72 / 104
第二章
12.記憶2
しおりを挟む
『闇』寄りは、術者の中でも、極わずかだが生徒会役員に三人いるのである。
クリスティン、アドレー、ラムゼイだ。
「折角ですし、クリスティン様も占いますよ。生徒会の皆様も、記憶を消すだけではなく、実際に一つ占いました」
クリスティンは占ってもらうのを楽しみにしていたので、どきどきとする。
「はい、ぜひ」
「どういったことを、お知りになりたいですか? おひとつ、おっしゃってください。余り長くあなたと二人で個室にいて、問題になってもいけませんので」
クリスティンは迷った。
気になることが二つあったから。
どちらを占ってもらおう?
この先の未来と、メルとの恋。
するとオリヴァーは、両手を組み合わせた。
「今回はひとつですが、また違う機会に、占いますよ。そのときお時間があれば、いくらでもね」
オリヴァーはくすっと笑う。
「ありがとうございます」
クリスティンは占ってもらうのは今ではなくてもいいと思った。ルーカスが話していた、パワーを使うのだと。
「恋について? 女性の場合はそれが多いですし」
「いえ、また次で。今回はいいですわ」
彼に負担をかけられなかった。皆からクリスティンの言葉の記憶を消すのも、力を使わせてしまっただろう。
(でも、どうやったのかしらね?)
「記憶、どのように消されたの?」
「一種の催眠術です」
「催眠術……?」
「ええ。害はないので、大丈夫ですよ」
彼は指を組み替える。
「今占います。占いたいことをおっしゃってください」
「よろしいの?」
「もちろんです」
「ではお願いしようかしら……」
「どうぞ。メルとの恋について?」
「いいえ」
彼は瞬く。
「では、何を?」
メルとの恋は、重要なことだけれど、大問題は将来のことなのである。
クリスティンは悪役令嬢。
惨殺や、孤島送りなど、恐怖の強制イベントが今後控えているかもしれない。
メルや周囲をそれに巻き込んでしまうのは絶対に避けたい。
「わたくし、悪役……いえ。将来について知りたいです。平穏に過ごせるのかどうか。具体的に申し上げますと、惨殺や孤島送りがあるのかないのか。どうでしょう!?」
「…………え?」
目を点にするオリヴァーに、クリスティンは言い換えた。
「……知りたいのは今後平穏に過ごせるかどうか、ですわ。占っていただけます?」
彼は呆気に取られつつ、クリスティンに手を差し出した。
「……わかりました。占いましょう。手を握ってもらえますか?」
彼の手を握りしめる。
すると、オリヴァーはしばらく押し黙った。
「──クリスティン様。あなたは性格もですが、とても変わったオーラだ……。波乱万丈な人生になります」
「波乱万丈っ!?」
「平穏とはほど遠いようです」
クリスティンは青ざめる。
心から望む平穏。それとはほど遠い……?
(惨殺や孤島送りも、あるかもしれないの?)
そうだ、と言われれば、正気を保てる自信がない。
(こ、これはただの占い……!)
そう言い聞かせる。
的中率が高いといっていたが……あくまでも占いだ。
しかし……恐ろしいが、やはり詳しく知りたい……。
知っていれば、対処もできる。
「よければ、未来についてもっと詳しくみてみましょうか?」
「よろしくお願いしますわ……!」
クリスティンは覚悟し、こくっと喉を鳴らす。
「では目を閉じていただけますか」
クリスティンは瞼をおろした。
オリヴァーはクリスティンにはわからない言語を紡ぐ。
額に手を置かれ、一瞬、意識が飛んだ気がした。
「──クリスティン様、目を開けてください」
おそるおそる瞼を持ち上げる。
「申し訳ありません。あなたの未来について、詳しくみえませんでした」
オリヴァーはスカイブルーの瞳を静かに光らせ、小さく首を振った。
(みえない!?)
「それはわたくしの未来は、ひょっとして、ないのですか!?」
ゲームの強制力により、死亡っ!?
クリスティン、アドレー、ラムゼイだ。
「折角ですし、クリスティン様も占いますよ。生徒会の皆様も、記憶を消すだけではなく、実際に一つ占いました」
クリスティンは占ってもらうのを楽しみにしていたので、どきどきとする。
「はい、ぜひ」
「どういったことを、お知りになりたいですか? おひとつ、おっしゃってください。余り長くあなたと二人で個室にいて、問題になってもいけませんので」
クリスティンは迷った。
気になることが二つあったから。
どちらを占ってもらおう?
この先の未来と、メルとの恋。
するとオリヴァーは、両手を組み合わせた。
「今回はひとつですが、また違う機会に、占いますよ。そのときお時間があれば、いくらでもね」
オリヴァーはくすっと笑う。
「ありがとうございます」
クリスティンは占ってもらうのは今ではなくてもいいと思った。ルーカスが話していた、パワーを使うのだと。
「恋について? 女性の場合はそれが多いですし」
「いえ、また次で。今回はいいですわ」
彼に負担をかけられなかった。皆からクリスティンの言葉の記憶を消すのも、力を使わせてしまっただろう。
(でも、どうやったのかしらね?)
「記憶、どのように消されたの?」
「一種の催眠術です」
「催眠術……?」
「ええ。害はないので、大丈夫ですよ」
彼は指を組み替える。
「今占います。占いたいことをおっしゃってください」
「よろしいの?」
「もちろんです」
「ではお願いしようかしら……」
「どうぞ。メルとの恋について?」
「いいえ」
彼は瞬く。
「では、何を?」
メルとの恋は、重要なことだけれど、大問題は将来のことなのである。
クリスティンは悪役令嬢。
惨殺や、孤島送りなど、恐怖の強制イベントが今後控えているかもしれない。
メルや周囲をそれに巻き込んでしまうのは絶対に避けたい。
「わたくし、悪役……いえ。将来について知りたいです。平穏に過ごせるのかどうか。具体的に申し上げますと、惨殺や孤島送りがあるのかないのか。どうでしょう!?」
「…………え?」
目を点にするオリヴァーに、クリスティンは言い換えた。
「……知りたいのは今後平穏に過ごせるかどうか、ですわ。占っていただけます?」
彼は呆気に取られつつ、クリスティンに手を差し出した。
「……わかりました。占いましょう。手を握ってもらえますか?」
彼の手を握りしめる。
すると、オリヴァーはしばらく押し黙った。
「──クリスティン様。あなたは性格もですが、とても変わったオーラだ……。波乱万丈な人生になります」
「波乱万丈っ!?」
「平穏とはほど遠いようです」
クリスティンは青ざめる。
心から望む平穏。それとはほど遠い……?
(惨殺や孤島送りも、あるかもしれないの?)
そうだ、と言われれば、正気を保てる自信がない。
(こ、これはただの占い……!)
そう言い聞かせる。
的中率が高いといっていたが……あくまでも占いだ。
しかし……恐ろしいが、やはり詳しく知りたい……。
知っていれば、対処もできる。
「よければ、未来についてもっと詳しくみてみましょうか?」
「よろしくお願いしますわ……!」
クリスティンは覚悟し、こくっと喉を鳴らす。
「では目を閉じていただけますか」
クリスティンは瞼をおろした。
オリヴァーはクリスティンにはわからない言語を紡ぐ。
額に手を置かれ、一瞬、意識が飛んだ気がした。
「──クリスティン様、目を開けてください」
おそるおそる瞼を持ち上げる。
「申し訳ありません。あなたの未来について、詳しくみえませんでした」
オリヴァーはスカイブルーの瞳を静かに光らせ、小さく首を振った。
(みえない!?)
「それはわたくしの未来は、ひょっとして、ないのですか!?」
ゲームの強制力により、死亡っ!?
18
あなたにおすすめの小説
【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。
※他サイト様にも掲載中です
【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした
果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。
そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、
あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。
じゃあ、気楽にいきますか。
*『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。
《完》義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?
桐生桜月姫
恋愛
公爵令嬢たるクラウディア・ローズバードは自分の前に現れた天敵たる天才な義弟と継母を追い出すために、たくさんのクラウディアの思う最高のいじめを仕掛ける。
だが、義弟は地味にずれているクラウディアの意地悪を糧にしてどんどん賢くなり、継母は陰ながら?クラウディアをものすっごく微笑ましく眺めて溺愛してしまう。
「もう!どうしてなのよ!!」
クラウディアが気がつく頃には外堀が全て埋め尽くされ、大変なことに!?
天然混じりの大人びている?少女と、冷たい天才義弟、そして変わり者な継母の家族の行方はいかに!?
【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!
美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』
そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。
目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。
なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。
元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。
ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。
いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。
なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。
このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。
悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。
ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる