49 / 54
姫様、神々を従え世界を敵に回す
姫様、ネイルサロンというものに憧れます
しおりを挟む
「ウインド。あれって」
裕美子がプルプル震わせながらリィナを指差すと、
「はい。奴は慈愛の女神リィナです。神の中の神です」
「そんなことはどうでもいいの。彼女が持っているものよ」
「あのガラクタですか?」
漢字が読めないウインドは巨大な王将の駒が何かわからなかった。
「それもどうでもいいの。カゴよ。私たちが必死に栽培した苺がいっぱい入っているわ。しかもなんか輝いてる!」
裕美子は驚きを隠せないでいると、
「どうやら合っているようじゃな。邪魔するぞ。妾こそは慈愛の女神リィナ。聞いて驚くな。なんと子供が尊敬する人物第二十八位じゃ」
「微妙っすね」
ウインドが疑いの目を向けると、
「生意気な小娘め。まあ良い。妾は皇女にこの駒と苺を渡しにきたのじゃ。皇女はどこにおるか教えてくれんか?」
「私が皇女裕美子です。女神様がなんで私に苺を?」
「いや、駒と苺じゃ」
「駒はいらないです。そんな物を置く玄関スペースがありません。で、その苺、光り輝いていますが?」
「妾が加護を与えたからな。なんと不老不死じゃ」
「え? 腐らないってことですか?」
「当然じゃ。しかし食べても無害じゃ」
「一つ頂いてもよろしいですか?」
「かまわぬ。ミナエがお裾分けにどうぞって言ってたからのう」
「古の悪魔姫が、お裾分け。ですか」
裕美子は手を口にあて考える。
苺といい、お裾分けといい、やはり悪魔姫は日本人? でも光り輝く苺をおすそわけって、食料事情豊かすぎない? こっちは毎日主食が芋なのよ? てか、こっちは二年かけてやっとしなびた苺が栽培できたのに、こんな苺を作るなんて先進国すぎない?
「ほら食え。美味いぞ」
おそるおそる苺を口にすると、
「やばいくらいに美味しいです」
なぜか一筋の涙がこぼれた。
「そうじゃろう。チヒロが思いつきで昨日畑を耕したからのう」
「え? 昨日思い付きで畑を耕してもう出来たんですか?」
信じられない。一体どうやったら、そんなとんでも展開ができるんだろうか。
「妾は夕張メロンの方が好きじゃがな」
「どうやって作ったかご教授願えないでしょうか?」
「チヒロが夕張メロンが食べたいなーって願いながら畑を耕したら翌日にはできておる」
「意味がわかりません」
「妾もよくわからぬ。で、本題じゃがこの駒を買い取ってもらいたい」
「いりません」
「協力してくれたら、そなたの願いをきいてやろう」
「え?」
裕美子は再び考える。
この苺にメロンといい、おそらく悪魔姫の国には日本人がいて、その人物は農作物のチート能力を持っているに違いない。
仲良くなれば、農作物の融通が利くかもしれない。しかし、この国は何を提供すれば良いのだろうか? 見返りなしでこの要望は聞き入れてくれないだろう。
皇国の取り柄は研究と開発しかない。
「悪魔姫が困っていることを知りたいのですが」
裕美子がおそるおそる聞くと、
「ネイルサロン誰かオープンしてくれないかなとぼやいておったな」
聞いたのが間違いだった。食べるのに必死な状況なのに、なんか暮らしの次元が違いすぎる。
「あ、そういえば、ボルトと太陽光発電とかいうので悩んでおったな。仕組みがいまいちわからんらしい」
「太陽光発電?」
「いかんせん、住居などはオール電化なのに肝心の電気が魔力依存じゃからな。いくら魔導師がいても足りんのじゃ。足りない部分は自転車をこいで自家発電じゃ」
リィナがやれやれと言った顔をする。
裕美子は考える。
そういえば、スターフィールド国には四天王という専売特許とはいえチート能力者の魔族がいる。もし彼らを戦争要員ではなくインフラ要員として特化させれば、他国を侵略しなくても国は豊かになるに決まっている。
魔族という概念に固執しすぎた。
研究者として失格だ。
しかし、これはチャンスなのかもしれない。
悪魔姫ミナエは、太陽光発電などの名前や見た目は知っている。しかし、原理や構築はわからないから、専門家に委ねるしかない。
知識を与える代わりに、食べ物をもらう。
よし、決まったら交渉だ。スターフィールド国の技術が伝われば、こちらも豊かになるだろう。
「女神リィナ様。私をスターフィールド国の悪魔姫ミナエ様に会わせていただきたく思います」
「それはかまわぬが、この駒は買い取ってくれるのかのう?」
「通貨、芋だけどいいですか?」
「持って帰るのも重いから無料でかまわぬ」
こうして、リィナが持ってきた巨大な王将の駒は雑にコンダクタ皇国の中庭に置かれ、裏面には
「ご自由にお持ち帰りください」
と、書かれているのであった。
裕美子がプルプル震わせながらリィナを指差すと、
「はい。奴は慈愛の女神リィナです。神の中の神です」
「そんなことはどうでもいいの。彼女が持っているものよ」
「あのガラクタですか?」
漢字が読めないウインドは巨大な王将の駒が何かわからなかった。
「それもどうでもいいの。カゴよ。私たちが必死に栽培した苺がいっぱい入っているわ。しかもなんか輝いてる!」
裕美子は驚きを隠せないでいると、
「どうやら合っているようじゃな。邪魔するぞ。妾こそは慈愛の女神リィナ。聞いて驚くな。なんと子供が尊敬する人物第二十八位じゃ」
「微妙っすね」
ウインドが疑いの目を向けると、
「生意気な小娘め。まあ良い。妾は皇女にこの駒と苺を渡しにきたのじゃ。皇女はどこにおるか教えてくれんか?」
「私が皇女裕美子です。女神様がなんで私に苺を?」
「いや、駒と苺じゃ」
「駒はいらないです。そんな物を置く玄関スペースがありません。で、その苺、光り輝いていますが?」
「妾が加護を与えたからな。なんと不老不死じゃ」
「え? 腐らないってことですか?」
「当然じゃ。しかし食べても無害じゃ」
「一つ頂いてもよろしいですか?」
「かまわぬ。ミナエがお裾分けにどうぞって言ってたからのう」
「古の悪魔姫が、お裾分け。ですか」
裕美子は手を口にあて考える。
苺といい、お裾分けといい、やはり悪魔姫は日本人? でも光り輝く苺をおすそわけって、食料事情豊かすぎない? こっちは毎日主食が芋なのよ? てか、こっちは二年かけてやっとしなびた苺が栽培できたのに、こんな苺を作るなんて先進国すぎない?
「ほら食え。美味いぞ」
おそるおそる苺を口にすると、
「やばいくらいに美味しいです」
なぜか一筋の涙がこぼれた。
「そうじゃろう。チヒロが思いつきで昨日畑を耕したからのう」
「え? 昨日思い付きで畑を耕してもう出来たんですか?」
信じられない。一体どうやったら、そんなとんでも展開ができるんだろうか。
「妾は夕張メロンの方が好きじゃがな」
「どうやって作ったかご教授願えないでしょうか?」
「チヒロが夕張メロンが食べたいなーって願いながら畑を耕したら翌日にはできておる」
「意味がわかりません」
「妾もよくわからぬ。で、本題じゃがこの駒を買い取ってもらいたい」
「いりません」
「協力してくれたら、そなたの願いをきいてやろう」
「え?」
裕美子は再び考える。
この苺にメロンといい、おそらく悪魔姫の国には日本人がいて、その人物は農作物のチート能力を持っているに違いない。
仲良くなれば、農作物の融通が利くかもしれない。しかし、この国は何を提供すれば良いのだろうか? 見返りなしでこの要望は聞き入れてくれないだろう。
皇国の取り柄は研究と開発しかない。
「悪魔姫が困っていることを知りたいのですが」
裕美子がおそるおそる聞くと、
「ネイルサロン誰かオープンしてくれないかなとぼやいておったな」
聞いたのが間違いだった。食べるのに必死な状況なのに、なんか暮らしの次元が違いすぎる。
「あ、そういえば、ボルトと太陽光発電とかいうので悩んでおったな。仕組みがいまいちわからんらしい」
「太陽光発電?」
「いかんせん、住居などはオール電化なのに肝心の電気が魔力依存じゃからな。いくら魔導師がいても足りんのじゃ。足りない部分は自転車をこいで自家発電じゃ」
リィナがやれやれと言った顔をする。
裕美子は考える。
そういえば、スターフィールド国には四天王という専売特許とはいえチート能力者の魔族がいる。もし彼らを戦争要員ではなくインフラ要員として特化させれば、他国を侵略しなくても国は豊かになるに決まっている。
魔族という概念に固執しすぎた。
研究者として失格だ。
しかし、これはチャンスなのかもしれない。
悪魔姫ミナエは、太陽光発電などの名前や見た目は知っている。しかし、原理や構築はわからないから、専門家に委ねるしかない。
知識を与える代わりに、食べ物をもらう。
よし、決まったら交渉だ。スターフィールド国の技術が伝われば、こちらも豊かになるだろう。
「女神リィナ様。私をスターフィールド国の悪魔姫ミナエ様に会わせていただきたく思います」
「それはかまわぬが、この駒は買い取ってくれるのかのう?」
「通貨、芋だけどいいですか?」
「持って帰るのも重いから無料でかまわぬ」
こうして、リィナが持ってきた巨大な王将の駒は雑にコンダクタ皇国の中庭に置かれ、裏面には
「ご自由にお持ち帰りください」
と、書かれているのであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
【完結】私が愛されるのを見ていなさい
芹澤紗凪
恋愛
虐げられた少女の、最も残酷で最も華麗な復讐劇。(全6話の予定)
公爵家で、天使の仮面を被った義理の妹、ララフィーナに全てを奪われたディディアラ。
絶望の淵で、彼女は一族に伝わる「血縁者の姿と入れ替わる」という特殊能力に目覚める。
ディディアラは、憎き義妹と入れ替わることを決意。
完璧な令嬢として振る舞いながら、自分を陥れた者たちを内側から崩壊させていく。
立場と顔が入れ替わった二人の少女が織りなす、壮絶なダークファンタジー。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる