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第2話 やっぱり王子を泣かせたい!
(18)独占欲(リオルド視点)
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すみません、更新めっちゃ遅くなりました(><)
──────────
僕は今、見聞を広げるという名目でこの国に留まっている。
ジェラルドの一歳上の僕は、本来ならばこの学園を卒業してしまっている歳だ。だけど、王族という身分があってか、現在は特別研修生と言う待遇で学園への在籍と出入りを許されている。取った授業の課題の提出なんかはあるものの必修単位はなく、学生以上教員未満って感じで、第二の学園生活を楽しみ中だ。
好きな子がいる学園生活って、本当に充実してるよね!
「ドーラちゃん、今日も綺麗だね! 一緒にお昼ご飯食べようよ。隣の席いいかな?」
「ごきげんよう、リオルド殿下。わたくしの隣でよろしければどうぞ」
テラスで侍女とランチ中の彼女に声をかけると、ちょっとはにかむ。よく見ないとわからないほんの少しの変化だけど。
あーかわいすぎる!
今すぐ国に連れて帰りたい。
でも、僕が腰をおろすと同時に。
「邪魔するぞ」
「また来たのか。邪魔だと思うなら来るなよ」
「ふん。俺がどこに座ろうと自由だろ?」
本当に邪魔だよ、ジェラルド。
しかも、向かいの席が空いてるのにわざわざ彼女と僕の間に座る。
奴のことを、口は悪いけど根はいい奴だって思ってた昔の自分が実にあほらしい。
ドーラちゃんは険悪な僕らの様子を見て、目をぱちくりさせた後、
「あら。わたくしちょっと用事を思い出しましたので失礼しますわね。ふふっ……マリー、行くわよ」
と言って席を立ってしまった。
その姿を呆然と見送る男二人……カフェの給仕が今更ランチを運んできたけど、もうすっかり食欲が失せていた。
ドーラちゃんが行っちゃったのは完全にお前のせいだぞ、ジェラルド。
「……邪魔すんなよ、ジェラルド」
「そっちこそ何してんだ。知ってるぞお前があいつに付きまとってること。あいつは俺の婚約者なんだぞ」
「こんな時だけ婚約者面してご苦労なこったな」
「婚約者面もなにも婚約者だ」
「まだだろ?それに、婚約解消間近だって聞いたぞ」
「なっ! 婚約解消はしないからな! 絶対に! だからお前たちが結ばれることなんてありえない」
何だよ、どう見ても想いあってなんかいないだろ?
見ててもわかるんだよ、お前の圧倒的な片想いだってことは。
でも。
かと言って彼女の気持ちが僕に向いているかというと、そうではない。
クソ。何かイライラするな。
「リオルド殿下」
ジェラルドと睨み合いながら、ランチの魚を口に放りこむ。すると、さっきの給仕が戻ってきて僕に耳打ちをした。
そして今。
僕は足取りも軽くある場所へ向かっていた。
今の今までドーラちゃんから呼び出されることなんかなくて。会いたければ僕から訪ねるしかなかった。まぁ、彼女は婚約者がいる身なんだからそれは当たり前だよね。
でも、
その彼女から、
初めての、
呼び出し!
テンションが上がってた僕は、どうやってそこまで来たか覚えてないほど浮かれていた。
「リオルド殿下、ごきげんよう。お呼びだてして申し訳ございません」
「ドーラちゃん! 何か聞きたいことがあるんだって? 何でも聞いて! 何? 僕の好きな食べ物は……」
「あ、そういうのは今は結構なんですけど。お言葉に甘えてズバリお聞き致します。殿下は同性同士の恋についてどう思われますか?」
「同性同士の……恋?」
「ええ! 例えば男性が男性に恋をして、女性が女性に恋することですわ!」
「えっ……」
一体僕は何を聞かれているというか、聞かされているのだろうか?
彼女の緑の瞳は、いつになくキラキラと輝いて見えて、可愛いけれど……。
「まさか、ドーラちゃんは女性が好きなの?」
驚愕のあまり、疑問がそのまま口をついてでた。
すると彼女はおかしそうに笑った。
「いやですわ! わたくしの話じゃありません。えっと、あの、一般論を」
「一般論……?」
彼女の趣味がそっちじゃないことにほっとしつつも、相変わらずその話の意図が読めず混乱する。
「ええ! それで、どうですか? 殿下は?」
「あ……うん。別にいいんじゃないかな? 好みは人それぞれだと思うし」
すると彼女はとても嬉しそうな笑顔を見せた。
普段は凛としている彼女の表情は柔らかく崩れて、辺りに花が舞い散った……のは僕の妄想だけど。
「……っ!」
彼女はこれ以上僕に好きにさせて一体どうするつもりなんだろう。
「君は? 君の方こそ、今、好きな人はいる?」
だけど僕がそう聞くと、わかりやすく固まった。
「え……わたくしの好きな人……ですか? えーと、わたくしはジェラルド殿下の婚約者ですので、そういうことは考えたことがないというか……考えたらいけないというか……」
そう語る瞳にはやはり、ジェラルドへの思慕はそれほど感じられない。
あったとしても、幼い頃から婚約者として育ってきた情くらいだろう。
そう思う。そう思わなければやってられないからね。
「そうおっしゃるリオルド殿下は、どうなんですか?」
「僕? 実はさ、僕には昔からずっと想ってる人がいるんだ」
そう、目の前に──。
そう言えたらどんなにいいだろうか。だけど、今はジェラルドの婚約者だから、まだ伝えるわけにはいかない。
それでも想いのひと欠片でも伝わって欲しくて彼女を見つめていたら、彼女は息を呑んで目を見開いた。
「昔、から……?」
「うん。」
──そうだよ。君に助けられてからずっと。僕は君だけしか見えないみたいだ。
ま、今はまだ伝わらないだろうな。彼女は僕のことも覚えてないみたいだし。
そう、思っていたのに。
彼女は、突然顔を真っ赤にして小さくつぶやいた。
「まさか、そんな……リオルド殿下も好きだったなんて。二人は両想いだったというの?!」
両想い?
どういうこと?
「……そんな、まさか」
まさか、彼女も僕のことを想っていたってこと?!
なんてことだ!
彼女の気持ちがこちらに向くのを気長に待つつもりだったけど、両想いなら遠慮することは無いよね?
「こんな奇跡ってあるかしら? すれ違いの両片想いだったってこと?」
舞い上がっていた僕は、その後に続く彼女の言葉を全く聞いていなかった。
でも、彼女はまだジェラルドの婚約者だ。
このままでは想いを告げても一緒になることはできない。
『君が好きだ』
その言葉をぐっと飲み込んで僕は、これからの算段を心の中でつける。
まずはジェラルドに彼女との婚約解消を認めさせなければならない。
正直言ってそれが一番厄介だな。
奴が、ドーラちゃんに執着してるのは確かだ。
彼女を見つめるその目は完全に恋する男のそれだから。同じだからこそよく分かる。
それなのに彼女に辛く当たる意味がわからないけれど。
他の女をあてがって、ドーラちゃんと婚約破棄したいと思わせることはできるかな?
男に尻尾を振るのが好きな女なら何人か思いつくし。それに、この前ベタベタとくっついて来たラビア何とかっていう男爵令嬢をけしかけてみても面白そうだ。
あの女、確か「リオルド様のお役に立ちたいのです!」とか何とか言ってたっけ。
奴が王子でさえなければ、無理やり奴を絡めた事件でも起こして婚約解消させるところだけれど。実際には王子だし、それをすると国際問題になりかねない。
それならばと、先に外堀を固めようにも、ここはアウェーだ。
彼女の実家にしても、多大なる権力を得られる王家との婚約をわざわざ解消するはずがない。
ジェラルドの横暴ぶりを知っているはずの公爵家がそれでも婚約解消をしないのは、つまりそういうことでしょ?
今になって初めて、僕は王位継承権第三位という自分の身分を恨めしく思った。僕にも王位継承権があれば、彼女の実家の公爵家だって首を縦に振ったかもしれないのに。
いずれは臣籍降下することが決まってる男に、大事な娘をほいほい渡すことはないだろうな。
「リオルド殿下、わたくしはあなた方の味方ですわ!」
「……っ?!」
ガシッと手をつかまれて、ちょっと驚いた。ドーラちゃんの手はとても細くて柔らかいんだ。
「それから、殿下にはこれを。マリー、持ってきてちょうだい!」
彼女は侍女を呼ぶと、小さな小包を受け取った。
「多分お相手も同じ気持ちでいることでしょう。どうか諦めてしまわず、是非お心のままに行動してくださいませ! わたくしはあなたを応援しておりますわ! あ、これ恋愛成就のお守りです。よろしければどうぞ」
そう言って、微笑みながらその小包を僕に向かって差し出した。僕はそれを受け取った。
「あ、ああ……うん」
何だかよくわからないけれど、彼女と僕が両想いなのは確定、でいいんだよね?
「殿下、わたくし応援しておりますから」
微笑むドーラちゃんと別れて、城へ戻った僕は、早速渡された包みを開けてみた。
中から出てきたのは、赤い石のついたペンダントだった。
「……っ!」
小さな玉の中に炎を灯したようなその石の色は、彼女の髪の色とそっくりだ。
自分の色を相手に身につけて欲しいというのは、何も男性に限ったことじゃないようだ。
独占欲?
いくらでも独占してくれればいい。
ああ、今すぐにでも彼女を抱きしめてお礼を言いたい。
いっその事既成事実でも作ってしまうか? そうすればいくらジェラルドでも諦めざるを得ないだろう。
いや、僕は誰にも後ろ指さされることなく正々堂々と彼女を貰い受けたいんだ。
どうにかして法的に解消する手段があればいいんだけど……うん、郷に入っては郷に従えだ。この国の法律を少し調べてみるか。
僕は、彼らの婚約を解消に持っていく手段を探して、しばらく王国図書館へ通うことにした。
──────────
すみません、遅くなりました。
明日の更新もちょっと遅くなるかもです。
もうそろそろ終わらせたい!(どうやって(笑))
──────────
僕は今、見聞を広げるという名目でこの国に留まっている。
ジェラルドの一歳上の僕は、本来ならばこの学園を卒業してしまっている歳だ。だけど、王族という身分があってか、現在は特別研修生と言う待遇で学園への在籍と出入りを許されている。取った授業の課題の提出なんかはあるものの必修単位はなく、学生以上教員未満って感じで、第二の学園生活を楽しみ中だ。
好きな子がいる学園生活って、本当に充実してるよね!
「ドーラちゃん、今日も綺麗だね! 一緒にお昼ご飯食べようよ。隣の席いいかな?」
「ごきげんよう、リオルド殿下。わたくしの隣でよろしければどうぞ」
テラスで侍女とランチ中の彼女に声をかけると、ちょっとはにかむ。よく見ないとわからないほんの少しの変化だけど。
あーかわいすぎる!
今すぐ国に連れて帰りたい。
でも、僕が腰をおろすと同時に。
「邪魔するぞ」
「また来たのか。邪魔だと思うなら来るなよ」
「ふん。俺がどこに座ろうと自由だろ?」
本当に邪魔だよ、ジェラルド。
しかも、向かいの席が空いてるのにわざわざ彼女と僕の間に座る。
奴のことを、口は悪いけど根はいい奴だって思ってた昔の自分が実にあほらしい。
ドーラちゃんは険悪な僕らの様子を見て、目をぱちくりさせた後、
「あら。わたくしちょっと用事を思い出しましたので失礼しますわね。ふふっ……マリー、行くわよ」
と言って席を立ってしまった。
その姿を呆然と見送る男二人……カフェの給仕が今更ランチを運んできたけど、もうすっかり食欲が失せていた。
ドーラちゃんが行っちゃったのは完全にお前のせいだぞ、ジェラルド。
「……邪魔すんなよ、ジェラルド」
「そっちこそ何してんだ。知ってるぞお前があいつに付きまとってること。あいつは俺の婚約者なんだぞ」
「こんな時だけ婚約者面してご苦労なこったな」
「婚約者面もなにも婚約者だ」
「まだだろ?それに、婚約解消間近だって聞いたぞ」
「なっ! 婚約解消はしないからな! 絶対に! だからお前たちが結ばれることなんてありえない」
何だよ、どう見ても想いあってなんかいないだろ?
見ててもわかるんだよ、お前の圧倒的な片想いだってことは。
でも。
かと言って彼女の気持ちが僕に向いているかというと、そうではない。
クソ。何かイライラするな。
「リオルド殿下」
ジェラルドと睨み合いながら、ランチの魚を口に放りこむ。すると、さっきの給仕が戻ってきて僕に耳打ちをした。
そして今。
僕は足取りも軽くある場所へ向かっていた。
今の今までドーラちゃんから呼び出されることなんかなくて。会いたければ僕から訪ねるしかなかった。まぁ、彼女は婚約者がいる身なんだからそれは当たり前だよね。
でも、
その彼女から、
初めての、
呼び出し!
テンションが上がってた僕は、どうやってそこまで来たか覚えてないほど浮かれていた。
「リオルド殿下、ごきげんよう。お呼びだてして申し訳ございません」
「ドーラちゃん! 何か聞きたいことがあるんだって? 何でも聞いて! 何? 僕の好きな食べ物は……」
「あ、そういうのは今は結構なんですけど。お言葉に甘えてズバリお聞き致します。殿下は同性同士の恋についてどう思われますか?」
「同性同士の……恋?」
「ええ! 例えば男性が男性に恋をして、女性が女性に恋することですわ!」
「えっ……」
一体僕は何を聞かれているというか、聞かされているのだろうか?
彼女の緑の瞳は、いつになくキラキラと輝いて見えて、可愛いけれど……。
「まさか、ドーラちゃんは女性が好きなの?」
驚愕のあまり、疑問がそのまま口をついてでた。
すると彼女はおかしそうに笑った。
「いやですわ! わたくしの話じゃありません。えっと、あの、一般論を」
「一般論……?」
彼女の趣味がそっちじゃないことにほっとしつつも、相変わらずその話の意図が読めず混乱する。
「ええ! それで、どうですか? 殿下は?」
「あ……うん。別にいいんじゃないかな? 好みは人それぞれだと思うし」
すると彼女はとても嬉しそうな笑顔を見せた。
普段は凛としている彼女の表情は柔らかく崩れて、辺りに花が舞い散った……のは僕の妄想だけど。
「……っ!」
彼女はこれ以上僕に好きにさせて一体どうするつもりなんだろう。
「君は? 君の方こそ、今、好きな人はいる?」
だけど僕がそう聞くと、わかりやすく固まった。
「え……わたくしの好きな人……ですか? えーと、わたくしはジェラルド殿下の婚約者ですので、そういうことは考えたことがないというか……考えたらいけないというか……」
そう語る瞳にはやはり、ジェラルドへの思慕はそれほど感じられない。
あったとしても、幼い頃から婚約者として育ってきた情くらいだろう。
そう思う。そう思わなければやってられないからね。
「そうおっしゃるリオルド殿下は、どうなんですか?」
「僕? 実はさ、僕には昔からずっと想ってる人がいるんだ」
そう、目の前に──。
そう言えたらどんなにいいだろうか。だけど、今はジェラルドの婚約者だから、まだ伝えるわけにはいかない。
それでも想いのひと欠片でも伝わって欲しくて彼女を見つめていたら、彼女は息を呑んで目を見開いた。
「昔、から……?」
「うん。」
──そうだよ。君に助けられてからずっと。僕は君だけしか見えないみたいだ。
ま、今はまだ伝わらないだろうな。彼女は僕のことも覚えてないみたいだし。
そう、思っていたのに。
彼女は、突然顔を真っ赤にして小さくつぶやいた。
「まさか、そんな……リオルド殿下も好きだったなんて。二人は両想いだったというの?!」
両想い?
どういうこと?
「……そんな、まさか」
まさか、彼女も僕のことを想っていたってこと?!
なんてことだ!
彼女の気持ちがこちらに向くのを気長に待つつもりだったけど、両想いなら遠慮することは無いよね?
「こんな奇跡ってあるかしら? すれ違いの両片想いだったってこと?」
舞い上がっていた僕は、その後に続く彼女の言葉を全く聞いていなかった。
でも、彼女はまだジェラルドの婚約者だ。
このままでは想いを告げても一緒になることはできない。
『君が好きだ』
その言葉をぐっと飲み込んで僕は、これからの算段を心の中でつける。
まずはジェラルドに彼女との婚約解消を認めさせなければならない。
正直言ってそれが一番厄介だな。
奴が、ドーラちゃんに執着してるのは確かだ。
彼女を見つめるその目は完全に恋する男のそれだから。同じだからこそよく分かる。
それなのに彼女に辛く当たる意味がわからないけれど。
他の女をあてがって、ドーラちゃんと婚約破棄したいと思わせることはできるかな?
男に尻尾を振るのが好きな女なら何人か思いつくし。それに、この前ベタベタとくっついて来たラビア何とかっていう男爵令嬢をけしかけてみても面白そうだ。
あの女、確か「リオルド様のお役に立ちたいのです!」とか何とか言ってたっけ。
奴が王子でさえなければ、無理やり奴を絡めた事件でも起こして婚約解消させるところだけれど。実際には王子だし、それをすると国際問題になりかねない。
それならばと、先に外堀を固めようにも、ここはアウェーだ。
彼女の実家にしても、多大なる権力を得られる王家との婚約をわざわざ解消するはずがない。
ジェラルドの横暴ぶりを知っているはずの公爵家がそれでも婚約解消をしないのは、つまりそういうことでしょ?
今になって初めて、僕は王位継承権第三位という自分の身分を恨めしく思った。僕にも王位継承権があれば、彼女の実家の公爵家だって首を縦に振ったかもしれないのに。
いずれは臣籍降下することが決まってる男に、大事な娘をほいほい渡すことはないだろうな。
「リオルド殿下、わたくしはあなた方の味方ですわ!」
「……っ?!」
ガシッと手をつかまれて、ちょっと驚いた。ドーラちゃんの手はとても細くて柔らかいんだ。
「それから、殿下にはこれを。マリー、持ってきてちょうだい!」
彼女は侍女を呼ぶと、小さな小包を受け取った。
「多分お相手も同じ気持ちでいることでしょう。どうか諦めてしまわず、是非お心のままに行動してくださいませ! わたくしはあなたを応援しておりますわ! あ、これ恋愛成就のお守りです。よろしければどうぞ」
そう言って、微笑みながらその小包を僕に向かって差し出した。僕はそれを受け取った。
「あ、ああ……うん」
何だかよくわからないけれど、彼女と僕が両想いなのは確定、でいいんだよね?
「殿下、わたくし応援しておりますから」
微笑むドーラちゃんと別れて、城へ戻った僕は、早速渡された包みを開けてみた。
中から出てきたのは、赤い石のついたペンダントだった。
「……っ!」
小さな玉の中に炎を灯したようなその石の色は、彼女の髪の色とそっくりだ。
自分の色を相手に身につけて欲しいというのは、何も男性に限ったことじゃないようだ。
独占欲?
いくらでも独占してくれればいい。
ああ、今すぐにでも彼女を抱きしめてお礼を言いたい。
いっその事既成事実でも作ってしまうか? そうすればいくらジェラルドでも諦めざるを得ないだろう。
いや、僕は誰にも後ろ指さされることなく正々堂々と彼女を貰い受けたいんだ。
どうにかして法的に解消する手段があればいいんだけど……うん、郷に入っては郷に従えだ。この国の法律を少し調べてみるか。
僕は、彼らの婚約を解消に持っていく手段を探して、しばらく王国図書館へ通うことにした。
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すみません、遅くなりました。
明日の更新もちょっと遅くなるかもです。
もうそろそろ終わらせたい!(どうやって(笑))
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