
「これが苺というのか」
と、疑いながらも食べてみると、
「美味しいのう。これは金を払う価値が十分ある。千尋よ。この苺を作った根拠を教えてくれ」
「ん? 昨夜何となく久しぶりに食べたくなっただけだよ?」
「なんとなくという理由で、このような食材が生まれるとは。妾には思いもつかんかった。まあよい。使者としてこの苺を渡してくるとしよう」
「それはいいんだけど苺をどうやって運ぶの? 正直日持ちしないのよね」
「苺に妾の加護を授けるから大丈夫じゃ」
「リィナの加護ってなんだっけ?」
「不老不死じゃ」
「スケールでかすぎない?」
「鮮度抜群じゃぞ?」
一方、コンダクタ皇国城の中庭。
「ついに栽培に成功したわね!」
小さな家庭菜園にて皇女は手を土だらけにしながら喜んだ。
「これはなんですか?」
「苺よ。私の元いた世界の果物よ。甘くて美味しいんだから」
そう興奮しながら皇女は一粒口にしてみる。
「ちょっと酸っぱいけど、間違いなく苺だわ。でもこれを改良して、いつか、とちおとめにしてみせるわ」
「とちおとめ?」
「私がいた世界の最強の苺よ」
そう言われてウインドは、この果物が世界の覇者となるのか? と、最強の意味を取り違えていた。
「なんて言ったって、この世界に苺は存在しない。なら、とちおとめが世界のシェアナンバーワンよ! さあ、早速研究するわよ。ってか、品種改良ってどうやるのよ。土? 肥料?」
「土ならば、我が同胞に土の四天王サムスという者がいます。かといってどこにいるのかはわかりません」
「探したら見つかるもの?」
「わかりません」
「なら仕方ないわ。皇国にいる学者を集めて苺の研究をするわよ。苺が売れたら、芋ばっかり食べてる生活におさらばよ」
そう。このコンダクタ皇国はもともとは何もない野原だった。
しかしこの地に、この皇女が転生したことにより国にまで発展した経緯がある。
皇女と呼ばれる坂本裕美子は日本の栃木県で生まれ、大学進学と共に上京したのだが、東京の人混みに酔ってしまったところ、天使から突然死と勘違いされて天に召されてしまった。
「折角、大学に受かったのに! 私研究職になりたかったのに!」
そう抗議したが、死亡は覆らない。詫びとして転生させるから願いを三つ言えと聞かれて、
思う存分のどかな場所で研究や開発をしたい。
働かなくても衣食住は確保したい。
雑用をやってくれる助手がほしい。
と願った。
転生した場所は何もない野原で、そこに昼寝をしていた魔族がいた。
彼女の名はウインドといった。風を操るのが得意だという。
とりあえず家と食べ物が欲しいと頼んでみると、ウインドが操る風に飛ばされ、廃墟の家にたどりついた。
「私が知っている食べ物はこれしか知りません」
と、大量の芋を渡された。芋ならいくらでも持って来れるらしい。
裕美子は芋に飽きずに食べるため、レシピの研究に励んだ。
そして、いつの間にか芋専用の食堂を開き、裕美子は芋の研究をし、ウインドは働いた。
そして店はどんどん大きくなり、皇国にまで発展してしまったわけである。
調べてみると、皇国の西は海に面していた。
そこでは魚が獲れることがわかった裕美子は、醤油の開発にチャレンジしようとしたが、輸入で手に入ることがわかり、国をあげてワサビの開発、研究をすることにした。
そして完成したワサビは食卓の刺身に必要不可欠なものとなった。
「こうなったら米が欲しいわね」
しかし、この世界では米がないらしい。そもそも、魚も無限に獲れるわけではない。
仕方なく、国を潤わせるために貿易で黒字にする方法に舵を切った。
ウインドがいたことから、まずは扇風機の開発をして南国の暑い国へ売ることにし、成功した。
そして元いた世界で、この世界にない物を探してはアイディアを国全体に落とし込み全力で開発をしている。
もちろん先頭は、その存在を実際に知っている裕美子である。
つまりこの国は、開発された商品を他国に売って得た資金が全て衣食住を外注任せにしている自転車操業の国であったため、貧乏であった。
そのため国民は輸入する食べ物は贅沢品。主食は芋という認識があった。
こうして二人が苺に熱中するところに、
「コンダクタ皇国の城はここであっておるかのう?」
と、王将の駒と、カゴいっぱいに入った輝く苺を持ったリィナが空から訪れたのであった。
「姫様。苺が採れたけど食べる?」
千尋がカゴいっぱいの苺を持ってやってきた。
喜んで一粒口にすると、
「え? めっちゃ美味しいじゃない」
「そりゃそうよ。私のいた福岡名物あまおうを願って栽培したんだから」
願ったらそれが栽培できる千尋のチート能力はありがたいものだ。
それにしても福岡かあ。行ったことなかったな。
そう思いつつも、
「これ、コンダクタ皇国の皇女に贈りたいんだけどいい?」
彼女は間違いなく元日本人だ。この苺を食べたら喜んでくれるだろう。
まるで近所へのお裾分け感覚の私だったが、
「それは構わないけど、コンダクタ皇国って遠いんでしょ? 日持ちするかなぁ? 苺が傷んじゃうかも」
千尋は心配をする。
「それもあるけど、誰を使者にするかだなあ。やっぱり聖香に行ってもらうのが一番かね?」
「そうだね。というか他に適任者はいないしね」
話がまとまりかけると、
「その話、聞き捨てならんな」
何故か玄関にありそうな王将と書かれた巨大な将棋駒を持ちながらリィナがやってきた。
「その使者、妾が行こうではないか」
「そんなこと言って道中、苺をつまみ食いするつもりでしょ?」
「見たこともないものをつまみ食いする気にはならんな。実は他国に行きたい理由はきちんとある。土産屋リィナの宣伝をしたいのじゃ」
「で、その無駄にでかいオブジェを売り込みに行きたいと? 悪いけど売れないと思うよ?」
「教えてくれ。せっかくオープンしたのに売れた試しがないのじゃ。客が来て商品を手に取っても鼻で笑って帰っていくのじゃ。何だったら売れるのじゃ?」
「トランペット村の名産品とか。今、村じゃ毒キノコが人気だからあやかったら?」
「土産屋で毒キノコを取り扱ったら客よりも保健所が押しかけてくるではないか」
「あんたどこから保健所って言葉覚えたのよ」
「ユリエルたち医療班が最近食の安全にうるさくてのう」
「ユリエルたちって、薬師のバスクなんか今でも宮殿の庭に勝手に入ってきて雑草食べてるわよ?」
「あやつは多分、草が主食なんじゃろうな」
「まあ、しばらくは千尋に協力してもらうのが一番よ。試食ついでに苺食べてみなよ」
私はカゴごと渡すと、
「これが苺というのか」
と、疑いながらも食べてみると、
「美味しいのう。これは金を払う価値が十分ある。千尋よ。この苺を作った根拠を教えてくれ」
「ん? 昨夜何となく久しぶりに食べたくなっただけだよ?」
「なんとなくという理由で、このような食材が生まれるとは。妾には思いもつかんかった。まあよい。使者としてこの苺を渡してくるとしよう」
「それはいいんだけど苺をどうやって運ぶの? 正直日持ちしないのよね」
「苺に妾の加護を授けるから大丈夫じゃ」
「リィナの加護ってなんだっけ?」
「不老不死じゃ」
「スケールでかすぎない?」
「鮮度抜群じゃぞ?」
一方、コンダクタ皇国城の中庭。
「ついに栽培に成功したわね!」
小さな家庭菜園にて皇女は手を土だらけにしながら喜んだ。
「これはなんですか?」
「苺よ。私の元いた世界の果物よ。甘くて美味しいんだから」
そう興奮しながら皇女は一粒口にしてみる。
「ちょっと酸っぱいけど、間違いなく苺だわ。でもこれを改良して、いつか、とちおとめにしてみせるわ」
「とちおとめ?」
「私がいた世界の最強の苺よ」
そう言われてウインドは、この果物が世界の覇者となるのか? と、最強の意味を取り違えていた。
「なんて言ったって、この世界に苺は存在しない。なら、とちおとめが世界のシェアナンバーワンよ! さあ、早速研究するわよ。ってか、品種改良ってどうやるのよ。土? 肥料?」
「土ならば、我が同胞に土の四天王サムスという者がいます。かといってどこにいるのかはわかりません」
「探したら見つかるもの?」
「わかりません」
「なら仕方ないわ。皇国にいる学者を集めて苺の研究をするわよ。苺が売れたら、芋ばっかり食べてる生活におさらばよ」
そう。このコンダクタ皇国はもともとは何もない野原だった。
しかしこの地に、この皇女が転生したことにより国にまで発展した経緯がある。
皇女と呼ばれる坂本裕美子は日本の栃木県で生まれ、大学進学と共に上京したのだが、東京の人混みに酔ってしまったところ、天使から突然死と勘違いされて天に召されてしまった。
「折角、大学に受かったのに! 私研究職になりたかったのに!」
そう抗議したが、死亡は覆らない。詫びとして転生させるから願いを三つ言えと聞かれて、
思う存分のどかな場所で研究や開発をしたい。
働かなくても衣食住は確保したい。
雑用をやってくれる助手がほしい。
と願った。
転生した場所は何もない野原で、そこに昼寝をしていた魔族がいた。
彼女の名はウインドといった。風を操るのが得意だという。
とりあえず家と食べ物が欲しいと頼んでみると、ウインドが操る風に飛ばされ、廃墟の家にたどりついた。
「私が知っている食べ物はこれしか知りません」
と、大量の芋を渡された。芋ならいくらでも持って来れるらしい。
裕美子は芋に飽きずに食べるため、レシピの研究に励んだ。
そして、いつの間にか芋専用の食堂を開き、裕美子は芋の研究をし、ウインドは働いた。
そして店はどんどん大きくなり、皇国にまで発展してしまったわけである。
調べてみると、皇国の西は海に面していた。
そこでは魚が獲れることがわかった裕美子は、醤油の開発にチャレンジしようとしたが、輸入で手に入ることがわかり、国をあげてワサビの開発、研究をすることにした。
そして完成したワサビは食卓の刺身に必要不可欠なものとなった。
「こうなったら米が欲しいわね」
しかし、この世界では米がないらしい。そもそも、魚も無限に獲れるわけではない。
仕方なく、国を潤わせるために貿易で黒字にする方法に舵を切った。
ウインドがいたことから、まずは扇風機の開発をして南国の暑い国へ売ることにし、成功した。
そして元いた世界で、この世界にない物を探してはアイディアを国全体に落とし込み全力で開発をしている。
もちろん先頭は、その存在を実際に知っている裕美子である。
つまりこの国は、開発された商品を他国に売って得た資金が全て衣食住を外注任せにしている自転車操業の国であったため、貧乏であった。
そのため国民は輸入する食べ物は贅沢品。主食は芋という認識があった。
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