前世アラサー独身、異世界では王太子の教育係として「恋愛感情」を教えています

cotonoha garden

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第4話 仮の「いつか」と、本当の約束

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 「約束は、守れないと分かっていても口にするべきでしょうか」
 そんなことを聞いてくる十五歳の王太子なんて、前世の私が知るどの男子高校生よりもずっと重たい。

 ◇◇◇

 嫉妬のレッスンから数日。
 王宮の空気は、少しずつ“春から初夏へ”と変わりつつあった。
 庭園の花は咲き揃い、今度は王都の社交界が本格的に動き出す時期――つまり、レオンの婚約の噂も、さらに具体味を帯びていく季節だ。

 「ミサ、今週末の茶会には、あなたも顔を出してちょうだいね」

 王妃陛下にそう言われたのは、その週の初めだった。
 王妃主催の小さな午後のお茶会。招かれているのは、未来の王太子妃候補と目される令嬢たちと、その母親たち。

 「ですが、私は教育係で……」

 「レオンの“恋愛レッスン”を引き受けてくれているのは、あなたなのでしょう?
  候補の令嬢たちがどんな雰囲気の方々か、あなたの目で見ておいてほしいの」

 言われてみれば、その通りだ。
 王太子が“本当に選ぶかもしれない誰か”の顔を知らないまま、恋だの結婚だのを教えるのは、少し無責任かもしれない。

 (……でも、正直、胃は痛い)

 前世でも、合コンや職場飲み会で、目の前で誰かが誰かとくっついていく空気は何度か見てきた。
 そのたびに「私は幹事だから」と仕事に逃げて、感情から目をそらしてきた。

 今度もきっと、似たようなものだ。
 私は教師で、案内役で、観察者。
 輪の中心には入らない。

 そう自分に言い聞かせながら、その日の授業の準備に取りかかった。

 ◇◇◇

 「本日のテーマは、“約束”です、殿下」

 学舎の教室。
 黒板代わりの板にそう書き込むと、レオンは首をかしげた。

 「約束、ですか。
  恋愛と、どのように関わるのです?」

 「恋の物語には、よく出てきますよね。
  “いつか迎えに行く”とか、“必ず戻る”とか」

 私は、前の晩に書き上げたばかりの台本を手に取った。

 タイトルは『丘の上の木と、幼なじみ』。

 『小さな村で育った少年エリアスと少女リーナ。
  二人は丘の上の一本の木の下で、“いつか一緒に都へ行こう”と約束を交わす。
  しかし、少年は騎士見習いとして都へ召し上げられ、少女は村に残る。
  年月が過ぎ、成長した二人は――』

 「殿下には、騎士になった少年エリアス役をお願いいたします」

 「僕はどうやら、よく騎士になりますね」

 苦笑しながらも台本を受け取るレオンを見て、思わず小さく笑ってしまう。

 「騎士は、約束と責任の象徴ですから。
  殿下にも、重なる部分があると思いまして」

 「なるほど」

 レオンはわずかに表情を引き締めた。
 “王太子”である自覚が、その横顔に影を落とす。

 「それに、“約束”には、守りたいものと守れないものが混ざります」

 守れなかった約束。
 前世の私は、どれくらいあっただろう。

 「今度、ちゃんと休もうね」とか。
 「落ち着いたら、旅行でも行こう」とか。
 忙しさと疲労を理由に先延ばしにしているうちに、その“落ち着いたら”は永遠に来なかった。

 高熱を押して出勤したあの日。
 「今日だけ乗り切れば」と自分に言い聞かせた帰り道、
 私の人生は、あっけなく途切れた。

 だから、私は誰かに「いつか」と約束することが、少し怖い。
 守れなかったら、その人を裏切ってしまう気がして。

 「では、今日はこの劇を通して、“約束が人の心にどう影響するか”を見てみましょう」

 ◇◇◇

 場所を庭園劇場に移すと、木漏れ日が舞台に斑に落ちていた。
 まるで、本当に丘の上の木の下にいるような光景だ。

 私は少女リーナ役として台本を開く。

 『ねえ、エリアス。“いつか”って、いつ?』

 『僕が立派な騎士になれたら。そのとき、一緒に都へ行こう』

 レオン演じるエリアスは、まっすぐで、愚直で、優しい。
 “幼なじみと都に行く”という子どもじみた約束を、本気で信じている声だった。

 場面が変わる。
 成長したエリアスは都の騎士団で忙しく働き、リーナは村で家族の面倒を見ている。
 約束は、互いの心の中にあるけれど、口に出す機会は減っていく。

 『君を迎えに行く“つもり”だった。
  でも、任務が増えて、時間がなくなって――』

 『“いつか”なんて、そんなあやふやな約束、信じなければよかった』

 クライマックスでは、リーナが思わずそうこぼしてしまう。
 それでも二人は、完全に縁を切ることはできない。
 子どもの頃の約束は、呪いのように二人の心に残っている。

 最後の場面。
 都で開かれる祭りの日。
 エリアスはようやく休暇を手に入れ、丘の上の木の下でリーナを待つ。

 『ごめん、遅くなった。
  待たせる“つもり”はなかったんだ』

 『分かってる。
  でも、待っている間に、何度も思ったの。
  あなたが来ないなら、私も自分の道を歩かなきゃいけないって』

 リーナはエリアスの手を取る。
 そして、自分も変わってしまったことを告げる。

 『都へ行きたい“だけ”が、私の夢じゃない。
  私自身の選んだ未来を歩きたい。
  もしまだ一緒にいたいと思うのなら、“いつか”じゃなくて、“今から”を約束して』

 エリアスは逡巡の末にうなずき、二人はようやく、「これから」を共に歩む約束を交わす――。

 台本を閉じたとき、私の胸の奥には、妙なざわめきが残っていた。

 “いつか”ではなく、“今から”。

 それは、前世の私が一度も掴めなかった言葉だ。

 「殿下、いかがでしたか」

 問いかけると、レオンはしばらく黙ってから口を開いた。

 「……約束をすること自体が、残酷な場合もあるのですね」

 「残酷、ですか」

 「守りたいのに守れないかもしれない。
  守れなかったとき、相手を傷つける。
  ならば、最初から約束を口にしない方が、優しいのかもしれないと」

 十五歳の口から出る言葉にしては、やけに重たい。
 私は思わず、彼の横顔をじっと見てしまった。

 「……殿下。
  それは、今のお立場に関わることでしょうか」

 レオンは、少しだけ視線を落とした。

 「僕には、いずれ“国のための婚約”が決まるでしょう。
  父上も母上も、できるだけ僕の意志を尊重すると言ってくれていますが……
  結局のところ、僕には“選べない約束”も多いのだと思います」

 選べない約束。
 生まれた瞬間から背負わされる責務。

「だからだと思うのです。
  誰かに、“必ず君を選ぶ”とは、軽々しく言いたくありません」

 真面目すぎるほどの言葉に、胸が締めつけられた。

 (この子は、いつもそう。
  自分より先に、国のこと、周りの人のことを考えてしまう)

 前世でも、「自分が休んだら、仕事が回らないから」と無理をし続けた私がいた。
 レオンの姿に、自分の若い頃を重ねてしまう。

 「殿下」

 私は、そっと声をかけた。

 「“必ず君を選ぶ”と約束できなくても、言える約束があります」

 「言える……約束?」

 「たとえば、“自分の気持ちから目をそらさない”と誓うこと。
  誰かを選ぶとき、自分が何を大事にしたいのか、ちゃんと考えると約束することです」

 それは、前世の私に向けて言っているようでもあった。
 他人の期待や常識に流され続けて、自分の本当の気持ちなんて、まともに見てこなかったから。

 「殿下は、きっと多くの人から望まれ、縛られるお立場になります。
  それでも、“自分の心を置き去りにしない”と決めることはできます。
  それは、誰も奪えない約束です」

 レオンは驚いたように目を瞬いた。

 「……ミサは、自分の気持ちを、置き去りにしたことがあるのですか」

 「ええ。
  前の人生でも、こちらの人生でも、何度か」

 あっけらかんと言うと、彼は眉を寄せた。

 「それは……少し、悲しいですね」

 「だからこそ、殿下には同じ失敗をしてほしくないんです」

 冗談めかして笑ってみせると、レオンはしばらく黙っていたが、やがて静かにうなずいた。

 「では、僕はそれを約束します」

 「それ、とは?」

 「誰かと婚約し、誰かを選ぶとき。
  その理由を、ただ“国のためだから”だけにしない。
  自分の心がどう感じているのか、必ず問いかけてから決める――そう、約束します」

 あまりにも真っ直ぐな宣言に、思わず息を飲んだ。

 十五歳の少年の口から出たその約束は、重くて、危うくて、それでも眩しい。

 「証人になってくれますか、ミサ」

 「……光栄です。
  王太子殿下の、いささか個人的な約束の証人として」

 どこかくすぐったくて、誇らしい。
 私の胸の奥にも、小さな“今度こそ”が灯る。

 前世で私は、自分自身にさえ約束できなかった。
 「ちゃんと休む」とか、「自分を大事にする」とか。
 その簡単な約束すら、守れなかった。

 今度の人生では――少なくとも、誰かの約束を信じる役くらいは、引き受けてもいいのかもしれない。

 ◇◇◇

 数日後。
 王妃主催のお茶会の日がやってきた。

 広間には、色とりどりのドレスを纏った令嬢たちが並び、その中心には、ひときわ視線を集める少女がいた。

 カトリーヌ・ド・ヴァロワ。
 金糸のような髪を編み上げ、淡いラベンダー色のドレスに身を包んだ彼女は、絵本から抜け出してきた貴婦人のようだった。

 ……そりゃあ、王太子妃候補だと噂されるわけだ。

 私は壁際の控えめな位置から、その様子を見守っていた。
 私の役目はあくまで、レオンの表情と、令嬢たちの雰囲気を観察すること。
 輪に加わる必要はない。

 「まあ、殿下。先日の剣技大会でのご勇姿、拝見いたしましたわ」

 カトリーヌが優雅に微笑みかける。
 レオンは礼儀正しく返礼し、当たり障りのない会話を交わしていた。

 嫉妬、というよりは、遠い芝居を見ているような感覚。
 私が入り込む余地など、本来どこにもない世界。

 ……そのはずだった。

 ティーカップの音が一段落した頃。
 王妃陛下が、ふと思いついたように口を開いた。

 「そういえば皆様。
  レオンの教育係であるミサは、物語や芝居を通して“感情の言葉”を教えるのが上手なのですよ」

 しまった、と内心で頭を抱える間もなく、王妃陛下の視線がこちらに向いた。

 「ミサ、こちらへいらして」

 呼ばれてしまっては、出ていくしかない。
 私はドレスの裾を整え、できるだけ落ち着いた足取りで輪の中へ進んだ。

 「いつもレオンがお世話になっております」

 カトリーヌが、完璧な笑みとともに会釈をする。
 その目の奥に浮かぶ感情を、私は読み取ろうとした。

 ――警戒、とまではいかない。
 ただ、“興味のない相手を見る目”だ。

 「こちらこそ、殿下には日々学ばせていただいております」

 型どおりの挨拶を交わしたあと、王妃陛下が楽しげに提案した。

 「せっかくですもの。
  ミサ、“約束”をテーマにした短い一節を、どなたかに読んで聞かせて差し上げては?」

 視線が自然とレオンとカトリーヌへと集まる。

 “どなたか”が誰を指すのかは、明らかだった。

 (ああもう、この流れ、前世の歓送迎会と何も変わらない)

 「タマキさん、せっかくだし何か一言どうぞ」と振られ、断れずにマイクを握らされたあの日々。
 私は一瞬だけ、逃げ道を探した。

 けれど、逃げ続けて終わった人生はもう経験済みだ。

 「では、僭越ながら」

 私は、用意していた小さな詩の一節を思い出しながら、二人に向き直った。

 「“いつか”と口にした約束は、風に紛れて遠くへ飛んでしまいます。
  “今ここで”と交わした約束だけが、人の心に残ります」

 言葉を選びながら、ゆっくりと続ける。

 「でも、王太子殿下。
  殿下のように多くを背負う方には、“今ここで”と言えない約束もあるでしょう。
  そのときはせめて、自分の心から目をそらさないでください。
  誰かと手を取るなら、“国のため”だけでなく、“殿下自身のためにも”選んでいただきたいのです」

 場が、静まり返ったのが分かった。
 少し言いすぎたかもしれない、と後悔しかけたけれど、もう遅い。

 レオンは、一瞬驚いたように瞳を見開き――やがて、穏やかに微笑んだ。

 「ミサの言葉は、いつも厳しくて優しいですね」

 そのひと言に、胸の奥が熱くなる。

 カトリーヌはといえば、涼しい顔で紅茶を口に運び、やわらかな声で言った。

 「素敵なお話ですわ。
  “王と王妃が選んだ相手”であることに、選ばれた側も恥じぬよう努めなければなりませんわね」

 その言葉が、自分こそが“選ばれる側”だという自信から来ているのか、
 それとも単なる社交辞令なのかは、まだ判別できなかった。

 ただひとつ確かなのは――。

 (私はどちらにせよ、“選ぶ”側でも“選ばれる”側でもない)

 今の私は、あくまで「言葉を渡す人」。
 その立場に、少しの寂しさと、少しの誇りが同居していた。

 ◇◇◇

 お茶会が終わり、夕暮れのテラスに出ると、レオンが待っていた。

 「さきほどは、ありがとう、ミサ」

 「いえ。
  少し、余計なことまで言ってしまったかもしれません」

 「いいえ。
  僕が今朝、ミサにした約束を、皆の前で思い出させてもらった気がします」

 朝――レッスンの後。
 レオンは、誰かを選ぶとき、自分の心から目をそらさないと約束してくれた。

 「僕はまだ十五歳で、きっとこれから先、揺れることも迷うこともたくさんあるでしょう。
  それでも、“今の自分がどう思っているか”だけは、嘘をつかないようにします」

 淡い夕陽が、彼の横顔を照らしていた。
 その姿は、もう少年というより、少しずつ“未来の王”になりかけている。

 「その代わり、ミサもひとつ、約束してくれますか」

 「……私、ですか?」

 「ええ。
  僕が自分の心を見失いそうになったとき、
  “それは本当に殿下の望む未来ですか”と、また今日のように言ってください」

 どこまでも真面目で、不器用で、愛しいほどにまっすぐな願い。

 「……そんな約束なら、いくつでも」

 思わず、笑ってしまった。

 「分かりました。
  では私も、殿下に約束します。
  殿下がご自身の心から目をそらしそうになったときは、
  少々鬱陶しいくらいに、何度でも問いかけます」

 レオンも、少しだけ口元を緩めた。

 「鬱陶しいくらいで、ちょうどいいのかもしれませんね」

 そのやりとりが、不思議と心地よかった。

 前世では、自分自身にすら、ちゃんと向き合えなかった。
 今世では――誰かの心に寄り添う約束くらいなら、守れるかもしれない。

 テラスの手すりに肘をつき、夕焼けに染まる王都を見下ろしながら、ふと気づく。

 ――“いつか”というあやふやな言葉の代わりに、
 “今ここで”交わした約束が、ひとつ、胸の中に増えた。

 選ばれなかった人生のその先で、
 ようやく、自分の居場所に小さな目印を打てた気がして、
 私はそっと目を閉じた。
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