プリンセス・サーバンツ

みずほたる

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姫様、神々を従え世界を敵に回す

姫様、ミサイルを無視してランチに行きます

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「姫様。メロディ法国の北の地へ行くためにはナチュラル王国とピアニカ帝国を通過する必要があります」

意気込んだ私が旅支度の準備をしていると、七海が話しかけてきた。

「空飛んでいくのに通行許可証とかいるの?」

「ナチュラル王国は見て見ぬふりというか、おそらく気づかれないでしょうが、ピアニカ帝国は別です。領空侵犯扱いをされて対空ミサイルを撃ってくる可能性が高いです」

「なんで電気すらないこの世界で、そんな物騒なものが出てくるのよ」

「まあ、姫様なら無傷だとは思いますので安心して撃たれてください」

「無傷だとわかってても撃たれたくないんだけど!」

「ちなみに聖女様を崇拝していなかった国でもあります」

一体どこから情報を仕入れているのかはわからないが、聞かない方がいい気がした。

「何を崇拝しているとかわかったりする?」

しかし、情報源は知らなくても欲しい情報は得ておく必要がある。

「偉大なる将軍様を崇拝しているそうです」

なんか察しろと言わんばかりに言われた。

「そういえばピアニカ帝国は明日、戦勝記念日です」

「過去にどこかと戦争でもしたの?」

「いいえ。祝日の名目が決まらなくてなんとなく決めたそうです。ちなみに祝勝パレードもありますよ」

「何のためのパレードなのよ」

「軍事力を飢えた国民にアピールするには良い機会です。姫様。いっそのこと対空ミサイル全弾撃ちませんか?」

「なんでよ」

「軍事力など姫様の前には無力ということをピアニカ帝国全ての者にアピールできます。それで絶望の波動を放てばピアニカ帝国は無条件降伏するかもしれません」

「ただ通過したいだけなのに降伏されても困るんだけど。むしろ自ら足を止めてどうするのよ」

「それもそうですね。失礼しました。ただ私は一人でも多く飢えた民を救いたかっただけです」

「え? 私、なんか薄情者みたいじゃない」

私が困惑すると、よりによってオカリナが風呂敷を担いでやって来た。

「どうかしたのですか?」

キョトンとした顔で私たちの顔を見ると、

「国を一つ簡単に手に入れる策を進言したのですが断られたところです」

七海がオカリナの好みそうな話し方をわざとすると、

「姫様。念願の世界征服がまた一歩近づきそうなのに何故です?」

やはり話に食いついてきた。

いや、念願にしているのはこの国でもあなただけよ? と言いたくなるのを抑えて、

「大賢者に会いに行くついでに国盗りなんかやってられないわ。てか、国取りってついでにやることじゃないでしょ」

「ついででも良いではないですか。どこの国を支配下にするのかさっぱりわかりませんが寄りましょう」

「あんたねぇ。コンビニに寄るみたいに言わないでよ。とりあえず今回はミサイル撃たれても無視して突き抜けるわよ」

「では帰り道に寄りましょう」

「まるでパーキングエリアみたいに言わないでくれる?」

「あっ!」

「いきなりどうしたのよ」

「私の風呂敷には空きスペースがありません。戦利品をどこにしまえばよいかと思いまして」

「てか、聖香を背負わないといけないのに風呂敷なんか持っていけないに決まってるでしょ。そもそも風呂敷に何が入っているのよ?」

私は風呂敷を指差すと、オカリナは何故か偉そうに

「春休みの宿題です!」

「帰ってからやれば?」

私はため息を一つつくと、

翼を生やし、

「まあ、急いで飛んでいくわよ。できれば気づいたらいませんでしたって言わせるように」

「かしこまりました」

こうして、オカリナ、聖香と共に出発した。

そしてしばらくして、

「姫様、もうじきピアニカ帝国領内に入ります」

オカリナが話しかけてくる。

「見た感じ、田舎の村ってところね。ほら、牛舎があるわよ」

私は率直な感想を言うと、

「姫様。その牛小屋からなんか飛んできましたが、いかがなされますか?」

確かにこっちに向かってくる物体がある。

「って、ミサイルじゃないの!」

びっくりしたのも束の間、地上にあちこちある発射台からミサイルが一斉に私たち目掛けて飛んできる。

 聖域の拒絶サンクチュアリ・バリア

オカリナに背負われている聖香が物理結界を張ると、ミサイルは結界に防がれた。

「聖香。ついでに目からビームとか出して攻撃そのものを無力化して!」

私は叫ぶと、

「そんなことできるわけないじゃないですか!」

「仕方がない。このまま突っ切るわよ!」

「姫様。これはあからさまに我が国に対する宣戦布告なのでは? 聖香を背負っていただけるならば、この悪魔大元帥オカリナが単騎で乗り込みますが」

「その前に私たちが不法入国者よ!」

次々と撃たれるミサイルを結界で防ぎながら逃げ続けていた私たちだが、

「さすがに飛び続けるのは飽きてきたわね。お腹も空いたしどこかで休みたいわ。国境はまだなの?」

「まだまだ先のようです。姫様。あそこに食事処と書かれた店があります」

「怪しさ大爆発だけど、そこしかなさそうね。降りるわよ」

「こんな状況でお腹がすくって、緊張感なさすぎじゃないです?」

「いや、身の安全は結界で大丈夫なことがわかったら、気が抜けたままなのよ」

私はそう言い切って、店の前に降りたったが、

「うちの通貨で食事できるのかしら?」

「払えない場合は食い逃げしましょう」

「金には変わりないから確認したら良いのではないでしょうか?」

聖香の意見を採用して、私たちは店に入ることにした。

店内に入ると、客どころか店主もいない物の怪の殻で、辺りを見渡すと壁一面に『偉大なる将軍様』であろう人物の肖像画が飾られていたのだが、

「人物というか豚じゃない」

私は率直な感想を言うと、

「豚ではありません。オークです。察するにオークジェネラルと推測します」

「違いは何よ?」

「食用が豚。知恵を持ち、二足歩行するのがオークです」

なんとなく聖香の言いたいことを理解する。

「姫様。トンカツか豚丼が食べたくなりました」

「オカリナ。多分この国じゃ食べられないわよ。とりあえず座ろう」

「姫様。メニュー表を見て下さい。本日のおすすめの横に贅沢は敵だって書かれてます」

「あっちには欲しがりません。勝つまではって書かれているわ。歓迎されてるのか追い出したいかわからない店に来たみたいね」

勝手に席に座るが、やはりこの店に人の気配は感じられない。

「姫様。御用の際はこのボタンを押して下さいと書かれております」

「じゃあ早く呼んで注文しようよ」

「そうですね」

オカリナはボタンを押すと、何故か将軍様の肖像画が爆発するのであった。
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