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これから始まる二人の物語
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「ランツェ!」
ここにいないはずの声が響いた。
「……まさか」
オレは空耳かと思いつつも振り返った。
すると、そこにいたのは見たことがない騎士服を身に纏ったシルトだった。
金髪が艷やかに輝き、翡翠の瞳が太陽のように煌めく。白い肌は微かに色づき、気力に満ちている。
それは人形になる前の隊長の姿そのものだった。
ドンッ。
全身の力が抜けたオレは王を玉座の隣の床に落とした。
足元で王が小さく唸るが気にならない。
信じられない光景にオレは無意識に足を踏み出していた。
「なぜ……」
シルトの背後には同じ服を着た騎士が控えており、他にも続々と兵が集まっていた。
その状況に王の顔がほころぶ。
「同盟国からの援軍が到着したのか! 早く、こいつを捕まえろ!」
その声にシルトが颯爽と足を踏み出した。
「勘違いしないでいただきたい。我々は民を解放に来ました」
思わぬ言葉に王が呟く。
「……民を、解放?」
「はい。腐った支配者から民を解放するために」
ここで気づいたように王が叫ぶ。
「まさか、同盟国からの援軍ではなく解放軍か!?」
肯定するように美麗な顔が金髪を揺らしながら微笑む。
「城は我々が包囲しました。白旗をあげてください」
~⁜~⁜~
王を含め、一族と汚職にまみれていた貴族たちが革命軍に連行されていく。
だが、それよりオレは目の前の光景が信じられず呆然としていた。
「……どう、して」
こぼれた言葉に美麗な顔がフッと笑う。
「おまえの浅い考えなど、お見通しだ」
当然のように話す隊長にオレは声が震えないように力を入れた。
「すべて、知っていたのですか?」
オレが王の兄の子であったことも、民の不満を利用して腐敗した王と貴族、すべてを消そうとしていたことも。
そんなオレの計画を把握していたうえでオレに抱かれ、壊れた人形になったフリをしていたのか。
オレの疑問に答えることなく隊長がとぼけるように軽く首を傾げた。
「さあな。だが、玉座が爆発すると同時に私がいた部屋も爆発するのは、さすがにやり過ぎだ」
その発言にオレは笑った。
「全部知っていたんじゃないですか」
「さぁ、どうかな? それより、これからが大変だぞ」
「え?」
「モノは壊すより作る方が大変だ」
その言葉にオレは目を伏せた。
「オレは消えます。やっと腐った連中が消えたのに、その血を引くヤツがいるのは……っ!?」
オレの手に温もりが触れた。
白い手がしっかりとオレの手を握りしめている。
その真意がわからず、戸惑いながら顔をあげると、ずっと名を呼ばれたかった愛おしい顔がそこにあった。
「ランツェ、おまえは私の部下だろ? 血など関係ない」
その言葉に視界が歪む。
隊長は皆に平等だった。だから、少しでも特別になりたくて、無理やり抱いて自分だけのモノにしようとした。そして、すべてを消して終わらせようとした。
そんなオレの醜い感情も包み込むように隊長がふわりと笑う。
「それと、部下以上の関係になりたいなら、これから作ることだな」
すべてを見通す翡翠の瞳がオレだけを映した。
ここにいないはずの声が響いた。
「……まさか」
オレは空耳かと思いつつも振り返った。
すると、そこにいたのは見たことがない騎士服を身に纏ったシルトだった。
金髪が艷やかに輝き、翡翠の瞳が太陽のように煌めく。白い肌は微かに色づき、気力に満ちている。
それは人形になる前の隊長の姿そのものだった。
ドンッ。
全身の力が抜けたオレは王を玉座の隣の床に落とした。
足元で王が小さく唸るが気にならない。
信じられない光景にオレは無意識に足を踏み出していた。
「なぜ……」
シルトの背後には同じ服を着た騎士が控えており、他にも続々と兵が集まっていた。
その状況に王の顔がほころぶ。
「同盟国からの援軍が到着したのか! 早く、こいつを捕まえろ!」
その声にシルトが颯爽と足を踏み出した。
「勘違いしないでいただきたい。我々は民を解放に来ました」
思わぬ言葉に王が呟く。
「……民を、解放?」
「はい。腐った支配者から民を解放するために」
ここで気づいたように王が叫ぶ。
「まさか、同盟国からの援軍ではなく解放軍か!?」
肯定するように美麗な顔が金髪を揺らしながら微笑む。
「城は我々が包囲しました。白旗をあげてください」
~⁜~⁜~
王を含め、一族と汚職にまみれていた貴族たちが革命軍に連行されていく。
だが、それよりオレは目の前の光景が信じられず呆然としていた。
「……どう、して」
こぼれた言葉に美麗な顔がフッと笑う。
「おまえの浅い考えなど、お見通しだ」
当然のように話す隊長にオレは声が震えないように力を入れた。
「すべて、知っていたのですか?」
オレが王の兄の子であったことも、民の不満を利用して腐敗した王と貴族、すべてを消そうとしていたことも。
そんなオレの計画を把握していたうえでオレに抱かれ、壊れた人形になったフリをしていたのか。
オレの疑問に答えることなく隊長がとぼけるように軽く首を傾げた。
「さあな。だが、玉座が爆発すると同時に私がいた部屋も爆発するのは、さすがにやり過ぎだ」
その発言にオレは笑った。
「全部知っていたんじゃないですか」
「さぁ、どうかな? それより、これからが大変だぞ」
「え?」
「モノは壊すより作る方が大変だ」
その言葉にオレは目を伏せた。
「オレは消えます。やっと腐った連中が消えたのに、その血を引くヤツがいるのは……っ!?」
オレの手に温もりが触れた。
白い手がしっかりとオレの手を握りしめている。
その真意がわからず、戸惑いながら顔をあげると、ずっと名を呼ばれたかった愛おしい顔がそこにあった。
「ランツェ、おまえは私の部下だろ? 血など関係ない」
その言葉に視界が歪む。
隊長は皆に平等だった。だから、少しでも特別になりたくて、無理やり抱いて自分だけのモノにしようとした。そして、すべてを消して終わらせようとした。
そんなオレの醜い感情も包み込むように隊長がふわりと笑う。
「それと、部下以上の関係になりたいなら、これから作ることだな」
すべてを見通す翡翠の瞳がオレだけを映した。
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